梓「ちょっと、危ないですよ」
紬「大丈夫よ〜、はい、梓ちゃんも」
そう言って、こちらにすっと手を伸ばした。
仄暗くい月明かりの下では、表情がはっきりとわからないけれど、たぶんいつもみたいに笑ってるんだろうな、って思った。
わたしは腰をかがめ、ゆっくりと慎重に足を下ろす。
梓「よい、しょっと」
紬「さ、歩こう」
梓「歩こう、って…危ないですよ。電車が来たらどうするんですか」
紬「大丈夫、来ないよ。終電終わってるでしょ」
梓「点検とか、あるんじゃないですか?」
紬「んー、どうだろ……」
背中に手を結んで、ゆっくりと揺らしながら歩く体につれて、
金色の髪がふわふわと靡いた。
紬「あ」
梓「どうしました?電車きました?」
紬「うわぁー!見て見て梓ちゃん!星がとってもキレイよ〜!」
梓「知ってます。ごまかさないでください。それさっきも同じこと言ってましたよ」
紬「そうだっけ?でも、いいじゃない、星がキレイなら。それで」
梓「よくないですよ。電車が来たらどうするんです。はねられてしんじゃいますよ、わたしたち」
紬「それは困るわね」
梓「でしょう。だから線路の上を歩くなんて、やめましょう」
紬「ねぇ、梓ちゃん」
梓「なんです」
紬「もし、電車が来て、わたしたちがふたりともしんじゃったら…」
梓「たら?」
紬「……心中だと思われるかしら?」
梓「思われるわけないでしょう」
紬「えぇ〜…つまんないの」
梓「つまんないもなにも、しんだら一巻の終わりです」
紬「そっかぁ…それもそうね」
梓「そうです。だから早く元の道に戻りましょう」
紬「じゃあもうちょっとだけ。次の駅までだけでいいから歩かせて?」
梓「……わかりました。一駅だけですからね」
紬「ありがとー梓ちゃん♪」
夜目に慣れてきたせいか、今度はなんとなくぼんやりとだけは笑っていることがわかった。
紬「梓ちゃん、最近、どう?」
梓「どう、って、何がです?」
紬「え〜っとね…胸がドキドキすることとか…ある?」
梓「ああ、そういう話ですか。コイバナ好きですねぇ。相変わらずですよ…さみしい限りです」
紬「この間、飲み会で仲よさそうにしてた男の子とはどうなの?」
梓「あの人とは……一回デートしてみたんですけど、なんかちがうかなーって」
紬「そっかぁ。他に気になる人がいる、とか?」
梓「う〜ん…とくにそういうわけじゃ。他にも男の人と遊びに行く機会がないわけじゃないんですけど、付き合うってなると…ちょっとまだあんまり想像できなくて」
紬「梓ちゃん、やっぱり結構モテてるんだ」
梓「あ、いや、そんなことないです…たまたまですよ」
紬「もっと自信、持っていいと思うよ」
梓「ありがとうございます…でもわたしたち、そもそも出逢い自体少ないですよね」
紬「出逢い、かぁ〜…」
梓「女子高、女子大ですからねー…サークルやバイトでもありそうでないですし」
紬「女子大の方がかえって合コンが多くてチャンスがあるって聞いたこともあるけど?」
梓「なくはないですけど、そこでいい人と出逢えるかどうかってなると…」
紬「それとこれとは別の話よね…」
梓「ムギ先輩はどうなんですか?」
紬「わたし?わたしは……ぼちぼち、かな」
梓「なんですか、ぼちぼちって…ひょっとして彼氏、いるんですか?」
紬「…いないよ」
梓「ムギ先輩だって、モテそうなのに」
紬「そんなことないよ」
梓「じゃあ、好きなひととかいたりするんですか?」
紬「…」
梓「あ、すみません…言いたくなかったら別に…」
紬「いるよ」
梓「え」
紬「いるよ、好きなひと」
紬「……ナイショ、だけど」
たぶん、なんとなくだけど。
この人はずっとひとりのひとだけに恋をしているんだろうな、って、
そんな気がした。
紬「ねぇねぇあれ見て梓ちゃん」
梓「なんですか?」
