平沢唯 8歳>
その日の夜、私はおしっこがしたくなって目覚めました。
夜のトイレは怖いけれど、以前それで行かずにいたらおねしょして怒られちゃったので、また繰り返すわけにはいきません。
また憂についてきてもらおうかとも考えましたが、起こしちゃうのもかわいそうだと思い直しました。
たまにはお姉ちゃんらしく、一人で行っちゃおう!
私は「おばけなんてないさ」を小声で歌いながら勇気を出してトイレに向かいました。
用を済ませて早く戻ろうとする途中でお父さんとお母さんの部屋を通り、そこから漏れる声に思わず立ち止まりました。
「ぁあ……ふぅ、あんっ…」
二人とも、何をしてるんだろう…。
そっとドアの隙間からうかがうと、そこではお父さんとお母さんが、ベッドの上で裸で抱き合っていました。
お父さんはお母さんの上で腰を振り、お母さんはお父さんを両腕と両足で抱きしめ、二人とも気持ちよさそうにあえいでいました。
いつもと違うお父さんとお母さん。なぜだかわからないけど私はすごくドキドキして、見てはいけないような気がして急いで子供部屋に戻りました。
「うい、うい!」
起こしたらかわいそう、そう思ったくせに結局起こしてしまいました。
「ん…なーに?お姉ちゃん」
目をこすりながら渋々起き上がる憂。悪いことしたなと可哀想に思いましたが興奮の方が勝り、私は憂に今見たものをそのまま話しました。
「うい、お父さんたち何してたのかなあ」
私は憂に尋ねました。憂はこのころから何でも知っていて、妹なのにすごいなあと私も頼りにしていました。
この時も、憂は驚くことなく説明してくれました。
「お父さんとお母さんはね、赤ちゃんを作ってるんだよ」
「赤ちゃん?」
「うん。あーやって、裸で二人で抱き合ったら赤ちゃんができるの」
「へえ〜」
やっぱり憂は物知りだなあと感心しました。
「それならいいことだね!ねえういは、赤ちゃんは弟と妹、どっちがいい?わたし妹がいいな」
「えと…私は、別に欲しくないや…」
「えー、赤ちゃん可愛いじゃん…そうだ!」
私はその時、完全にいいこと思いついたと信じて疑いませんでした。
「わたしたちもあーやって赤ちゃん作ろう!」
「ええっ!?」
「お父さんとお母さんのお手伝いするんだよ。わたしとういの赤ちゃん、きっと可愛いよ!」
「…うん、そうだね。いい考えだね。作ろう」
憂はゆっくりと頷きました。

「赤ちゃん赤ちゃん、ういと私の赤ちゃん」
私は大張り切りでパジャマと下着を全部脱ぐと、もじもじしている憂のパジャマに手をかけ、「うい、万歳して」とお姉さんらしく言って脱がせました。
そして私たちは布団の中で体を密着させました。お風呂などで何度も互いの肌かを見たことがありますが、布団の中というのは初めてなので、なんだか不思議な気持ちです。私が憂をぎゅっと抱きしめると、憂も私を抱きしめてきました。
「それからどうするの?」
「あのね、えっちなことをするんだよ…」
憂は小さな声で言いながら私のおっぱいを触ってきました。くすぐったさに思わず笑い声を上げながら、私も憂のおっぱいを触り返しました。
しばらくそうしてじゃれあっていて、何かのはずみで憂が私に抱き着き、私の唇に自分のそれを押し付けました。
「んんーっ」
えっちなことなんだから、きっとキスだってするんだ、そう思って私も抵抗しませんでした。
憂はいつまでも離れてくれません。舌も入ってきます。はじめてのキスに、私は段々脳がとろけるような感じがしてきました。そのせいか気づきませんでした。子供部屋に足音が近づいているということに…。
ドアが開いて、廊下の電気が裸の私たちを照らします。
「っ、二人とも、何やってるの!」
お母さんは血相を変えて、私たちを怒鳴りました。

そのあと私たちはお母さんたちにこっぴどく怒られました。
私がお父さんとお母さんの行為を見ていたことを話すと、二人はぎょっとして、そしてため息をつきました。
それから二人による性教育が始まりました。赤ちゃんが作れるのは大きくなった男の人と女の人だけだとも教わりました。
憂は知らなかったのでしょうか。何でも知ってると思っていた憂だけど、知らないこともあるんだなあ、とおかしくなりました。

あれから7年。
春休み、たまたまやっていたテレビドラマの内容を通して、私はあの出来事を思い出していたのです。
憂はテーブルの片づけをしていて、お父さんとお母さんはいつも通り海外に出かけていていません。
憂はあの事、覚えているのかな?

