唯「え~!律ちゃんが宿題を一人で?!」

律「ふっふ~ん!」

紬「凄いわ!律ちゃん」

澪「いや、普通の事だから…」

律「しかも!全問解けちゃいました!」

唯「律ちゃんが天才キャラに!?」

澪「宿題で天才キャラって!」

紬「…」

律「ん?どした?ムギ」

紬「律ちゃんがいつの間にかこんなに成長して…」ホロリ

律「母親か!」

和「あんた達相変わらず騒がしいわね…」

律「あ、和ー。見て見て!宿題一人で全部できたんだ~♪」

和「…律が?」

律「やる時はやるんだい!」イバリ

澪「いや、だから宿題くらいで…」

和「あら、偉いじゃない」

ナデナデ

律「はへ?」


律「なななななにお////////////」

和「?」

唯「律ちゃんずる~い!和ちゃん私も私も!」

和「唯は一人でやってないじゃない」

唯「うぐっ」

紬「唯ちゃんはこれから成長期だもんね」

唯「ムギちゃ~ん」ヒシッ

紬「ふふふ」ナデナデ

澪「だから宿題くらいで…」

澪(ん?)

律「の、のどか…」

和「何?」

律「…手////」

和「あぁ、つい癖で…。迷惑だったかしら?」

律「や、別にめーわくとかじゃ…////」ゴニョゴニョ

澪(…)

あれ?何だろう?
俯いて毛先をいじる律を見てると何だか変な感じがする…。
お前はそんなキャラじゃないだろう。





…それからというもの

律「和ぁー!今日も宿題できたー!」

和「良く出来てるじゃない」ナデナデ

律「へへー///」

律「和!ムギ!どこ行くんだ?」

和「今日は図書委員と図書室の整理なの」

律「わ、私も手伝う!」

和「そう?助かるわ」ナデナデ

律「~っ////」

紬(はにかむ律ちゃんいいですわ~)ウットリ

律「う~。ここわっかんね~」グデリ

澪「あぁ、ここは…」

律「あ!和だ!」ガタッ

律「また後でな澪!」

律「和ぁ~」

澪(…)

何だよ。和、和って…。
勉強くらい私が見てやるのに。
私の方が律の事知ってるのに、何で和の所にばっかり行くんだよ!

と、思っていたら。


和「やればできるじゃない」ナデナデ

律「そっかな?///」テレテレ


ほら、また。
俯いて照れた顔なんかしちゃって。
頭を撫でられたくらいで…。




ん?
撫でられた?

……………………………………………………………………冷静に考えてみよう。
律がやたら和にすり寄って行くようになった時って……………。

あれ?律…もしかして…

撫でられたい…のか?



い、いや!私だって律の頭を撫でた事くらいは………………

澪「律ぅ~」ヒシッ

律「こ~ら!さわちゃんダメだろ!」

澪「ひっ!」ガシッ

律「だ~いじょぶだって。大人しいぞ、この犬」ナデナデ

澪「歌詞が出てこない」メソメソ

律「そんなあわてなくていいから」ナデナデ



うん。もうちょっと深く記憶を掘り起こそう。


律「澪!グリーンピース残しちゃダメだろ」

澪「だって…」


これは関係ない。
次だ次。



澪「律ぅ…」

澪「り~つ~ぅ」

澪「律ぅ!」

澪「律…」

澪「律!助けて!」

幼澪「律ちゃん…」


………おかしーし。
律と10年近くの付き合いなのに。
撫でられたり、からかわれたり、頭を叩いたりした記憶しかないし。


澪「おかしーし!」

紬・唯「!」ビクッ

いやいやいやいやいやいやいやいや。


何も頭を撫でる事がすべてじゃない。

…はずだ。

唯「???」オロオロ

紬「み、澪ちゃん?」


待てよ。私だって律の頭くらい…。

律「み~お~。もーいいって~」

ぶぉおおおお

澪「だーめーだ!髪乾かさないと風邪ひくだろ」

律「もー乾きましたー。おわりー」

澪「こら。動くな」

律「え~」

澪(せっかく綺麗な髪なのに!もったいないじゃないか)

律「まだぁ?」

澪「ま・だ!」




一応これもカウントしてもいいのでは…。


律「やー。諸君ただいまー」

唯「おかえりー」

紬「おかえり」


頭…頭…。

よし!


