第5話「唯先輩は私の目が届く範囲にいてください!」


ある日の夜。

私はいつものようにギターの練習を終えると、これまたいつものようにギー太を抱いて布団にもぐりこみました。

最近はギターの練習を終えたら一日の感謝をこめてギー太と一緒に寝るようにしているからです。えへへ

私はいつものようにギー太におやすみを言ったあと、彼を抱いて眠りにつこうとしました。

たくさん練習もしたし、今日もいつものようにすぐ眠れると思っていました。





梓「……というわけで今日は一緒に寝ましょう、唯先輩」ガチャ

唯「ぶっ!!? えっ!!?あ、あずにゃん!?」

……突然あずにゃんが私の部屋の窓から入ってくるまでは。


唯「なっ……えっ!?い、意味が分から……、てかそこ2階の窓だよ!?」

梓「何驚いてるんですか。唯先輩のためなら2階の窓から入ることくらい朝飯前ですよ」

唯「突然窓から誰か入ってきたらびっくりするのは当たり前だよ!! ていうかそれより今 夜中だよ!?な、何考えてんのさ、あずにゃん!危ないでしょ!」

梓「何考えてんのかって……そんなの唯先輩のことに決まってるじゃないですか。言わせないでくださいよ恥ずかしい///」

唯「い、意味分かんないよ!!」


梓「? 分かりませんでしたか? だって昨日、私言ったじゃありませんか。『唯先輩は私の目が届く範囲に居てください』って」

唯「そ、それがどうしたっていうのさ」

梓「ハァー……。まだ分かりませんか。だって昨日そんなこと言ったわけですし当然、私には唯先輩のことを監視、監督する義務が発生するでしょう?」

唯「いやちょっと待っt」
梓「待ちません。だから私は今夜は唯先輩と一緒に寝る必要があるんです!!!」

唯「いやいやいやその理屈はおかしい!絶対おかしいって!!」


唯「確かに今日の部活であずにゃんが目が届く範囲にいてとかなんとか言ってた気がするけれど……。
  だからといって普通こんなことしないでしょ! というかちょっと今日のあずにゃんおかしいよ……」

梓「そんなこと言われましても……。だって私、唯先輩がベッドから落ちやしないか、寝違えたりしないか、金縛りにあったりしないか心配で心配で……。
   だからこうするしかなかったんですよ」

唯「そ、そんなこと心配しなくて結構だよ!ていうか余計なお世話だって!!」


唯「とにかく!もう帰りなって!あずにゃんのお父さんとお母さんが心配するでしょ」グイグイ

梓「いーやーでーすー!それに私の両親は今旅行中で当分帰って来ないんで大丈夫です!」グイグイ


梓「もしかして……唯先輩は私と一緒に寝るのが嫌なんですか?」ウルウル

唯「な、泣き落とししようとしてもムダだからね!ダメなものはダメっ!! さぁあずにゃん帰る支度して」

梓「……わかりましたよ。じゃあこれから私は一人でさびしく街灯も少なく危ない夜道を涙を流しながら帰って自分の家のベッドで枕を濡らしてますよ。
  あー、こんなことを強いるなんて唯先輩がこんなに冷たい人だとは思わなかったなー」チラッ


