第23.5話 「唯誕」

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       |.:.:||==∧l厶 !\:.:.:| f升iハ |:ヽ|:.イヽ.:.:.:'、  11月27日は私の誕生日だよー
.         '.:八:.:.|i f爪ハ  \! 弋)リ | .:.:.: | }.:.:.:.:ヽ
        ヽハ\、弋)リ ,    ////!.:.:.:.:.|'´.::.:.:.:.: |
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〜唯の誕生日の10日ほど前〜


音楽室


梓「あ、そういえばもうそろそろ唯先輩の誕生日でしたね」

唯「おっ!あずにゃん覚えててくれたんだね!?うれしいよー」ギューッ

梓「やめてください/// ……で、誕生日プレゼントのことなんですけど……」

唯「あ!もしかして先にくれるの!?」

梓「ええまあ。はい、どうぞ」ペラッ

唯「ありがとー! これ何?ポイントカードみたいだけど?」

梓「まあそれに似てますかね」

唯「へー?何のポイントカードなのあずにゃんっ」

梓「唯先輩の誕生日プレゼントと交換するためのポイントカードです」

唯「へぇー!」



唯「……えっ?」


梓「ほら、裏面にスタンプみたいなの押せる欄があるじゃないですか?そこに1時間勉強するごとにスタンプ押してあげますから」

唯「ちょっ!? ポイント貯めないとプレゼントもらえないの!?」

梓「はい。唯先輩にもっとしっかりしてもらうために、今年は少し厳しくしてみました」

唯「そ、そんなぁ……。てかあずにゃんさん、私の目にはスタンプ欄が20個ほどあるように見えるんですが……?」

梓「これでも甘くしたんですよ。誕生日までに20時間勉強したら、唯先輩に誕生日プレゼントあげます」

唯「に、20時間!!? そんな長時間無理だよ!!」

梓「毎日2時間ずつやってください! それぐらい、高校生なんだから当たり前の勉強時間です!」

唯「しょ、しょんなぁ〜……」ガックリ

梓「そして勉強が終わったらこのタイマーに勉強時間を記録してください。毎日確認して、スタンプあげますから」スッ

唯「はーい……」

・・・・・・


部活後 平沢家


唯「はぁー……。プレゼントのために勉強しなくちゃぁー……。まったく、あずにゃんも一日2時間とか厳しすぎるよっ」プンプン

唯「とりあえず、やらなきゃ。……とりあえず生物でもやろ」ゴソゴソ

唯「えーと、遺伝の法則について。遺伝子系がAAとaaの個体が交配した場合、そこから生まれる新個体の遺伝子系を答えなさい、か


唯「えーとAAとaaだから……?」

唯「……?」



10分後


唯「まったく、なんで私の机はこんなに汚いかな。やっぱり勉強の前には机の整理だよね!よいしょっと……」ドサッ

唯「あ!これ前に澪ちゃんから借りたままの小説だ。こんなとこにあったとは…」ペラペラ

唯「………」ペラペラ


そして2時間後

唯「はぁー、読み終わったぁー」パタッ

憂「おねえちゃーん?そろそろお風呂入らないと」ガチャ

唯「はっ!もうそんな時間!?どうしよう勉強しなきゃいけないのに……」アワアワ

憂「お風呂冷めちゃうよ?」

唯「う、うん今入るよ」スクッ

唯(……まあ明日からやればいっかー)


