数分後
りつ(プレゼント何かなー?)ワクワク
コンコン
りつ「ん? まどのほうからなんか音がするぞ」
りつ(なんだー?)ガララッ
梓「メリークリスマース!!」ズカズカ
りつ「うわぁあああ!!?」
唯「ちょっ……!あずにゃん許可もとらずに勝手に入っていいの!?」
梓「大丈夫です。令状もありますし」ペラッ
唯「そんなのまであるの!?」
りつ「ていうかおまえたち何ものだ! おかあさんじゃないのにプレゼントもってるし!」
梓「何言ってるの。あなたの家にプレゼント配りにきたに決まってるでしょう。はい、プレゼント」スッ
りつ「い、いみわかんねー!!」
りつ「サンタさんなんて本当はいないはずだろ!クリスマスにプレゼントくれるのは本当はおとうさんやおかあさんなんだろ!?
わたしはしってるんだ!」
唯「と、とりあえず落ち着こう?」
りつ「だからおねえさんたちは きっとにせものだ!! けーさつをよぶぞ!」
唯「ちょっ……あずにゃん! どうしよう!!」
梓「大丈夫だから。ほら、キミとりあえずプレゼントあけてごらん?」
りつ「……わなじゃないよな?」
梓「そんなことサンタがするわけないでしょ?何なら私が代わりに開けてあげようか」
りつ「……いい」パカッ
りつ「! わー!!わたしがほしかったかわいいカチューシャだ!!」
梓「ふふっ。どう?これで私がサンタだって信じてもらえた?」
りつ「うん! ……でもサンタさんってもっとひげがもじゃもじゃのおじさんかと思ってた」
梓「今の時代、サンタにもいろいろいるんだよ。鼻の光らない喋るトナカイもいるくらいだしね」
唯「それって私のこと!? ひどーい!」
りつ「へぇ……。へんなサンタもいるんだね」
梓「じゃあプレゼントもあげられたし、私たちそろそろ行くね?」
りつ「うん! ありがとうへんなサンタのおねえさんたち!!」
唯(結局変なサンタで覚えられちゃった!!)
数分後
ガチャ
りつ母「さて、りっちゃんにプレゼントあげなきゃ」
りつ「zzz」
りつ母「ぐっすり寝てるわね。じゃあプレゼントを……」
りつ母「……あら?この子カチューシャ握りしめて寝てるわ」
りつ母「結構いいカチューシャね。でもこんなの買ったことあったかしら……?」
りつ「んー……ありがとー……へんなサンター……。zzz」
りつ母「えっ?サンタ……? まさか」
シャンシャンシャンシャン……
りつ母「鈴の音……?」
りつ母(空想の世界の話だとずっと思っていたけど……。本当は、いたのかもしれないわね)
・・・・・・
シャンシャンシャンシャンシャン……
梓「ハァー、ハァーッ……。鈴鳴らすのも結構疲れるんですね」
唯「でしょ?これで少しは私の気持ちが分かったでしょ?あずにゃん」
梓「もう鳴らさなくていいや」ポイッ
唯「って何やってんの! ダメでしょ!サンタとあろうものが鈴捨てちゃ」
唯「鈴の音はサンタのトレードマークなんだから!サンタ協会法でも定められてたよね?」
梓「うっ……。分かりましたよ。鳴らせばいいんでしょう鳴らせば! まったく仕方ありませんね……」シャンシャン
唯「……あずにゃん、こんなんでよく今までサンタやってこれたね……」
梓「いいじゃないですか、たまにはやさぐれサンタがいても。色んなサンタがいた方が面白いでしょ?」
唯「そういう問題じゃないと思う」キッパリ
梓「も、もうその話はこのくらいにして次の家行きますよ!! ほら、降りる準備する!」
唯「ほいほい……」
唯「てかこの家大きい……いやでかすぎるよね!? 大豪邸だよ!!」
梓「確かに煙突もものすごいでかいですね……。入りやすくていいですけど」
唯「じゃああずにゃん、いこっか」
梓「また突き落とさないでくださいよ?」
唯「えっ?」ドンッ
梓「やっぱりこうなるんですかー!」ヒューン……
・・・・・・
つむぎの部屋
斉藤「お嬢様、そろそろお休みの時間でございます」
つむぎ「あら本当、もうそんな時間なのね。…斉藤、今日のパーティーは楽しかった?」
斉藤「はっ。私も存分に楽しませて頂きました」
つむぎ「うふふ……。よかった」
斉藤「では、電気の方を消させて頂きますね」パチッ
斉藤「では私はこれで。お休みなさいませ、お嬢様」
つむぎ「まって、斎藤」
斉藤「何でございましょうか」
つむぎ「……今年はサンタさん、くるかしら」
斉藤「サンタ様ですか……。今年も、必ずお越しになると思われますが」
つむぎ「でも去年もおととしもこなかったじゃない」
斉藤「お、お嬢様……? しかし去年も一昨年もプレゼントを貰っておられたはずでは……?」
つむぎ「……だって知ってるもの。あれは本当はサンタさんからじゃなくてお父さまからのプレゼントなんでしょう?」
斉藤(き、気づいておられたのですかお嬢様……)
斉藤「し、しかしそれはあくまでもお父様が サンタ様から受けっとったプレゼントを代わりに渡しているだけであって……」
つむぎ「ううん、いいのよ斉藤。サンタさんは、本当はいないってこと、わたしわかってるから」
斉藤「お嬢様……」
