「ねぇ、唯せんぱい」

「ん〜?」

「こういう徹夜で切羽詰まった状況の時って、ヘンな気持ちになったりしません?」

「ヘンな気持ちって?」

「えと、その……ムラムラした感じ……ですかね」

「それってつまり、エッチな気持ちって事?」

「まぁ、平たく言ってしまえばそうなりますね」

「う〜ん……私はないかなぁ」

「意外ですね」

「……あずにゃんの中の私って一体どうなってるのかな?」

「まあそれはさておき」

「置いとくんだ」

「私はたまにあるんですよ、ほら定期試験とか受験勉強の時とか割とそんな感じになるので」

「そうゆう時はどうしてたの?」

「そりゃあまぁ、一人で……してましたよ」

「……とんでもないカミングアウトだよ! ……で、今がそんな感じでムラムラしてると」

「はい…………って事で」

「って事で?」

「エッチしません?」

「しません」

「なんで即答なんですか! いつもは先輩の方からしつこい位誘ってくるのに!」

「いつもならそうかもしんないけどさ……あずにゃん、私の今の状況分かってるよね?」

「えと……提出期限を明日に控えたのにまだレポートが終わってなくて徹夜でヒィヒィしてる……ってとこですかね」

「まさにその通りだよ! ついでにあずにゃんだって明後日が提出期限なんだからね!」

「もちろん分かってますよ でもムラムラしちゃうのは仕方ないんですよ
 一回スッキリしないとレポートも手につかないんですよ! わかりますよね? だからしましょうよ!」