紬「春になるとね、ここは桜がキレイなの」
紬「満開の桜並木の中を電車が走るのよ。とってもきれい。まるで夢みたいなの」
花をつけていないときの桜は、他の木々に増して地味で目立たない。
暗闇ならなおさらだ。
この場所が春になると、まるで夢のように美しく花咲き乱れるなんて、
今のわたしには想像もできやしなかった。
梓「見たことがあるんですか?」
紬「うん。大学に入ってからは毎年電車に乗って、見てるよ」
梓「…お気に入りなんですね。わたしも来年は見に来ようかな」
紬「おすすめよ」
けっして一緒にいこうとは言われなかったし、一緒にいきましょうとも言わなかった。
そして、ムギ先輩が誰と桜を見に行ったのか。ひとりで見に行ったのか。
聞かなかった。聞けなかった。
紬「飲む?」
梓「…まだ飲むんですか」
紬「いらないの?」
梓「…いただきます」
プシュッという缶ビールを開ける音だけが、夜の静寂に響いた。
梓「ムギ先輩ってお酒強いですよねー」
紬「そうかしら?」
梓「今日、どれだけ飲みました?」
紬「乾杯の生中の後は、日本酒ばっかりかなぁ…銘柄多かったからつい嬉しくなっちゃって」
梓「 …覚えてないくらい飲んだんですね」
紬「だって。飲み放題だったし」
梓「いやそういう話じゃなくて…。わたし、ムギ先輩が潰れてるところ見たことないです」
紬「あれ?一度だけ潰れたことあるよ」
梓「そうでしたっけ?」
紬「澪ちゃんに連れて帰ってもらった」
梓「そんなことが…そのときわたしいませんでした?」
紬「いたよ。でも梓ちゃんも潰れて唯ちゃんとりっちゃんに送ってもらってた」
梓(……だから記憶がないのか)
梓「…ムギ先輩でも潰れることがあるんですねー…」
紬「まぁ、潰れた『フリ』だったけどね」
梓「えっ!?」
紬「…お酒に強ければ強いなりに悩みがあるの」
梓「はぁ…わたしはうらやましいです…すぐ気持ち悪くなっちゃうし」
紬「そのわりにビール飲むのね」
梓「…味は好きなんです」
紬「そう。よかった」
ムギ先輩はそのまま一気に残りを飲み干したかと思うと、トートバックから2本目を取り出した。
梓「まだあるんですか!ていうかいつ買ったんです!?」
紬「二次会のお店に移動するとき、コンビニに寄ったでしょ。そのときよ♪」
梓「やっぱり強いですねぇ…」
紬「今夜は酔いたい気分なの〜」
梓「酔えるんですか?」
紬「どうかなぁ…でも一度くらいは本当に潰れちゃうくらい飲んでみたいな」
梓「…気持ち悪いだけですよ。神様お願い許して…ってなるくらいしんどいですよ」
紬「いいじゃない。なんだか青春っぽくて」
梓「ちっともよくないです。ムギ先輩はなんでそんなに潰れてみたいんですか?」
紬「酔っ払ってお酒の勢いで何もかも洗いざらいぶちまけちゃうのが、わたしの夢だったの〜⭐︎」
梓「怖いこと言わないでください」
3本目はウイスキーの小瓶だった。
かわいらしい見た目でごまかされているけれど、やってることはアル中のおじさんと大して変わりないんじゃないだろうか。
梓「ちょっと…あんまり飲みすぎると体に悪いです」
紬「大丈夫よ。このくらいじゃちっとも酔えないわぁ」
梓「若干呂律が怪しくなってきてる気が…」
紬「えっ?本当??わたし、酔ってるのかしら?」
梓「やめてください、寄りかかってくるのは!重いです!」
紬「……体重のことに触れるなら、いくら梓ちゃんでも許さないわよ」
梓「すみませんでした…」
紬「ねぇねぇ」
梓「なんです?」
ムギ先輩は、みんなといっしょのときはどちらかというと聞き役で、率先して自分の話を喋るタイプじゃない。
唯先輩や律先輩がはしゃいで、澪先輩が怒って、ムギ先輩はそんなみんなを見て笑ってる…それがわたしたちのいつもの風景。
でも、こうしてふたりだけでいるとムギ先輩はいっぱい喋る。
