澪「そうさくいよくが ふつふつと わいて きた」
澪「うおお かくぞ むぎの しんきょくに まけて られない」
梓(どれどれ まえの ように なってないか みて おかないと)
梓(うん こんどは だいじょうぶ いつもの あまい かし)
梓(それにしても あまったるい みてるだけで むねやけ してきた)
梓「むぎせんぱい おちゃ おかわり いいですか」
紬「はーい、ただいま~」
澪「うおお」
紬「いくら澪ちゃんの頼みでもそこは譲れません」
澪「そんなこと いわずに おねがい しますよお むぎさあん」
梓「澪先輩は何をへつらってるんですか?」
唯「会心の歌詞が書けたから、曲を歌詞にあわせて手直ししてほしいんだって」
律「きょくづくりは ふたりに まかせてるけど こんなふうに もめるのは はじめてだ」
律「こりゃあ あれるぞ」
梓(確かに…音楽のことでこんなに熱くなるなんて軽音部らしくない…)
梓(……あれ?)
澪「いやあ ほっと した」
紬「ほつれた糸たちが一本に紡がれるように……今、新曲が完成したわ!」
唯「つむぎだけに!」どやあ
梓「唯先輩……」
梓「でも本当に凄いです!澪先輩の詞とムギ先輩の曲、二人の音楽がぴたりと合わさって…!」
律「ああ これは えいちてぃーてぃーの」
律「いや けいおんぶ しじょう さいこうの きょくと いっても かごん ではない」
律「ようし もえてきた さっそく れんしゅうだ」
一同「おー!」
律「まて まつんだ みお」
澪「うわあん わたし もうだめ さがさないで ください」だっと
唯「澪ちゃん…?あんなに張り切ってたのにどうしちゃったの…?」
紬「……多分そのせいよ…」
紬「最後のライブだからって張り切る分だけ、不安や緊張も大きくなってるのよ…」
梓「なるほど…」
唯「ねえ、私たちも探しに行った方がいいんじゃない…?」
紬「……いいえ、ここはりっちゃんに任せましょう」
梓「…いいんですか?ムギ先輩…」
紬「………」
律「みお みつけた」
澪「りつ りつ どうしよう」
澪「こわいんだ こんなに ふあんに なったのなんて いままでに なかった」
律「じしんが ないのは しっていたが これほどとは」
澪「ううう」
律「しようの ないやつだ ほら」なでなで
澪「りつ」
律「わかるか わたしは ここにいる」なでなで
律「わたし だけじゃない むぎも ゆいも あずさも いるんだ」なでなで
律「じしんが ないのは もう しようがない なら なかまを しんじて もっと きらくに やればいい」なでなで
澪「りつ うん そうする そうするよ」
澪「だから もうすこし このまま」
律「ああ」なでなで
梓「いよいよライブ本番……今日は頑張ろうね、むったん」
律「あずさも ぎたーに なまえ つけてるのか」
梓「そうですよ」
唯「その方が可愛いもんねー、ねえギー太!」
澪「あいちゃくが わいて いいぞ なあ えりざべす」
紬「面白そう!私も……そうね……キー坊にするわ!」
律「むぎまで」
梓「律先輩はどうしますか」
律「わたしか わたしは えっと ええっと」
律「どらむったん」
梓「微妙にパクられた!?」
澪(かいじょうを うめつくす ひと ひと ひと)
澪(それも もう こわくない わたしには なかまが いる)
澪(りつの どらむは きょうも はしる だが きょうの ふんいきに ぴったり ここちよい はやさ)
澪(むぎは きょうも たのしそう みてるだけで こっちまで うきうき してくる)
澪(ゆいは ぼーかるも えむしーも きれっきれ やはり てんさいの たぐいか)
澪(あずさ ちょっと きんちょうぎみ でも その じつりょくは たしか)
澪(つぎなるは おまたせの しんきょく かいじょうの もりあがりは さいこうちょう)
澪(こうよう とうすい そして ねっきょう)