平沢憂 14歳>
その夜、食器を片づけてテーブルを拭いている私を尻目に、お姉ちゃんはテレビを見ていました。
その番組はどうやら大人向けのドラマで、妹が兄の子供を妊娠してしまったという内容でした。いつもならこんな番組をお姉ちゃんが見ていたら即チャンネルを変えます。しかしその時の私はそれどころではありませんでした。
(お姉ちゃん、あの夜のこと覚えてるのかな…?)
「女同士で、しかも子供同士で、赤ちゃんはできない」。当時七歳だった私も、このことを知っていました。それなのに、あえてそれをお姉ちゃんに指摘しなかったのは、お姉ちゃんが得意げに出したアイデアに水を差したくなかったから——というのは建前で、本当は私がお姉ちゃんと寝たかったからです。
当時の私は七歳児らしからぬ性に対する好奇心を、なぜか実の姉に向けてのみ滾らせていました。そして、今も。
『実の妹と寝るなんて、何を考えているんだ!』
その台詞を最後にテレビは消えました。否、私が消したのです。
キョトンとした顔を向けるお姉ちゃん。その顔にいきなりテレビを消された不満が浮かぶ前に、私は口を開きました。
「お姉ちゃん、エッチしよっ」
その途端、お姉ちゃんの目が真ん丸に開かれ、かあっと両頬が染まりました。やっぱりあの事を思い出しているのかも…。
「だ、だめだよ。テレビでもさっき言ってたでしょ。妹と寝たらだめなんだよ」
「その前に、なぜ近親相姦がタブーとされるか、知ってる?近親相姦を通してできた赤ちゃんは、障碍児になりやすいからだよ。それに私たちはまだ中学生、お姉ちゃんはもうすぐ高校生で、赤ちゃんができたら将来設計に重大な影響が及んでしまう。でもね、もう知ってるでしょ。女同士で赤ちゃんなんてできないってこと」
7年前は、赤ちゃんを作るために私たちは体を重ねました。なのに今は、赤ちゃんができないことを理由に私はお姉ちゃんに性交を迫っています。
「だって、お父さんとお母さんたちに怒られちゃうよっ」
「お父さんたちの出張が終わるのは春休み明け。黙っておけばばれないよ」
「で、でもさ」
まだ納得できないようです。それは極めて正常な感情。血の繋がった姉妹で体を重ねるなんて、抵抗があるに決まっています。普段ぼんやりして特にこだわりないように見えるお姉ちゃんですが、それでも7年で本人も意識しないままにそれなりの倫理観が積み上げられてきたのでしょう。
「やっぱり駄目だよっ。だって、エッチは好きな人としなきゃいけないんだよ?」
「私はお姉ちゃん、好きだよ。お姉ちゃんは私のこと、好きじゃないの?」
「す、好きだよ」
「じゃあ、なんでいけないの?」
そういって詰め寄ります。もちろん、これでお姉ちゃんが納得してくれるとは思いません。ただ、万一の可能性にかけて…。
「…分かった。いいよ」
「へっ」
思わずお姉ちゃんの顔を見返しました。真剣な目に、赤く染まった頬。冗談を言っているのではなさそうです。
「私憂とエッチするよ」
「ほ、本当に!?」
「憂が言いだしたんじゃん」
「あ、えへへ…」
嬉しくて信じられなくて、つい大声で疑ってしまいました。
「じゃ、早くしよ」
あれ、おかしいな。私が言いだしたことだったはずなのに、なんだかお姉ちゃんのほうが押せ押せだ…。
「ま、待って。先にベッドに移動しようよ」
私はお姉ちゃんの手を引っ張ってリビングを出ました。
…あ、ベッドって言ってもどっちの部屋にしよう。私はどっちでもいいけどお姉ちゃんは…と思った時、第三の選択肢が目に飛び込みました。だけどそれを口に出すのはためらわれました。だってそこは…。
「お父さんとお母さんの部屋のベッドで、しよ?」