わたしたちの間に話題が途切れることはなく、会話が弾む。
それも間を持たせようと話題を絞り出す…と考えている風ではなくて、喋りたいこと、聞いて欲しいことが次から次に溢れてきている感じだ。
夢中で喋るムギ先輩。
無邪気に笑うムギ先輩。
その日学校であった出来事を夢中で親に話す、子供みたい。
先輩はわたしのことを可愛いと言ってくれたけれど。
わたしよりもムギ先輩の方がよっぽと可愛いと思う。
…先輩に可愛いっていうのはちょっと失礼かもだけど。
紬「卒業旅行、どこ行きたい?」
梓「そろそろ考えてもいいころですか」
紬「今度はドバイ?ハワイ?ヨーロッパ?」
梓「どこがいいですかねー…高校の時に海外行っちゃいましたしねー…」
紬「じゃあ今度は国内?今度こそ温泉??」
梓「温泉ねぇ…たくさんありますよ?どこの温泉がいいんですか?」
紬「うーん…城崎…なんてどうかしら」
梓「また微妙に近いところを。どうせなら北海道とか九州とか遠くに行きましょうよ」
紬「いいところだよ?城崎温泉。蟹がおいしいのよ〜。ビールと一緒ならもう最高♪」
梓「またお酒ですか!…というか行ったことあるなら、外しましょうよ」
紬「それもそうね。どこの温泉がいいか、またみんな意見聞いてみよう♪」
梓「そもそも温泉に決まったわけでもないですしね…」
紬「そっか。そうだったね。でもこういうのって、どこいくか相談してるのが楽しいじゃない?」
梓「わかります。準備したり下調べしたり楽しいですよね。学園祭なんかもそうかなぁ」
紬「わかるわぁ〜。学園祭前日がずっと続けばいいのにって思うもの」
梓「それ、悪夢ですよ」
喋りながら歩いていたからすっかり忘れていた。
梓「…ところでもう一駅すぎましたけど…一駅どころじゃないんですけど」
紬「あら?そうだった?」
純粋無垢な少女のフリをして、いたずらっぽく笑った。確信犯だな。
紬「いいじゃない。電車も来なかったし。たぶん来ないよ。朝まで」
梓「まあ確かに大丈夫そうですね…でもどこまで歩くんですか?」
紬「さぁ…どこまでだろう。どこまで行くのかな?わたしたち」
梓「何も考えてなかったんですか」
紬「線路の先には何があるんだろうね、梓ちゃん」
急に真面目ぶった口ぶりで、先輩は言う。
梓「…終着駅があるはずです」
紬「そうね。線路が永遠に続くわけなんてないものね」
そう言って黙り込んでしまった。
わたしは何も言わなかった。
ムギ先輩も何も言わなかった。
さっきまでの饒舌が嘘みたいに黙り込んでふたり。
歩いた。ただただ線路に沿って歩いて行った。
梓「先輩」
新聞配達のバイクの音が聞こえ始める頃、
沈黙を破ったのはわたしだった。
梓「昔、こうして線路を歩く映画があったの、知ってます?」
紬「うん、知ってる」
梓「少年たちが線路の先に何を探したか知ってます?」
紬「うん、知ってる」
梓「もしかして、あの映画のマネしてみるのが夢だったんですか?」
紬「うん、なんだか青春っぽくていいじゃない?」
梓「そうですね…実はわたしも」
梓「こうして夜の線路を歩いてみるの、夢だったんです」
そうしてふたりで笑った。
お酒を飲んで、夜中じゅう歩き通しで、変なテンションになっていたんだと思う。
紬「あ、でもね」
梓「はい?」
紬「実はわたし、その映画タイトルしか知らないの」エヘッ
梓「」
空の色が紫色に変わり始めた。
梓「そろそろ始発の電車、来るんじゃありません?」
紬「ん〜、でももうちょっとで終着駅だよ。せっかくだしそこまで行きたいな」
梓「余計マズイですよ。駅員さんに見つかったらめちゃくちゃ怒られますよ」
紬「そっか。それはそうだね。じゃあ走ろう!」
梓「えっ!ちょっと!」
紬「駅員さんが来る前に駅に着くの!それでこっそり駅から脱出するのよ!」フンス!
