澪「ん? 唯、風邪でも引いてるのか?」
唯「へ? なんで? 私は元気いっぱいだよ?」
澪「いや、喉とか痰とか言うからさ」
唯「やだなー、澪ちゃん。和ちゃんの誕生日のことだよ。略して『のどたん』」
律「知らなかったのか? 時代に乗り遅れてるぞ」
梓「オセアニアじゃあ常識ですよ」
澪「初めて聞いたよ、そんな略し方……」
紬「正直、私も初めて……」
唯「ちなみに私だったら『ゆいたん』。りっちゃんだったら『りつたん』。ムギちゃんだったら
『むぎたん』。あずにゃんだったら『あずたん』」
澪「私だったら『みおたん』か。なんかどれも妙に語呂が良いな……」
唯「さわちゃんだったら『さわたん』。憂だったら『ういたん』。純ちゃんだったら『じゅんたん』。
姫子ちゃんだったら『ひめたん』。風子ちゃんだったら『ふうたん』。いちごちゃんだったら
『いちごたん』。潮ちゃんだったら『うしおたん』」
律「いや、もういいから。キリ無いし、だんだんそんなに語呂良くなくなってきたし」
澪「言われてみれば12月26日は和の誕生日だな。何かお祝いしてあげなきゃ」
唯「そう! それ! 私が言いたかったのはそれなんだよ! みんなで和ちゃんのお誕生日を
お祝いしてあげようよ!」
紬「お友達としても生徒会長としてもすごくお世話になってるものね」
梓「そうですね。賛成です」
澪「うん。私も」
唯「でね、私とりっちゃんで話してたんだけど、お誕生日のお祝いならやっぱりサプライズが
大事だと思うの!」
律「さぁぷるぁいいずぁ」
梓「なんでプリズンブレイクのティーバッグみたいな言い方なんですか」
澪「サプライズか…… どんな風にしたら驚いて喜んでくれるかな」
唯「それを今から話し合うんだよ! 私、いいアイディアがいっぱいあるんだ!」
律「私も! とっておきのがあるぞ!」
梓「あ、じゃあ私もやってみたいのがいくつか……」
紬「私はみんなのアイディアがなるべく実現出来るように協力するわね」
澪「なんか不安だな……」
――そして迎えた12月26日の早朝5時。和の自宅前。
唯「おはよ~ございま~す。私達は今、和ちゃんの家の前に来ておりま~す」ヒソヒソ
澪「なんで寝起きドッキリみたいなしゃべりなんだよ。そもそも誰に言ってるんだ」
律「まあ、この時点で寝起きドッキリみたいなもんだしな」
紬「寝起きドッキリって何?」
梓「日本の伝統芸能です」
澪「そういえばさ、もしかしたら私、和の家って初めて来たかも」
唯「私は何回も来てるよ!」
澪「それは幼なじみなんだから当然だろ」
律「なかなか築年数が古そうな貧乏臭い家だな」
梓「怒られますよ。マジで」
唯「ほらほら、おしゃべりはこの辺にして! 最初のサプライズいってみよう!」
律「まずは私からな。私はこれ! 早朝バズーカ!」サッ
澪「おい。素人目に見ても本物に見えるぞ、これ」
紬「アメリカ軍が使っていたM9バズーカを改造して音と煙だけが出る仕様にしたの」
律「やっぱ朝のサプライズと言えば歴史と信頼の早朝バズーカだろ!」
澪「これ、ものすごい大きな音出るんじゃないか? 近所の人に怒られても知らないぞ……」
唯「だいじょーぶ! 今回は町内会の皆さんにも協力してもらってるから! おじさんと
おばさんにもあらかじめ話しておいてあるから、家の中は和ちゃん一人だよ」
梓「あと、律先輩に相乗りする形で、私も早朝ネタをいきます。今日はこの方に来て頂きました。