私の心を読み取ったかのように、にっこりと笑ってお姉ちゃんが言います。
「黙ってたらばれないよ」
と、私の台詞を使いまわして。
いないのをいいことに勝手にベッドを使うのには罪悪感もありましたが、なんだかお姉ちゃんと夫婦になるみたいで嬉しく思いました。
お父さんとお母さんの部屋。二人が二十年近く夫婦してた部屋。あの日のお姉ちゃんが大興奮で話していた、このベッドの上での行為…。

布擦れの音がして、振り向くとお姉ちゃんはもう上を脱いでいました。ブラを外すと、小ぶりなおっぱいがプルンと飛び出します。それはお姉ちゃんの成長の証。あの頃にはなかったもの。お互いの裸なんてあれからも何度も見たのに、あの時と比べながら目が釘付けになります。
私の視線に気づいたお姉ちゃんは、笑って、今度は下を脱ぎました。ズボンと下着を一気に下ろすと、15歳にしては薄い恥毛が覗きます。それも、あの頃には全くなかったもの。
すらりとした足。滑らかな曲線。7年で、お姉ちゃんはとても女性らしい体つきになりました。
「憂も早く脱ぎなよ」
全部脱ぎ終わったお姉ちゃんが笑顔で言います。お姉ちゃんの身体に見とれて自分の脱衣が疎かになっていた私は、慌てて上着に手をかけます。焦ったためか、引っかかってうまく脱げません。お姉ちゃんが服の裾を掴みます。
「憂、万歳して」
まるで小さい子に言うように。それはあの時と同じ台詞でした。言われるままに私は両腕を上げ、お姉ちゃんはシャツごと一気に脱がせてしまいました。
「うわー、憂ってほんとに巨乳さんだね。さっきはこれが引っ掛かって脱げなかったんじゃないの?私、こんな間近で見るの初めてだよ」
言いながらお姉ちゃんは、私のおっぱいをつついたり撫でたり、軽く揉んだりと感触を楽しんでいるようです。
私も、あの時のようにお姉ちゃんのおっぱいを触り返しました。お姉ちゃんはキャハハと笑って、私のブラジャーを外します。
「へー、憂のおっぱいって大きいだけじゃなくて形も綺麗なんだねー」
お姉ちゃんは私のおっぱいの間に顔を埋めました。
「憂のおっぱいって、フカフカで気持ちいいんだねー。私のは小さいし、こうはいかないよー」
「お、お姉ちゃんのだって、小さくても形は綺麗だし、私は好きだよ?」
「むー、小さいのは否定しないんだ。もう怒った、憂なんてこうしてやるっ」
お姉ちゃんはぱくっと右の乳首を口に含むと、ちゅーちゅーと音を立てて吸い始めました。舌でひっきりなしにつつき、こねくり回します。
「ふぁぁ…お、お姉ちゃんっ…んっ」
気持ちよさに、思わず変な声が出てしまいます。がくがくと足が震えますが、お姉ちゃんが両手で腰を支えてくれたおかげで、立っていることができました。
でもその手が…右手が私の体をなぞって段々と下に移動し、ついにスカートの中に滑り込みました。そのまま下着の中へ侵入します。私の恥毛をかきわけて進む、お姉ちゃんの手。
「わー、憂ってば剛毛さんだねー。そっくり姉妹とか言われるけど、こうしてみると何もかも私と大違いなんだねー」
うう…恥ずかしい。確かにお姉ちゃんよりは濃いけど、普通のつもりだし…。
「も、もうベッドにいこ、これじゃ何のために移動したのかわかんないよっ…」
「まだまだ、まだ寝かせないよ」
お姉ちゃんの指が割れ目をなぞり、陰核をつまみあげます。その時点でもう、私のあそこはどうしようもなく蜜が溢れていました。
「っ、ひぁあんっ」
「ほらほら、憂、気持ちいいでしょ?」
指の腹で陰核をこすりながらお姉ちゃんは囁きます。
「ぁんっ…お、お姉ちゃんっ……っ!」
私はもう一つの刺激に背中を震わせました。お姉ちゃんの左手が後ろから下着の中にもぐり、今度はお尻をさわってきたからです。