翌日

音楽室


梓「唯先輩、どうですか?順調ですか?」

唯「えっ?何が?」

梓「何がじゃないでしょ……。ほら、勉強のこと」

唯「あっ……! ……ま、まあまあ順調かな?」ダラダラ

梓「じゃあ昨日渡したタイマー見せてください」

唯「ふぇっ!? な、なんで……?」

梓「毎日スタンプ押すって言ったじゃないですか。ほら、タイマー出して」

唯「どうぞ……」スッ


梓「あれ? って勉強時間ゼロじゃないですか! 何か怪しいと思ったら、やっぱりやってなかったんですね!」

唯「き、昨日は机の整理とかして今日から本格的にやろうかと思ってたの!! 今日からちゃんとやるよ!」

梓「唯先輩のちゃんとやるは信用できません!」

唯「ひどいよあずにゃん……」

梓「はぁ……。とにかくプレゼントは20時間が絶対条件ですからね!今日からは本当にちゃんとやってくださいよ?いいですねっ!」

唯「……はぁーい」


平沢家


唯「はぁ……。今日こそ真面目にやらないと。プレゼント貰えないのはいやだし」ガサゴソ

唯「よーし!やーるぞー! 今日は日本史から!」フンスッ

唯「えーと、次のうち徳川吉宗が行った政策を選びなさい。1上米の制、2三方領地替え、3田畑永年売買の禁令の制定、4元禄小判の鋳造」

唯「えーと、徳川吉宗だから……?」

唯「……」コロコロ

唯「あっ、外れたっ!」


一時間後


唯「はひー……。や、やっと一時間終わった……。とりあえずタイマーに入力してっと……」ピッピッ

タイマー「ユイセンパイゴクロウサマデス。アト19ジカンガンバッテクダサイ」

唯「あ、あずにゃんの声だ。凄い高性能だねこのタイマー…」シゲシゲ

唯「にしてもあと一時間もやらなきゃとかもう無理だよー。しかも昨日の分も取り戻さなきゃだし……」

唯「……!」ピコーン

唯「そうだ、一時間くらい多めに入力しちゃえばいいんだ!このくらいならバレないよね」ピッピッ

ビリビリビリ

唯「あう"っ!!!」

タイマー「ユイセンパイガスルコト ナンテオミトオシデス!! バツトシテ1ポイントボッシュウデス!」ポシュウ…

唯「あぁー!!せっかく貯めたのにーっ!!」


唯「やっぱり真面目にやらなきゃダメかぁー……」ガックリ

唯「でも今日は疲れたし眠いしもういいかな……」ウトウト

唯「はっ!ってダメダメ!! そんなことしたら明日以降もっと大変になる!」

唯「ああ、でも眠気が……」ウトウト

唯「……zzz」


翌日


梓「どうですか唯先輩?昨日は勉強できましたか?」

唯「…………」

梓「またできなかったんですか」ハァー…

梓「まあいいです。とにかくタイマー見せてください」

唯「だって昨日はちゃんと一時間も勉強したのに、ちょっと入力間違えたら没収されちゃったんだよ!さすがにひどいよ!」

梓「ズルしようとするのがいけないんです! とにかく、今日から気持ちを切り替えて頑張ってください」

唯「はぁ〜い……」

・・・・・・

それから6日後


梓「あの?唯センパイ?」

唯「な、ナンデスカ?」ダラダラ

梓「明後日ですよね?唯先輩の誕生日」

唯「ソダネ」

梓「なのに私の目には空欄があと10個ほどあるように見えるんですが……」

唯「きょ、今日と明日頑張るから!!だからプレゼントだけはっ!!」

唯「だからあずにゃん?ちょっとだけスタンプおまけして?」

梓「ダメです」キッパリ

唯「そ、そんなぁ〜……。一日5時間なんて無理だよー……」

梓「毎日ちゃんとやらないのがいけないんです! とにかく、スタンプが埋まらないとプレゼントあげませんからねっ!」

唯「ちぇー……」

平沢家