つむぎ「……ごめんなさい。こんなことお父さまに知られたら、きっとゆめのない子だと思われちゃうわよね」
つむぎ「だから斉藤、このことはお父さまには内しょにしておいてね?」
斉藤「……はっ。もちろんでございます」
つむぎ「うふふ。じゃあ今度こそおやすみなさい」
斉藤「おやすみなさいませ、お嬢様」バタン
つむぎ(……やっぱり斉藤にあんなこというべきじゃなかったかしら。でも、サンタさんはげん実には……)
ニャァアアアアアア!!? ドサドサドサッ
つむぎ「!? な、なに!?」ガバッ
つむぎ「まさか、しん入者!? 今すぐSPに連らくを……」
梓「ま、待って!私は怪しい人じゃない! サンタ!」
つむぎ「え……?サンタ、さん……なの?」
梓「はい。正真正銘、本物のサンタクロースですよ」
つむぎ「!! ほ、本当にサンタさんが来てくれたの!? わたしの家に!?」
唯「そうだよー。私たちはそれが仕事だからね」
つむぎ「わぁー……! 本当にいたんだぁ……!」
梓「当然だよ。やっぱり子供たちに夢を与える人がどこかにいなきゃね。はい、これプレゼントだよ」
つむぎ「……あっ」スッ
梓「どうしたの手引っ込めて? あっ、もしかして手とかケガしてた? じゃあ机の上にでも」
つむぎ「まって!」
梓「えっ?」
つむぎ「……わたしにはプレゼントを受け取るしかくはないわ……」
唯「なんで? あ、ほかのプレゼントの方がよかった?取り替えようか?」
つむぎ「そういうことじゃなくって! その……。わたしはサンタさんなんていないって思ってたゆめのない子どもだから……」
つむぎ「だから、サンタさんからプレゼントをもらうなんてできないわ」
梓「それが理由?」
つむぎ「えっ……?」
梓「言ったでしょ?私たちには子供たちに夢を与える義務があるって」
つむぎ「そ、それはそうかもしれないけど……」
梓「それにつむぎちゃんは本当はサンタさんのこと信じてたんじゃない?」
つむぎ「そ、そんなことないわ、よ……」
梓「だったらベットに吊るしてあるくつ下なあに?」クスクス
つむぎ「! あ、それは……その……」
梓「つむぎちゃんはきっとサンタさんがいないって自分を無理やり納得させてただけだよ。でも大丈夫だよ。現にここにサンタはいるからね」
唯「そうだよつむぎちゃん! 何も遠慮することはないんだよ!」
つむぎ「で、でも……」
梓「じゃあいらないのなら帰っちゃうよ」クルッ
つむぎ「えっ……」
梓「他の子も待ってるからね。いらないというんなら仕方ないね」
梓「ほら、トナ唯行くよ」
唯「えっ!? う、うん」
つむぎ「ま、まって!!」
つむぎ「……やっぱりプレゼント、ほしいです!」
梓「ふふっ、やっぱり欲しいんじゃん。はい、プレゼントだよ」スッ
つむぎ「うぅ……///」
つむぎ「あ、あのあけてもいいですか?」
唯「もちろんだよ!! どうぞどうぞ!」
つむぎ「あ、ありがとう」パカッ
つむぎ「……わー!すてきなティーカップ……! これ本当にもらっていいんですか?」
梓「もちろんだよ。大切にしてね」
唯「また来年も来るから。楽しみにしててね」
つむぎ「……うんっ!」
琴吹家 モニタールーム
『来年も来るから、楽しみにしててね』
『うんっ!!』
斉藤「……まさか、本当に存在したとは…」
紬父「あぁ。私もこの目で見たのは初めてだよ。侵入者かと思ったらまさかサンタであったとはな」
紬父「よし、お前たちはもう下がっていいぞ」
SPたち「はっ」
斉藤「しかしまだ私には信じられませぬ……」
紬父「私もおとぎ話の中だけのものだと思っていたが……。それは我々の決めつけだったのかもな」
紬父「しかし今年はせっかく衣装を新調したのに残念だな……。まさか本物が来るとはな、一本取られたよ」
斉藤「旦那様もお嬢様にプレゼントをあげてこられてはどうですか?」
紬父「私も?」
斉藤「プレゼントを二つ貰って喜ばぬ子供はおりませんよ」
紬父「ふふ……。それもそうだな……。よし、では今年も一つ、夢を運んでくるとしよう」
斉藤「行ってらっしゃいませ、旦那様」
・・・・・・
十数年後の12月25日
音楽室
律「澪ー、もうこのくらいでいいんじゃねーか?」
澪「そうだな、大分片付いたしな。よし、じゃあそろそろ終わ……」ゴソゴソ
澪「……あっ」
紬「? どうしたの澪ちゃん」
澪「いや、懐かしいぬいぐるみが出てきたなって思って」
律「随分ボロボロだな。これ澪のか? 汚いし捨てちゃった方がいいんじゃねー?」
澪「そ、それはダメ!!」
律「あ、わりぃ。大切なものだったか」
澪「うん。もういつだったか忘れたけど、サンタさんに貰ったものだから……」
律紬「サンタ!?」
律「ぷぷぷ!みおちゅわんはもしかしてまだサンタを信じてるんでちゅかー!?」
澪「ち、違う! でもこれは本当に貰ったんだよ!サンタさんに!」
紬「あ……そういえば私もだいぶ前だったけど、サンタさんにプレゼント貰ったことがあったわ」ガサゴソ
紬「ほら、このティーカップ」スッ
律「またまたー。二人とも寝ぼけてて親か誰かと勘違いしたんじゃねーの?」
紬「いいえりっちゃん!あれは間違いなくサンタだったわ!