「くすっ。やっぱり、憂のパンツ、もうびしょびしょだね。漏らしちゃったみたい。それにしても、憂のお尻はすべすべで可愛いなあ〜。それから、ここも」
と、お姉ちゃんは私のお尻の穴に、私自身の愛液でべとべとした指を入れました。
「っあ……!」
「憂のアナルバージン、もーらった」
こうして私は、お姉ちゃんと密着し、前と後ろを同時に責められる形になりました。体温が上がったせいか、お姉ちゃんの肌が冷たく感じます。すべすべで、柔らかくて、しっとりと湿ったお姉ちゃんの肌。
「はぁ……んっ……ああっ」
喘ぐ私に合わせてプルプル震える乳房を、お姉ちゃんはチロチロと舐めます。
「っ……!」
どの刺激によってかはわかりませんが、とうとう私は絶頂を迎えました。
「…はあっ…はぁ…」
快楽の余韻に浸りながら、だらしなく涎を垂らす私。
「かわいいよ、うい」

お姉ちゃんはその涎を舐めとり、私に口づけしました。柔らかくあったかい、7年ぶりに味わう、お姉ちゃんの唇。
唇を離した後お姉ちゃんは、いつもの無邪気な顔で笑いました。
「えへへ、私うまかった?」
そのとき、私の心に沸々と何かがこみ上げてきました。
お姉ちゃんはずるい。私だけ気持ちよくさせて得意げな顔してずるい。
気が付くと、私は勢いをつけてお姉ちゃんをベッドに押し倒していました。
「お姉ちゃんだって、乳首こんなに立たせてっ」
私は両手でお姉ちゃんの乳首を弄繰り回しました。
「ぁあんっ、ふぁ、んんっ!」
私より大きな声で鳴くお姉ちゃん。そういえば、おっぱいが小さいと感度が大きいって本当かな?
「ここだって、こんなに、濡れてるじゃないっ」
お姉ちゃんの中を指でかき回します。
ぐちゅっ。
「ひゃあんっ」
びくりと体を震わせる、涙目のお姉ちゃん、可愛い。
私にかき回されたあそこからはますます蜜が溢れ、ベッドにシミを作っています。
「あーあ、汚しちゃって。お父さんたちにばれたらどうするの。しょーがない、私が全部、舐めてあげる」
私はお姉ちゃんの股間に顔を埋めました。
「ちゅぱっ、ちゅぷ…」
「いやぁっ、ぁああっ、はぁんっ…」
お姉ちゃんは震え、喘ぎながら私の頭を股間に押し付けます。
「う、うぅいっ!全部、ぜんぶなめてぇっ」
そう言われても、次から次へとすごい勢いで溢れてくるので舐めきれません。舌が疲れてきました。でも、やめません。これが、ようやく味わえた、お姉ちゃんの味なのですから。
突然、お姉ちゃんが私の頭を押しのけようとしながら叫びました。
「うぅいっ、だめ、いっちゃう!」
「いいよ、イって」
「だめ、お父さんとお母さんみたいにするのぉっ!」
お父さんとお母さんのように?そんなことできません。だって、私たちは女同士なんだから。
あっ…。
私はスカートと、びしょびしょのパンツを全部脱ぎ捨てて、お姉ちゃんのあそこと重ねました。
さっきイったばかりの体がびくりと震えます。
「はぁうっ、うい、気持ちいいよおっ」
これでよかったみたいで、ホッとしました。
「うい、ういぃっ」
「おねえちゃん、おねえちゃぁんっ」
お互いの名前を呼びながら、あそことあそこをこすり合わせます。密着した肌は汗で濡れ、互いの汗や体液がベッドに飛び散ります。でも、もうばれるかばれないかは、私たちにとってどうでもいいことでした。
(お父さんとお母さんのこれまでのどんなセックスより、ずっとずっと、愛し合おうね、お姉ちゃん…)
「ういっ!!」
お姉ちゃんの体が大きく跳ね、とうとう絶頂を迎えました。
お姉ちゃんの体から力が抜け、ベッドに沈みます。
もう眠ってしまうのでしょうか?
