・・・
梓「持ってる人に取ってはやっぱり持たざる者の気持ちなんて……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ
澪（まいった……すっかり怒らせちゃったみたいだ）
澪「あ、梓、お風呂のお湯ぬるくはない？」
梓「……別にです」
澪「浴槽、広くて二人でもゆったり出来るっていうのはやっぱりいいよな」
梓「……別にです」
澪「梓、こっち向いてくれないかな？」
梓「…………」ﾌﾟｲｯ
澪（うーん……こうなったら仕方ない、もっとちゃんとした場で言いたかったけど）
澪（よしっ）
澪「梓」ｷﾞｭｯ
梓「あっ、澪先輩……」
澪「ごめんな、私が悪かったよ」ｷﾞｭｳｯ
梓（わ、わ……背中におっぱいが直に当たる///）
澪「確かに私、胸は梓より持ってるけど……梓は私が持ってない物、いっぱい持ってるよ」
梓「わ、私なんて」
澪「ううん、度胸のある所や物怖じしない所……そして何事にも手を抜かず一生懸命な所とか」
澪「そういう所、そうそう真似出来るものじゃないって思う」
梓「そう…ですか？」
澪「うん、私は梓のそういう所、憧れるな」
梓「そんな、憧れるだなんて……///」
澪「それでいて思い詰めやすくて、一人で考えれば考える程かえって袋小路に陥りやすい所とか……」
梓「そ、それは長所でも憧れでも何でもないですよ」
澪「でもそういった弱さというか、脆さも持ってるから傍にいて守ってあげたくなるんだ」
梓「澪先輩……」
澪「梓……私は梓のこと、大好きだよ」
梓「えっ……！？ 今まさか、好きって言いました？」
澪「違うよ、大好きって言ったんだ」
梓「う、うそですそんな！ これは夢です、今頃私は自分の家で本当は寝てて今日の出来事はその間に見ている夢で……」
澪「むっ……そんなこと言うなら梓、こっち向いて」
梓「は、はい、こんな都合のいい出来事が現実なんて」ｸﾙｯ
ﾁｭｯ
澪「ん……」
梓「んっ！？ んんっ……ん……」
澪「ぷは……これでちゃんと現実だって認識した？」
梓「……はい///」
澪「よしよし……ちょっと背伸びして大人びたことしたかいがあったかな」
梓「だ、だって澪先輩の方から告白されるなんて思いもよらなかったので」
澪「そっか……そう思われても仕方ないか」
梓「でも……」
澪「でも？」
梓「今はすごく、嬉しいです。澪先輩と同じ気持ちだって分かって」
澪「梓……」
梓「さ、体洗いましょう。このままだとすぐのぼせちゃいます」
澪「ん、じゃあ背中流すのは任せて」
梓「はい、背中はお任せしますっ」
・・・
澪「梓……」ｷﾞｭｯ
梓「澪先輩……」ｷﾞｭｯ
澪「暑苦しくない？」
梓「いいえ、大丈夫です」
澪「冷房はつけてるけど、暑苦しかったらすぐ離れるから」
梓「いいえ、今日だけは澪先輩から離れようとしても離れませんから」
澪「頑固だな、でも私も梓が離れる気がないなら今日ばかりは離れないぞ」
梓「はい、離れないで下さい」
澪「ああ、離さない」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
梓「ん……こうして澪先輩からぎゅってされながら眠るのが夢だったので、ちょっと感激です」
澪「私も一度梓を抱いて眠りたかったから、念願叶ったって感じかな」
梓「抱いて……///」
澪「どうかした？」
梓「な、なんでもないですっ！」
梓（いつかそういうことする日も来るのかな…///）
澪「あっそうだ、まだ梓からは聞いてなかったな」
梓「何をです？」
澪「私は梓のこと好きって言ったけど、梓の方からはまだ私のこと好きって聞いてないなって」
梓「えっ、でも同じ気持ちとは言ったので…///」
澪「だめ、ちゃんとはっきり言ってほしいな」
