チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……

紬「ねえねえりっちゃん」ペタペタ

律「何?」チョキチョキ

紬「サプライズパーティって結局やる側の自己満じゃんって言ってる人どう思う?」チョキチョキ

律「その人の全部の記念日に、サプライズしてやりたいって思う」チョキチョキ

紬「ふーん」ペタペタ

紬「りっちゃんりっちゃん」ペタペタ

律「ん?」チョキチョキ

紬「こっち見て」

律「何?」チョキチョキ

紬「おほん……わたし、サプライズパーティってさぁ苦手だなー。なんかやられても素直に喜べないんだよね、だって結局やる側の自己満じゃん?ああいうことできゃあきゃあ盛り上がれる人ってなんかばかそう。頭軽そう」

バシンッ

紬「いたい!毎日サプライズやってくれるって言ったのに……」

律「つい」

紬「つい?」

律「つい、殴ってしまった」

律「あと、毎日やってやるとは言ってないからな」チョキチョキ


紬「りっちゃんりっちゃん」

律「何?」チョキチョキ

紬「おほん……わたし、はさみもって暴れる人ってなんか育ち悪いんだなって思っちゃうなあ。かっこわら」

律「うがーっ」

紬「思うだけね、あくまで思うだけだけど。かっこわらい」

律「ころしてやるー」

紬「やめてやめて、はさみの持つ側で頭叩かないで」

律「じゃあこっち側は?」

紬「もっとだめ」


チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……


律「なあムギ」チョキチョキ

紬「どうしたの?」ペタペタ

律「はっきりいってお前あきてるだろ。棒状に切られた紙を輪っかにしてつなげてパーティの輪飾りを作るこの作業に」チョキチョキ

紬「うん」ペタペタ

律「そっか」チョキチョキ


チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……


紬「手が痛い、指の間が痛い」ペタペタ

律「がんばれ」チョキチョキ

紬「でもね、これわたしの誕生日用じゃない。わたしのサプライズパーティのやつじゃん!」ペタペタ

律「わたしパーティ用の輪飾りをつくるのが夢だったの~」チョキチョキ

紬「はあ、なんで部室に忘れ物なんかしちゃったのかしら」ペタペタ

律「べつに帰ってもいいよ。時間がきたらまたメールがくると思うよ」チョキチョキ

紬「それはやだ。なんかやだ」ペタペタ

律「じゃあがんばれ」チョキチョキ

紬「あ、そうだ!帰るかわりにここでりっちゃんが作業してるの座って見てる!」

律「それはだめ」チョキチョキ

紬「どうして?」

律「なんかやだ」チョキチョキ

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ……

ペタペタペタペタペタペタペタペタ……


律「あー!ムギ、同じ色を決してふたつ並べるなって言っただろ!」

紬「だってめんどくさいだもん」

律「まったく……」

紬「これ赤ゾーン」

律「そんなのねーよ!」

紬「こう緑、黄色、赤って並べて信号機にしようと思って」

律「はーなんだそれ」


紬「おほん……やっぱりかぁ、やっぱりね」

律「なんだよ」

紬「おほん……祝われる側のわたしがぁ、飾りはこれでいいって言ってるのにぃ、だめって言うところを見るとぉ、やっぱり自己満足なんだなあって、サプライズって自己満足なんだなあって」

