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唯「う〜ん……」

梓「まだ悩んでるんですか?」

唯「なかなか決められなくて……」

梓「そんなに欲深かったら願いも跳ね除けられると思いますよ」

唯「えぇ〜? そうかなあ……」

梓「そうですよ。それに願いごとする機会なんてけっこうあるじゃないですか。初詣とか」

唯「それでも年にたったの数回でしょ。その一回一回を大切にしないと!」

梓「かっこいいような、かっこ悪いような……」

唯「あずにゃんはどんな願いごとにするの?」

梓「私のは……唯先輩が書き終わったら見せてあげますよ」

唯「じゃあ早く決めないとね。どうしよっかなあ……」

梓「…………」

唯「……うん、これかな!」

梓「あ、決まったんですね」

唯「うん、ささやかだけど本当の気持ちだよ」

梓「じゃあせーので見せ合いましょうか」

唯「わかった」

梓唯「せーの」

バッ!

唯「…………」

梓「…………」

唯「なんだ、あずにゃんと同じ願いごとだったんだね」

梓「あ、本当だ……」

唯「私たち、周波数がぴったりなのかもね!」

梓「周波数……?」

唯「うん、相性バッチリだよ!」

梓「……なんだか恥ずかしくなってきたので、早いとこ結びつけましょう」

唯「あずにゃん顔真っ赤だよ?」

梓「」スタスタ

唯「あっ、待ってよ〜!」トトト


唯「ほら、ここだよ。穴場なんだ」

梓「わああ……こんな場所あったんですね」

唯「丘のてっぺんだから見晴らしもいいでしょ? たまにここに来て練習したりしてるんだ」

梓「……ずるいですよ。今度は私も呼んでください」

唯「うん、一緒に練習しようね」

梓「はい。 ……それにしても、すごく静かな場所ですね。木も下の方に行かないとないですし……」

唯「だからお気に入りの場所なんだよ。ここでなら演奏に集中できるんだ」

梓「景色もそうですけど、とくに星が……」

唯「綺麗だね」

梓「この地域は本当に星がよく見えますね……。町中だったらほとんど見えないと思いますよ」

唯「この辺りは自然が多いからだと思うよ」

梓「たまにこういう場所に来るのはいいことですね。なんだか心がすっきりした気分になれました」

唯「そうでしょ。町で暮らすのも楽しいけど、いろいろごちゃごちゃした部分もあるからさ。ここみたいに何もない場所でゆっくりするのも大事なんだよ」

梓「そうですね……」

唯「あ、そういえば今日は七夕だけどさ。織姫と彦星見える?」

梓「うーん……天の川はわかるんですけど……」

唯「あれかなあ?」

梓「あれってどれなんですか……」

唯「ほら、あそこ!」

梓「ああ……あー……? あのちょっとだけ他よりも明るい星ですか?」

唯「多分そうかな……?」

梓「あれだったんだ……」

唯「きらきらだね」

梓「きらきらですね……」

唯「…………あずにゃん、首疲れない?」

梓「えっ? 私は別に……唯先輩は?」

唯「ちょこ〜っとだけ疲れたかなあ」

梓「じゃあそこに横になりましょう。それなら首も疲れませんよ」

唯「ナイスアイデア! あ、けど服汚れないかな」

梓「大丈夫ですよ。それに七夕の夜にこんな綺麗な星が見られるのは今日だけですよ!」

唯「あずにゃんも“特別な一日”を大切にするようになったんだね!」

梓「せっかくですからね」

唯「……はあ〜」

梓「綺麗……」

唯「落ち着くねえ……」

梓「……満天の星空ってこのことなんですかね」

唯「うーん……夜に来たことないからわかんないけど、こんなに星でいっぱいの空を見上げるのは生まれて初めてだよ」

梓「そうですよね、私も初めてです……」

唯「織姫と彦星は一年のうちで、七月七日の今日だけ会えるんだっけ」

梓「はい。一年って長いですよね……」

唯「……一年ってあっという間だよ?」

梓「誰のセリフなんですか……」

唯「えへへ。けど、時間があっという間に過ぎるのは本当だよね」

梓「楽しければ楽しいほど、ですね……」

唯「うん……。だからね。私も織姫と彦星みたいに“一日”を大切にしたいなー……って、今思ったよ」

梓「…………」

唯「あずにゃん?」

梓「ああ、その……唯先輩の言う通りだと思って」

唯「ふふ。ありがとう、あずにゃん。今日もいい一日にしようね」

梓「今日はもう帰って寝るだけですよ」

唯「あ、そっか」

梓「やれやれ……」

唯「えへへ」

梓「明日もいい一日にしましょう」

唯「うん!」


おわり。



最終更新:2014年07月08日 05:40