唯「まさか……これって」

律「……多分壊れてるな、このストーブ」

唯「えぇーっ!?ま、また!?」


唯「ほんとにつかないの!?ちょっと貸して、りっちゃん」

律「無理だって。そもそも電源が入らねーんだから」

唯「むぅ……。本当だ」ポチッポチッ


梓「せ、せっかくやっとの思いで持ってきたのに……。まさか壊れてるとは…。すみません、先輩方…」ガクッ

律「まあそんなにクヨクヨすんなって。悪いのは梓じゃない」

梓「律先輩……!」

律「よしよし。じゃあとりあえず、このストーブを一人で音楽準備室に戻してこようか、梓?」

梓「はいっ!!」


梓「……って何でそうなるんですか!律先輩も手伝ってくださいよ!!そっち側持ってください!」

律「ちっ……。分かったよ…。よいしょ」

梓「…あーてがすべったー」パッ

律「ってオイ!!重っ!?中野ォー、貴様ー!!」

梓「舌打ちした罰です。てか唯先輩も手伝ってくださいよ」

唯「私も手伝いたいところなんだけどさー、私物を持ち帰る準備があるから……」

梓「そんなのあとでやってください!ほら、そっち側持って!!」

唯「……はぁーい」シブシブ

・・・・・・

唯「はぁーっ、やーっと戻し終わったー…」

律「結構重かったぜ……」


梓「でもどうします?エアコンもストーブもダメとなれば、一体どうやって部室を暖めれば……」

唯「そうだよねぇ……。うーん、どうすれば…」


律「……あ!いいこと思いついた!!」

唯「えっ!?なになにりっちゃん!?聞かせてー!」

梓「なんか少し嫌な予感がしますが…。まあとりあえず、聞かせてください律先輩」


律「よくぞ聞いてくれた! 唯、梓。よくよく考えたらストーブ並みに温かいものがこの部室にはあると思わないか?」

梓「ストーブ並みに温かいもの……?そんなのどこにあるんですか」

唯「全然わかんないよー!りっちゃん、もったいぶらないで教えてよー!!」

律「ふっふっふ。そんなに教えてほしいか、唯?」

唯「是非とも教えてくださいりっちゃん先生!このままじゃ私気になって日課の昼寝もできません!!」

梓(いつも昼寝してたんですか!?)

律「よーし、じゃあ特別に教えてしんぜよう。それは……」ジリジリ

梓「……律先輩?どうしたんですかそんな顔してこっち向かってきt」
律「それは!お前らの体のことだー!!」ガバッ

梓「に"ゃっ!!?」


律「考えてみたらさー、私たちの体温って結構な温度じゃん?つまり抱き合ってればストーブなんていらないじゃーん」ギュー

梓「ふぁああああ///(律先輩に抱き着かれるのってすごく久しぶりな気がする///)」

唯「あー!りっちゃんずるーい! 私もあずにゃんに抱き着くー!」ギューッ

梓「ふにゃああっ!? ゆ、唯先輩までっ!!?///」

律「どうだー?梓ー」ギュー

唯「えへへーあずにゃーん」ギュー

梓(あ、あったかい……。なんか密着しすぎな気がするけど、確かにこれなら 律先輩の言うとおりストーブなんて……)


ガチャ

紬「みんな、遅れてゴメ……」

紬「ってあらあらまあまあ!みんなどうしたのそんなに身を寄せ合って!?」

梓(って言ってるそばから密着してるところ見られたー!!)



梓「いやいや!あ、あのですね!!ムギ先輩誤解しないでくださいこれはですね!」

律「おー、ムギー。おっはようさん」

唯「ムギちゃんおはよー。今日も寒くてやんなっちゃうよねー」

梓「って何でそんなに普通でいられるんですかっ!?」


律「なんでって言われても……。大体、寒かったから身を寄せ合ってただけじゃん。何も問題ないぜ!」

唯「そうだよあずにゃん。何もやましいことしてるわけじゃないんだから、もっと堂々としなきゃ」

梓「そ、そうかもしれないですけど……。やっぱり、その…、恥ずかしいといいますか///」

紬「そんなことないわ、梓ちゃん!私は色々な意味で素晴らしいことだと思うわ!!」キラキラ

梓「ど、どういう意味ですか!てかそんなに目を輝かせて言わないでくださいー!」

唯「てことでムギちゃんも私たちと一緒に抱き合おー?」

紬「どんとこいです!!」フンス!


