部室


梓「こんにちはー」ガチャ

唯「あ、あずにゃんやっほー」

梓「今日はまだ唯先輩だけなんですか?」

唯「うん。りっちゃたちは掃除当番だってー」

梓「そうですか。じゃあ皆さんがくるまでコードの練習でも……」

唯「えー? お茶してからにしようよ」

梓「そう言って昨日も一昨日もロクに練習しなかったじゃないですか! ダメです!今すぐやりますよ」

唯「あずにゃんのケチ……」

梓「なんとでも言ってください。ほら、ギターだして」

唯「……不意打ち!!」ギューッ

梓「にゃあっ!!? そんなことしたってごまかされませんよ!」

唯「いいこいいこ」ナデナデ

梓「ふにゃぁあ……」ポケー


梓「はっ!危ない! れ、練習しますよ!ほら、離れてください!」グイグイ

唯「えーいいじゃーん。もうちょっとだけ……」

梓「ダーメーでーす!抱き着くのはもうおしまい!」

唯「はーい……」グイグイ


唯「……あれ?」グイグイ

梓「どうしたんですか?」

唯「おっかしいなー?離れようとしても離れられない」グイグイ

梓「……え?」

梓「またまたそんなわけ……。あれ本当に離れない」グイグイ

唯「ほーーーっ!」グイーッ

梓「んーーっ!」ジタバタ

唯「な、なんでだろ。離れらねないね、あずにゃん」ゼェゼェ

梓「そうですね」ハーッハーッ

梓「唯先輩、手に接着剤とか塗ったりしてませんよね?」

唯「シツレイな!そんなことするわけないじゃん!」プンプン

唯「それにあずにゃんの体だって私から離せないんでしょ?」

梓「む……確かに」

唯「分かった!きっとこれは何か不思議なパワーが働いてるんだよっ!」

梓「そ、そんなことってありえるんですか」

梓「金縛りみたいなものですかね……?でもなんでまたこ、こんな格好の時に///」

唯「あずにゃんがいつも抱き着かせてくれないから、神様が私に力を授けてくれたのかも?」

梓「そんな縁起でもないこと言わないでください!」

唯「でもこのまま離れなかったらどうしようねあずにゃん。寝るとき寝返りうてなくなっちゃうよ」

梓「もっと大きなことを心配しましょうよ!?」

唯「お風呂で体洗うのも大変だし……」

梓「お風呂……?(あれ?もしこのままお風呂に入ったら……)」

梓(唯先輩と、は、裸で密着しながらお風呂!?)ボンッ

唯「それに自転車も乗れな……あれ!?何であずにゃん鼻血出してるの!?」

唯「はいあずにゃんテイッシュ」スッ

梓「す、すびばせん……」ダラダラ

唯「あずにゃん大丈夫?保健室行こうか?」

梓「この状態で保健室行くなんて恥ずかしくてできません……」

唯「そうかなー?別に大丈夫じゃない?」

梓「唯先輩はもっと恥じらいをもってください」

梓「でも本当にどうしましょう。こんな姿誰かに見られたら……。絶対勘違いされちゃいますよ」

唯「いつも抱き着いてるしみんな分かってくれると思うけどなぁ」

梓「唯先輩はいいかもしれませんけど私はいやです!とにかく離れないと!んーっ!!」グイグイ

唯「あはっ。くすぐったいよあずにゃーん。おやめになってー」

梓「変な声出さないでくださいよ///もし誰かきたら勘違い……」


ガチャ

律澪紬「……」

梓(本当に来ちゃったー!!)

