第19話 「一番くじ」

音楽室


ガチャ

律「ちょりーっす」

澪「やあ律。やっと来たか」

律「あれ?今日は澪だけか。今日何かあったっけ…?」

澪「何いってるんだ律。今日は一番くじ戦争の日じゃないか」

律「は…?せ、戦争……?な、何言ってるんだ澪。熱でもあるのか?」

澪「ああ!私は今けいおんの一番くじへの情熱に満ち溢れている!!」

律「は、はぁ?」

澪「よし、律。それじゃ早速行くぞ」

律「行くってどこにだよ」

澪「決まってるじゃないか。けいおんの一番くじを引きに行くんだよ。さあ行くぞ律!!」グイッ

律「強制的に連れてくつもりかよ!!」

律「でもその何だっけ……一番くじ?ってのはどこでやってるんだ」

澪「今回のはホビーショップとか、ローソンとかでやってるみたいだな」

律「へぇ…。おもちゃ屋さんだけじゃなくてコンビニとかでもやってるのか」

澪「ただ今回の戦争には一つ問題がある」

律「戦争って…。そんな大層なもんでもないだろうに」

澪「いや、一番くじを甘く見るな律!! 現に私は過去のくじで、沢山の犠牲者を目にしてきたからな」

澪「買い占められて引けなかった者、目の前で売り切れて引けなかった者、自転車が壊れてて戦地に赴けなかった者…
  過去にはたくさんの犠牲者がいたんだ」

律「いや最後のは犠牲っていうか自己責任だろ」

澪「とにかく!今回は開催店舗も少ないし激戦が予想される! ここで立ち話してる場合じゃない!行くぞ、律!!」

律「ってか何で私も行かなきゃなんないんだよ!澪一人で行けばいいじゃんか」

澪「馬鹿だなぁ。もし回数制限があるところに当たったら困るだろ? だから人数は多いに越したことはない!!」

律「現金なやつだ!!」

・・・・・・

律「…で?まずはどこに向かうんだ?」

澪「最初はここから一番近いローソンに行こうと思う」

律「ここから一番近いってなると…。あぁ、校門を出てすぐのあそこのローソンだな」

澪「いや、そこじゃない。そこは開催店舗じゃないからな」

律「え?じゃあどこだよ」

澪「隣の学区にあるローソンだ」


律「は?隣の学区…!?それって結構遠くねぇか?5kmくらいあるぞ」

澪「さっきも言ったけど今回は開催店舗が少ない。だから仕方ない」

律「でもなぁ…。自転車で行くにしても結構疲れるぜ…?」

澪「大丈夫だ。今日はパ…お父さんの車を借りてきてある」ジャーン

律「そういやお前免許持ってたっけ…(※4話参照)」



澪「というわけで早速向かうぞ律!!」

律「はいはい」

・・・・・・

澪「ふぅ…。流石に車だとわりとすぐについたな」

律「なんかいつも通りにしかみえないけど…。本当にくじなんてやってんのか?」

澪「くじの景品は見えないところに置いてあるかもしれない。ほら、行くぞ律」

律「あ、私も行くのね…」


ティンローン

店員「いらっしゃいませー」

澪「さて、くじはどこかなっと…」

曽我部「あ、秋山さん!?」

澪「そ、曽我部先輩!?どうしてここに!?」

曽我部「もう///私はもう高校卒業したんだから先輩呼びなんてしなくていいのに」

曽我部「私はけいおんのくじを引きに来たの。近くにやってるところここしかなかったから…。もしかして秋山さんも?」

澪「は、はい!私もです。」

曽我部「やだ凄い偶然ね///。 今日はくじ引きに来て本当に良かったわ」

※曽我部先輩についての参考URL
http://dic.pixiv.net/a/%E6%9B%BD%E6%88%91%E9%83%A8%E6%81%B5

律「先輩はもうくじ?は引いたんですか?」

曽我部「私も今来たところだったの。それで、今から引こうと思ってたところなの」

澪「じゃあ曽我部先輩、お先にどうぞ」

曽我部「えっ?いいの?」

澪「先に来てたのは曽我部先輩ですし。それに後輩の私から先に引くなんてできませんよ」

曽我部「ありがとう秋山さん。じゃあ先に引かせてもらうわね」

曽我部「すみませーん!けいおんのくじ、5回お願いしまーす!」

・・・・・・

澪「下位賞ばかりでしたね…。残念でしたね…」

曽我部「ううん。私、引けただけで満足だから」


曽我部「さあ次は秋山さんの番よ。上位賞当たるといいわね」

曽我部「じゃあ私、そろそろ行くわね?今日は会えて嬉しかったわ。またね秋山さん、それに田井中さんっ」

ティンローン

店員「ありがとうございましたー」


律「行っちゃったな。あー、相変わらず何か生徒会長っぽい雰囲気は健在だなー」

