——ねえ、梓。


潤んだ瞳で純が搾り出すみたいに言った。
いつの間にか純はそのパジャマを脱ぎ捨てていた。


——私じゃ、駄目かな? 私ね、梓の事が好きだよ。梓が私でオナニーしてくれてなくても。


純の身体は小刻みに震えていた。
私の身体も小刻みに震えていた。
いつの間にか純の姿が歪んで見えていた。
私の瞳から涙が溢れて止まらなかったから。
悲しかったからじゃない。
私が一番欲しかった言葉を、私が一番言って欲しかった人から貰えたから。


——私で、いいの? 私、こんなにエッチなんだよ……?


嗚咽が止まらなかったけど、私はどうにかそれだけ喉の奥から搾り出した。
純は頬を染めて、嬉しそうに頷いてくれた。
もう我慢出来なかった。
私は中途半端に脱いでいたパジャマを全部脱ぎ捨てて、純の胸の中に飛び込んだ。
純は私と唇を重ねて、舌を絡めてくれた。
強く、熱いキス。
頬にたまに触れる純の癖っ毛もとても心地良かった。
最高に幸せなファーストキス、最高に幸せな初体験だった。




「ん……ふっ」


純の下が私の口の中で暴れる。
他の行為はともかく、純のキスは初めての時からとても上手くなった。
キスだけでイけちゃうくらい、甘くて激しい舌使い。
私も負けじと純の舌を舐めてあげようとするけど、やっぱり先に耐えられなくなった。
さっきまで四回自分を慰めていたからだと思う。
想像以上に敏感になっていた私は頭が真っ白になるのを感じた。


「んああああっ!
イクっ……! キスだけでイッちゃううううっ!」


溢れ出す愛液、これでもかと尖る乳首の先端。
幸せな感覚に身を委ねながら私は絶頂に至った。
純のキスは最高のキス。
純とキスをするようになるまで、まさかキスだけでイけるようになるなんて思ってなかった。
一体、どれくらいの人がキスだけで絶頂に至れるんだろう?
キスだけでイける相手を見つけられた私は、とっても幸せなんだってよく思う。
勿論、キスだけで終わらせるつもりなんて全然無いけどね。


「相変わらずイき方激しいよね、梓は。
よーし、この鈴木純ちゃんがもっともっと感じさせてあげちゃおう!」


純が嬉しそうな顔をして私のアソコに手を伸ばす。
アソコの周り、クリトリス、お尻とアソコの間。
自信たっぷりに純が私のエッチな部分を攻めてくれる。
こんな事を言ったら純は怒ると思うけど、実は純はキス以外はそんなに上手じゃない。
アソコを攻めてくれるのは勿論嬉しいし気持ち良い。
それでもやっぱり純の指使いはちょっと拙い。
私自身が自分を慰めてる時の指使いの方が絶対に上手い。
これでも百戦錬磨だから、そのくらいの自信はある。
だけど……、だけど私はいっつも……。


「んああああっ!
気持ち良い! 気持ち良いよおっ、純んんんっ!」


大声で喘ぎ声を上げてしまう。
止められない。気持ち良さを言葉にしなきゃ意識を失ってしまいそう。
嘘じゃない。
私の喘ぎは嘘じゃない。
純の指使いが拙いのも嘘じゃない。
両方本当で、両方真実だから私は嬉しくて泣きそうになる。

純の指使いは拙い。
痛いだけで赤くなっちゃう事も何度もあった。
だけど純の指が私を触ってくれてると思うと、それだけで私は最高に気持ち良くなれる。
私を触ってくれてるのが純だから。
私の大好きな純だから。
私は拙い純の指使いでもイけちゃうんだよね。
その意味を勘違いしているのかどうなのか、純が自信たっぷりに笑った。


「えへへー、どう梓?
私ってテクニシャンでしょー?」


勘違いしないでよ、純……!
純の指使いなんて、全然下手なんだからね……!
自信たっぷりに言えるほどテクニシャンじゃないんだから……!
私が純を大好きだってだけなんだから……!


