唯「だって寝違えちゃったんだもん……」

和「それは残念だわ……」

唯「あーもう! 痛いよー!」

和「体の自由が利かないってストレスたまるもんね。でも落ち着いて。何か気を紛らわせれば……」

唯「和ちゃん……」

和「唯、さいしょはグー!」

唯「えっ!?」

和「あ、じゃんけんぽん!」パー

唯「負けたー!」グー

和「あっちむいて、ほい!」ビッ

唯「はうっ!? おおぅ……」

和「こんな古典的な罠(トラップ)に引っかかるなんて……今時珍しいわね」

唯「幼馴染がひどい目に遭ってるのにそんなことするのも珍しいよ!?」

和「ごめん、ごめんご」

唯「なんでちょっとリズミカルに言ったの」

和「そこは気にしない。それよりいつまでそっち向いてるの。人と話す時は目を合わせるものよ」

唯「こうなったのは和ちゃんのせいだよ……。元に戻す時も痛い……」

和「あ、そういえば冷やすとおいしいっていうチョコのお菓子を持ってきたんだけど」

唯「えっ、お菓子!?」バッ

和「ほら戻った」

唯「あ、本当だ」

和「単純ねえ……」

唯「私、被害者なのに!」

和「まあ持ってきたのは本当だから。あとで食べましょう」

唯「流された……」

和「寝違えはけっこうひどいの?」

唯「うん、朝起きた時からずっとだよ……」

和「ふんふむ……まあ今日のところは安静にしているしかないわね」

唯「ぶー……せっかくの和ちゃんとの休日なのに……」

和「仕方ないわ。憂ももうすぐで帰ってくるみたいだし、三人で遊ぼう」

唯「そだね」

和「……でも、首が寝違えて痛いってことは抱きついてこられないってことね」

唯「え、抱きついてほしいの?」

和「いや、今日は暑いから……」

唯「ふふふ……前を見なくったって和ちゃんの居場所くらい簡単にわかるよ……!」ヌッ

和「えっ?」

唯「和ちゃん、和ちゃ〜ん……!」ユラッ

和「わっ……ちょっ! 腕と前髪のせいでゾンビみたいよ!?」

唯「和ちゃん、和ちゃん!」バッ

和「今度はモンスター!?」

唯「つ〜か〜ま〜え〜た〜!」

和「あっ……!」

ドサッ!

和「つかまった……」

唯「へへ〜和ちゃん腕枕を手に入れた!」

和「こうなるといつも通りね……」

唯「ふふ〜♪ ……あれ?」

和「どうしたの?」

唯「首の痛みが……消えてる……」

和「え、本当に?」

唯「痛くないよ、和ちゃん腕枕のおかげだよ!」

和「え、えー……そんなことあるはずが……」

ガチャ

憂「ただいまー。和ちゃんいらっしゃい!」

和「おじゃまします……」

憂「湿布買ってきたよ、お姉ちゃん」

唯「ありがとう、憂。でもね、この和ちゃん枕で寝たら……なんと、治ったんだ!」

和「!?(この流れは……)」

憂「本当に? よかったね! 朝はあんなに痛がってたからどうしようかと……」

唯「和ちゃんのおかげだよ。憂も一緒に寝る?」

憂「いいの?」

唯「もちろん! こっちにおいで〜」

憂「やった! それじゃあ失礼して、と……」

和「和ちゃん枕……」

唯憂「えへへ〜!!」

和「いつまでも変わらないわね、あなたたち……」

憂「和ちゃん枕……やわらかくて気持ちいい……」

唯「ずっとあたたかいね……」

和「唯と憂もね……」


おわり!





最終更新:2014年07月16日 10:31