唯「? 何か他にもいろんな機能があるみたいだねこのカーナビ」
澪「あぁ……。言っとくけどそれ全部面白くないぞ」
唯「でもユーモアモードって名前からして面白そうじゃん。ねっ、つけてみてもいい?」
澪「えぇー……。ユーモアモードにするとロクなことがないからなぁ……」
唯「じゃあこの熱血モードってのは?」
澪「熱血モード……? それはまだ試したことないな」
紬「試したことないなら一度つけてみたら?澪ちゃん」
澪「まあユーモアモードよりは多分マシだろうし……。わかった、唯。つけてみてもいいぞ」
唯「わーい!」ポチッ
唯「どんな感じになるのかなー?」ワクワク
カーナビ「ポンッ!! 次の交差点左だッ!!!」
澪「うるさっ!?」
カーナビ「ポンッ 返事はッ!!?」
澪「返事しなきゃダメなの!? は、はいっ」
カーナビ「声が小さい!!!」
澪「は、はいぃ!!!」
紬「うふふ。中学校時代の部活動を思い出すわ」
唯「ムギちゃん意外に体育会系だったの!?」
カーナビ「ポンッ 次の交差点、左だッ!!」
澪「はいっ!!! ……はぁ、ホント変な機能ばっかりだなこのカーナビは」
唯「あれ?何か工事やってるよ」
澪「あれ本当だ。 じゃあ違う道から行くしかないか」
カーナビ「諦めんなよっ!!」
澪「えっ!?」
カーナビ「諦めたらそこで試合終了なんだよ!行ける行ける、絶対行ける!! ネバーギブアーップッ!!」
澪「無茶言うなよ!!」
澪「はぁ……。もう普通のに戻すぞ!まったく何なんだこのカーナビは……」
紬「ちがう道探さなきゃね」
澪「まあ次のとこ左に曲がって、その後元の道に戻っていけば問題ないだろ」
澪「って言ってる間にもう次の交差点か。左に曲がってと」チッカチッカ
唯「あれ?急に坂道になったね」
紬「随分大きな道路に合流するのねー」
澪「あれ?この感じ……。何か嫌な予感が……」
唯「あ!何か料金所とか書いてあるよ!」
澪「やっぱりー!」
紬「高速道路!? まさかあの高速道路なのっ!?」
澪「そうみたいだな……。あぁやっぱりUターンして戻る道もないか」
紬「なら進むしかないわね澪ちゃん! 高速道路に!!」
澪「うぅ……どうしてこんなことに……」
唯「澪ちゃんなんでそんなテンション低いの? 楽しそうじゃん!100キロとかだせるんでしょ?」
澪「それが怖いんだよ。かなりのスピードで車線変更とか合流とかしなきゃだし」
紬「高速教習で大丈夫だったんだし、澪ちゃんならできるわよ」
澪「うーん……。あれ以来高速は走ってないし、自信ないなぁ」
カーナビ「ポンッ 自分に自信を持たないでどうするんだ!! もっと自信を持て!!」
澪「まだついてたのかお前は!」
澪「はぁ……。もうここまで来たら仕方ないか。覚悟を決めていくしかないな」
紬「がんばってー、澪ちゃん」
唯「フレー、フレー! みーおーちゃん!」
カーナビ「ファイトォオオ!! いっぷぁああつ!!」
澪「お前はだまってろ」プチッ
紬「あ、あそこがお金払うところ?」
澪「うん。えーと……私はここから入ればいいのか」
唯「お金払うのなら任せて!」フンスッ
ガコッ
唯「って何もしてないのにゲートが開いたっ!?」
澪「ああ、この車ETCついてるからな」
唯「何それ!? 澪ちゃんすごい!もう一回やって!!」
澪「無茶言うなよ」
紬「帰りにもう一回見せてもらいましょ」
澪「いや、帰りは絶対乗らないから」
唯「えーなんで? 帰りも乗ろうよ」
澪「さっきも言ったけど、怖いんだよ。スピード出すの。 ……あぁ、そんなこと言ってる内にそろそろ合流だ」
紬「サポートなら任せて! 澪ちゃん!後ろは猛スピードできてるけどスペースは十分よ! 入るなら今よ!!」
澪「逆に入りづらいよ!?」