澪「律!頭を出せ!」

律「何故?!」



唯「ねーねー、ムギちゃん」

紬「なぁに?唯ちゃん」

唯「澪ちゃん、律ちゃんの頭ずーっと見てるね」

紬「そうね~」

律「ぐぬぅ…」プルプル

澪「撫でる撫でる撫でる」ブツブツ

律(のぉおおお!ぶつなら早くしてくれ!)


撫でるくらい簡単じゃないか!
いけ!私!









澪「…もういいぞ。律」

律「へあ?」

澪「何だそのマヌケな声」

律「ぶ…ぶたないの…」

澪「何もしてないのにぶつわけないだろ」

律「そうだよネー」

律(何じゃこれ!こぇぇ…)ガタブル


そう。律は何もしていない。

つまり撫でる理由がない!

撫でる理由がないのにいきなり撫でても変だし。

律(何かしたっけ?)ブルブル




これからは正々堂々律を撫でてやろう!





とは言った(?)ものの、なかなか頭を撫でる機会もないわけで。

タイミングが掴めないわけで。

つまり、未だ律の頭を撫でられないわけで。


唯「そしたらさ、さわちゃんがムギちゃ~んって」

律「あはは!どんだけムギのお茶好きなんだよ」

紬「光栄で~す」

梓「あの~。皆さんそろそろ練習しませんか?」

律「だな~。たまには梓に付き合ってやるか」

梓「なん…だと…」

唯「律ちゃんが…」

律「私だってたまには練習くらいするわい!」

澪「たまにはって…」ハッ


これだ!この流れならいける!

紬「じゃあ早速…」

澪「律ぅ!」

律「おぅ?!」ビクッ

澪「ちょっと、じっとしてろ」ジリッ

律「目が怖い!」


撫でる。撫でる。
頭に手を置いて動かすだけだ。簡単じゃないか。手を動かして…頭にのせて…よし!



律「ひっ!」

梓「あの、澪先輩はなぜ律先輩の頭を鷲掴みにしてるんでしょう?」

紬「えっと…」オロオロ

唯「わ、わかんない」

律「ひぃぃぃ…」ガタガタ


緊張で手に力がこもる。
でも、ここで負けちゃダメ☆みおみおファイト☆


澪「ふん!」

律「うぎゃ!」





ー帰り道ー

律「首が…」

澪「…ごめん…」






人目があるからいけないんだ!(確信)
恥ずかしがり屋な私のキャラをすっかりと忘れてた。

と、いうわけで、自宅です。
ここならちゃんと律を撫でる事ができるはず。


律「今度は何だよ?」

澪「いいいいいや、ななななななななんでもナイヨー」

律「なー。最近澪変だぞ」

澪「そ、んな事ナイヨー」

律「目が泳いでますけどー」

律「で?どうしたんだ?」

律が膝立ちで私の頭を撫でる。

澪「うぅ…」

しがみついちゃうのは条件反射。
律が私を甘やかすのが悪いんだ。


澪「じゃなくて」

律「?」


律の癒やしのオーラ恐るべし。


澪「律、さ」

律「うん」

澪「最近、和に妙に懐いてないか?」

律「え?」キョド

律「そんな事はーないとー思うんだけどー」キョドキョド

澪「…撫でられるからか?」

律「だ、だからー、気のせいだって」

澪「だったら!私が撫でてやるから!私に懐けばいいだろ!」

律「は?」

澪「あ…」

律「…何だよ…撫でてやるって…」

澪「いや、今のは…」

律「人を犬か猫みたいにさ…」

澪「違うんだ、そうじゃなくて…」

律「帰る…」スクッ

澪「待って!」


腕を掴むとバランスを崩した律がベッドに倒れこむ。


律「っ。あぶねーな」

澪「ご、ごめん…」

律「…」

律「はぁ…、もういいよ。分かったから、そんな顔するなって」ナデナデ


優しい顔。撫でられると安心する。


律は優しい。
その優しさも照れた顔も全部私だけに向けられたらいいのに…。



ん?










うわぁああああああああああああああああああああ!
つつつまり、こ、これって…


律「どうした?顔真っ赤だぞ」


風邪か?何て呑気に訪ねてくる。

よく考えると、今、私、律を押し倒して…。
うわぁ…。何か駄目だ。何か分かんないけど駄目だ。


律「?」


不思議そうにこちらを見つめてくる律に胸をキュンキュンさせながら、心の中で「このニブチンをどうやって口説こうか」と思考を張り巡らせる。

悲しい事に、なんだか苦労しそうな予感がビシビシとした。



END


最終更新:2015年12月28日 09:52