澪(わたしと ばんどと かんきゃくと すべてが いったいと なって ましろな ひかりに のみこまれていく かんかく)
澪(きっと いっしょうの うち この いっしゅんにしか あじわえぬ)
澪(ああ)
澪(おんがく やってて よかった)
澪(いきてきて ほんとうに よかった)
澪(こうして こうこう さいごの らいぶの まくは おりたの だった)
紬「打ち上げはモツ鍋よ~」
澪「なぜ もつ」
紬「順番だったからよ~」
梓「順番…?」
唯「ムギちゃん!ご飯はあるの!?」
紬「たっぷり炊いておいたわ~」パカッ フワッ
唯「ぃやったあ!乾杯しよう!乾杯!」
律「かんぱい ちゃわんで やるのかよ」
唯「そうだよ!ほらみんな、お茶碗持った?それじゃあ……今日はお疲れ様でした!乾杯!」
一同「乾杯!」
澪「やつが くる」
澪「おぞましい ぎょうそうで すそを はく しの あくま」
梓「何ですにゃんいきなり」
唯「やつは数字を見せつけ私を追い詰めてくる……恐ろしい…!」
梓「唯先輩まで…やつとは一体…?」
さわ子「みんなお疲れー……って何で鍋!?」
澪「ひいっ」
唯「ひゃああ」
梓(やつとはさわ子先生のこと…?)
紬「先生、こちらにどうぞ~」
紬「先生もゆっくりしていってください~」
さわ子「モツ鍋で打ち上げも乙なものね」
さわ子「でも、こうなると一杯やりたくなるわね…」
紬「日本酒でいいですか~?」
さわ子「悪いわね……って何でお酒用意してるの!?」
紬「モツを煮るのに使ったんです~」
さわ子「なるほど」
紬「まま、お一つ~」
さわ子「おっとっと」
律「さわちゃん がっこうだぞ ほんとうに のむのかよ」
さわ子「こんな日だもの、いいじゃない」
律「この よっぱらいは」
唯「さわちゃん寝ちゃったね」
紬「裏方として奔走してくれたんだもの…もうしばらく寝かせておいてあげましょう」
梓「そうですね」
澪「ちょうどいい さわちゃんが おきるまで みんな わたしの はなしを きいて くれないか」
梓「何ですにゃん改まって」
澪「むかしの はなしだ なあ りつ いいだろう」
律「そうだな ころあい かも しれないな」
紬「二人の昔の話なの?」
澪「ああ あれは ちゅうがくに はいりたての ころ だった」
律『キャラつくっていこうと思う』
澪『何だよ藪から棒に』
律『中学生になったら音楽やろうって話してたろ』
律『折角だから音楽性に合わせたキャラ付けしようと思って』
澪『まだ始めてもいないのに……で、どんなキャラにしたいんだ?』
律『こんな かんじで いこうと おもう』
澪『!?何その古いゲームみたいなの』
律『ようし そうと きまったら おんがくしつに なぐりこみだ』
澪『お、おい待て律…っていうかそれ音楽関係ないだろ!?』
律『いくぞ うおお』だっと
澪『律ー!?』
澪『律……』
律『ちくしょう あいつら ばかに しやがって』
澪『当たり前だろ…そんな変な1年が入って来たら…』
律『くそう くやしい くやしいよ みお』
澪『…とりあえずそのキャラやめる気は無いのか?』
律『いまさら ひけるか このままで びっぐに なって あいつらを みかえして やる』
澪『馬鹿律…』
澪『しょうがない わたしも つきあって やるよ』
律『みお いいのか おまえまで』
澪『ばかな りつに つきあえる ばかは わたし ぐらいの ものだ からな』
律『みお』
澪『だが もし ほかに こんな ばかに つきあえる やつが あらわれたなら』
律『ああ そのときは きっと』
澪「これが わたしたちの るーつだ」
梓(このキャラが律先輩の浅い思い付きだったとは…)
律「いやあ ちゅうがくじだいは あんこく だったなあ」
梓「ほぼ自業自得じゃないですか…」
律「なんだと なかのー」
紬「さすがに私もそう思ったわ…」
律「むぎまで」
律「ゆい ゆいは わかって くれるよな」
唯「え?なんだって?」ぱく!ぱく!