唯「う……。 そんない言い方しなくってもいいじゃん……何か私が悪者みたいになってるし」

梓「唯センパァーイ……」ウルウル


唯「わ、わかったよ! しょうがないなぁ……。あずにゃん、今日だけだからね!!」

梓「!! ありがとうございます!!!唯先輩!」ギュー


唯「こ、コラ!あんまり騒がないの!憂寝てるんだから」

梓「す、すみません。つい……/// その、あまりにも嬉しくて///」

唯「私は全然嬉しくないけどね」

梓「もう、照れなくっていいんですよ唯先輩? まぁ確かに嬉しいことを素直に嬉しいって言うのは簡単なことじゃないですけど///」

唯「すごいポジティブシンキングだね……。なんでそういう解釈になるのさ……」

梓「私としては当然の解釈です。 ……じゃあ早速、一緒に寝ましょうか唯先輩?」モゾモゾ


唯「じゃあ私は別に布団をしいt」
梓「何をおっしゃいますか!!今までの展開から言ってこれは唯先輩も私と一緒に寝る流れに決まってるでしょう!」

唯「知らないよそんな流れ!!」


梓「さぁ、唯先輩? 遠慮なんてしなくていいんですよ……?ほら、私の隣に」パンパン

唯「遠慮も何も、それ私のベッドなのに……」

梓「じゃあなおさら遠慮はいらないじゃないですか。唯先輩、いつでも飛び込んできてくれてかまいませんよ?」

唯「いや、いいよやっぱり。私はお布団で寝るから。今日はあずにゃんが一人でベッド使ってくれていいよ、じゃあおやすみ電気消しちゃうね」

梓「! 待ってください!!」ガシッ

唯「ちょっ! あずにゃん手離してよ!電気消せないでしょ!」


梓「……唯先輩が私と一緒に寝るって約束してくれたら離します」

唯「は、はぁ!? てかなんでそもそもあずにゃんはそんなに私と寝たがるのさ!」

唯「私寝相悪いし、それに二人で寝るとベッドも狭くなっちゃうし何もメリットがないでしょ!」

梓「それでもいいんです!! それ込みでも私は唯先輩と一緒に寝たいんですー!」ジタバタ

唯「そ、そんなにバタバタしないの!ほこり立っちゃうでしょ!」

梓「……じゃあ唯先輩が私に布団かけてくれたらジタバタするのやめます」

唯「……わかったよ。布団かけるだけだからね? じゃああずにゃん、じっとしててn」
梓「確保ーっ!!!」ガシッ

唯「ギャーッ!!」


梓「ふっふっふ、かかりましたね!唯先輩! さぁ観念して私と一緒に寝ましょう!!」

唯「こ、こんな強引な手は無効だよー! はなしてー!」ジタバタ

梓「そ、そんなに必死に抵抗しなくたっていいじゃないですか。 ……唯先輩はそんなに私と寝るのが嫌なんですか?」グスッ

唯「い、いやってわけじゃあないけど……。 でも、その、何というか恥ずかしいっていうか……///」ゴニョゴニョ

梓「恥ずかしい……? ?何が恥ずかしいんですか? ただ一緒にベッドで寝るだけじゃないですか」

唯「だって……。 その、あずにゃんと一緒に寝るの、初めてだから……」

梓「まぁ今夜は寝かしませんけどね」ボソッ

唯「え? あずにゃん何か言った?」


梓「いやいや何でもありません。 ……私も唯先輩と一緒に寝るのは初めてですよ? 初めてなのはお互い様です!」

梓「だから恥ずかしがる必要性なんてどこにもないんですよ、唯先輩?」

唯「そ、そうなのかな……」

梓「そうですよ。いやそうに決まってます!さぁ、唯先輩、電気を消しましょう。そして一緒に寝ましょう」

唯「う、うんわかったよあずにゃん」パチッ

梓(にゃふふ、説得成功ですっ!!)