律「あとでころしてやるからな。サプライズで」チョキチョキ

紬「どう? 満足感感じてるー?」

律「あーっ、やっぱりいまころしてやるーっ、この赤い血の輪飾りで絞めころしてやる!ビー、サプライズ、アット、ナウで」

紬「意味わかんない」

律「うがーっ」

紬「ちがう、ちがうの! わたしばかだから英語わかんないってこと、この前の中間だって73点だったし……あ、りっちゃんは65点だっけ?」

律「あああぁ、しねー」

紬「いたい……あ、いたくはない!いたくはないけど、ちくちくする!不快!」


律「って言うかさっきから出てくるそいつは誰なんだよ、そのちょくちょく出てくるキャラは」

紬「世の中に対して斜に構えている人」

律「それはわかるけどさあ。そういう感じはあるけど」

紬「犬2匹飼ってて、チーズが大好き。年の頃は21」

律「そいつのバックボーンはどうでもいいんだよ!」

紬「あ!あとね、あと、毎週日曜日はホームパーティーする、犬の種類はドーベルマン」

律「くくっ……外国人なのかよっ」

紬「サプライズパーティ・ピーポー の ヘッド イズ バカ」

律「ふふふふ」

紬「りっちゃん笑っちゃだめ」

律「ふふ……うるさい」


紬「そういえば今日のパーティには誰が来るのかしら?」ペタペタ

律「お、それ聞いちゃう?」チョキチョキ

紬「えーっていうことは意外な人とか来るのかしら!やっぱ聞かないでおく!」ペタペタ

律「あ、そうだ。もうこっちはいいからさ、事務室から椅子借りてきてくれない?
  ムギ力持ちだし、ソファーは邪魔だからさ、パーティ用に」

紬「いくつ持ってくればいい?」

律「5つ」

紬「椅子5つって……結局いつものじゃない」

律「いつものとか言うな!残念みたいな感じで!」

紬「おきまりの」

律「言い方を変えればいいってもんじゃないからな」

紬「ベスメン。ベストメンバー」

律「いい感じの言い方をしても許されない」

紬「スタ……スタメン」

律「それはもう4人じゃん! わたしたち一年の頃は4人だから。スターティングは4」

紬「梓ちゃんが来て誰が交代したのかな?……あ、わたしか」

律「ネガティブか!」


律「それにもしかしたら軽音部のやつらはこないかもしれないだろ」

紬「それはおおいにありうる……」

律「なんでそんなネガティプなんだよ」

紬「く、くすり……お薬やったから?」

律「……くすり?」

紬「ダウナー系」

律「ぷっ……お前ってほんとはすごいばかだろ」

紬「天使が、天使が見える、こう……天使が、わたしのまわりをぴょんぴょん跳びまわってる。部族みたいに」

律「あはははっ……ばかっ」ペシン

紬「えへへ」

律「あー……えーと、なんだっけ、忘れちゃったじゃん…………あ、そうそう。はやく、椅子をとってこい!」

紬「はーい」

律「まったく……」

紬「あ、りっちゃんりっちゃん」

律「はやいな、もう持ってきたのか?」

紬「ううん、そうじゃないけど、さっき3組の教室を通ったときにちょっとのぞいたら、
   佐々木さんと武田さんが……あ、佐々木さんと武田さんって知ってる?」

律「うん1年とき同じクラスだった」

紬「その佐々木さんと、武田さんがね……あ、りっちゃん口堅い?」

律「うん、誰にも言わないよ。で、なにがあったんだよ」

紬「その佐々木さんと、武田さんが、なんと!……いたの」

律「いただけかよっ!」

紬「あと、あいさつしたよ。しかも自分からした」

律「それはどうでもいい!」

紬「でもわたしってあんまり親しくない人に自分からあいさつとかできない人じゃーん?」

律「じゃーんってなんだよ!」

紬「これ佐々木さんの真似ね」

律「あ、言われるとわかる。感じはある」

律「じゃあそろそろ時間だから、ムギは1回出てくれ」

紬「うん」


紬「がちゃ、みんなどうしたの? こんな時間に部室に呼び出して」

律「ぱんぱかぱーん、ムギ誕生日おめでとーっ」

紬「わぁー誕生日パーティ!知らなかった!うれしい!」

律「あはは」

紬「そうだ、一言言わせて」

律「どうした?」

紬「おほん……わたしサプライズパーティって……」

律「」ギリギリ

紬「……いたい」グ゙スン

律「どうした? 泣くほど嬉しいって?」

紬「……うん」

律「はい、おしまい」

紬「これで明日の出し物は完璧ね」

律「あとは小道具だな、折り紙とか。それは明日でいっか、パーティは8時からだからな」

紬「水嶋さんち集合だっけ?」

律「らしいなあ」

紬「ねえねえ、わたしあれでよかった?」

律「ま、いいんじゃないの。あ、でも、ムギ、アドリブいれすぎでしょ。わたし対応しきれないから。あと梓とかみんな知らないと思う」

紬「本番はわかるのだけやる!」

律「うん」

紬「あーでも、ちゃんとうけるかなあ、緊張する」

律「べつに心配することないって誕生日の出し物なんだから、こんなのはてきとーで」

紬「わーりっちゃん、さいてー」

律「いいだろべつに」


紬「そういえば今日わたしの誕生日なんだよね」

律「じゃあ牛丼でも食べ行くか」

紬「卵おごってね」

律「いいよ」

紬「あとなんかサラダ的なやつ」

律「いいよ」

紬「あと豚汁も」

律「うーん……いいよ!」

紬「いえーいりっちゃんさいこーっ……あ、これ唯ちゃんの真似ね」

律「まあ、言われるとわかる」




おわり



最終更新:2015年07月02日 18:47