律「めっちゃ ごはんが すすんどる はなし きいて なかったのか」
唯「ちゃんと聞いてたよ~」ぱく!ぱく!
唯「でもさ」
唯「どんな苛烈な過去があったとしても、私には変えられない」
唯「私にできることといったら……今!一緒に楽しくご飯を食べることだと思うのです!」ふんす!
梓「唯先輩…」
澪「ふふっ ちがいない」
律「まったく ゆいには かなわねーな」
唯「だからほら、みんなもう一度お茶碗持って!……軽音部に!」
一同「乾杯!」
澪「なあ りつ」
澪「私たちは本当にいい仲間に恵まれた」
律「ああ みお」
律「今、最高に幸せだ」
紬(りっちゃん……澪ちゃん……)
澪「しろつめくさ しろつめくさー」
梓「なんですにゃん みおせんぱい のぐそでも なさるの ですか」
澪「あずさ」
澪「よつばの くろーばーを さがして いたんだ」
梓「ふうん それなら ほれ わたしの あしもとに」
澪「でかした あずさ これで いつつ そろった」
梓「そんなに あつめて よくばりな」
澪「いいや これは おしばなにして みんなに くばる ひとつは あずさの ものだ」
梓「わたしに」
澪「もうすぐ わたしは そつぎょうして いなくなる しかし わたしの おもいは ここに」
梓「みおせんぱい」
梓「……澪先輩……卒業したらヤです……」
澪「らいねんは ういちゃんと すずきさんと いっしょに やるんだろう」
澪「わたしが いうのも なんだが あずさが しゃんと しないと」
梓「はいです…」
澪「わっー」
紬「……?」
紬「あっ!わ、わー、驚いたわ~…」
澪「ふふふ おどろいたか これで いままで おどろかされたのと おあいこだ」
紬「そ……そうね……」
紬「………」
紬「……ねえ、澪ちゃん」
澪「なに」
紬「…りっちゃんをとっちゃった私のこと……どう思ってる…?」
澪「にくい しっとの ほむらが わたしの さんずいを ゆに かえる」
紬「そう……そうよね……」
澪「そんな むぎに これだ」
紬「これは…!?」
澪「おしばなを つくった むぎに やる」
紬「私に…?憎い私にどうして……」
澪「まえに むぎが いったろう すきなものが おなじなら なかよく できるって」
澪「けーきが すき おかねが すき おんがくが すき」
澪「りつが すき」
澪「にくい こいがたき でも それいじょうに たいせつな ともだちだ」
紬「澪ちゃん…」
紬「……本当は私もずっと嫉妬してた……私の立ち入れない二人の絆に……」
紬「だから澪ちゃんを驚かせて意地悪して……なのに…ごめんなさい……私……」
澪「しってた そして それは さっきので おあいこと いったろう」
紬「澪ちゃん…」
紬「この押し花…一生大事にするね……」
澪「うん」
澪「りつ ぱんつを みせてくれ」
律「いいよ ほら」
澪「い いいのか」
律「いろいろ がんばって くれた からな ごほうびだ」
澪「そうか ふひひ じゃあ さっそく
梓「どれどれ…うわっ臭そう」
唯「りっちゃんのくせに可愛いぱんつ履いてるー生意気!」
紬「私、みんなでりっちゃんのぱんつ見るのが夢だったの~」
律「な なんだ なんだ みんなして」
澪「そうだぞ わたしの ための ぱんつ なのに」
澪「ふふふ でも なんだか こういうのも たのしい」
澪「みんなで ばかな ことして さわぐの たのしいな」
律「その いわれかたは しんがいだ わたしの ぱんつ なのに」
澪「ふふ おこるな りつ」
澪「やっぱり けいおんぶ さいこう だな!」
終
最終更新:2014年07月08日 05:45