ー夏休み2日目ー

しゃらんらしゃらんらみんなの沢庵アイドル琴吹紬でーす♪

生まれてこの方お金に不自由したことない金持ちかめもちいたらきもちの幸せな私ですが私の周りにはお金に不自由している薄汚い餓鬼のようなお友だちばかりなので
たまには庶民の哀れなる呪われた最低な気分を味わってみましょうとマクドナルドでアルバイトをしてみることにしました。


紬「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうかぁ」

客「えーと、チーズバーガーとてりやきマックバーガーを単品で1つずつ」

紬「たったそれだけでよろしいですか?」

客「え、あ、はい」

紬「普通、一緒にコーラかなんかも注文しますがあなたは本当にそんな生き方でよろしいですか?」

客「じゃ、じゃあコーラもお願いします」

紬「肉だけではバランスが悪いのでご一緒にスカイフィッシュはいかがですか?」

客「それ、フィレオフィシュじゃないの?」

紬「ではフィレオフィシュ単品でおひとつですね」

客「注文したワケじゃないよ?」

紬「お会計1480円になりまぁす」

客「あれっ、なんか高っ」

紬「ただいまサービスで勝手にポテトを2個も注文してしまいました」

客「それサービスじゃなくない???」

紬「こちら、お持ち帰りですか?店内でお召し上がりですか?」

客「テイクでお願いします」

紬「店内でお召し上がった方が温かくて美味しいし包装もラクちんでみんなが幸せになれるのに本当にテイクアウトでよろしいなんて私は信じたくありません」

客「でもテイクでお願いします」

紬「私のやわらかな胸をもんでいいとしたらどうしますか」

客「もみます、ここで食べていきます」

紬「チーズバーガーとてりやきマック単品お持ち帰りでお願いしまーす♪」

客「今までのやりとりはなんだったんだ!?」

紬「また来てくださいねー^ヮ^♪」

客「2度と来るか!?」






客(明日から毎日通おう)


ーバイト終了ー


マック先輩「琴吹さん、おつかれさま!今日はもう上がりましょうか」

紬「はい、お疲れさまでした!」

マック先輩「じゃあ上がる前にレジのシメ方を教えるわね」

紬「レジをカツアゲするんですか?」

マック先輩「うん、このボタンを押してみて」

紬「うんこのボタンってどれですか」

マック先輩「ここよ」

紬「オ、オラァ!」ポチッ

カタカタ!カタカタカタ…

紬「ひっ!?」

紬「なんだかレシートがいっぱい出てきました!」

マック先輩「これが2時に琴吹さんが入ってから今までレジで売り上げた品目と金額」

マック先輩「バイトを上がる前にレジの中の金額とレシートの金額を照らし合わせてピッタリかどうかを確認することになってるの」

紬「それ、金額が違っていたらどうなるんですか…?」

マック先輩「特に何かあるワケじゃないけど、金額が違ってるって事はあなたがお釣りを渡し間違えているってことだから気をつけるよう店長に注意されたり」

紬「はぁ…」

マック先輩「ま、最初は100円、200円くらい違うことはよくあるよ。とりあえず気楽に数えてみてね」

紬「はい」


ー10分後ー

紬「何回数えても9000円足りないことはよくあるんでしょうか…?」

マック先輩「なっ!?」

マック先輩「それはまさかの一番やっちゃいけないパターン…」

紬「え?え?」

マック先輩「お客さんから受け取ったのは1000円札なのに、なぜか10000円札を受け取ったと思い込んで9000円お釣りとして渡してしまう恐ろしい展開よ…」

紬「え、でもそんなのお客さんも気付くんじゃ…」

マック先輩「言ってくれるお客さんもいるけれど、しめしめって黙ってる人もたくさんいるのよ」

紬「そんな…」

店長「琴吹さん」

紬「!?」

マック先輩「あ、て、店長!!」

紬「あ、あの…」

店長「ちょっとねぇ…」

店長「9000円はイタイわ。イタ過ぎる」ハァ〜

紬「す、すいません」

店長「俺もね、初日からこんな事言いたくないよ。初バイトお疲れさまって言ってあげたかったけど」


店長「そんな気分にならないよね」


紬「……」


店長「あのねぇ」


店長「仕事なめてない?」


紬「……」


店長「ねぇ」


紬「……」


店長「黙ってれば済むと思ってる?」


紬「あ…」


店長「…もういいよ。はい、お疲れ」


ーロッカールームー

紬「…」

マック先輩「…初日から かましちゃったねぇ」

紬「す、ヒック、すぃませ…すぃま…せん」

マック先輩「まぁそんな事もあるって!私も未だに失敗してしょっちゅう店長に小言言われてるし」

マック先輩「今、琴吹さんはすっごいツラいと思うし、元気出してって言われても元気出ないと思うけど」

紬「……」

マック先輩「怒られて悔しい思いをした分、琴吹さんはすっごい経験値が増えたから!チャララ〜ん♪ってレベルアップしてるから!」


マック先輩「だから…また明日も一緒にがんばろ?」ナデナデ

紬「グスッ…」


マック先輩「うん…」


マック先輩「じゃあ…私、仕事に戻るね?」


マック先輩(※結婚したい)「琴吹さん、今日は本当にお疲れさま!フラ〜ッとしてたら車とかにぶつかっちゃうんだから、早く元気出さなきゃダメだよ!」


紬「……」コクリ


マック先輩「じゃあ本当に本当に気をつけて帰ってね」(^v^)

ガチャ…パタン


紬「……」



紬「……」



紬「グスッ…」




ゥ゙〜ッッ


ゥ゙〜ッッ



紬「あ…メール…」


すいッ(※スマホをアレする音)


紬「唯ちゃんからだ…」





件名:緊急!鍋の具アンケートをします



本文:



ムギちゃんはマシュマロラーメンとウンコ入り餃子、どっちを自由の女神にたたきつけたいですか



紬「うおぁえおおあぉおおおおおなべのぐひとっつもかんけえぬぇえええわあぁあああああ!!!!!??????」


その瞬間、私の脳細胞の一部が爆裂した。


ーマクドナルドー

バァン!!

