第16話「相合傘」
ある梅雨の放課後
ドザァァアアア!!!
律「うおっ!! 外すごい雨だな!」
澪「ほんと、滝のような雨だな……。そういえば、天気予報でも今日から梅雨入りしたって言ってたしな」
澪「さて、雨はすごいことになってるけど帰るとするか。お前も濡れないように気を付けて帰れよ、律」
律「……」
澪「……?オイ、律どうしたんだよ? 帰らないのか?」
律「……カサワスレタ」
澪「んなっ!!?」
澪「お、おいだって今日は一日中雨だって天気予報で言ってただろ!なのにどうして傘持ってこなかったんだよ!」
律「だって朝は雨降ってなかったし、それに今朝は寝坊して天気予報どころじゃなかったんだよ!私は悪くない!!」
澪「どう考えても悪いのはお前だ」ゴチンッ
律「あだっ」
澪「はぁ、まったくあきれた…。私も今日は予備の傘持ってきてないぞ」
律「何言ってんだ澪。予備の傘なんて必要ないだろ」
澪「え……?どういうことだよ」
律「こういうことだー!!」ガバッ
澪「!? ちょっ!何するんだよ律!!いくらなんでもこの傘で二人入るのは狭いだろ!」
律「えー、いーじゃん別にぃ。ちょっとくらい狭くてもさ」
澪「ちっとも良くない!エリザベスが雨で濡れちゃうだろ!」
律「……じゃあ澪は私が雨に濡れてもいいっていうのか?」
澪「自業自得だろ」
律「ひどい!!私にこの滝のような雨の中、服も靴も何もかも全部びっちょびちょになりながら帰れっていうのか!!?」
律「澪のオニ!アクマ!!」
澪「なんでそこまで言われなきゃいけないんだよ!」
澪「はぁ、まったくしょうがないなぁ……。次からはちゃんと傘持って来いよ。ほら、入れ」
律「みおしゃん……! ありがとー!!」ギューッ
澪「だー!!雨降ってるのに抱き着くな!濡れちゃうだろ! そんなことするなら本当に置いてくぞ!」
律「……もし置いていったらみんなに澪はオニアクマだって言いふらす」
澪「さて置いてくか」スタスタ
律「うわー!!冗談だから置いてかないでー!!」
・・・・・・
ザァー……
律「雨なかなかやまないな」
澪「そうだな……」
律「そういえばさ」
澪「なんだ?」
律「いや、こうして二人で同じ傘に入って帰るのっていつ以来だったかな……って思ったんだ」
澪「そういえば昔は雨の日はよく同じ傘に入って帰ってたかもな……」
澪「まあ、それも毎回お前が傘忘れてくるせいだったけど」
律「そ、そうだったっけ?ヨクオボエテナイナー」
澪「私はそのおかげで毎回 律にちょっかい出されてびちょびちょに濡らされてたからよく覚えてます!」
律「まあ細かいことはいーじゃんいーじゃん。昔のことだしさ。こんなに雨も降ってることだし、全て水に流そうぜー」
澪「上手いこと言ったつもりなのかもしれないけど 私はずっと忘れないからな」
律「やっぱりオニアクマだ」ボソッ
澪「何か言ったか?」ジロッ
律「な、なんでもないのよん? あ!あの水たまりでっけーな!琵琶湖なみにあるんじゃねーか!?ほら、見てみろよ澪!」
澪「露骨に話逸らすな!」
澪「……でも本当に大きいな。こんなに大きかったら通りづらいな、気を付けていかないと」
律「あー!!後ろから車がー!!」
澪「わひゃあ!!?」グラッ
律「ぷっ…!あははは!!うそだよーん。やーい、こけそうになってやんのー。あははは!!」
澪「りーつー……?」ジロォ
律「は……ゴメンナサイ」
澪「もう怒った!今度という今度は許さないからな!」プイッ
律「ねー、澪ぉー。ごめんってばぁー」ユサユサ
澪「……」プイッ
律「なぁー澪ー、許してよー。今度 澪が好きなバンドのCD貸してあげるからさー」ユサユサ
澪「……本当?」
律「あぁ、もちのロンだ!絶対貸すからさ!!」
澪「……じゃあ今回だけは特別に許してあげる。でも次になんか変なことしたら許さないからな!」
律「さっすが澪しゃん!! 心の友よー!」ギュー
澪「って言ってるそばから!こ、こら抱き着くなって!!/// まったく、もう///」
・・・・・・
唯「ふいー、やっと雨あがったねー。今日はもうアイス買いに行けないと思ったけど、よかったぁ」
憂「そうだねー。 ……あれ?あの人たちは…」
唯「? どしたの憂……ってあれは!
ミオー、モットソッチヨレヨー チョッ…ソンナニヒッツクナヨー!///
唯「澪ちゃんとりっちゃんだ! もう雨止んでるのに相合傘とは…。仲良しですなぁ」
憂「ふふっ。本当だね」ニコニコ
律「澪しゃーん♪」スリスリ
澪「だー!!そんなに寄ってくるなぁー///!」
その後、雨が止んでいるのに相合傘していたのに気付いた澪ちゃんが 恥ずかしさのあまり気絶してしまったのはまた別のお話
おわる
最終更新:2015年02月10日 23:35