「んああっ!
純! 純! 気持ち良い! 気持ちいいよぉ!
もっとして! もっとしてええええっ!
純の指、大好き! 大好きだからあっ!」


二つの心、二つの本当。
色んな矛盾が私を更に昂ぶらせていく。


「しょうがないなー、梓は」


言い様、純がまた私のアソコに唇を寄せてくれた。
また舐めてくれるんだ。
お腹の中が切なくなるのを感じる。
確かめてみた事は無いけど、ひょっとしたら子宮が降りてきてるのかもしれない。
純ともっと気持ち良くなりたくて、純との赤ちゃんが欲しくて、身体中が反応してるのかもしれない。
勿論純と赤ちゃんが作れない事くらい分かってる。
だけど、それなら純との赤ちゃんに注ぐ愛情の分も純に全部あげたい。


「ん……ちゅっ」


「ひゃあんっ!」


純の舌が私のアソコの中に入って激しく動く。
降りてきてるかもしれない子宮を舐めようとしてくれてるみたいに、深く、激しく動き回る。
純の動きは舌だけじゃ終わらない。
私のお尻と乳首を弄びながら、鼻先でクリトリスを器用に弾いてくれる。
自分を慰める事に慣れてる私だけど、腕が二本しかない以上、自分ではどうやっても出来ない愛し方。
そんな愛し方で、純は私を愛してくれている。

本音を言うとまたイってしまいたかった。
思い切りイって、お腹の中に溜まった愛しさを溢れ出させてしまいたかった。
でも、私はそうはしなかった。
どうにかイかずに耐えられたのは、私の愛しさを純にも伝えたかったからだと思う。
純はエッチな私を受け入れてくれてる。
純以外でエッチな想像をしちゃってる私を愛してくれてる。
嬉しいけれど、申し訳無かった。
されてばかりなんて純に悪いし、そんな現状を認めちゃうわけにはいかない。
私だって私が幸せなのと同じくらい、純を幸せで気持ち良くしてあげたいんだもん……。


「うんしょっ!」


舐められてばかりの体位から抜け出して、私は純のアソコに顔と唇を寄せた。
二人して顔の前にお互いのアソコが位置しているエッチな体位。
シックスナイン。
二人で思い切り気持ち良くなれる私の大好きな体位だ。
貝合わせだって好きだけれど、あれは気持ち良さより愛しさを感じるための体位だもんね。


「じゅーんっ!」


最大限の愛しさを込めて純のアソコとクリトリスを舐め始める。
これまで私を攻めていたからだろう。
純のアソコはもう私のアソコと同じくらいぐっしょり濡れていた。


「あんっ! 梓ぁ、私はあんまり攻めなくてもいいよぉ……」


「駄目だよ、純。
私だって純の事を気持ち良くしてあげたいんだもん」


「嬉しいけど、嬉しいけどぉ……、ひゃあんっ!
梓のクンニ激しいんだもん……、んああああんっ!」


喘ぎ声に乗じて、軽くとだけ純のクリトリスを弾いてみる。
それだけで純のアソコからは激しい愛液が分泌されていた。
もしかしたら軽くイっちゃったのかもしれない。
興奮してたにしても、ちょっと早過ぎない、純?
そう思い掛けたけどすぐに思い直した。
そうだったよね、純……。
私達、寝る前に六回エッチしちゃってたんだよね……。
私はまだまだ平気だけど、普通の人には結構大変なんだよね。
純のアソコ、いつもより赤くなっちゃってる気がするし。
ごめんね、純。
私って本当にエッチな子だよね……。

でも、嬉しい。嬉しいよ、純。
そんなに大変なのに、純は私のエッチに付き合ってくれてる。
好きって言ってくれて、激しいキスをしてくれてるんだよね。
すっごく嬉しい。
私ね、そんな純が大好きなんだよ。
純とエッチするようになる前から、ずっとずっとね。
純でだけエッチな想像が出来なかった理由なんて決まり切ってる。
私が純の事を本気で好きだったからに決まってるじゃない。
唯先輩たちの事は勿論好きだよ。
好きじゃなきゃエッチな想像なんてするはずないし。

だけどね、純はそうじゃないの。
エッチな想像をしなくても、初めて好きになれた女の子なんだよ。
純は私の傍で笑ってくれた。
迷う私の背中を押してくれた。
いつもいつも私を支えてくれていた。
エッチな想像をしちゃうのが後ろめたくなるくらい、純はそんな私の一番好きな子なんだ。
だから純の想像で自分を慰められなかったんだと思う。
純とは、エッチな想像だけで終わらせたくなかったから。