紬「店長!!」

店長「ん…?」

マック先輩「あ、琴吹さん…」

紬「さっきの9000円、私が責任もって弁償します!」

マック先輩「!!」

店長「ハァ〜、あのねぇ、それって9000円払うから何も言うなって事じゃん?責任もってとかいいながら、それって私、まったく反省しませんって言ってるようなもんだよね」

紬「じゃあ100000円払います」

パサッ

店長「はぁ!?」

マック先輩「こ、琴吹さん落ち着いて!」

店長「き、キミなんにも分かってないな。こんなのは金の問題じゃない。弁償しようがなんだろうがキミがお釣りを適当に扱ったという仕事意識の低さの話を問題にしてるワケで…」

紬「でも店長、間違えた額が1円ならあんな嫌みで腹立つ人間の尊厳を踏みにじるような言い方しなかったですよね」

紬「それってやっぱりお金の問題じゃないんですか?」

店長「い、いや、え?き、キミは何を言いたいんだ?」

パサッ

店長「!?」

紬「100万円なら受け取ってくれますか?」

店長「こ、こんな金、受け取れるワケないだろ!」

店長「というかこんな大金、どうして持ってる…」

紬「しぶといわね」



紬「だったら7000万円ならどうかしら」


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店長「がァッ!?こ、この札束のカッ詰まったアタッシュケースは…このコは一体…!?」

店長(い、いや、そんなことはどうだっていい。それよりも、あの金があれば心臓移植が必要な俺の娘にアメリカですぐに手術を受けさせることができる…!!)


紬「確かに…」

店長「!?」


紬「確かに9000円は安くないわ…」


紬「9000円儲けるために、貧乏人間御用達のチーズバーガーを一体何個売り捌く必要があるのかなんて世間知らずで若く愚かな私には見当もつかない…」

紬「そんな事、深く考えもせずにレジで軽い気持ちでお金をあつかっていたのは認めるわ…」

店長「う…」

紬「だけどね…私やあなたが明日も必ず生きていると思う…?」

店長「え?」

店長(ま、真奈美…←こいつの娘の名前)

紬「私はそうは思わない…そして普通の女子高生は毎日そんなことを考えないでしょうね…」

紬「つまり私は普通じゃない異常な女子高生よ。異常なものをあまりに琴吹の家で多く見すぎてしまったせいだと思っているわ」




紬「だけど明日、ウォール・ローゼが突破され、異常事態に陥った場合」




紬「私は誰よりも迅速に対応し、戦える」




マック先輩(…ウォールローゼってなに?)




紬「それなのに…私が明日なんか無いかも知れないと思って日々、全力で生きてるのに、人の気持ちも考えずにミスをなじり、テンションを削ごうという私の敵がいる」


店長「く…」

紬「そんなヤツは金の力でひざまずかせてやる」


紬「とは言っても私がミスをしたのも事実…」


紬「今日のことを猛省して心にしこりを残したままショボくれたツラで高校2年の楽しい楽しい夏休みを無為に
過ごせというならそれも仕方ないわ」


紬「すべて貴方次第よ店長。7000万を受け取ってあのくそムカつく無礼な発言を取り消すか、7000万をドブに捨ててこれからも私に反省を促し続けるか、どっちでもいいから選んでください」

店長「な…ぅ…」

紬「ただし」





紬「時 間 が ね ぇ か ら 今 す ぐ 決 め ろ ! ! 」


店長「私 が 間 違 っ て お り ま し た ッ ッ !!」

マック先輩「店長…」

店長「バイト初日で、充分な研修もさせずに、レジに立たせた挙げ句、お釣りを間違えたからと口汚くなじってしまって、申し訳ありませんでした…」

紬「…」


紬「……」


紬「…よし、顔を上げなさい」


店長「は、はい…」


紬「これでこの7000万円は貴方のものよ」


店長「…!!」


紬「私も悪かったわ。もう2度とあんなバカげた過ちは犯さないから、どうか今日のところは許してください」

店長「い、いえ…!!」

紬「じゃあ明日もよろしくお願いします」

店長「はい!」


マック先輩「こ、琴吹さん、こんなやり方間違ってるよ…!!」

紬「50万円あげます」

マック先輩「琴吹さんバンザーイ!!琴吹さんバンザーイ!」





紬「はぁ…」


紬「働くって、思ったより大変だったわね…今日1日で5才の時のお年玉を10分の1も使っちゃったなんて」


紬「でも、これで私も立派な庶民の仲間入りよね☆めでたしめでたしだわぁ♪」



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最終更新:2015年06月20日 08:39