澪「まあそれはともかく。曽我部先輩の分まで、上位賞当てるぞ!! すみません、けいおんのくじください!」

店員「あー、けいおんのくじなんですけどね。さっきの方が買った分で売り切れてしまいました」

澪「え」



律「ありー…。澪、残念だったな…」

澪「次…」

律「え?」

澪「こうしちゃいられない!次行くぞ、律!!」ガシッ ダッ

律「ちょっ!? うわぁ!!」

・・・・・・

律「ハァ…ハァ…。あんな強引に引っ張ることないだろ。まだ腕痛いぞ」

律「てか次って一体どこ行くんだよ…。もう近くのコンビニではやってないんだろ?」

澪「今度は百合ヶ丘駅にあるデパートに行く」

律「は?駅…?てか百合ヶ丘って桜ヶ丘の隣駅の?」

澪「そうだ。そこのデパートの7Fのホビーショップでくじを取り扱ってるらしい。そこに向かうぞ」

律「確かあのデパートってめちゃくちゃ大きかったような…。ちっちゃい頃私も行ったことあるけど聡とか迷子になってたし」

澪「デパート内の案内板とか見れば大丈夫だろ。行くぞ!!」


デパート店内

律「うひゃー…やっぱ広ぇー……。さすが県内有数のショッピングセンターだけあるな」

澪「よし、じゃあ早速7Fに向かうぞ。えーと、エレベーターはっと…」

律「あ、エレベーターならデパートの入口の案内図に場所が書いてあったな。こっちだ、ついてこーい」


5分後

律「まよった」

澪「うぉおおい……。何やってるんだよ…」

律「確かこの辺だったはずだったんだけどなぁ…。さっきのとこ左だったかな」


和「…あら?澪と律じゃない」

律「和!? どうしてここに!?」

和「私は7Fの書店に用があってきたんだけど…。澪たちは?」

澪「ああ。私たちはくじを引きにきたんだ」

和「くじ……?福引みたいなものかしら。なんだか澪も主婦っぽいところがあるのね」

澪「いやいや福引なんてそんな生易しいレベルのものじゃない。これは戦いなんだ」

和「そ、そうなの…。なんだか大変そうね」

律「で、ちょうど私たちも7Fに行こうとしてたところだったんだけど…」

和「あら、そうだったの。じゃあ一緒に行こうか?」

澪「本当か!?ありがとう和!」

和「確かエレベーターは…あっちの方にあったはずね」



5分後

和「あれ?さっきいた場所に戻ってきたわね」

澪「和でしても迷うとは…」

律「私が迷うのも無理ないなっ」

澪「んなこと堂々と言ってる場合か!!」

和「店員に聞いた方が早いかもね。すみませーん!」

・・・・・・

7F

澪「はぁ…。やっとついた…」

律「エレベーターも凄い混みっぷりだったな…。みんなくじ目的だったりして」

澪「! こうしちゃいられない!行くぞ律!!」ガシッ

澪「またな、和!!」ダッ

律「だから腕を引っ張るなってのぉおお!!」


和「……本当になんだか大変そうね」


澪「よし!ホビーショップはここだな!」キキィ

律「うぶっ!! 急に止まるなよ!」


澪「ごめんごめん。それはともかく!今はくじだ!!」

澪「すみません!けいおんのくじください!」

店員「あー、けいおんのくじなんですが、ついさっき買い占められた方がいまして…」

澪「え」

・・・・・・

澪「バカな……。まさか二連敗を喫するとは…」

律「みおー、もう諦めようぜ。どっちにしろ市内ではもうやってる所ないんだろ?」

澪「いや、まだ市外がある」

律「市外…?隣の市まで行くってことか?」

澪「そういうことだ。さあ行くぞ律!!」

律「すごい執念だなオイ!」


澪「次の店は結構遠いところだな……。すまん律、カーナビつけてくれ」

律「カーナビ? あっこれか」ピッ

カーナビ「ウィーン」

澪「目的地を入力してっと……」ピッピッ

澪「よし。これで大丈夫だ。さあ行くぞ律」

律「へいへい」

・・・・・・

律「なーみおー。もう結構走ってるけどいつ着くんだー?」

ポンッ モクテキチマデアト10キロデス

澪「…あと10キロくらいみたいだから20分くらいかかるかも」

律「えぇー!? そんなかかるの?」

澪「仕方ないだろ。今回は開催店舗が少ないんだから」

律「……じゃあ着くまでカーナビであそんでよ」ポチッ

澪「おい。あんま変なボタン押すなよー?」

律「わーてるって」ポチッ

カーナビ「ポンッ ユーモアモードを起動します」

澪「言ったそばからユーモアモード押してるし…。こら律。目的地に着けなくなるからやめろ」

律「えー…。じゃあこの冷静モードってのやってみるか…」ポチッ

