梓「きゃっ☆」
律「ここの数式ってこれで合ってる?」
澪「合っ……てるけどなんで途中の足し算で間違うんだお前は」
唯「ムギちゃん…公式が頭からこぼれていく……」
紬「自分が誰かに教えるつもりで考えると覚えやすいんだって」
唯「へー」
律「じゃあ澪の成績がいいのは私のおかげだな」
澪「自慢するな」
梓「好きの確率わりだす計算式あればいいのに」 ジャガジャン
紬「自分で考えて解いたほうが忘れないっていうから、唯ちゃんも頑張ろう?」
唯「そっか…そういえばギターもそうだったもんね」
梓「えっっ!? 欲しいクリスマスプレゼントですかぁぁ!? 私はやっぱり
律「わかったわかった、聞いてるから」
律「病院行け」
梓「今の気持ちをあらわす辞書にもない言葉を探すところでした」
律「辞書ごと死ね」
梓「辞書ごと死ね!?」
紬「梓ちゃん、もしかして私たちの大学受験を失敗させたいのかしら」
梓「私と受験勉強とクリスマスとどっちが大事なんですか?」
澪「受験」
律「クリスマス」
唯「もうクリスマスかぁ、私は空気の読める大人しい後輩が欲しいな」
紬「唯ちゃんもすっかり皮肉が上手になったのね」
梓「そういえば皮肉の語源って知ってます?」
梓「肉に皮が
梓「そうこうしているうちにもうクリスマスなんですよ」
唯「世間ではそうらしいね」
梓「クリスマスくらいかまってくれたっていいじゃないですか」
唯「受験勉強してる時くらい静かにしてくれたらいいのに」
律「やっぱりBGM弾いててとか言ったのがまずかったんだよ」
紬「社交辞令を真に受けちゃって」
梓「先輩たちは来年同じ大学でさぞかし楽しいクリスマスを過ごすんでしょうけど
私は下手したらこのスッポンモドキと一緒に過ごす羽目になるんですよ!?」
梓「まあ無事に同じ大学に行けるかどうかはわかりませんけど……」 ヘッ
澪「こいつの口を全部ホッチキスで綴ちゃおう」
唯「始まりだけは軽いノリで?」
律「知らないうちに あつくなって」
紬「もう針がなんだか通らない」
梓「ララ☆またあし痛い痛い 痛い 痛 い!!」
梓「先輩たちはロックをはき違えていらっしゃる」
紬「イブの夜をスッポンモドキと過ごすなんてロックでいいじゃない」
紬「知らないけど」
梓「精をつけるのはいいですけど、クリスマスのディナーにスッポン鍋はちょっと」
紬「スッポン鍋モドキも精がつくのかしら」
律「なんで食べる前提なんだよ」
梓「しかしですね、女子高生がクリスマスに毎年お友達同士で集まってる事態に
そろそろ危機感を覚えるべきだと思うんですよ」
律「だから今年は中止だって言ってんだろ」
唯「危機感を持って受験勉強してるのにさっきから邪魔が入るんだよ」
梓「そういう事ではなくてそろそろ恋人とか」
紬「梓ちゃんはそんなに男が欲しいの?」
梓「そうじゃなくて」
紬「だからあんなにトンちゃんが欲しくてたまらなかったのね?」
梓「えっ、元はと言えばお前らが勝手に
紬「クリスマスに亀の頭が欲しくてたまらないのね?」
梓「今夜はスッポン鍋にしましょう」
律「食うな!!」
梓「受験が終わるまでは会わないでおこう、みたいな学生カップルもいますけど、
私達は一緒に頑張っていこうってスタンスじゃないですか、唯先輩」
唯「その話に私が何か関係あるの?」
律「さすがに今年はクリスマス会とかではしゃいでる場合じゃないよな」
澪「特に唯と律は……」
紬「ちょっとくらい息抜きしてもいいと思うけど」
澪「お前らは羽目を外しすぎるからな」
梓「たまには抜いたりハメたりしたっていいじゃないですか!」
唯「うっとうしいなぁ」
梓「そこのベタな幼なじみカップルなんてどうせアレですよ、
受験を口実に友人とのクリスマスパーティーを断って二人きりで
夜のリズムセクションをおっ始めるつもりなんですよ?」
澪「するか!」
梓「でもいつだったか取ってつけたように険悪になったあと
ベットの上で仲直りしたって……」
紬「そうなの?」
律「意味合いが違う」
澪「お前その話言いふらしてないだろうな!?」
唯「あずにゃんは最近おかしい」
澪「何か心の病を抱えてるんじゃないのか」
