「梓—、今日こそは一緒に寝ようよ」

「律先輩、本当に大丈夫ですか?」

私の恋人、律先輩
その律先輩が珍しく、先日までインフルエンザで苦しんでいた

「処方された薬もほとんど飲みきったしさ、もう大丈夫だと思うぞ」

律先輩が罹患している間は隔離しなければならなかった
私は律先輩に何度も寂しくないか、私のことは心配しなくていいですから一緒に寝てあげます、といったけれど律先輩は毎回大丈夫なのだと答えた

本当は私が律先輩と離れたくなかっただけなんだけどね

「それより梓の誕生日、お祝いできなくてごめんな」

律先輩は私の誕生日の頃、症状が現れた

「先輩、そんなこと気にしてないって何度も言ったじゃないですか」

「明日こそ、料理とお菓子を作って、みんなを呼んで、お祝いしような」

「楽しみにしておきますね」


***

 律先輩がベッドを整える
私と一緒に寝るために買った、少し大きい目のベッド
と言っても私たちは小柄な方なのでそんなに大きいわけではないのだけれど

「ごめんな、ずっとベッドを占領しちゃって」

「いいんです、こうして律先輩が元気になったんですから」

「はあ、梓あったかい」

ベッドに入るやいなや律先輩は私を抱きしめる
唯先輩が私を抱きしめるのより、より強く

「梓の鼓動を感じるの久しぶりだ」

「うっ、律先輩キモいこと言うんですね」

「ひどい!」

「こうやって梓の鼓動を感じるときが一番落ち着くというのに」

「あれですか、母親の胎内にいるときを思い出すみたいな」

「いや、どっちかというとこの子を守ってあげたい、って気分になる」

私もこの先輩を守ってあげたいと思う
いつも私を愛してくれる、この先輩を

「あ、言っておきますけど今日はエッチしませんよ」

「えー、なんでだよ」

「病み上がりの人に無理をさせるわけにはいきません!」

「じゃあ明日、明日な」

「気が向いたらです」

「ダメかぁ……」

「梓と初めてエッチしたのっていつだっけ」

「去年の律先輩の誕生日じゃないですか、忘れないでくださいよ」

それ以前から、時々エッチをしそうな流れになることはあった
けれど私もちょっと怖かったし律先輩もまだ幾らか度胸に欠けていてできなかった

去年の律先輩の誕生日、またそんな流れになった
そこで私はやっと決心した

「梓が大好き」
だと律先輩が言ったから

「あの時の梓、可愛かったなあ」

「今が可愛くないってことですか」

「いや、そうじゃなくていかにも初々しくてさあ」

「うわ…… 律先輩そんなのが好きなんですか」

「う、うるせー、そういうのに惹かれて何が悪い」

「それよりあの時の痛みは一生忘れませんよ」

「痛いなんて言ってなかったじゃん」

「目で訴えましたよ、先輩が気が付いてくれなかっただけです」

本当は律先輩に喜んでもらいたくて、心配させたくなくて我慢してただけなんだけどね

「梓のお股を舐めたりしたんだけどなあ、ダメだったかあ」

「具体的に言わなくていいですから」

「梓、ペロペロされるの好きなくせに」

「うっ、…… 否定はしませんが」

「そ、そんなことより明日は何を作ってくれるんですか」

「うーん、いろいろ考えてるけどその時梓が食べたいものを作るつもり」

「じゃあ思いついたら言いますね」

「あ、でもお菓子はクッキーがいいです」

「そんな簡単なのでいいのか」

「いいんです私、クッキー好きですから」

クッキーは律先輩が初めて私のために作ってくれたお菓子
だから、私はクッキーが好きだ

「それじゃ、明日楽しみにしてろよ」

「はい」

私たちは眠りに就いた


終わり