澪「冷静モード……?そんなのあったのか」

律「そんなのあったのかって、これ澪ん家のカーナビじゃんか」

澪「パパの車のだからあんまり触ったことないんだよ。でもまあ冷静モードなら大丈夫……」

カーナビ「ポンッ さっきの道左でしたけど直ちに影響はありません」

澪「じゃなかった!!」

澪「ああ、さっきの道左だったってことはUターンして戻らないと……」

律「直ちに影響ないって言ってるし大丈夫じゃねーの?」

澪「道の場合はそうも行かないだろ。まったく変な機能ばかりだな、このカーナビは」

カーナビ「ポンッ イライラするのは運転に良くありません。冷静さを保ちましょう」

澪「余計なお世話だよ!」


澪「まったく…。もう普通のに戻すぞ」ポチッ

律「ああん。結構面白かったのに…」


澪「運転者にとってはいい迷惑! …よし。そんなこんなしてる内にもうすぐ着くぞ」

律「……今度こそくじ引けるといいな澪」

澪「律……! 応援してくれるのか!」

律「そして当たった景品をお宝鑑定団に出してお金をババーンと!」

澪「売・り・ま・せ・んー!」


・・・・・・

澪「着いた!」

律「ひょえー…。この辺は初めてくるなー…。なんだか新鮮」

澪「よし、じゃあ早速くじを…」

律「あっ、澪!あそこに楽器屋さんがあるぜー!!行こー」グイグイ

澪「今はくじが先!!」

ティンローン

澪「くじあるかな……」

曽我部「いらっしゃいま……って秋山さん!?」

澪「うぇえっ!? そ、曽我部先輩っ!?ど、どうして!?」

曽我部「私ここでバイトしてるの。それで今日はバイト前にくじを引きにいってたんだけど……」

律「す、すごい偶然だな……」


律「でもここも開催店舗なんですよね?何で曽我部先輩はわざわざ私らの地元まで来たんですか?」

曽我部「えっ?ここは開催店舗じゃないわよ?」

澪律「えっ」

澪「えっ、だっ、だって先輩、このサイトにはここが開催店舗って……」

曽我部「ああそのサイトね。そこは古い情報とかがたまにそのまま載ってたりするから……」

澪「そ、そんなぁ〜……」ガックリ

律「澪……。くじの代わりにこの当たりつきのお菓子買ってやるから泣き止めって」

澪「そんなんじゃやだっ! 私はくじが引きたいの!」

曽我部「秋山さん……」


曽我部「…そうだ! 秋山さん、ちょっとそこで待ってて」

澪「……?」グスッ

・・・・・・

数分後


曽我部「秋山さん!朗報よ!!」

澪「えっ…?」

曽我部「いま店長に確認してみたら、この近くの○△町のローソンでくじやってるって!!」

澪「ほ、本当ですか!!?」ガバッ

曽我部「そこは最近できたとこだからサイトには載ってなかったみたい。しかもまだ沢山残ってるそうよ!」

澪「!! ありがとうございます先輩! よし、律。行くぞ!!」グイー

律「どわぁああ!!だから張り切りすぎだってのぉ!」


ティンローン


曽根部「……くじ引けるといいわね、秋山さんっ」

澪「よし!○△町に急行だ!! しっかり捕まってろよ律!」ブオーン

律「おい!ちゃんと制限速度は守れよ?」

澪「分かってるって。…待ってろよ、一番くじ。今度こそ決着をつけてやるからな!!」


・・・・・・

○△町 ローソン前駐車場


律「澪のやつくじ引けたかなー」

澪「律!!くじ引けたよ!」ドッサリ

律「ってめちゃくちゃ引いてるし!!」


澪「この日のために沢山貯金してたからな///。おかげで欲しいのも手に入ったし」

律「どれ?何があたったのか見せて」

澪「!! そ、それはダメ!」

律「あ、澪。バックミラーに何やら黒い影が!」

澪「ひっ!!?」

律「スキあり!」バッ

澪「あっ、こら律。返せ!」

律「見るだけだってー」ガサゴソ

律「あ…///こ、これは…///」

澪「///」

律「私と澪のフィギュア…///」

澪「これだけはどうしても当てたかったんだ///。ほ、ほら幼馴染だしなっ」

律「…みおしゃーん!!」ギューッ

澪「うわぁっ!こんなところで抱きつくなっての!///」

澪(今日は大変だったけど…無事にくじ引けてよかった!)


カーナビ「…ポンッ 律澪は正義!」


おわり



ちなみにどうでもいい話ですが、>>1は13回引いてA、B、F×2、H×2、I、J×6という結果になりました
ただJ賞6つのうち4つ唯を引くという凄まじい引きをしてしまいましたがw



最終更新:2015年02月10日 23:41