紬「じゃあまずは梓ちゃんからにしようかしらねー♪」ジリジリ……

梓「ちょっ!?ま、また私ですか!?別に私からじゃなくて唯先輩や律先輩からでも」

紬「問答無用よー♪」ギュー

梓「ふわぁあああ///(ム、ムギ先輩やわらかい……)」


唯「おー!あちらの二人もやりますなー!こっちも負けてられないですぜりっちゃん!」

律「おうよ!よし唯、私の胸に飛び込んで来い!!」

唯「アイアイサー!りっちゃん覚悟!!」ギュー

律「何をー!おかえしだー!!」ギュー


アハハハ…… ワイワイ ヤメテクダサイヨモー

澪(……遅れたから急いできてみたものの 非常に扉を開けづらいんですが)


澪(でも練習しないで遊んでばかりいられてもダメだからな……。ここは私がビシッっと言ってやらなきゃ!)ガチャ

澪「おい!お前ら!!遊んでないで練習をs」律「!! 澪が来たぞ!!総員、突撃ィー!」

唯紬「おー!!!」ダダッ

梓「やってやるです!(もうヤケクソです!)」ダダダッ

澪「えっ!?う、うわぁあああ!!?」バタッ


・・・・・・

澪「ハァーッ、ハァーッ……。ひ、ひどい目に遭った……」

律「ただみんなで抱き着いただけ だけどな!」

紬「そういえばりっちゃん、私が来たときなんでみんなして抱き合ってたの?」

律「あー、そういえばムギとかにはまだ理由を言ってなかったな……。実は、かくかくしかじかってことがあってな……」

澪「……つまり、律がエアコンとストーブを壊したと」

律「そうそ……ってそうじゃねぇよ!!ちゃんと話聞いてたのかよ、オイ!」


澪「冗談だよ。しっかしストーブとエアコン両方ともこの寒い日に壊れるなんてな。全く不運としか言いようがないよ」

梓「そうですね……。やっぱり日ごろの行いが悪いんでしょうか……」ジトー

律「なんでこっち見るんだよ!」

梓「だって……ねぇ?澪先輩」

澪「そうだな。律はもっとちゃんとしておいた方がいい」

律「私の扱いひどくね!?」

唯「そうだよりっちゃん。部長なんだからもっとしっかりしなきゃ」

律「お前もな!」

唯「えー……」


澪「とりあえず!これで全員揃ったんだから、練習するぞ!!」

唯「で、でも身を寄せ合ってなきゃ寒いよー……」ブルブル

澪「練習してればそのうち体も温まってくるさ。ほら、準備準備!!」

唯律「えー……」


紬「まあまあ唯ちゃん、りっちゃん。練習が終わったら温かいお茶でも飲んであったまりましょ?」

紬「澪ちゃん、ちょっとだけ待って。ポットの準備だけするから」ポチッ


紬「…?あら…? つかないわ……?」ポチッポチッ

梓「え…?ポットまでつかないんですか……?」

律「おいおい…これってブレーカーとか落ちちゃってるんじゃねーの…?」

唯「そ、そういえば部室の電気もつけてなかったね。つくかな……?」パチッパチッ

紬「……電気もつかないね」

律「てことはやっぱり停電してんじゃん!!」

律「…ん?停電……? そういえば昨日の部長会議で……」


〜昨日の部長会議〜

和『明日の朝、学校で電機関係のメンテナンスがあって 授業が始まる時間まで教室以外は停電になるから、朝練がある部活動は注意してね』

律『あーい……zzz』



律「…って言ってたような気が……」

澪「……やっぱりお前の日ごろの行いの悪さが原因だったのか」スタスタ

律「み、澪しゃん……?どうしたのそんな怖い顔で拳を振り上げながら近づいてきて……。ぼ、暴力はいけませんわよ?」

澪「問答無用」ゴチンッ

律「いでっ!!」


梓「まったく、部長会議くらい真面目に受けてくださいよ……」

梓「でもこれで、ようやくストーブとかがつかない原因が分かりましたね。すごく単純な原因でしたけど」

律「こういった事態を未然に防ぐためにも日ごろからしっかりしておこうと思いました、ハイ」プクー

唯「あははは!おもちみたーい!」サスリサスリ

律「うるせーやい!!」


紬「あらあら。……あ、そうだ。今日のケーキ冷蔵庫に入れておかなきゃ」ガチャ

梓「え?でも冷蔵庫も停電してるから使えないんじゃあ…」

澪「まあ今日はこの通りの寒さだし、別に大丈夫だろ」

紬「……あら?冷蔵庫の電気ついてるわ……?」

澪「……えっ?」


梓「てことは…」ポチッ

ゴォオオオオ!!!


梓「やっぱり! 先輩!エアコンつきましたよ!!」

唯「おー!!てことは停電解除!?や、やったー!!」

律「ああ、やっとだな……!ここまで耐え忍んだ甲斐があったぜ!」

唯「あぁー、あったかいー……」

紬「うふふ。これで一件落着かしらね」

澪「そうだな」

アハハハ……


梓「…あれ?でもそういえば さっきの律先輩の話だと停電って授業が始まるまでってことでしたよね……?」

律「そ、そうだけど……? あ、まさかてことは……!」

澪「も、もう授業始まってるってことじゃないか!!!」

律「そ、そうなりやすね……」

澪「なっえっとっ、とにかく急がないと…!」アセアセ

律「大丈夫だって澪。停電のメンテナンスを手伝って遅れた体でん行けばみんな笑って許してくれるさ、きっと…」

澪「んなわけあるかっ!!」ゴチンッ




第11話

献血!