どうぞ!」
ジョン・シナ「ハイ、ドーモ」
澪「……誰?」
梓「誰とは失礼な! WWEが誇るスーパースター、ジョン・シナですよ! WWE世界ヘビー級
チャンピオンで、全米で知らない人はいないくらいの人気者です!」
ジョン・シナ「ハイ、ドーモ」
澪「いや、梓以外のここにいる全員が知らないと思うぞ」
律「要するにプロレスラーか? アメリカの」
梓「まあ、端的に言うとそうです。ムギ先輩の絶大なバックアップで今回の来日が実現しました」
紬「WWE会長のビンス・マクマホン氏が父の友人なの」
澪「それにしたって、よくこんな日本の一地方の個人的なイベントに来てくれたな……」
梓「シナ選手には律先輩の早朝バズーカからのコンビネーションで、早朝ダイビング・ファイブ
ナックルシャッフルを決めてもらいます」
ジョン・シナ「ハイ、オマカセ」
唯「だいびんぐ・ふぁいぶなっくるしゃっふるってなぁに?」
梓「コーナーポストからのダイビング・フィストドロップのことです」
唯「?」
梓「えー、つまり高いとこからジャンプして正拳突きを落とすんです」ブンッ
澪「そんなことしたら和が死んじゃうだろ!」
梓「さ、さすがに当てたりしませんよ! 当てるマネです!」
唯「なら、だいじょーぶだね!」
澪「大丈夫なのか……?」
――唯達一同は和の部屋へ。
唯「おはよ~ございま~す。私達は今、和ちゃんの部屋の前に来ておりま~す」ヒソヒソ
澪「それはもういいって」ヒソヒソ
唯「じゃあ、ドアを開けるよ。みんな静かにね~」ヒソヒソ
ジョン・シナ「ハイ」
律「ぶっ! くくく……w」プルプル
梓「ふふっ……w」プルプル
律「梓、そいつに日本語しゃべらせるなw 笑っちゃうだろw」ヒソヒソ
梓「は、はい、すみませんw シナ、ビークワイエットw ドントスピークジャパニーズw」ヒソヒソ
唯「みんな、入って入って」ヒソヒソ
澪「ここが和の部屋かぁ。きれいに片付いてるな」ヒソヒソ
紬「几帳面な和ちゃんらしい部屋ね」ヒソヒソ
律「本棚は小説と参考書ばっかりだ。こっちは…… CDか。漫画とかゲームは無いんだな」ヒソヒソ
梓「良くも悪くも女子高生の部屋っぽくないですね」ヒソヒソ
唯「おおっ、和ちゃんが寝てる」ヒソヒソ
和「……」スースー
律「よく寝てるな~。よし、準備にかかるか」ヒソヒソ
澪「なんか和の寝顔って可愛いな……///」ヒソヒソ
紬「いいのよ。澪ちゃん」ヒソヒソ
澪「何が」ヒソヒソ
梓「ムギ先輩、コーナーポスト組むの手伝ってください」ヒソヒソ
紬「あ、は~い」ヒソヒソ
澪「このテーブル、邪魔だな。向こう置いとこう」ヒソヒソ
唯「りっちゃ~ん、準備出来た~?」ヒソヒソ
律「おっけ~。いつでも撃てるぞ」ヒソヒソ
唯「あずにゃん、そっちは~?」ヒソヒソ
梓「あとはシナ選手に登ってもらうだけです。シナ、ええと、ユーオンザコーナートップ」ヒソヒソ
ジョン・シナ「ハイ」ヒョイッ ギシッ
律「シナはなんで英語しゃべんないの?w」ヒソヒソ
唯「よ~し。りっちゃん、あずにゃん、お願いしま~す」ヒソヒソ
澪「耳ふさいでおこう」ヒソヒソ
紬「あ、私も」ヒソヒソ
律「3…… 2…… 1…… ファイヤー!」カチッ
ズドオオオオオン!!!!
和「はああああっ!! 何!? 何!?」ガバッ
梓「シナ、ゴー!」
ジョン・シナ「You can’t see me!」バッ
ドスゥン!!