澪「はぁ……。なんとか合流できた」
紬「わぁー、速い! 今何キロくらい出てるの?」
澪「今ちょうど100キロくらいかな」
唯「100キロ! ついに音速をこえた!」
澪「いや、こえてないから」
唯「ねえ澪ちゃん」
澪「なんだ?」
唯「なんかトンネルとかガードレールとか多くて景色あんまりよくないね」
澪「まあその辺は仕方ないさ。高速だし」
唯「お店とかもないし……」
澪「そうだな。でも信号がないのだけは快適かな」
唯「道にも迷わないしね」
澪「確かに。それも大きなメリットだな」チラリ
カーナビ(何か冷たい視線を感じる……)
紬「でも高速道路って意外とまっすぐな道なのね。もっと急なヘアピンカーブとかあるところだと思ってたわ」
澪「どんな高速道路想像してたの!?」
・・・・・・
澪「はぁ……。やーっと高速おりられた……」
唯「もうすぐ着く?」
澪「ああ。もうちょっとじゃないかな。確かあの遊園地、高速道路の近くにあったはずだし」
澪「あっ、噂をすれば。見えてきたぞ」
唯「おぉー!」
紬「大きい観覧車!」
澪「ほんと、いつみても大きいな。県内でも結構大きい方なんだっけか」
紬「観覧車は絶対乗ろうね」
澪「ああ。眺めもいいだろうしな」
唯「あとはジェットコースターも絶対乗ろうね!」
澪「えっ!? わ、私は遠慮しとこうかな……」
唯「澪ちゃん怖いの?」
澪「そそそそんなことないぞ! ただ酔いやすい体質なだけだっ!」
紬「お化け屋敷にも行こうね〜」
澪「ムギまで悪ノリしないの!」
遊園地 園内
澪「よし、ついたぞ」
唯「おぉー!!」
紬「ひろーい!」
澪「休日だからか結構にぎわってるな」
紬「まずは何に乗る?」
澪「そうだな……」ジー……
唯「えっ?澪ちゃんあれに乗りたいの?」
紬「あれは……メリーゴーランド?」
澪「へっ……?ち、違う! ただ見てただけだって!」
唯「なーんだ。澪ちゃんったらじっと見てるもんだからてっきり乗りたいのかと思ったよ」
紬「澪ちゃん乗ってみたら?なんだかとても絵になりそう!」
澪「バカいうなよ。大体あれは子供が乗るもんだろ」
唯「だって澪ちゃんああいうの好きそうだし……」
澪「勝手に決めつけるなよ!」
紬「でも楽しそうじゃない? 私、乗ってみようかしら」
唯「それなら私もお供するよムギちゃん!」
澪「えっ!?」
紬「たまには子供心に戻ってみるのもいいかな、って思って」
唯「澪ちゃんも乗ろうよー」
澪「そんなこと言っても恥ずかしくないか?乗ってるの小さい子ばっかだぞ」
唯「みんなで乗れば恥ずかしくないよ!」
澪「逆に目立つような……」
紬「じゃあ私と唯ちゃんだけで乗る?」
唯「そうだね…。澪ちゃん悪いけどちょっと待っててね」
澪「えっ……?」
澪「や、やっぱり私も乗るー」
唯紬(にやり)
紬「その前に私お手洗い行ってくるから先に並んでおいてくれる?」
澪「えっ?うん。わかったよ」
唯「私も行っておこっかな」
澪「唯も行くの?なるべく早く戻ってこいよ」
唯「ガッテン承知の助です! 行こ、ムギちゃん」
紬「はーい」タタッ
澪「大丈夫かなぁ」
数分後
澪「唯たち戻ってこないな……」ソワソワ
係員「次でお待ちのお客様ー、お乗りくださーい!」
澪「うぇっ!? どうしようもう呼ばれちゃった!」
子供たち「キャッキャッ」ゾロゾロ
澪「あ……えと……」
係員「ほら、あなたもお乗りください」
澪「あ……、はい(唯ー!ムギー! 早く来てくれー!!)」
唯「はぁ…、はぁ……!おそくなっちゃった!」
紬「まだ間に合うかしら?」
係員「それでは皆さん、メリーゴーランドスタートです!」
唯「あっ、もう始まっちゃうみたい」
紬「ま、間に合わなかった……」ガックリ
ユイ、ムギ!! オソイゾ!!