律「来年の事を考えたら寂しくて壊れ始めたんだろ」
澪「この前も軽音部で誰が一番落としやすいかみたいな話をしてたし」
紬「ちなみにそれはどういう結果だったの?」
律「澪はちょっと脅せば気を失って好き放題できるって」
澪「唯はアイスで釣ってエアコンで弱らせれば完璧だって」
紬「なるほど」
律「基本的に相手の意思はお構いなしなんだな」
紬「私は?」
澪「軽音部をドラクエ4に例えたらトルネコだって力説してた」
紬「梓ちゃん、ちょっとこっちにいらっしゃい」
梓「違いますよ、唯先輩はゆるそうに見えて意外とガードが固いけど
澪先輩はお高く止まって固そうに見えて下の口はゆるそうだって言っただけで」
紬「それはわかるけど、ちょっとこっちにきなさい」
梓「助けて!犯される!!」
澪「確かに最近の梓の言動は常軌を逸しているな」
律「これは唯が冷たくなったのが原因だな」
唯「そうだよ、大体あずにゃんは」
唯「えっ?」
雪の降る空を見上げるのが好きだった。
無数に舞い落ちる真っ白な雪を眺めていると、
自分が空に浮遊していくような錯覚を感じる。
いつか、子供みたいに輝く笑顔であの人が言っていた。
律「じゃーなー」
紬「またあした」
唯「またねー」
梓「あっ、本当にクリスマス的な集まりとかしないんですね……」
あなたの笑顔の周りには、いつだって自然と人が集まって、
いつの間にか笑顔の輪が作られた。
ありのままに泣き、ありのままに笑うあなたに、誰もが惹かれた。
唯「あずにゃんはさ」
梓「はい」
唯「人を好きになるってどういう事だと思ってる?」
梓「……素敵な事だと思います」
唯「私にもまだよくわからないけど、
あずにゃんが私をどう思ってるか、はっきりわかるわけじゃないけど、
今のあずにゃんの気持ちは、恋とは違うと思うんだ」
梓「どういう事ですか」
あなたにとっての私は、
あなたを囲む笑顔の輪のひとつに過ぎない。
どんなに追いかけても届かないのなら、
愛されたいなんて思っちゃいけなかったのかもしれない。
唯「遠回しに自分を見て欲しいだけとか、触れたいだけとか、
ただ一緒に居たいだけとか、寂しさを紛らわせたいとか」
梓「………」
唯「あずにゃんはきっと、恋する事に憧れてるだけなんだよ」
梓「……違います」
唯「それはきっと私じゃなくてもいいんだよ」
梓「違います!!」
雪が降るたびに憧れ続けた、二人きりのクリスマス。
梓「好きな人って探すようなものじゃなくて……
いつの間にか、自分でも気づかないくらい近くにいてっ……」
特別な夜の力を借りた、不器用な告白。
梓「私がどんな気持ちで……ずっと……」
唯「だけど、はっきり言葉にしてくれなきゃわからないよ」
梓「私は……私はただ……」
笑わないで、どうか聞いて。
頑張ったね、と動いた唇が私の呼吸を優しく塞いだ。
梓「なっ……!」
唯「クリスマスプレゼント」
唇に残るのは、愛しい人が分けてくれた温もり。
舞い落ちた雪がひとつ、温もりを求めて溶けて消えた。
唯「……っていう感じで、結局あずにゃんは私と憂が途中で入れ替わっても
まったく気付かなかったんだ」
和「そうなんだ」
和「っていうか何の話?」
唯「調子に乗ってきた後輩をもてあそんでやった話」
唯「略してチョコバナ」
和「そうじゃなくて、私の誕生日を祝いにきてくれたんじゃないの?」
唯「だから土産話を持ってきてあげたんだよ」
和「私にはその与太話に出てきたロマンチックなプレゼントはないの?」
唯「なにが?」
和「私にプレゼントはないの?」
唯「顔が近い」
和「私にプレゼントはないの?」
唯「ないよ」
和「ケーキのイチゴだけじゃなくて唯のイチゴをうばっ バチンッ
唯「和ちゃん、誕生日おめでとう!」
和「なんで誕生日にひっぱたかれなきゃいけないの」
唯「サプライズだよ」
なんかもうクリスマスが憎くて憎くて
いったいどうしてこうなったのか…
昔、和ちゃんがキャラソン出すのはおかしい みたいなSS書いてごめんなさい
ひだまりliving※ニコニコ動画 を聞いて泣きそうになりました
最終更新:2014年12月27日 08:16