3学期が始まって1か月ほど経った頃、私が部室に行くために階段を上がっていると ふとあるポスターが目についた


澪「へぇー、何かかわいい何かかわいいキャラが描いてあるなぁ…なんのポスターだろ…」

目をこらしてポスターに書かれている文字を読むと 私は顔から血の気が引いていくのが分かった

澪「け…献血……!?血……!?」ガクガク

澪「ひぃいいい!!」ダッ

血を連想した私は 気が付けば恐怖から踵を翻し 悲鳴を上げながら階段を全力で駆け上っていた


なんとか部室の前までたどり着き 視界からポスターも消えほっと一息をつく

澪「はぁー……怖かった」

澪「痛い思いをしてまで自分の血を分けることなんてないよな、まったく」ガチャ

独り言をつぶやきながら 私は部室のドアを開けた


部室を見まわしてみると どうやら私以外の全員は既に揃っているようだった



私は挨拶をしようとしたが それを遮るように律が口を開いた

律「あ!来たか澪!澪は献血行くの?」

律の言葉を聞いて 再び「血」の文字が私の頭をよぎった


澪「ひっ!!」

思わず私は悲鳴を上げてしまう


澪の悲鳴にもかまわず 唯がさらに畳み掛ける

唯「澪ちゃんも行こうよ!なんかタダでジュースとかお菓子とか貰えるみたいだよ!」

唯は興奮した口調で 澪に向かって話した

唯と律のことだ どうせお菓子目当てで献血に行くのだろう

子供じゃあるまいし、もちろんそんな理由ならば、お誘いを受けても私は行くつもりはなかった

でもどんな理由があるにせよ、私には献血にはきっと行かないだろう

だって……

私は少し沈黙したあと 小さい声でこう答える


澪「いや…私はやめてくよ……」

澪「私、痛いのダメだし…血を見るのとか怖いし……」

そう。血が怖いのだ。それが例え自分のものであっても。


律「そっか…」

それを聞いた律は残念そうにつぶやいた


紬「じゃあ明日は私たちだけで行く?」

お茶菓子の準備をしていた紬も 少し残念そうな顔でそう提案する

梓「澪先輩がそういうなら仕方ないと思います…少し残念ですけど…」

唯「そうだね…」

律「まぁ澪には悪いけど…明日は私たちが戻ってくるまで一人で練習しててくれ!」


…どうやら明日の放課後は軽音部の私以外のみんなは献血に行ってしまうようだった

なんでみんなわざわざ痛い思いしに行くんだろ……

正直、そう思った


練習が終わった後の帰り道 私は律に尋ねてみた

澪「律はさ…その、献血とか怖くないの?」

律「いやまぁ別に怖くはないかなぁ…」

律「てかジュースとか粗品とか貰えるし寧ろ楽しみだぜ!」

律はにこやかに笑い返事をする

澪「すごいな…律は…」

確かに粗品目当てで少し興奮しているってこともあるとは思ったが、私は素直に律の気丈さに感心した


思えば私は本当に痛いことが苦手だった

子供のころ予防注射を受ける際も注射される前から泣いていたし