「私はムラムラしてないんだけど」

「私がしてるんです」

「知らないよ! じゃああずにゃん、一人でしてきていいよ」

「ちょ、恋人がすぐ目の前にいるのに一人でオナニーさせる気ですか?
 それどんなプレイですか!?」

「プレイじゃないよ!
 いやだからね、私はレポートでいっぱいいっぱいなんだってば!
 それともあずにゃんは私が提出出来なくて単位落して凹んでる様を見たいの?」

「そんな事あるわけないじゃないですか!」

「じゃあエッチは我慢してよ〜」

「う〜……ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから」

「無理だってば
 だいたい私があずにゃんとのエッチをちょっとだけで済ませられると思ってるの?」

「思ってません」

「きっぱり言った!? じゃあ我慢しようね?」

「う〜…………ダメ?」

「う……そんな可愛く上目遣いで見てもダメだよ」

「……わかりました……じゃあ一人でしてもいいですか?」

「まぁそれはしょうがないからねぇ」

「えと、じゃあちょっと恥ずかしいですけど失礼して……」スルッ

「ちょ、ちょ、ちょっとなんでここでパンツ脱ごうとしてるの? ってゆーかここでオナニーする気なの?」

「え、だって先輩が一人でしろって……」

「言ったよ! 言ったけどさ、自分のお部屋でするものかと思うよね普通?」

「唯先輩がいるのにどうして部屋に戻らなきゃいけないんですか?」

「いや、オナニーって普通一人でしない?」

「私のイヤラシイ姿を見て唯先輩が興奮してくれたらそのままエッチにもつれこめるじゃないですか」

「どんだけエッチしたいのさ!?」

「……先輩は私の恋人ですよね?」

「そうだよ?」

「恋人が欲求不満に陥ってるんですよ? それを解消させるのも恋人の務めだと思うんですよ」

「……その恋人が課題で窮地に追い込まれてるのに、さらに追い打ちをかけてくる恋人さんがどこにいるのさ」

「う〜…………」

「終わったらいっぱいしてあげるから、今は我慢しよ?」

「レポート終わるのっていつ頃ですか?」

「う〜ん……このペースだと明け方かなぁ」

「そんなに待てません!」

「いやいや、あずにゃんがしつこくエッチ誘うから全然進んでないんですけど?」

「う……わかりました……」

「うん、いい子いい子」

「じゃあ、キスだけしてください」

「ん、いいよ ちゅ」

「んちゅ……ちゅぷっ」

「ん……んんっ! ぷはっ! こ、こらぁ、舌入れちゃダメだってば」

「すいません、つい」

「確信犯だよね!?」

「えへへっ」

「もぅ! 可愛くしてもダメだからね!」

「私、可愛いですか?」

「あーもぅ、可愛いよ! すっごく可愛い! でもそれとこれとは別だよ!」

「わ、わかりましたよ」






「……」

「……ねぇ先輩?」

「しないよ?」

「違いますよ! いくら私でもそこまでしつこくないです」

「ごめんごめん、で、何かな?」

「気分転換にコンビニでも行きません?」

「ん〜、ちょっと煮詰まって来たからそれもいいかな ちょっとお腹も空いたしね」

「そうですね、晩御飯食べたきりですもんね」

「じゃあいこっか」

「はいっ!」

「おお、外は真っ暗だよ!」

「先輩、あまり声だすと迷惑ですよ」

「っと、そうだったそうだった」

「ったく……でも空気がひんやりしてて気持ちいいですね〜」

「ついこないだまで熱帯夜だったのに、いつのまにかすっかり秋になっちゃってたんだね」

「もう冬も近いですし」

「そうだね〜、寒いから手つないでいこっか」

「はいっ!」

「あずにゃんのお手手あったかい〜」

「さっきまでお部屋に居ましたからね、先輩だってあったかですよ?」

「あったかあったか〜」

「ふふっ、あったか〜」






「ね、先輩」

「なぁに?」

「月が綺麗ですね」

「……え?」

「もぅっ、知らないんですか? 結構有名な言い回しなのに」

「いや知ってるけどさ……でも、今夜は月、出てないんだけど?」

「……そ、そういえばど、どっちのコンビニ行きましょうか?」

「話題の転換に必死だね、あずにゃん……」

「あうう、いいじゃないですか!唯先輩をロマンチックな気分に浸らせたかっただけなのに」

「ありがとね……でも本心は?」

「トキメイテもらって、帰ってベッドインできないかなって」

「……月が綺麗っていう前の方がいい雰囲気だと思ったんだけど?」

「はっ!」

「ともかく、レポート終わらせる事が先決だからね!」

「う〜〜〜」

「はいはい、早くいくよ じゃないと終わんないよ?」

「すぐ行きましょう! ローソンでいいですよね、近いし!」

「あずにゃん、いろんな意味で必死だね〜」

「深夜のコンビニってなんかワクワクするよね〜」

「そうですね、なんか昼とは別のお店って感じがします」

「まずはお菓子かな〜」

「もぅっ、子供っぽいんだから」

「いいも〜ん、お菓子とジュース見てくる〜」

「栄養ドリンクとか買っていきましょうか」

「そだね、ちょっと気合入れなきゃね〜」

「じゃあこの赤マムシドリンクとかいいんじゃないですかね」

「リポD二本……っと」

「ちょっと、スルーしないでくださいよ、地味に堪えるじゃないですか」

「はいはい、ふざけてると置いてくよ?」

「わ、わかりました じゃあこれとこれでいいですよ」

「あ、お財布持ってくるのわすれた!」

「仕方ないですね、ここは立て替えておきますよ」

「ご、ごめんねあずにゃん、戻ったらすぐ返すから」

「いいですよ、たまにはおごらせてくださいよ」

「そんな悪いよ〜」

「もぅ、私たち恋人なんですよ? お財布だって共通でいいじゃないですか」

「ありがとぉ、それってなんか嬉しいね」

「その代わりと言ってはなんですけど」

「へ?」

「戻ったら一回してくださいね」

「さっきの感動を返してよ!」

「冗談ですよ、先輩ったら真に受けちゃって」

