梓「ただいま戻りましたー……あれ、唯先輩?」

パチン

梓「……いない。今日のご飯は先輩の番なのに……」

「わっ!」

梓「きゃっ!」ビクッ

唯「えへへ〜おどろいた?」

梓「見ての通りですよ……って、何ですかその変な格好は……」

唯「見ての通りだよ! パンプキンヘッド&魔法使いの帽子!」

梓「…………」

唯「え、えっ? もしかしてわかんない?」

梓「いや、わかりますよ、仮装でしょ……?」

唯「い、えーす! 今日はハロウィンだよ〜!」

梓「またそんな薄着で……風邪引いちゃいますよ」

唯「ふふーんだ! お菓子くれないといたずらするよ!」バッ

梓「ちょ、ちょっと、その被り物大きすぎますよ!」

唯「そうなんだよ〜意外と重くて歩くと少しフラフラしちゃってさ」

梓「どこでそんなもの用意したんですかまったく……」

唯「あっ、じゃあさ、いたずらしないからお菓子ちょうだい!」

梓「でも私、今日はお菓子買ってきてませんよ?」

唯「ガーン! そんなぁ……」

梓「まさかこんな衣装まで用意してるなんて思ってませんでしたから……」

唯「今日がハロウィンってことは明らかなのにー……」

梓「あー……なんかすいません」

唯「ひ……ひっくしょん!」

梓「ほら、早くあたたかい服着てください。 ……晩ご飯の後でコンビニかスーパーに行ってデザート買いましょう」

唯「わーい♪」

梓「やれやれ……」

唯「セーターセーター」

梓「ここですよ、はい」

唯「ありがとう。はあ……やっぱりあったかーい……秋ももう終わりだねえ」

梓「明日からは11月ですからね……気温も下がって本格的に冬入りです」

唯「さっき“秋も終わり”って言ったけどさ、11月って冬なのかなー?」

梓「微妙なシーズンだとは思います。けど、さすがに上着は無いと外出歩けませんね」

唯「じゃあ11月は冬かな。 ……今年の秋は何欲だったかな?」

梓「え?」

唯「ほら、読書の秋とかスポーツの秋っていうでしょ?」

梓「ああ、それなら……唯先輩は食欲の秋ですよね」

唯「ひどーい!」

梓「じゃあ否定してみてください」

唯「うーん……のんびりの秋かなあ?」

梓「結局そっち方面じゃないですか!」

唯「むぅっ! 食べてばっかみたいに言うけどね、わたしは太らないんだよ!」

梓「ま、まあそれは結構なことですけど……」

唯「うーんとね……他には……そうだ、演奏の秋!」

梓「演奏?」

唯「そう、演奏。この前あずにゃんと二人で曲作ったでしょ?」

梓「そういえば珍しく二人で作曲しましたね」

唯「ね。やっぱりあずにゃんと一緒に秋を満喫してたんだよ」

梓「(私は……何もしなくったって、唯先輩と一緒にいるだけで十分満喫できてるんだけどなあ)」

唯「うー……さむさむ。やっぱり服着てもまだ寒いね。そろそろこたつ出そっか!」

梓「こたつとか扇風機とか……そういうの出す時はもうこんな季節かー……って思っちゃいます」

唯「それだけ楽しいってことだよ。もしかしたらどんどん加速しちゃうかも!」

梓「あっという間に私たちおばあちゃんですね」

唯「おばあちゃん……わたしたち、その頃は何してるのかなあ」

梓「どうでしょうね……って、いいかげんお腹空きました!」

唯「あーっ! そういえば今日わたしの番だったね!」

梓「もしかして……何も作って……」

唯「ご、ごめん! あずにゃんを驚かせようとばっか考えてて……」

梓「まったくもう……しょうがないです、二人で作りましょう」

唯「いいの……?」

梓「二人で作った方が早いですしね」

唯「あずにゃんとお料理〜♪ 何作ろっか!」

梓「そうですね……私も少し寒いので、あたたかいものにしましょうか」

唯「オッケー」

梓「…………」

唯「ふっふ〜♪」

梓「……唯先輩」

唯「どうしたの?」

梓「トリックオアトリート」

唯「えっ」

スッ……

梓「」チュッ

唯「……!!」

梓「さっきのお返しです」

唯「い、今のって……キス……?」

梓「そんなことより! は、早くご飯作りましょうっ! 忙しい忙しい……」アセアセ

唯「そ、そうだねっ!」アセアセ

梓「あーもうあついあつい……」

唯「……ふふ、わたしもあずにゃんのおかげであったまっちゃった」

梓「鍋取ってください! 早くしてくれないといたずらしますよっ!」

唯「素直じゃないんだからもう〜」

梓「うー……ハロウィンのテンションのせいだ……」


おわり



最終更新:2014年11月03日 18:47