歯医者での治療の順番待ちは もはや死刑の執行を待つような気分であった


苦手はそう簡単に克服できるものではなく

今も「血」という文字を見ただけで悲鳴を上げてしまう状態であることは先ほどの行動に示す通りであった


澪「私はやっぱり痛いのはダメだな…」

律「昔からそうだもんなー、澪は。まぁそういう人もいるし、仕方ないよ」

律は慰めるように言った

そしてその後 律はうなだれて歩く私を一瞥した後、付け加えるようにつぶやいた

律「…でも私は多少の痛みならしてもいいと思うな」

律「針が刺さる痛みなんかよりもっと大きな痛みで苦しんでいる人もいるわけだし、そんな人に
私が分けた血が役に立つならこんなに嬉しいことはないよ」

澪「へぇ…」

正直律らしくもない台詞だと思ったが 言いたいことには共感できるような気がした


・・・・・・

夜になってからも ベッドの上で横になりながら私は考えていた 

澪(献血、か……)

澪(…血……ひぃっ!!)

澪(いやダメだダメだ!うろたえちゃ!)

澪(やっぱり少し痛いだろうけど…困っている人のためになるなら…やってみようかな…)

澪「……私が分けた血が役誰かのに立つ、か…」

澪「……zzz」

考えているうちに いつしか私は眠りに落ちてしまっていた


翌日の放課後、献血に行く前に唯が私に話しかけてきた

唯「じゃあ澪ちゃん、行ってくるね!なるべく早く戻ってくるから」

唯の言葉に対し 決意に満ちた表情で私は答えた

澪「いや……唯 私も行くよ、献血」



その後、私は軽音部のみんなと一緒に献血に向かった

いざ自分の番になり、注射針を腕に近づけられた時は やっぱり緊張して気を失いそうになったが、

みんなの励ましもあって、なんとか献血を終えることができた


献血を終えると係員の人が ご協力ありがとうございましたの言葉とともに私に粗品を手渡してくれた

はしゃぐ唯と律を尻目に 私は粗品の袋を握りしめ、達成感を感じていた


献血を終えた後の部室への帰り道

私が階段を上っていると 先日見かけた献血のポスターが再び目に入った


澪「私の血…誰かの役に立つといいな…」

私は自分の腕に貼り付けられたガーゼをなで 再び階段をのぼり始めた




.     , -‐—‐- 、
   く__╋__〉
 ゞ``;ィ"   .  ヾ゙'z  みんなも気が向いたら献血に行こう!
 ヾツ冫i.レソルlバjリ、;`
. ´''゙ヘミ(li> ┃┌O              ∧_∧
.     ヾl、'' ヮ''ノ| ├─| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  r(  ~∀)∴
.        ,{゙につ| ├─| ]┬┬┬┐┝━┿   つ
      〈___i」.| ├─|_____|  ⊂、  .ノ
.       (__iノ └┘              レ'