私がお姉ちゃんから離れようとした時、お姉ちゃんは私の腕をつかみ、薄目を開けて微笑みました。
「うい…私、ういとの赤ちゃん、つくるからね…」
そういうと、お姉ちゃんは本当に眠ってしまいました。さっきの台詞は寝言だったんでしょうか。あのころを夢見ての。
お姉ちゃんの寝顔を私はずっと見てきましたが、7年前から本当に変わっていない、幼いものでした。だけど今は、一人の女性のものに見えます。
私はお姉ちゃんの隣に寝そべって寝顔を見ていましたが、いつしか私も寝てしまいました。

次の朝。私は5時に目覚めました。隣にお姉ちゃんはいません。
もう起きたのかな。それともあの出来事は夢だったのかな…と一瞬思いましたが、お父さんたちのベッド、私が裸であること、シーツのシミ、ベッド脇に脱ぎ散らかされた二人分の服が、夢ではないと物語っていました。
「もうお姉ちゃん、起きたのなら服片づけてよ」
苦笑しながら私は服とシーツを抱えて洗濯しに行きました。早くしないとお姉ちゃんに朝ごはん作る時間もなくなってしまいます。
洗濯機にそれらを放り込み、シャワーを浴びて着替えた後、私はお姉ちゃんの部屋に行きました。ここまで一度もお姉ちゃんに会わなかったからです。
お姉ちゃんの部屋のドアの前に立つと、「いたっ…」という声が聞こえてきました。一体なにが?心配で、ノックも忘れてドアを開けました。
「お姉ちゃんっ」 
「ん、なーに、憂」
お姉ちゃんは裸でベッドに座り、裁縫道具を出して何かを編んでいるようでした。針を刺したのか、指先を口にくわえています。
なんだか、ちぐはぐな…鳥?のぬいぐるみでしょうか…。
「ああ、これ?私たちの赤ちゃんだよー。名前は…」
お姉ちゃんはそれを、私に向かって突き出します。
「平沢唯と平沢憂の子供、平沢チキン!」
「ぷっ…あははは…!」
耐え切れず私は笑いました。そっか、お姉ちゃんの言葉は寝言じゃなくて、本当だったんだ。それで早起きしてこのおかしなぬいぐるみを…!
「憂?」
「ごめんごめん。あなたが平沢チキンね、はじめまして。私はえっと…」
お父さん、お母さん、どっちを名乗ればいいんでしょうか?
「両方お母さんでいいよ」
「ううん、お姉ちゃんが作ったんだし、お姉ちゃんがお母さんで」
「えー、だったら、私がお母さんで、憂はママね。それと今度、この子連れて一緒にピクニック行こうよ」
「うん。それから三人、川の字になって寝ようね」
あのドラマの中の兄妹は、こんな楽しい会話なんてできないんだろうな。フィクションだというのに、ちょっと気の毒にも感じました。
「もうすぐ完成するからねー」
「うん、楽しみに…ってお姉ちゃん先に着替えて着替えて!裸で裁縫って危ないよ!」
「ほえ?大丈夫だよー」
「だめだって!あとシャワーも浴びてないし!残りは私がやっとくからさっさとシャワー浴びて着替えなさい!」
「ちえー。でもその方がいっか。だって二人の子だもん」
お姉ちゃんが去って行った後、私は平沢チキンの作成を再開させました。こんな不気味なぬいぐるみだけど、お姉ちゃんと私の子だと思うと無性にかわいい。お姉ちゃんの不器用な縫い目も愛しくて。
「大好きだよ」
そのとさかに、そっと口づけしました。



最終更新:2014年07月19日 09:28