和「きゃあああああ!! 何ぃ!? 何なの!?」
唯「せーの……」
唯律紬梓「ハッピーバースデー!!」
澪「ハ、ハッピーバースデー…… なんかごめんなさい……」
和「は!?」
唯「ビックリした!? ビックリした!? サプライズだった!?」
和「ビックリしたに決まってるでしょ! 寝ているところに轟音が鳴って、顔の横に白人大男の
拳が降ってきて驚かない人間なんていないわよ!」
律「結構冷静じゃん」
和「一体、何なのよ! これは!」
唯「今日は和ちゃんのお誕生日でしょ? だからサプライズのお祝いだよ」
和「これじゃお祝いじゃなくて、ただ驚かせてるだけじゃない!」
律「おい、梓。今のうちにクローゼットに隠れとけ」ヒソヒソ
梓「ラジャーです」ヒソヒソ
唯「も~、和ちゃんったらそんなに怒らないの。これは本番前のちょっとした余興なんだから」
澪「ちょっとした余興に全米のスーパースター連れてきていいのか……? しかも出番これで
終わりだろ……」
律「しかもバズーカの時、ちょっとビクッってなってたからな」
紬「はい、和ちゃん。このチケットをどうぞ」
和「何よ、これ」
唯「和ちゃんのバースデーパーティーの招待状だよ。学校の教室でするの」
【NODOKA’s Birthday Party In Nightmare
会場:私立桜が丘高等学校3年2組
日時:12月26日午前10時】
和「ちょっと待って。バースデーパーティーに悪夢って」
律「こまけえこたぁいいんだよ」
唯「それじゃ私達はいったん帰るからね。パーティーの時間に遅れちゃダメだよ? 和ちゃんが
主役なんだから」
和「わかったわ。ありがとう、唯」
澪「お前ら、こんなメチャクチャされて『ありがとう』って言える和を少しは見習えよ」
唯「じゃあねー! 待ってるよー!」
律「またなー!」
紬「楽しみにしててね!」
澪「お、おい! バズーカとコーナーポスト持って帰んなきゃ!」
パタン
和「……ふぅ。まったく、唯ったら」
和「今、何時? ええっと…… まだ6時前じゃない」
和「もうすっかり目も覚めちゃったし、着替えて朝食でも食べようかしら」
和「うーん、冬休みだけど学校に行くんだから、やっぱり制服の方がいいわよね……」ガチャリ
梓「にゃー!!」バッ
和「わぁあああああ!!」ビクゥ
梓「お誕生日おめでとうございます!」
和「帰りなさいよ! 早く帰りなさいよ!」
梓「学校で待ってまーす! それではまたー!」スタコラサッサ
――それからしばらくして。
和「何だかまだ誰かがどこかに隠れてそうで、全然落ち着かなかったわね…… コーヒーも
美味しくない……」ズズズ
和「それにしても、どうして今日に限ってお父さんもお母さんもあの子達もいないのかしら」
和「あら、もう9時半だわ。そろそろ出なきゃ」ガタッ
スタスタスタ
和「靴を履いてと。 ……ん? 靴の中に何か入ってる?」ゴソゴソ
和「メモ用紙……?」ピラッ
【いえーい! わたしだよん!】
和「……」クシャクシャ ポイッ
――桜高までのいつもの通学路。
和「もう、あれじゃサプライズでも何でもない、ただの嫌がらせじゃない」プンプン スタスタ
和「ん……?」スタスタ
男児1「もーいーくつねーるーとー」スタスタ
女児1「おーしょーおーがーつー」スタスタ
女児2「まってよー」タッタッタッタッ
男児2「おそいぞー。おいてくぞー」スタスタ
和「あらあら。フフッ」クスクス スタスタ
女児1「……あれっ? ねえねえ。あのひと、真鍋じゃない?」
男児1「えー? わあ! ホントだ! 真鍋だ!」
和「え? な、何?」
男児2「ほんものの真鍋だ! すごーい!」タッタッタッタッ
男児1「真鍋ー!」タッタッタッタッ
女児1「真鍋ー! 真鍋ー!」タッタッタッタッ
女児2「真鍋かわいいー!」タッタッタッタッ
和「え? いや、ちょっと…… え?」
女児1「ほんものの真鍋、かわいいねー!」
女児2「ねー! かわいいねー!」
男児2「真鍋からおばあちゃんちのタンスのにおいするー!」
男児1「ねえ、真鍋! サインちょうだい!」
女児1「わたしもー!」