第12話

「憂誕」

      / : : ://: : : /: : : : : : : : : : : : : : `: 、
     /: : : //: : : /: :/: : : : : : : : : : : : : : : : \
    /: : : : く / : : : : /: :/: : : : : : /: : : : : !: : : : : : : : \
  /: /: : :〃: : : l : / : : : : : / : : /: : :/ : : ハ |: : : : : : : : :\
 —- ァ: :/:/!|: : :V: : : : : : / : : /: : :/|: : /||: : : :| : : : : : : \
    !: : l:.{ |: | !: :/:/ : : : : /: :/| : :ム|: :/ l: !'、: : |: : : : : : : :|⌒
    !: : | L!: : ヽ:! l : : : : : : :斗 1:/   !:/ |!ヽ!: :|l : : : : : |: |
    !: /| : ':ヽ : :|/| : : : : ! /  _.|'-、  !'   リ  |: :ト|: : : : :|:|
    V !: :ハ: :\!|: : : :.|/,x芹芸ヾ      _-∨|: : : : :!: |
.      j /ヽ}: |: :/|: |: : :小,イノ:::゜}      ,芸芯 | : : : : ハ |   2月22日
     /   |: !:/Λ !、: : | 之Zソ       {.ノ:::ハ}/|: : / / |!    今日は私の誕生日です
        V ヾ { ( \!    、、、     、ゞソ ハ:|/|/
             \_                 `` ハ/  /
              !ヽ       , 、    ′
              _|  \             イ
           r-く >、   .         ゛
           /::::::::\   >、  ¨7 "´
.           rく、:::::::::::::::\   \/
        /::::::::::\::::::::::::::\   〉、
      /:::::::::::::::::::::::\::::::::::::::\/ア} 、
     .::::::::::::—:::::::::、::::::::ヽ::::::::::::::ヽ{ ! ヾ:.、
    /:::::::::::::::::::::::::::::::\::::::ヽ:::::::::::::::ヽ|l、 l ';::::、
.   i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::::::ー::ァ:::::::',{ }| ヽ:::l
.  〔::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::/:::::::::::', |ヘ }::::}

純「それじゃあ、今日は憂の誕生日ということで! 憂のことを全力で祝ってしんぜよう!」

憂「わー!ありがとー、純ちゃん」

梓「憂の誕生日だからって朝から押しかけてきちゃったけど…。憂、迷惑じゃなかった?」

憂「ううん、全然。それにお姉ちゃんもまだ寝てるし」

梓「え?まだ寝てるの?だってもう9時過ぎてるよ」

憂「お姉ちゃん、私のためにプレゼント作ってくれてるみたいで…。それで徹夜してたみたい」

梓「あー、なるほど。そういうことか。それなら納得」


純「でもさー、ついつい休日ってお昼頃まで布団で寝てたくなっちゃうよね」

梓「それは純だけでしょ。休日だからって怠けてると、怠け癖がついちゃうよ」

純「大丈夫だってー。私、やるときはちゃんとやる人間だし?」ゴロゴロ

梓「人んちに来て早速ゴロゴロしてる人がそんなこと言っても説得力ないよ…」


梓「あ、そうそう。プレゼントと言えば」ガサゴソ

梓「……はい、憂。お誕生日おめでとう」

憂「わー、かわいい猫さんのぬいぐるみ! ありがとー、梓ちゃん!」

梓「ふふっ。どういたしまして」

梓「なんか2月22日は猫の日でもあるらしいからさ。だからプレゼントも猫のぬいぐるみにしちゃったけど……喜んでもらえてよかったよ」

純「おっ!プレゼント贈答の流れ? じゃあ私もとっておきのプレゼントをあげちゃおっかなー?」ゴソゴソ

純「はい!憂!プレゼントだよ。ついでに梓にもあげる」

梓「えっ!?じゅ、純が私のプレゼントまで用意してくるなんて…。何か企んでるんじゃないよね」

純「ひどっ!そんなわけないじゃん!!これは私の純粋な気持ちだよ、キモチ」


憂「ありがとー、純ちゃん。……えっとこれは、腕輪…かな?」

梓「なんかドーナツみたいな形してるね」

純「そう!まさに君たちの言うとおりドーナツ型の腕輪だよ!しかも私の手作り!!」

憂「へぇー、わざわざ私のために作ってくれたんだ、純ちゃん」

純「その通り……と言いたいところだけど実はもうちょっと深い目的があるのよ」

梓「次の純の誕生日にプレゼントのお返しを期待する目的とか?」

純「ちがーう!それにその腕輪、私の分もあるし」スチャッ


梓「すでに腕につけてたの!?」

憂「わー♪似合ってるよ、純ちゃん!」

純「でしょー?ほら、憂たちもつけてみなよ」

梓「別にいまじゃなくてもいいじゃん。私は明日試しにつけてみるよ」

純「ダーメ!今つけて!」

梓「わ、わかったよ……」スチャ

憂「私もつけましたー♪ ……でも純ちゃん、どうしてプレゼントを腕輪にしようと思ったの?」

純「ほんとは首輪にしようと思ったんだけどね」

憂梓「えっ」



13
最終更新:2015年02月10日 22:07