紬「? どこからか澪ちゃんの声が……?」
唯「あっ、ムギちゃん!澪ちゃんが乗ってるよ!!」
紬「あら本当だわ! 似合ってるわ〜」
澪「そんなことしてないでお前らも早く来てくれよ!今ならまだ間に合うかも……」
唯「写真撮っちゃお」カシャ
澪「唯ぃぃいいいい!!」
数分後
澪「はぁ……酷い目にあった……」
紬「遅れちゃってごめーん」
唯「でもおかげでいい写真が撮れました!」
澪「それはすぐに消しなさい!」
唯「もうあずにゃんにメールで送っちゃった」テヘッ
澪「おい」
澪「はぁ……。梓に送ったってことは確実に律にも見られちゃうだろうな……」
紬「可愛く撮れてたし、いいじゃない♪」
唯「和ちゃんたちにもあとで送ってあげよっと」
澪「やめなさい!」
澪「さて、次は何乗ろうか」
紬「私あれ乗ってみたい!」バッ
唯「コーヒーカップ?」
紬「私、一度コーヒーカップに乗るのが夢だったの……!」
澪「そんなにか!」
澪「まあいいや。じゃあ乗ってみようか」
唯「回すのなら任せて!」
紬「えっ?これ自分でも回せるの?」
唯「うん。真ん中にハンドルあるでしょ?あれを回せばギューン!って回るよ」
紬「本当!? 早速やりましょう!!」
コーヒーカップ内
澪「みんな座ったか?」
唯紬「オッケーです!」
係員「それではコーヒーカップ スタートしまーす」
澪「おっ、始まるみたいだぞ。あんまり回しすぎるなよ」
紬「はーい」グルグルグルグル
澪「って言ったそばからもの凄い勢いで回してるし!?」
紬「わー!これすっごく楽しい!!」グルグル
澪「うわ……目が……」クラクラ
唯「なんか少し気持ち悪くなってきたかも……」
唯「でも負けるわけにはいかない!ムギちゃん、私も加勢するよ!」
紬「ええ!一緒に頑張りましょう唯ちゃん!!」グルグルグル
澪「いや……寧ろもう頑張らないでくれ……。うぇ」
・・・・・・
澪「あ、あぁ……。やっと、おわった……」フラフラ
唯「め、目がぁ……」クラクラ
紬「二人とも大丈夫!?」ケロッ
唯「ムギちゃん、あんなに回してたのに元気だねぇ……」フラフラ
澪「しばらくまともに歩けそうにないな……」フラフラ
唯「ちょっと休憩させてー……」
紬「そう? じゃあそこのベンチで休憩しましょうか」
数分後
澪「はぁ……。やっと落ち着いてきた……」
紬「みんなー、焼きそば買ってきたわよー」ドサッ
唯「ありがとムギちゃ……って多っ!?」
紬「えへへ……。一杯あったからつい買いすぎちゃった」モグモグ
澪「5個はさすがに多くないか? 結構中身も入ってるし」
唯「いざとなったら私が食べてあげるよ!」
澪「そんなに食べたら太るぞ……」
紬「あっ……美味しかったからもう3つも食べちゃってた……」
澪「ってはやっ!!」
紬「どどどどうしましょう」アセアセ
唯「ムギちゃん!これはカロリーを消費することをしないとだよ!」
紬「なるほど! それだとしたら次行くべきは……」ガシッ
澪「えっ!? お、おいどこ連れてくんだよー」
・・・・・・
唯紬「ここだね!」
澪「なんでジェットコースターなんだよ!!」
紬「澪ちゃん、カロリーを消費するためよ! がんばって!」