「……目が本気だった気がしたけどね」

「あはは、さ、さあ帰りますよ、先輩!」

「もぅ……」

「ただいま〜」

「ただいまです」

「あ〜、お部屋の中あったかいね〜」

「ですねぇ……じゃあさっそく……」

「あずにゃん……なんで服を脱ごうとしてるのかなぁ?」

「え? さっき約束したじゃないですか、もう忘れちゃったんですか?
 もぅ先輩ったらぁ」

「……あずにゃん……」

「え、えと……」

「……」

「……」

「……」

「……ごめんなさい」

「ん、わかればいいんだよ
 じゃあお菓子食べらながら頑張ろうね」

「……先輩」

「ん?」

「ポッキー食べます?」

「……ポッキーゲーム以外でなら」

「もぉっ!」

「はいはい、はやくやっちゃおうね」

「わかりました……」

「(ちょっとかわいそうだったかなぁ)」

「そうだ!」

「な、なに!?」

「ポッキーゲーム以外ならいいんですよね? じゃあ下の」

「却下だよ!」

「まだ何も言ってないですよ!」

「”下の”って言ってる時点でアウトだよぉ!」

「……ぶ〜……」

「……ん〜〜〜〜〜!! 終わったぁ〜〜〜!!」

「……」Zzz

「あずにゃんの方はどう?」

「……」Zzz

「あれ? あず…… ふふっ、寝ちゃった」

「ん〜……ゆい、せんぱい……むにゃ」Zzz

「こうしてるといつものあずにゃんなのにね
 ハイテンションの時はちょっとわがままさんになっちゃうけど」

「……」Zzz

「でも、どっちのあずにゃんだって可愛くて、大好きだよ」

「ん……えへへ」Zzz

「……起きてるのかな? おーい、あずにゃ〜ん」

「……」Zzz

「……やっぱり寝てるねぇ…………ごめんね、えっち出来なくて、ちゅっ」

「ん……」Zzz

「好きだよ、あずにゃん、大好き、ちゅっちゅ」

「んん……くすぐったいれふ……」Zzz

「……どうしよう……私の方が我慢できなくなっちゃったかも……」

「……」Zzz

「お、起きないよね……大丈夫だよね?」スルッ

「……」Zzz

「んっ……あ、あん……あず、んんっ」

「……せんぱぁい、なぁにしてるんですかぁ」

「っ! え? あずにゃん起きてたの!?」

「今起きました……先輩の一人えっちの声で」

「えっと……あはははは、じゃ、じゃあそろそろ寝 んんん!」

「んちゅっ……ちゅぱっ、ちゅ」

「ぷはっ、い、いきなりはずるいよぉ」

「ふふっ、レポート終わったらって約束ですよ、せんぱい、まだ寝かせてあげませんから」

「んもぅ……いいよ、しよ?
 ほら……私だってもうこんなになってるんだもん」

「せ、せんぱい!!」

「あん、こら、がっついちゃダメだって、ああん」

「さんざんお預けされたんですから、私手加減できませんからね」

「じゃあ私も本気でお相手しなくちゃ、ちゅっ!」

「っはぁ……はぁ……」

「あ、あずにゃ……だ。だいじょうぶ?」

「だいじょぶ、じゃ、ないれす……ゆいせんぱい、すごすぎ……」

「あずにゃん、だって……すごかったよ」

「でも……」

「でも?」

「すっごく気持ちよかったです」

「わ、私もだよ、あずにゃん腕を上げたねぇ」

「そりゃあそうですよ、どれだけ先輩とエッチしてきたと思ってるんですか?」

「えと……ひぃ、ふぅ、みぃ……」

「か、数えなくていいですよ! ってか、一回や二回って話じゃないじゃないですか!」

「じゃあ、100、101……あれ?どれだけしたっけ?」

「しりません! いっぱいでいいじゃないですか」

「それもそうだね〜」

「うん……唯先輩大好きです ちゅっ」

「好きだよ、あずにゃん ちゅっ」

「……なんかこのままもう一回とか思ってません?」

「さすがに無理だよぉ、ぶっ通しだったもん」

「ですね……知ってます?
 女の子同士のエッチって、攻めの人が止めてくれないとどれだけでも続いちゃうことあるんですよ?」

「よく体力つづくね……」

「ですよねぇ、体力もそうですけど、性欲も」

「あ、あははは……」

「……人の事言えませんからね!」

「私、そこまでじゃないよね?」

「さぁ、どうでしょうね〜 ふふふっ」

「ううう……私そんなにエッチじゃないもん……」

「……あの、それはそうとですね、ちょっと言いにくいんですけど……」

「なぁに? 言ってごらん?」

「えと、そのですね……もうお昼なんですけど……その……レポートを……」

「……え?……ああああああああああああ!!! わすれてたぁ!!!
 ど、どどど、どうしよう! 今からならまだ間に合うけど!?」

「じゃあ急ぎましょう! 私も一緒に行きます!」

「……あずにゃん、行きたいのはやまやまなんだけどね」

「え?」

「……腰が立たない」

「……へ?」

「……あずにゃん立てる?」

「えと……あ、あれ? 力が入らない……」

「あ、やっぱり」

「私も腰ぬけちゃってますね、あはは……」

「あははは……って笑い事じゃないよぉ」

「す、すいません」

「でもこうなっちゃったら仕方ないね、どのみち寝てないから夕方くらいまで寝ちゃおっか」

「そうですね〜、じゃあ目覚ましかけておきます」

「ありがと」

「それと」

「ん?」

「私明日、提出日なんですよね」

「ってことはまた徹夜〜?」

「あはは、そうなっちゃいますね」

「……今日はムラムラしてもしらないからね」

「もぅ、大丈夫です! あれだけいっぱいしてもらったらさすがに」

「そ、そうだよね…………じゃあ寝よっか」

「ちゃんと抱きしめてくださいよ?」

「わかってるよ、ちゅっ」

「ちゅっ、おやすみなさい」




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「ねぇ、唯せんぱい」

「ん〜?」

「こういう徹夜で切羽詰まった状況の時って、ヘンな気持ちになったりしません?」

「……あ、あずにゃん!?」


おしまい。

終わりです。