澪「そ、そうだ!私も間違いなくサンタさんを見た!」
律「本当かよー。大体サンタなんて空想の世界の話で……」
律「……ってあれ?そういえば私も一回だけサンタにプレゼント貰ったことあったような……?」
澪「!! 律、お前もか!!」ガシッ
律「うわー!急に仲間認定するなよ! もしかしたら寝ぼけてただけかもしれないし……」
紬「サンタは絶対いると思います!」
律「どこからそんな自信が!? 根拠はあるのかよ」
紬「ありません!」
律「ないんかい!」
ガチャ
唯「みんな遅くなってごめーん」
梓「遅れてすみません」
澪律紬「……」
唯「え……あれ? み、みんなどうしたの固まっちゃって」
澪「サンタ……」
梓「えっ?」
澪「そういえば私が見たサンタって唯と梓に似てた!!」
唯梓「えぇ!?」
紬「本当……! 思い起こしてみれば唯ちゃんと梓ちゃんにそっくりだったわ」
律「言われてみれば私が見たのも唯と梓に似てたきが……」
梓「あ、あの? 何の話ですか……?」
澪「ああ。ただ昔サンタさんからプレゼント貰った時のこと話してただけだよ。大した話じゃない」
梓「普通に凄い話に聞こえるんですが!?」
ガチャ
さわ子「みんなメリークリスマース! プレゼント持ってきたわよ」
唯「おおっ。サンタの話をしてたらさわちゃんサンタ登場」
律「なんだよプレゼントって……。まさかコスプレ衣装とかじゃないよな」
さわ子「その通りよ!! サンタのコスプレ衣装でーす!」
律「却下」
さわ子「えぇー……。せっかく作ったのに……」
紬「うふふ。 そろそろみんなでケーキ食べましょ?今日はクリスマスケーキ持ってきたの」
唯律さわ子「食べます!!」
梓「はぁ……。今年最後の登校日なのにいつも通りですね……」
唯「練習は来年からやります!」
律「来年から本気だす」
澪「まったく信用できない!」
紬「澪ちゃんも梓ちゃんもケーキ食べましょ?」
澪「ありがとムギ。……まあ今日くらいはいいか。ゆっくりケーキでも食べて楽しもう?梓」
梓「……そうですね!」
シャンシャンシャンシャン……
紬「あら?鈴の音?」
律「なんだよさわちゃん。鈴まで持ってきてたのかよ。テンション高ぇーなぁ」
さわ子「え? 私じゃないわよ」
律「あり?そうなの? じゃあ幻聴か」
澪「いや違う律! これはきっとサンタさんだ!」
律「あらやだこの子ったら。まだそんなこと言ってるのかしらん」
唯「そういえばりっちゃんたちさっきは結局何の話してたの?」
梓「私も気になります」
律「ああ、あれはな、幼い純粋なみおちゃんがサンタさんからプレゼントを貰うっていう心温まる……」
澪「お前も貰ったことあるって言ってただろ!」
・・・・・・
トナ唯「あの子たち、元気みたいでよかったね」
あずサンタ「うん……。私たちのそっくりさんが同じ部にいてびっくりしたけど」
トナ唯「……じゃああずにゃん、今年は久々にこの管轄に戻ってきたわけだし。そろそろプレゼント配る準備しよっか?」
あずサンタ「そうだね。 あっ、鈴はトナ唯よろしくね」
トナ唯「はいはい。結局こうなるのね……」
シャンシャンシャンシャン……
あずサンタ「次はあなたの家にいくかもしれませんよ」
おわる
最終更新:2015年02月10日 22:15