唯「じゃああずにゃん、ちょっと狭いけど、おやすみー」

梓「はい。おやすみなさーい」ギュー


唯「……あずにゃん」

梓「なんですかー?」ギュー

唯「なんで私の体に抱き着いてるの……?」

梓「あぁ、私いつも抱き枕抱いて寝てるんですよ。でも今日はそれがないので代わりに唯先輩を抱いて寝ようと思って……」

唯「な、なにそれ! それじゃ私が寝れないじゃん!」

梓「? なんでですか?別にただ私は抱き着くだけで唯先輩の安眠を妨げる気はありませんよ?」

唯「で、でも……。なんか緊張しちゃってこのままじゃ眠れないよー」ドキドキ

梓「なんで今更緊張するんですか。毎日部室で自分から抱き着いてるくせに」

唯「だ、だってそれとこれとはまるで状況が違うから……。なんかドキドキしちゃって……」


梓「へぇー。部室とは違ってベッドで抱き着かれるとドキドキしちゃうんですかー。どうしてですかー?」ニヤニヤ

唯「そ、それは……、その……///」

梓「もしかして私とあんなことやこんなことをする想像でもしちゃったんですかー?」ニヤニヤ

唯「! そ、そんなことないもん!!」

梓「強がってるわりにはお顔が真っ赤ですよ。唯先輩?」クスクス

唯「……!!///」カァー


梓「……唯先輩?正直に答えてください」

唯「……ゴメン。実を言うとちょっとあずにゃんと大人のことをする想像しちゃった…」

梓「正直でよろしいです。 まぁ私も唯先輩と……する想像をしちゃったんですけどね」


唯「……あずにゃん///」


梓「……唯先輩」

唯「な、なにあずにゃん」ドキッ

梓「……実際にしてみませんか?大人のこと」

唯「……え? えっ!?」


唯「あ、あずにゃん!それはいくらなんでも!!」

梓「大丈夫ですよ。私、唯先輩のこと好きですから」

唯「!? な、なっ……!?あずにゃん!?」

梓「そんなに驚くことないでしょう。だいたい、唯先輩のこと好きじゃなかったら『私の目が届く範囲にいてください』とかいいませんよ」


梓「……唯先輩も私のこと好きですよね?」

唯「そ、それはまぁ、その、好き……なのかな……」

梓「じゃあ何の問題もないじゃないですか。大人のことしちゃっても」

唯「そ、そうなのかな……?」

梓「そうですよ。好きな者同士で大人のことをする……ごく自然なことですよ」

唯「そ、そうだよね!みんなが通る道だよね……?」

梓「そうです!! ……だから唯先輩、いいですよね?」


唯「う、うん分かったよ、あずにゃん」

梓「じゃ、じゃあ唯先輩、 いいですよね?」ドキドキ

唯「う、うん……」ドキドキ

梓「で、では行きますよ! 失礼しますっ!!」ガバッ

ガチャ

憂「おねえちゃーん……眠れなくって……。一緒に寝よ……」

憂「って梓ちゃん!?なんでお姉ちゃんの部屋に梓ちゃんがいるの!?」

梓「」


・・・・・・

憂「まったく!梓ちゃん!!えっちなことをしようとするのはよくないと思うな!めっだよ!!」ガミガミガミ

梓「はい……すみなせん……」


憂「それに夜中に一人で外出しちゃ危ないでしょ!! 何かあったらどうするの!」

梓「反省してます……」


唯「で、でも憂。無理やりにでも家に帰さなかった私も悪いんだからもうその辺で許してあげて?」

憂「お姉ちゃんがそういうなら……」

梓「憂も唯先輩もごめんなさい。つい、気分が高揚してしまって……」 

唯「しょ、しょうがないよあずにゃん。あんな雰囲気だったんだもん」

憂「あはは……(どんな雰囲気だったんだろう……)」


唯「よし!お説教タイムはもう終わり!! 憂、あずにゃん。せっかくだし三人で寝よっか」

梓「……えっ!? さ、三人でですか!?」

唯「そうだよー。憂もいいでしょ?」

憂「私は別にかまわないよ」

唯「じゃあ決まりだね!三人で寝よう!」

梓「は、はい!!(結果オーライですっ!)」

唯「じゃあ今度こそおやすみー(ふぅ……これでやっと寝れるよ)」パチッ


数十分後


梓「……ムニャムニャ。唯先輩ー……zzz」ギュー

憂「おねえちゃーん……zzz」ムギュー

唯(……これじゃ結局寝れないよぉー!!)ウワーン