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同じく学校内
唯「澪ちゃん、落ち着いて!!」
澪「ゆ、幽霊」ガタガタ
唯「ち、違うよ。風で窓が揺れただけだよぉ」
澪「もう、やだぁ。怖いよぉ」
唯「と、とにかく落ち着いて」
澪「お、おうちに帰りたいよぉ。ママ~」
唯(ママって……)
唯「あれ、澪ちゃん。何か足音が聞こえてこない?」
澪「ひぃ、見えない…… 聞こえない……」プルプル
その場にしゃがみ込み、両手で耳を塞ぐ澪
唯「ほら、だんだんこっちに近づいてくる……」
澪「ひぃぃぃ」ダッ
唯「あっ、待ってよ澪ちゃん」
律「ん、何だ?」
紬「どうしたの?」
律「誰かがこっちに来る……」
ドンッ!!!
律「うわっ!!」
紬「りっちゃん!!」
紬「大丈夫?」
律「いてて、なんとかな」
律「たぶん今のは澪だな」
律「暗くて見づらかったが、身長や当たった感触が澪だった」
紬「本当!? 」
紬「でもなんで学校に?」
律「そこが謎なんだよな」
『待ってよ、澪ちゃん~』
律「この声……」
紬「唯ちゃん?」
唯「!? そこに誰かいるの?」
律「私とムギだよ。唯」
唯「りっちゃんとムギちゃん?」
唯「なんでここに?」
律「それはこっちのセリフだよ」
律「とりあえず電気をつけよう。ムギ」
紬「OK。確かここにスイッチが」
カチッ――
教室が明るくなる
律「これでとりあえず大丈夫」
紬「唯ちゃん、こんばんは~」
唯「こんな夜遅くに学校で会うとは思わなかったよ」
律「唯、なんで学校にいるんだ?」
唯「いや~、実は教室にピックを忘れちって」
律「それを取りに来たのか?」
唯「うん」
律「取りに行くのは朝になってからでもいいだろ」
唯「どうしても夜にギー太を奏でたくなってさぁ」
唯「でも一人で夜の学校に行くのは怖いから澪ちゃんにも協力してもらったってわけ」
律「なんでよりによって澪にしたんだよ」
唯「最初は和ちゃんに頼もうとしたんだけど寝ているのか電話に出なくてさぁ」
唯「その次にりっちゃん、ムギちゃんに電話したんだけど二人とも話し中で」
唯「結局、怖がりな澪ちゃんに頼んだわけ」
紬「よく澪ちゃんOKしてくれたわね」
唯「説得するの大変だったよ~ 緊急事態だから一生のお願いって言ってなんとか」
律「ずいぶん盛ったな」
律「それでピックはあったのか?」
唯「もちろん、ほら」ふんす
唯「後は帰るだけだったんだけど澪ちゃん、風の音にビックリしちゃって」
律「それで走って逃げたというわけか」
紬「でもなんで明かりをつけずに教室まで向かったの?」
唯「へっ? そういえば学校って電気つくんだったね」
律「おいおい」
唯「夜の学校は暗い=怖い思いをして教室に向かうっていう考えだったから」
唯「電気をつけるっていう作戦が思い浮かばなかったよ」
律「澪も怯えるのが精いっぱいで電気をつけるっていう発想にはならなかったんだろうな」
紬「そういえば澪ちゃんを探さないと」
律「だな」
唯「そういえばお二人さんはなんで学校に?」
律「えっ、それはえっと……」
律「き、肝試しにきたんだよ。なっ、ムギ?」
紬「そうね」
唯「へー、おもしろそう」
律「とりあえず立ち話はこれくらいにして早く澪を探さないと」
紬「そうね」
唯「どこに行ったのかな」
律「とりあえず電気をつけながら、呼びかけてみよう」
唯「みーおーちゃーん」
紬「どこにいるのー?」
律「おーい、澪―!!」
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黒髪の少女は少しでも明かりのある非常用のランプの下で
うずくまり、両手で耳を塞いでいた
澪「見えない…… 聞こえない……」
澪「うぅ…… 助けてぇ……」
澪「ぐずっ、うっ、ひっく…… うぃ……」ポロポロ
その時、蛍光灯が明るく照らし
澪の視界を広げる
澪「えっ!?」
律「澪ー!!」
澪「り、りつうぅうう」ガバッ
律「おっと、抱きつくなって」
澪「こ、怖かったぁぁよおっぉ。ひっく、ひっく」ポロポロ
律「はいはい、もう大丈夫だ」
唯「澪ちゃん、こんな所にいたんだ」
紬「大丈夫?」
澪「みぃんなぁ、何でぇここにぃ?」
律「わけを話すからとりあえずその涙と鼻水どうにかしろよ」
澪「だってえぇぇ、し、死むがとおもっだあんだぁもん」
律「ほら、ティシュ」