ありがとう、純。
こんなエッチな私を受け止めてくれて。
こんなに愛しても愛しても、まだ愛せるくらい愛させてくれて。


「純っ、好きだよ、純っ……!」


「梓……っ! 梓ぁ……!
はぁん……、もう駄目ぇ……!」


純のアソコを丁寧に舐める。
今度は激しくじゃない。
愛しさを込めて、嬉しさを込めて、ただ優しく丁寧に純のアソコを舐め回していく。
そんな私の気持ちが伝わったのかもしれない。
純も激しい舐め方から優しい舐め方に変えて、私のアソコに丁寧に吸い付いてくれ始めた。


「ねえ梓、気持ち良い?
んっ、私とのセックス、気持ち良い……?」


「当たり前よ、純……!
私、純の事が好きだから、大好きだから……!
純とエッチ出来てとっても幸せだよ……、あぁんっ!」


「良かった……!
私も……、私も好きだよ、梓……!
ねえ、イッていい? 梓にアソコを舐められてイッてもいい……?」


「勿論!
イこっ? 一緒にイこっ、純っ!
あああああああんっ!」


「うん……っ、うんっ!
一緒にイクよ、梓っ!
んああああああっ! 梓にアソコ舐められてイクぅぅぅぅぅっ!」


「私もイクっ!
純んんんんっ! んああああああっ!」


一際大きな声を上げて、お互いのアソコの上に崩れ落ちる私達。
純のアソコは別の生き物みたいに激しく動いていて、私のアソコも多分同じ様に動いてた。
私の大好きな体位の、私の一番気持ち良いエッチは終わった。
これ以上気持ち良さを感じるエッチの方法は無いと思う。
だけど私達のエッチはまだ終わらない。
これで終わらせるわけにはいかないんだよね。
だって気持ち良いエッチより大切なエッチがまだ残ってるんだから。


「はーっ、はーっ……!」


「ふー……、ふー……」


二人とも肩で息をしながらも、どうにか体位を変えていく。
正面から見つめ合う体位になって、軽くキスをしてから胸と胸を重ねる。
アソコとアソコ、クリトリスとクリトリスの位置を調整したから、今度は激しく舌を絡めた。
今から始めるのは一番気持ち良いエッチより大切なエッチ。
一番幸せになれるエッチ……、つまり貝合わせだった。
経験してみて気付いたんだけど、貝合わせって実はそんなに気持ち良くないんだよね。
机や椅子の角に押し付けるんならともかく、女の子のアソコはほとんど平坦なんだもん。
そんな所に激しく擦り付けてみたって、そこまで気持ち良くなれるはずも無い。
正直、初めての時はちょっとがっかりした。

だけど、純と何度か試してみる内に気が付いたんだよね。
これは幸せになるための体位なんだって。
シックスナインと違って、貝合わせはお互いの温かさを感じ合える。
すぐに抱きしめ合えるし、胸の鼓動だって聞いていられる。
キスをしたくなった時でも、目の前には純の顔がある。
いつだって大好きな純とキスが出来る。
貝合わせはそんな幸せな体位。


「これから幸せになろうね、純」


「うん、そうだね、梓」


二人で微笑み合う。
こうして表情を確かめ合えるって意味でも、貝合わせは幸せなんだよね。
それからアソコと胸を動かして幸せになうとした瞬間、不意に純が真面目な顔で囁いた。


「ねえ梓、一つ聞いていい?」


「どうしたの、純?」


「今日は誰でオナニーしてたの?
先輩達の名前が聞こえたし、今日は先輩達?」


直と菫、さわ子先生でもしようとしてたけど、それは未遂だった。
だから、純の言う通りだよ、と答えると純は悔しそうな顔になった。


「やっぱりかー!
悔しいなあ、今日も梓に私でオナニーしてもらえなかったんだ」


「いいじゃない、今はこうしてアソコとアソコを合わせてるんだから」


「ちーがーうー!
それとこれとは違うのー!
梓ってばどうして私でオナニーしてくれないのよー!
嫌がらせ? 愛しの恋人に対する一種の嫌がらせっ?」


「自分で愛しの恋人って言ってどうするのよ……」


呆れた表情を向けてみるけど、純の悔しさは分かる。
私だって純が私以外でエッチな想像をしてたら、悔しさを感じると思う。
増して私でだけは絶対にしてくれてないなんて、普通に考えたら恋人関係の危機だよね。

でもね、違うんだよ、純。
私は純の事が大好きだから、純でエッチな想像をしないの。
人よりも何倍もエッチで、性欲が強い私だからこそ思うんだ。
本当に好きな女の子相手にだけは、エッチな想像をしたくないって。
そんな事をするくらいなら、その労力で純を気持ち良くさせてあげたいし、愛したい。
験担ぎみたいなものだけどね、それだけはエッチな私が守りたい誓いなんだよ。
エッチだからこそ、最後の最後の一線だけは守りたいんだ。
この大雨みたいに溢れる性欲を持つ私の、小さくなって見えない気持ちを見付けてくれた純だから。
これからもきっと、溢れ出る私の性欲を泳ぎ切ってくれる純だから。