梓「は、はいっ……では」
澪「うん」
梓「わ、私も澪先輩のこと……大好き、です」
澪「んー……もう一回、私の目を見て言ってほしいな」
梓「わ、私も澪先輩のこと、大好きですっ！///」
澪「うん、私も大好きだぞ梓っ」ｷﾞｭ-
梓「んんーっ、くるひーですっ」
梓（柔らかいですけど…///）
澪「ごめんごめん、嬉しくてつい……寝よっか？」
梓「寝る前にもう一度……優しくキスしてほしいです」
澪「わかった、じゃあ目を閉じて」
梓「はい……」
澪「好きだよ、梓」
ﾁｭｯ
・・・
唯「えーっと、次は数学なのですが……」
律「こちらも同じく！」
澪「ていっ」ﾎﾟｺﾝ
律「あてっ、私にだけ何すんだよー」
澪「何も蟹もないっ、全く二人とも夏休みの宿題を溜め込んで……」
梓「私までこうして唯先輩の家まで駆り出されて残された宿題を片付けるお手伝いするとは思いませんでした」
唯「でもおかげでこうして学校始まる前にあずにゃんとも一足早く会えたから嬉しいよ〜」ﾀﾞｷｯ
梓「宿題片付けるまで抱きつき禁止です！」ｸﾞｲｯ
唯「うう〜あずにゃんのいけず」
紬「まあまあ、冷たいアイスティーいれたから一息つかない？」
唯「おお〜ありがたいですムギちゃん！」
律「くぅーっ！ この夏の一杯、生きてる幸せってのを感じるな！」
澪「ごめんな、ムギにまで二人の宿題の片付けにきてもらって」
梓「私からも何だか申し訳ないです」
紬「いいのいいの、気にしないで」
澪「ところで憂ちゃんは？ 姿が見えないけど…」
唯「憂は純ちゃんの宿題の手伝いに出かけたよー」
梓「はぁ……純といい唯先輩といい律先輩といい……」
澪「鈴木さんはまだいいとして律と唯は今年受験生なんだから、夏休みの宿題くらいちゃんと一人で終わらせないと」
律「うぐ……返す言葉もございません」
唯「ごめんなざい〜」ｸﾞｽﾝ
紬「ところで今日、澪ちゃんと梓ちゃん一緒に唯ちゃんのお家に来てたけど……」
梓「あっ、それは///」ﾄﾞｷｯ
紬「その反応っ、たまたま偶然近くで会ってやって来たってわけじゃないわね？」ｽﾞｲｯ
梓「うっ」
唯「えっ、どゆこと？」
律「！ ま、まさか梓てめえ……よくも澪の体に……」ｺﾞｺﾞｺﾞ
梓「ちょ、ちょっと律先輩！？」
律「わたしはゆるしませんよーっ！」ｸﾜｯ
澪「昔の漫画の見すぎだ」ﾎﾟｺﾝ
律「おぐっ……言いたかっただけだから安心してくれい」
梓「ほっ……」
澪「もう……詳しいことは二人の宿題が終わってから話すから」
梓「み、澪先輩！？」
紬「！ なら私も二人のお手伝い頑張るわね！」ｺﾞｵ-ｯ
唯「わ、ムギちゃんが燃えてる！」
律「ちょ、ちょっとムギ落ち着……」
紬「さあ二人とも、ガンガンいくわよ！」
唯律「ひゃーっ！」
梓（み、澪先輩……いいんですか？）ﾋｿﾋｿ
澪（隠してもすぐバレるだろうしはっきり言おうよ）ﾋｿﾋｿ
梓（それはそうかもですけど…）
澪（それより今日、また泊まりに来ないか？ 今日ママとパパ家を空けるしそれに…）
梓（それに、なんです？）
澪（夏休みの最後に…梓と強い絆を作りたいんだ）
梓（そ、それって…///）
澪（どう…かな？）
梓（……はい、優しくしていただけるなら）
澪（ああ、もちろん。そうと決まれば…）
律「おーい、二人とも助けてくれーい！」
唯「ムギちゃんが急かしてくるからてんやわんやだよー！」
澪「もう、ムギも少し落ち着いて。私達もちゃんと手伝うから」
紬「ごめんなさい、つい力みなぎっちゃって…」
梓「さ、お二人の残された宿題手伝ってあげましょう！」
澪「よしっ、やるか！」
紬「おーっ！」
唯律「お、お手柔らかにお願いします…」
おしまい！
最終更新：2014年08月25日 18:31