律がポケットからティシュを取り出し
澪をなだめる
その光景を目にし
唯「やっぱり、あの二人ってお似合いだよね~」
唯「心から支え合ってるのがわかる気がしない?」
紬「……」
唯「ムギちゃん?」
紬「そ、そうね……」
唯「? どうしたの?」
紬「わ、私は……」
唯「私は?」
紬「放課後ティータイムが好きだから……」
そう言った後、一人下を向く紬
唯「ムギちゃん?」
紬「ねぇ、みんなお茶にしない?」
紬「ひとまず落ち着きましょう」
律「そりゃいいや」
律「ほら、澪立てるか? 部室に移動するぞ」
澪「う、うん」
律「さぁ、真夜中ティータイムだ!!」
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澪「なるほど、そういうことがあったのか」
律「理解した?」
澪「でも律達が来てくれたおかげで助かったよ」
唯「そうだね、私一人じゃ探しきれなかったよぉ~」
律「元はと言えばお前が元凶なんだから、反省しろ」ぺしっ
唯「あいてっ」
律「まぁとりあえず、澪も落ち着きを取り戻したし
ピックという目的も果たせたからよかったよ」
唯「でも夜の学校にみんなで集まるなんて初めてじゃない?」
澪「確かにな」
律「なんかいつもと違って新鮮だな」
紬「みんなお茶が入ったわよ」
唯「うわぁ、いつも飲んでるミルクティーだ!!」
澪「ありがとう、ムギ」
律「それじゃあ、いただきまーす」
紬「ちょっとまって」
律「うん?」
紬「今日はいつも飲んでるミルクティーだけど」
紬「いつもより倍はおいしくなる飲み方を紹介するわ」
澪「そんな方法があるのか?」
紬「えぇ、今しか出来ない方法よ」
唯「えー、なになに!?」
紬「ふふ、それはね電気を消すのよ」
そう言った後、部室の電気を消す
辺りはまた暗闇にのまれ、窓からわずかに射す月明かりだけが
ぼんやりと手元を照らした
澪「お、おいムギ」
律「この状態で飲むのか?」
紬「そうよ、さぁ召し上がれ」
唯「いただきまーす」んぐんぐ
唯「!! おいしい!! すごくおいしいよ!!」
澪「本当だ!! 香りが全然違う」
律「こんなおいしいミルクティー初めて飲んだぜ!!」
澪「でもいつもと同じミルクティーなのになんで美味しく感じるんだ?」
紬「それはね、視覚が失うとかわりに嗅覚が研ぎ澄まされるのよ」
紬「だからいつものミルクティーでも本来の味わいがわかるというわけ」
澪「だから暗い夜にしか飲めないというわけか」
律「ムギ、おかわりー!!」
唯「私も~」
紬「はいはい。お菓子も持ってくればよかったわね」
律「本当だな、おい澪なんかないのか?」
澪「そんな急に言われても持ってきてないよ」
律「うそつけー、その胸の膨らみはなんだ!!」
律「そこになにか隠しているんだろう!?」
澪「ば、ばか律!!」
二人でじゃれ合う姿を見つめる紬――
唯「ムギちゃん?」
紬「ご、ごめんなさい。今、おかわり持ってくるわね」
律「……ムギ」
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紬「お、おまたせ。二人とも」
律「さぁ、主役の登場だ」
紬「主役?」
律「そうさ」
律「毎日、美味しいお茶と曲を提供してくれる
琴吹紬は」
律「私にとって大事な大事な人物だ。もちろんその2点だけが大事な理由じゃなく」
律「存在自体がもう不可欠なものだ」
律「そのムギが実はとっても感受性豊かだということは私だけが知っている」
律「そこで今度の新曲はムギに歌詞を書いてもらおうと思っているんだ」
律「澪と唯もムギの歌詞に興味心身だぞ」
唯「はやく、はやく!!」
澪「ムギの歌詞とっても楽しみ!!」
二人とも目を輝かせる
それは薄暗い中でもはっきりとわかるものだった
紬「りっちゃん……」
目を少し潤ませ、律を見つめる
律「ムギも放課後ティータイムは大好きだろ?」
そのセリフを吐いた後、彼女にウィンクをする律
紬「うん!!」
律「じゃあ、お願いするぜ」
4人全員が椅子に座り、ミルクティーをすすりながら
紬が今日感じたことを歌詞に変えていく――
今宵のティータイムは少し長引きそうです
終わり
以上で終わりです。
一応一年の十五夜ぐらいの設定で書いてます。
支援してくれてありがとう
みんなは夜更かししたらだめだよ
最終更新:2015年02月15日 09:14