和「ま、待って、キミたち。お姉さん、普通の人だからサインはちょっと……(もう、唯達の
仕込みね! かといって子供を邪険には出来ないし……)」
男児1「えー! サインしてよー!」
女児1「サインしてー! サインしてー!」
男児2「真鍋のしふく、おばさんくさーい! とくになつふくー!」
女児2「サインしてよー! 真鍋ー!」
和「わ、わかったわよ。サインを書けばいいのね。こ、こんな感じ?」サラサラ
男児1「わあ! ありがとう、真鍋!」
女児1「やったー! すごーい!」
男児2「真鍋、いがいとじがへたくそー!」
女児2「ありがとう! たいせつにするね!」
和「じゃあ私、急いでるから…… またね。バイバイ」
男児1「ありがとう! 真鍋、またねー!」
女児1「バイバーイ! 真鍋ー!」
和「はぁ…… 疲れた……」スタスタ
ヴーン ヴーン ヴーン
和「電話……? 唯からだわ」ピッ
和「はい、もしもし」
律『エクセレンッ!!』
和「わあっ!」ビクッ
唯『もしもーし! 和ちゃん、有名人気分は楽しんでもらえた?w』
和「やっぱり唯だったのね…… リアクションに困ったわよ」
唯『サプライズ、サプライズw』
和「あと、男の子に変なこと言わせてたのは律でしょ」
唯『すごーい! どうしてわかったの!?』
律『エクセレンッ!!』
和「あんなの律くらいしか考えつかないでしょ。とにかくもう行き道の仕込みはやめなさいよ。
せっかく余裕を持って家を出たのに遅れちゃうじゃない」
唯『あ、それはだいじょーぶ。絶対遅れないようにしてあるから』ピッ
和「え? も、もしもし? 唯?」
和「切れちゃった…… どういうことかしら」
和「まあ、いいわ。先を急ぎましょ」スタスタ
和「……」スタスタ
和「……」スタスタ
男1「あっ!」
和「ん?」クルリ
男1「いたぞ! 真鍋だ!」
和「えっ? な、何ですか?」
男1「みんな、こっちだー! 真鍋がいたぞー!」
男2「どこだどこだ!」
男3「あれだ! 真鍋だ!」
男6「いたぞ! 捕まえろー!」
男10「早く来ーい! 真鍋だぞー!」
和「えっ? えっ? ちょっと何!?」ダダッ
男26「逃げたぞー!」
男42「追えー! 捕まえろー!」
男68「逃がすなー! みんな追えー! 追えー!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
和「何なのよ! なんで私が追いかけられなきゃいけないのよ!」ダダダダダダッ
男85「待てー! 逃げるなー!」
男93「早く捕まえろー!」
男100「真鍋ー! 待てー!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
和「もういやぁあああああ!」ダダダダダダッ
――走りに走ってたどり着いた桜高生徒玄関。
和「つ、つっ、つ、疲れた…… 学校まで、全力疾走って……」ゼエゼエ ゼエゼエ
オカ研1「ようこそ、真鍋さん……」チリリーン
和「わっ! び、ビックリした……」
オカ研1「本日はお誕生日おめでとうございます」
オカ研2「本日はお誕生日おめでとうございます」
和「あ、ありがとう。でも、どうしてあなた達がここに?」
オカ研1「私達、会場への案内役を仰せつかりました」
オカ研2「私達、会場への案内役を仰せつかりました」
和「そうなの? わざわざありがとう。あ、ちょっと待って。靴を履き替えなきゃ」パカッ サッ
和「ん? 靴の中に……」ゴソゴソ スッ
【そうなんだ。じゃあ私、生徒会行くね(笑)】
和「……」ビリビリッ クシャクシャ ポイッ
和「お待たせ。案内をお願い」
オカ研1「こちらへどうぞ」
オカ研2「こちらへどうぞ」
――そして案内役に導かれるまま校内へ。
和「ねえ、ちょっといいかしら。どうして学校の中をこんなに暗くしてあるの?」スタスタ
オカ研1「……」スタスタ
オカ研2「……」スタスタ
和「まあ、怖いのとかは平気な方だからいいけど……」スタスタ
オカ研1「モスラーヤモスラー」スタスタ
オカ研2「ドンガンカッサークヤンインドムー」スタスタ
和「小声で変な歌を歌わないでよ……」スタスタ
ドォン!!