唯「えーと、栄養ドリンクに、ブラックガムに、鉢巻と……」コトッコトッ

唯「とにかく頑張って今日と明日は勉強しなきゃ……。プレゼントのために!」

唯「よし!やるぞー!!」


一時間後

唯「さっそく眠気が……」ウトウト

唯「でもだいじょーぶ!これがあるからね!! 栄養ドリンクっ!」

唯「10秒チャージッ!!」ゴクゴクッ

唯「ぷはぁーっ!!ふっふっふー!眠気なんてこの平沢唯にかかればイチコロなのです!」

唯「よーし! この勢いであと4時間! 頑張るぞー!!」


さらに10分後


唯「あれ……?またねむけが……?」ウトウト

唯「くっ。栄養ドリンク程度じゃダメだったみたいだね……。でもまだこれがあるよ! ブラックガム!」

唯「これさえあれば眠気スッキリのはず……」モムモム

唯「はぁー辛い!! でも今度こそこれで大丈夫!」

唯「眠気など私の敵ではないのだー!!」カリカリカリ

それから30分後


憂「おねえちゃん夜食もってきたよー」ガチャ

唯「zzz」

憂「って寝てる!?」


憂「おねえちゃん? 寝てるの?」ユサユサ

唯「……はっ! あれ!?いつの間にか寝ちゃってた!?」

憂「眠いなら寝たほうがいいんじゃない? 無理に勉強しても体に悪いよ」

唯「でもそしたらあずにゃんのプレゼントが……」


憂「じゃあ朝早起きしてやればいいんじゃない?」

唯「早起き?」

憂「そう。それに朝勉強すると、記憶もしやすいんだって」

唯「おー!ならいいことづくめだね! 私決めたよ、憂!とりあえず今は寝て、朝勉強するよ!!」

憂「クスッ。頑張ってね、おねちゃん」

唯「まっかせなさーい」フンスッ

憂「じゃあ電気消しちゃうね?おやすみ」パチッ

唯「うんおやすみー」


翌日

音楽室


梓「唯センパイ?」

唯「は、はひっ」

梓「タイマーを見る限り昨日の勉強時間は1時間みたいですけど?」

唯「けけけ計画では早起きして4時間くらいやるつもりだったんだよ!? でも目覚ましの電池が抜けてて……」

梓「言い訳は結構です!……はぁ、これじゃプレゼントは無理そうですね」

唯「今日頑張るから!だからプレゼントはっ!!」

梓「流石に今日だけで9時間は無理でしょ。だからもう諦めてください」

唯「そんなこと言わないであずにゃーん! もう一度だけチャンスをどうか私にっ!!」

唯「このとおり!!」ドゲザー

梓「まったく何やってるんですか……」


梓「はぁ……、分かりましたよ。そこまで言うんだったらチャンスをあげましょう」

唯「本当に!? ありがとうあずにゃん!」

梓「確か唯先輩のクラスでは明日古典の小テストがありましたよね?」

唯「う、うん」

梓「もしそのテストで100点とれたら、スタンプ9個一気に押してあげます」

唯「ひゃ、100点!? 待ってよあずにゃん!明日の小テストは今年一番難しい範囲なんだよ!だからせめて70点くらいに……」

梓「ダメです。プレゼント欲しいなら頑張って100点とってください」

唯「あずにゃんのケチ……」

梓「そんなこと言うんだったらこのチャンス取り消してしまってもいいんですよ?」ニコニコ

唯「わー!やりますから!やるからそれだけは勘弁してーっ!!」

・・・・・・


憂「はぁーっ、やーっと宿題終わったぁ」ノビー

憂「もう1時近くかぁ。そろそろ寝なくちゃ」

憂(その前にトイレ行こう……)ガチャ

憂「あれ?お姉ちゃんの部屋まだ電気ついてる」

憂「おねえちゃーん?」ガチャ

唯「なにーういー?」カリカリカリ

憂「まだ勉強してたの?もう1時だしそろそろ寝ないと」

唯「ダメだよ憂。あずにゃんのプレゼントがかかってるんだから」カリカリカリ

憂(お姉ちゃんが真剣だ!)