走り出したムギ先輩は、これでもかというほどのドヤ顔をわたしに向けた。
今更ながらに、この人も結構ダメ人間だなぁって思った。
目論見は外れた。そうは問屋がおろさない。
終着駅にたどり着く手前になって、ムギ先輩が急に立ち止まったかと思うとうずくまり、線路の上で盛大に嘔吐した。
あれだけ飲んだあげくに全力疾走したんだから、当たり前といえば当たり前だ。
歩くことさえできなくなったくせにどうしても終着駅まで行きたいと駄々をこねるムギ先輩をおんぶしたわたしは、そのまま線路の上を歩いた。
途中、「うぷっ」という嫌な音とともに、右肩に湿り気を感じ、すぐさま臭気がわたしを襲った。
わたしは思わず叫んだ。
このロクでもない先輩を放り投げて、自分一人で帰ってしまいたかったけれど、ここまできたらもうなんでもやってやれ!というやけっぱちな気分がそれに勝っていた。こうなればもう意地だ。
そうしてなんとか終着駅までやってきたところで駅員さんにみつかったわたしたちは、それはもう、こっぴどく怒られた。自分たちがアホなことをしてるのは百も承知だったし、弁解の余地なんて1ミリもない。ただひたすらに謝った。右肩はずっと臭かった。
酔いつぶれたムギ先輩は、ベンチに寝かされていた。
さっきまでわたしの背中におぶられていた時は苦しそうに唸っていたのに、すやすやと眠っている。
わたしだけがひとり、ひたすらに頭を下げていた。
ようやく解放され、ムギ先輩の眠るベンチの横に腰掛けた。
紬「終わった?」
パチっと目を覚まし、なにごともなかったかのようにそう言い放ったのだ。このひとは。
身体の奥底からマグマのようにこみ上げてくる怒り、ぶん殴ってやろうという気持ちを抑えることができずに、わたしは盛大にチョップをお見舞いした。結構どころじゃない、ダメ人間な先輩に。右肩は臭いままだった。
紬「痛い…」
梓「わたしが味わった精神的苦痛と、右肩の臭気に比べれば、大したことはありません」
梓「だいたい元はと言えば、全部ムギ先輩のせいじゃないですか!線路を歩いてたのもお酒飲みすぎたのも!それなのに、わたしだけひとりで怒られて!!右肩は臭いし!」
紬「悪いなって思ってたのよ…謝らなくちゃって……でもその…タイミングがわからなくって…」
申し訳なさそうに落ち込む姿が愛らしくて、怒る気が萎えてしまった。
梓「…いいですよ。ついて行ったわたしも悪いですし」
紬「…ホントにごめんね」
道行く人は誰一人いない、静かな早朝の街を歩く。
ここから下宿先のアパートまで随分と距離があるし、バスもまだ動いていない。
紬「ねぇ、梓ちゃん」
梓「なんですか?」
紬「また機会があったら…こうしてふたりで散歩に付き合ってくれる?」
紬「今度はゲロを吐かないから!」
梓「…」
梓「…いいですよ。でも線路の上はダメですよ。危ないですから」
紬「うん。線路の上は歩かない。約束する」
紬「もちろん吐いたりもしないわ!」
梓「それは当たり前の絶対必要条件です。まだ臭うんですからね…まったくもぅ」
紬「ゼッタイゼッタイ!約束する!」
紬「………小指に、誓って」
梓「…」
紬「…」
梓「…映画、観たんじゃないですか」
紬「…えへへ。ここしか知らないんだけどね」
朝の光に照らされて、ムギ先輩の笑顔がはっきり見えた。
紬「でも、線路の上じゃなくてもいいんだけど、散歩は夜がいいな」