なんて言っても、純にはやっぱり不満だろうけどね。
純の事だから私の考えてる事にはもう気付いてるのかもしれない。
だから頬を膨らませてても、私の験担ぎを大切にしてくれてるのかもしれない。
そんな純だからこそ、私はこれからも純を大好きでいたいと思う。
愛し続けたいと思うよ。

とりあえず今の私が出来るのは、妙な験担ぎで困らせてる分を純に少しでも返してあげる事だけだ。
私は軽く膨らませてる純の頬に手を伸ばして、その唇に自分の唇を重ねた。
触れるだけのキスだったのは一瞬だった。
すぐに激しく舌を絡め合わせて、唾を交換して何度も飲み干した。
しばらくして唇を離して二人に銀色の橋が架かった時、私は私に出来る最高の笑顔を純に向けた。


「大好きだよ、純」


「もーっ、誤魔化されないんだからね、梓。
いつか絶対、私でオナニーさせてみせるんだから……!」


口こそ尖ってはいたけれど、その純の目尻は微笑んでいた。
やっぱり純は私の験担ぎを分かってくれてるんだろう。
私は嬉しくて涙を流しそうになったけれど、それを堪えてアソコを激しく動かし始めた。


「これからオナニーより気持ち良くなるんだから大丈夫よ、純」


「んっ……、梓ってば本当にエッチなんだから……!」


「んあっ、エッチな私は……、嫌い?」


「あっん……!
好き……だよ、エッチな梓だって、あんっ、大好き……!
小さくて可愛い梓が好きっ!
頑張ってる梓が好きっ!
ひゃあっ、エッチで素敵な私の恋人の梓が好きだよぉっ!」


「私も……、私も大好きだよ、純っ!
あん……っ! んああっ! 可愛い癖っ毛もっ! 吸い付くアソコもっ!
あったかいキスも、優しい純も、明るい純も……、全部全部大好きっ!」


私達のアソコから激しい水音が成り続ける。
乳首と乳首も擦り合わせて、舌と舌も絡め合わせて、
気持ち良くなってくれてる純の幸せそうな顔を見て、最高に幸せになっていく。
まるで二人で融けて交じり合っていくみたい。

アソコとアソコを重ね合わせる。
クリトリスとクリトリスを擦り合わせる。
幸せと快感で意識が遠くなり始める。
キスを続けられなくなる。
乳首を擦り合わせている余裕も無くなる。
だけど、私達は繋いだ手だけは絶対に離さない。
指と指を絡めて、これから何が起ころうとも繋ぎ合わせる強い決心を持って。
私達は二人で幸せで居続ける。
性欲の強い私は人の何倍も純を愛して、純はそんな私をきっと苦笑しながら受け止めてくれ続けて。
そんな風に、私達は誰よりもエッチで幸せになる。


「梓っ! 梓っ!
イクよっ? 梓のアソコで私のアソコがイッちゃうよっ?」


「私もっ! 私も純のアソコでっ、あああっ! 純のアソコで融けちゃうよおっ!
一緒に幸せになろっ、純っ! 純んんんんんっ!」


「あああああんっ! 梓あああああああっ!
もう出ちゃう! 私の愛液、溢れ出ちゃうううううっ!」


「うんっ! 出してっ、純! 私の中に出してっ!
二人でエッチなお汁を交換しよっ、んああああああっ!
イクよぉっ、純んんんんんんっ!」


「受け止めてえっ、梓ああああああっ!」


「イックううううう!」


溢れ出る純のエッチな液。
私はぱっくりと開いた自分のアソコの中に純のエッチな液を感じながら、一緒に果てた。
昨日から累算で十回以上果てたわけだし、流石にもう動けそうにない。
私の性欲も今日はこれが限界みたい。
私の頭の中はもう真っ白になりかけてる。
それでも私はどうにか純の唇を自分の唇を重ねて、愛してるよ、純、とだけ口にした。

それがきっと——、
溢れ出す私の性欲が消え去った時にだけ残る、純に対する真実の想いみたいな気がしたから。


0( =^・_・^)=〇 オシマイ



最終更新:2014年07月19日 09:41