憂「……わかったよ。でもあんまり無理しないでね?」

唯「わかってるよういー。おやすみ」ニコッ

憂「うん!お姉ちゃんも頑張ってね!」

唯「うん!!」カリカリカリ


その日の帰りのホームルーム



唯「」ソワソワ

律「? なにそわそわしてんだ?」

唯「早くさわちゃん来ないかな」ソワソワ

澪「さわ子先生と何か約束してるの?」

唯「今日古典の小テストあったでしょ?早く結果が知りたいんだ」

紬「今回のは自信あるの唯ちゃん?」

唯「自信あるというか、100点取らないとプレゼントもらえないからね」ソワソワ

澪「ああ……。そういえば梓が昨日そんなこと言ってたな」


ガララッ

さわ子「みんな席についてー。今日の小テスト、堀込先生から預かってきたから皆に返却するわよー」

律「あっ、噂をすればだな。じゃあな唯、健闘を祈る!」スタスタ

唯「うんっ!ありがとりっちゃん」


さわ子「次は……平沢さん!」

唯「は、はいっ!! いたっ!」ガタタッ ゴンッ

和「ちょ、ちょっと唯大丈夫?」

唯「こ、これくらい何ともないから大丈夫!」タタッ


唯(100点とれてるかな……?)

さわ子「平沢さん、今回は頑張ったわね!今回はクラス内で平沢さんが一番の成績よ。はいっ」ペラッ

唯「きゅ、九十五てん……」バタッ

さわ子「おめでとう、平沢さ……ってあれ!?」

さわ子「ちょっと!? 大丈夫!?」

唯「あずにゃ…の……プレゼ…トが……ほしかっ…た……」ガクッ

さわ子「平沢さーん!!?」


放課後

音楽室


唯「」

澪「な、なあ唯。そんなに落ち込むなって。すごいじゃないか!クラスで一番だぞ!」

唯「」

紬「ゆ、唯ちゃん。今日は唯ちゃんの好きなイチゴのショーットケーキ持ってきたのよ〜。ねっ?食べよ?」

唯「……いならい」

律「あちゃー……重症だぞこれは」

ガチャ

梓「こんにちはー」

律「ああ、梓来たか」

梓「唯先輩の様子はどうですか?」

澪「それがこんな感じで……」

唯「」

梓「そうとう落ち込んでるみたいですね……」

紬「あと5点だったもんねぇ……」


梓「はぁ、まったくしょうがないですね」ゴソゴソ

梓「唯センパイ」コトッ

唯「……?なにこれあずにゃん」

梓「何って、プレゼントですよ」

唯「えっ……?」

梓「なにそんなに驚いてるんですか?ほら、受け取ってください」

唯「だ、だってあずにゃん私100点取れなかった……」

梓「その答えならもうすぐ分かると思いますよ」ニコッ

唯「……?」

ガチャ

さわ子「みんなやってるー?」

澪「あっ、さわ子先生。こんにちは」

さわ子「唯ちゃん」スタスタ

唯「……なんですか?」

さわ子「唯ちゃんのテストを届けに来たのよ。ほらっ」スッ

唯「あ……。そういえば私ショックでテストの紙落としたままだったんだった……。ありがとう、さわちゃん先生」

唯「……あれっ?ひゃ、100点になってる!!?」


さわ子「実はさっきねー。堀込先生から問題ミスの報告があってね。一問だけ正解の選択肢がなかった問題があったそうよ」

唯「てことはさわちゃん……」

さわ子「ええ。その問題はみんなに得点あげることになったらしいから、唯ちゃんのも100点になったってわけ」

唯「や、やったー!!」ガタッ

紬「よかったね〜、唯ちゃん」

唯「ありがとムギちゃん! 私やったよ!」

律「すごいはしゃっぎぷりだな、オイ」

澪「それだけ欲しかったんだろ。梓のプレゼント」

唯「うんっ!」


紬「じゃあみんなでケーキ食べよ?バースデケーキも持ってきてたの〜」

梓「そうですね!……あ、ケーキ食べる前に、唯先輩にことお祝いしなきゃですね」

律「そうだな。じゃあ、せーのでいこうぜー。せーのっ!」

澪律紬梓さわ子「唯(ちゃん、唯先輩)誕生日おめでとう(ございます)!」



特にオチもなくおわり

大分遅れたけど唯ちゃんおめでとうございました



最終更新:2015年02月10日 23:54