梓「夜に女性だけで歩くのは危ないですよ」
紬「でも、夜ならなんでも話せる気がするの。普段話せないことも。今日話せなかったことも」
梓「…」
梓「…ずっと、好きだったんですか?」
わたしは思い切って唐突に聞いてみた。
たぶん話したかったことも、話せなかったことも、このことだろうと思ったから。
それを聞いたわたしが何か役に立てるかどうかわからなかったけれど、聞かなきゃいけないような気がしたから。
紬「うん。ずっと」
わたしの唐突な質問に、身じろぎもせず先輩は答えた。
でもわたしは、それなのにわたしは、思っていた通りなんて返事をしていいのかわからなくってただ、
黙ったまま隣を歩くことしかできなかった。
相手は誰なんだろう。わたしが知っている人なのだろうか。
「ずっと」と言った以上、たぶんそうなんだろうけれど、これ以上は聞けなかった。
ムギ先輩も何も言わなかった。
しばらくふたり無言のまま。次に口を開いたのは、わたしだった。
梓「先輩」
梓「…わたし、大して役に立てるとは思いませんけど、」
梓「こうやって先輩の隣を歩きながら、」
梓「話を聞くことならできますから」
梓「散歩ならいつだって付き合いますから」
梓「線路には終わりがあります。朝日が昇れば夜はおしまいです」
梓「でも終着駅に着いて線路が終わっちゃっても、」
梓「太陽が昇って夜が終わっちゃっても、」
梓「隣を歩くことならできるんです」
梓「それくらいならできます」
梓「ムギ先輩は、ひとりじゃないです」
紬「…」
梓「…」
紬「…………じゃあ試験前とかレポートの締切前でも付き合ってくれる?」
紬「卒業して離れ離れになっても、わたしが呼んだら駆けつけてくれる?」
梓「そ、それは……」
梓「大丈夫です!わたしは律先輩や唯先輩と違って、前もってきちんとやっておくタイプですから!」
梓「卒業して離れ離れになっても…ムギ先輩がピンチのときならできるだけ急いで駆けつけます!」
紬「…………アリガト」
梓「えっ」
紬「……フフ。ごめんごめん。いいよ。そんな無理なときにはお願いしないから!」
紬「……梓ちゃんってやさしいよね。わたし、とってもうれしい」
そう言って笑うと、ムギ先輩は駆け出した。
紬「あっ!あそこ!銭湯があるよ!」
梓「でもお風呂に入ってもまたこの臭い服を着ると思うと…」
紬「えぇ〜いいじゃない入ろうよ。お金は出すから」
梓「いいですよ。銭湯代くらい出します。そんなことで右肩のことをなかったことにされたらたまったもんじゃないです」
紬「じゃあお風呂上がりのコーヒー牛乳はおごってあげる」
梓「……フルーツ牛乳でお願いします」
紬「りょうかい⭐︎」
梓「あ、でも銭湯なんてこんな時間から開いてますか?」
紬「え〜っと…休日は7時からやってるって!」
梓「それならもうちょっと待つだけですね。今日が日曜で助かりましたね…」
紬「わたし銭湯だいすき!そういえばいっしょにお風呂入るのって久しぶりね」
梓「そうでしたね。寮に住んでた頃はよく一緒に入ってましたけどね」
紬「久しぶりに髪を下ろした梓ちゃん見たいな〜♪」
梓「別に面白くもないでしょう」
紬「そんなことないよ。長い黒髪って素敵じゃない。憧れるわ」
…ムギ先輩が髪を下ろしたわたしに、誰の姿を重ねていたかわかるのは、
もうしばらく先のことだった。
おわり。
最終更新:2014年11月09日 11:43