澪「お、お邪魔しましたー」スタスタ

梓「ああ待ってください澪先輩! これはですね!」

紬「まあ梓ちゃんったら///大胆なんだから///」

梓「ち、ちがうんです!誤解です!」

律「相変わらずお前らは仲良しだなー。ムギ、紅茶淹れてー」

梓「そして律先輩は気にしなさすぎです!」

律「えー?だってお前らがイチャイチャしてるのはいつものことじゃんか」

梓「い、イチャイチャなんてしてません!唯先輩が勝手に抱き着いてくるだけで……」

唯「もうあずにゃんったら、恥ずかしがらなくたっていいのに。今だって抱き着いてるじゃーん」

梓「離れられないから仕方なくですっ! ちゃんと先輩方にも説明してくださいよ!」

澪「離れられない……?唯、何かあったのか?」

唯「うん。実はね、あずにゃんがね、『今日は離れたくない』って……」

澪梓「んなっ!!?」

紬「まあまあまあまあまあまあ!!!」

梓「ちょっ!な、何デタラメ言ってるんですか!そんなこと言ってませんよ!」

澪「梓……お幸せにな」

梓「ちっ、違います!これはですね……」

唯「そんでさ、『もう離しませんから』って……」

梓「ね、ねつ造しないでください!」ボカッ

唯「んもー。冗談なのに」

梓「言っていい冗談と悪い冗談があります!」

澪「なんだ冗談か。あはは……」ホッ

紬「うふふ……」ガーックリ

梓「なんでそんなに落ち込むんですか!?」

律「よし、そろそろケーキ食べようぜ」

梓「そしてこの人はマイペースすぎる!」

唯「ケーキッ!?私も食べる!」グイグイ

梓「んにゃっ!? 急に動こうとしないでくださいよ!」

律「何やってんだお前ら……。離れたらいいじゃねえか」

梓「ですから離れられな……いたっ!唯先輩足踏まないでください!」

唯「ごめんごめ……うわぁ!!」ドテッ

梓「ちょっと何やってるんですかー」ジタバタ

律「……どうなってんだこりゃあ?」

・・・・・・

唯「……ってことがあってね、あずにゃんと離れられなくなっちゃったの」

律「……うん。それで?」

唯「……?それだけだよ?」

律「なるほど。ムギ、分かったか?」

紬「全然分かりません先生!」

唯「あれー?説明不足だったかな、つまりね、あずにゃんに抱き着いたらね、離れられなくなっちゃったんだ」

澪「情報が何にも増えてないぞ……」

澪「梓、何か離れられなくなった原因とか分からないのか?」

梓「いろいろ考えてみたんですけども全然……」

律「うーん……。ずっと磁気に触れたせいで唯と梓が磁石になっちゃったとか?」

梓「そんなわけないでしょう……」

律「でもこういうのってさー、案外引っ張れば外れるんじゃねーの?」グイグイ

梓「それはさっき試しましたって!いたた!」

律「力が足りなかったのかもよ。澪、唯の方持ってみて」

澪「うぇっ!?わ、私か?」

唯「よろしくお願いしやすぅ」

澪「あ、あぁ分かった」ガシッ

紬「頑張ってー♪ フレー、フレー♪」

律「よし、じゃあ行くぞー!そーれっ!」グイグイ

唯「!! い、痛い痛い!!」

澪「せいっ……」グイグイ

梓「にゃー!!私もいたいです!!」

・・・・・・

律「うーん。この作戦は失敗だったか」

澪「びくともしなかった……」ゼェゼェ

唯「私とあずにゃんは固い絆で結ばれているのさ……」フッ

梓「格好つけてる場合ですか」

紬「……分かったわ!」ポンッ

律「ムギ、何か分かったのか!?」

紬「ええ。謎は全て解けたわ!!」

梓「なぜに某少年探偵のようなセリフ!?」

澪「ま、まさか分かったのか!?唯と梓を離れさせる方法が」

紬「えぇ」

唯「!? 聞かせて!ムギちゃん」

紬「簡単なことよ。唯ちゃんと梓ちゃんがキスすればいいのよ」

唯澪律「……えっ?」

梓「えぇーっ!!?」

梓「むむむムギ先輩!!正気で言ってるんですか!?」

紬「いたって正気よ」ハァハァハァ

梓「呼吸荒くなってるじゃないですか!」

紬「梓ちゃん、よく聞いて。私の推理にはちゃんと理由があるの」

梓「理由……?」

紬「白雪姫って知ってるかしら?」

唯「白雪姫……?なんだっけ、りんご食べ過ぎちゃってお腹壊しちゃうお姫様のお話だっけ?」

澪「毒リンゴで毒殺されるんだろ……」

紬「そう。そして毒殺された白雪姫は王子様にキスをされて生き返るのよ!!」ビシイッ

梓「あれ……?でもキスの描写は映画版とかで付け加えられたもので、原作にはないって聞いたことが……」

紬「細かいことはいいのよ梓ちゃん!!」

梓「いいんですか!?」

紬「それにもう一つ!『美女と野獣』でもヒロインが王子様にキスをした後、お城の呪いが解けているわ!」

梓「ま、まあそうかもしれませんけど……」

紬「つまり!キスさえすればこの事件が解決することは明らかだわっ!!」

梓(す、すごい自信だ!!)