澪「私はそんなに食べてないよ!」
澪「まったく……。私は乗らないからな」
唯「えぇー、いいじゃん澪ちゃん。乗ろうよー」
澪「やだよ。ほ、ほら食後は急激な運動とかは控えろっていうし」
紬「ジェットコースターだし大丈夫よ」
澪「ほ、ほらあんまり大声出すのもみっともないし」
唯「それが醍醐味なんだよ〜」
澪「そ、そうだ!これからひつ○のショーンの再放送の時間だ! 唯たちが終わるまでそれ見て待ってるな!あは、あはは……」
唯「ひつじのショ○ンの再放送は明日だよ」
澪「あは……」
紬「ほら、澪ちゃん。乗るわよー」グイッ
澪「離せムギ!! あんなものに乗ったら生きて帰ってこれないぞ!!」
唯「大丈夫だよ、澪ちゃん。ジェットコースターは安心な乗り物だから」ガシッ
澪「急に坂道くだったり、上下逆さまになったりするのに安心なんてできない!」
唯「そのスリルがいいんだよ」
澪「いいや!よく聞け唯! スリルを求めすぎるのはよくないぞ!お金を運用するなら投資より銀行!
乗り物に乗るならジェットコースターよりゴーカートに乗るべきだっ!!」
唯「意味が分からないよ!?」
紬「澪ちゃん、乗ってみると案外楽しいかもよ?」
澪「そうかなぁ……。私にはあれに乗るメリットが分からないよ」
係員「次のジェットコースターでお待ちのお客様ー、お乗りくださーい」
唯「あ、はじまるって!行こ、ムギちゃん、澪ちゃん!」ガシッ
紬「ええ!」ガシッ
澪「ちょっ!だから私は行かない……!って人の話を聞いてくれぇ……」ズルズル
澪「結局強制的に乗せられてしまった……」ガタガタ
唯「澪ちゃんそんなに怯えなくて大丈夫だよー。落ちたりはしないから」
紬「そうよー。私も初めて乗るときは怖かったけど、慣れれば大丈夫よ」
澪「落ち着け。こういう時は素数を数えるんだ。2、3、5、7、11、13……」ブツブツ
唯「完全に緊張しちゃってるね」
アナウンス「それではジェットコースター、スタートしまーす! 極上のスリルをお楽しみくださーい!」
澪「ひぃっ!? わ、私やっぱり帰るー!」ジタバタ
唯「澪ちゃん、動き始めたのに動いたら危ないよ」
澪「うぅ……。観念して乗るしかないか……」
紬「大丈夫よ、澪ちゃん。すぐに楽しくなるから」
澪「そんなこと言ったってなんか早速 坂を上り始めてるじゃないか!」
唯「これは結構すごいのが来るかもね!」
紬「ええ!」
澪「コワクナイコワクナイコワクナイ……」ブルブル
唯「いよいよ下りだね!」
紬「ドキドキするね〜」
澪「ミエナイキコエナイ……」ガタガタ
唯「ほら、澪ちゃん顔あげて」
澪「やだっ!」
紬「あら澪ちゃん、口に青のりがくっついてるわよ」
澪「えっ!?」バッ
ギュォオオオオオ!!!
唯紬「わー!!!」
澪「きゃああああああああ!!?」
・・・・・・
アナウンス「お疲れ様でした。またのご搭乗をお待ちしておりまーす」
唯「楽しかったねー」
紬「うん!」
澪「」
唯「ねっ、澪ちゃ……って気絶してる!?」
紬「澪ちゃん大丈夫!?」ユサユサ
澪「のぼりいちにち…、くだりいっとき…… 」ガクッ
唯「澪ちゃん隊長ー!?」
最終更新:2015年02月10日 22:14