和「きゃあっ! 何よ、今の音! ビックリするじゃない!」
オカ研1「……」スタスタ
オカ研2「……」スタスタ
和「だからサプライズの意味が違うでしょ…… お祝いとか関係無くなってるし……」スタスタ
オカ研1「到着しました。こちらが会場になります」
オカ研2「到着しました。こちらが会場になります」
和「あ、ええ、知ってるわ…… 自分の教室だから……」
オカ研1「どうぞお入りください」
オカ研2「どうぞお入りください」
和「一応、案内ありがとう……」
オカ研1「キャアアアアアアアア!!」
和「ひいっ!」ビクッ
オカ研1「……」
オカ研2「……」
和「最後までホンットにもう……」ガチャリ
3年2組一同「せーのっ…… ハッピーバースデー!!」
和「えっ……?」
風子「和ちゃん、お誕生日おめでとう!」
夏香「おめでとう、和」
英子「和ちゃん、おめでとう」
アキヨ「あ、あのっ、お誕生日おめでとう……」
信代「誕生日おめでとう、真鍋さん」
エリ「ハッピーバースデー! イェイ!」
姫子「真鍋さん、おめでと」
純「えへへー、私も来ちゃいました! 和先輩、おめでとうございます!」
憂「和ちゃん、お誕生日おめでとう」
和「……ありがとう、みんな。すごく嬉しいし、すごくビックリしたわ」クスッ
唯「のーどかちゃんっ」ヒョイッ
和「唯……」
唯「あらためて、お誕生日おめでとう!」ギュッ
和「うん。本当にありがとう」ニコッ
律「さあさあ! 和の席はこっちこっち! 主役はここ!」
和「ここ? なんか目立って恥ずかしいわね」ストッ
梓「では、和先輩。私達からの最後のサプライズがあります」
和「あら、何かしら」
唯「なんと! 澪ちゃんが和ちゃんのバースデーをお祝いする詩を作ってくれました!」
紬「これからその詩を澪ちゃん本人が朗読してくれまーす!」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
澪「よ、よろしく」テレテレ
和「ありがとう、澪。聞かせて頂くわ」
唯「それでは、どーぞー!」
澪「昇る太陽。オレンジ色の翼を広げた天使達が舞い降りてくるマーマレード・モーニング。
いつもと違う目覚め。それは耳元で囁かれる声。枕元で踊る妖精たちの声。ぬいぐるみの
姿を借りた親友がくれるファースト・ハッピーバースデー・コール。
黄金のアニバーサリーが夢幻の羽衣となって貴方を包みこむ。それは大切な誰かの抱擁にも
似ていて…… でも、身体を起こせば波間に漂う泡のように儚く消えてしまいそう。
貴方は立ち尽くす。ただエターナル・メモリーが欲しかっただけなのに。朝焼けがすべてを
アンドロメダの彼方へ連れて行ってしまう前に……」
梓「これはキツいwww」プルプル
澪「コインの裏と表。優しさと悲しみのシンメトリー。貴方が微笑む時、メフィストフェレスは
どこかへ隠れ、柔らかな手がそっと差し伸べられる。いつかは輝く星空の峡谷に姿を消して
しまうとしても…… どうか見つめ返すことをやめないで。それはミカエルが神様と交わした
約束なのだから。そして、その想いはひとかけらのチョコレートとなって街角のカフェに
並ぶの。懊悩を脱ぎ捨てた貴方が歩く、プラチナのメインストリートに。
そう、待ち望むフォーエヴァー・キャンディ・ブライド。時には聖櫃という名のドレスを
身にまとう花嫁のように。那由多の白夜を越えて、新たにたどり着くリインカーネーション」
律「長いってwww」プルプル
澪「歩き出そう、エデンへ続くホワイトカーペット。このユニバースに生まれてきたすべての
みどりごの中の一人。今日もまた、絡みつく糸を断ち切ってマリオネットが自分の足で
立ち上がる。現し身の貴方は青い鳥に導かれ、お菓子と優しさに溢れた久遠のスウィート
ガーデンを知る。この美しくも残酷な世界から貴方のクリスタルを守る聖地。
彼方に立つのは細雪の
おしまい
最終更新:2014年12月27日 08:46