梓「そ、そんなこと言ってもキスなんて……ねぇ、唯せんぱ……」

唯「あずにゃんとキス……/// ムギちゃん!私やるよ!」

梓(って躊躇なしですか!?)

梓「え、あの……澪センパイ……」

澪「応援してるぞ、梓」ポンッ

律「がんばれよー」

梓(にゃー!!もう完全にキスする流れになってるー!!)

梓「あの……みなさん。考え直しません?流石にき、キスはちょっと……///」

紬「えぇー?完璧な推理なのに……」シュン

律「やってみる価値はあると思うけどなー?」

梓「そ、そう言われましても///」

澪「私たちはあっち向いてるからさっ」クルッ

梓(澪先輩手に手鏡持ってるの見えてます!)

唯「あ、もしかしてあずにゃん……」

梓「は、はいなんですか?」

唯「……私とキスするの、嫌、なの?」ウルウル

梓「え」

唯「そんなー!ひどいよあずにゃーん!! いつも可愛がってたのにー」ウワーン

梓「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ唯先輩!!嫌なんて一言も言ってないでしょう」アセアセ

唯「だってさっきからキスしようとしてくれないじゃん」

梓「だってそれはそのう……(恥ずかしいからですよ!!///)」

唯「グスッ。やっぱりあずにゃん私のこと嫌いなんだ……」

梓「!! そ、そんなわけないじゃないですか!!」

梓「……唯先輩!こっち向いてください!」

唯「……なに、あずにゃん」クルッ

梓「えいっ!」


チュッ


唯「!!」


紬「!! キマシタワー!」

澪「わ、私は見てないぞー」チラッチラッ

律「ヒューヒュー!お熱いねー、お二人さーん!」

梓「ハァーッ、ハァーッ……。唯先輩のこと、嫌いなわけないじゃないですか……」

唯「……あずにゃん」


唯「ふふっ。ありがとね、あずにゃん」

梓「こちらこそすみません。不意打ちでき、キスしてしまって……」

唯「私も今日は不意打ちで抱き着いたんだからお互い様だよー」

梓「あっ。そういえばそうでしたね」アハハ

唯「と見せかけて……スキありっ!」チュッ

梓「!!?/// ゆ、唯へんはい!?」

唯「へっへーん。お返しだよー。私からもしてみたくなっちゃった」

梓「もう、唯先輩ったら……///」



澪「見てないぞーみてないぞー」チラッチラッチラッ

律「なんか部屋の温度が10度くらい上がってる気がする」

紬「あらやだ鼻血が」ダラダラ

唯「あ、ムギちゃんテイッシュあるよ」スタスタ

紬「あ、ありがとう唯ちゃん」


紬「……あら?」

唯「え?」

梓「あっ」


唯梓「は、離れられたー!!」

唯「や、やったー!!」ピョンピョン

梓「はぁ、つ、疲れた……」ヘナヘナ

紬「うふふ。よかったわ~」ニコニコ

律「うぉおおお!!よっしゃー!!」ギューッ

澪「お、おい! なんでお前は私に抱き着くんだよ!」

律「いやー、私まで嬉しくなっちゃってさー」

澪「……ふふっ。今日くらいは勘弁してやるか」

紬「じゃあ唯ちゃんと梓ちゃんももとに戻ったことだし、ケーキ食べましょ♪」

唯律「いえーい!!」

梓「はっ!練習は!?」

唯「明日からやるよー」モグモグ

梓「これで三日連続練習なしですか……」ガックリ

紬「まあまあ。梓ちゃんもケーキ食べましょ」コトッ

梓「あ、ありがとうございます」


律「よーし、私たちも……ってあれ?」グイグイ

澪「おい何やってるんだよ……ん?えっ!?」グイグイ

梓「……?どうしたんですか?」


律澪「は、離れられない……」


唯梓紬「えっ」






最終更新:2015年03月31日 22:36