女子高生の会話は今日もソフトボールのようにコロコロ転がってゆくのです。

唯「ねぇ、姫子ちゃん」

姫「なに?」

唯「ルーズソックスってさ」

唯「あったかい?」

姫「……あぁこれ?」

姫「あったかいよ」

唯「そっかぁ」

姫「……」

唯「……」

姫「どうしたの?突然」

唯「いやぁ、ルーズソックス履いてみたいなぁ……なんて」

姫「えぇ……」

姫「これ、そんなにあったかくないよ」

姫「唯のタイツの方があったかいと思う」

唯「いやいや、そんなことありませんぜ」

唯「その幸せそうなふくらはぎ」

唯「なんてゆうか、包まれてる!って感じがするもん」

姫「唯にルーズソックスは似合わないよ」

和「そうね」

唯「和ちゃん……」

姫「でしょ?」

和「唯はそのタイツで我慢しなさい」

唯「やだ!履く!」

和「あらまぁ」

和「唯が意固地になった」

姫「……」

唯「……」

和「……」

和「そういえば」

和「日本で一番画数の多い漢字がタイトって読むのよ」

唯「タイト?」

和「そう、タイト」

唯「そのタイトがどうしたの?」

和「いや、タイツとタイトって似てるでしょ?」

唯「うん、似てる」

唯「その漢字ってどんな形してるの?」

和「えぇーと、確か轟みたいな感じ」

唯「とどろき?」

和「車が3つで轟」

唯「……?」

姫「唯、これが轟」

唯「へぇ〜、これで轟って読むんだ」

唯「なんか三輪車みたい」

和「三輪車なら唯にも乗れるわね」

姫「えっ、唯、自転車乗れないの?」

唯「乗れるよ!」

唯「さすがに自転車は乗れる」

姫「だよね」

唯「一昨日くらいも乗ったし!」

唯「和ちゃん、不名誉なこと言わないで」

和「プッ、唯が不名誉だって……」

唯「不服だね。不服申立てを提出するよ」

姫「生徒会に?」

和「じゃあ期限は明日ね」

唯「えぇ〜もう少し待ってよ〜」

和「憂に手伝ってもらえば?」

唯「憂、不服申立ての書き方知ってるかな?」

姫「あ!」

姫「憂ちゃんって唯の妹だよね!」

唯「うん、そうだよ?」

姫「私この間廊下で憂ちゃん見たよ!」

姫「唯にそっくりの!」

唯「うんうん、確かにそっくりだね」

和「確かにそっくりね」

姫「なんかテンション上がった」

姫「話し掛けようと思ったけど」

姫「すぐ教室入っちゃったから」

唯「憂はできた妹だよ」

和「できた妹ね」

姫「そんなにできた妹なの?」

唯「うん、私とはでき具合が違う」

姫「確かにできる身振りしてた」

唯「おぬし……できるな?」

姫「フッ」

唯「じゃあ帰ったら憂に姫子ちゃんのこと話しとくよ」

姫「なんて?」

唯「えーと、ルーズソックスの子って言えばわかるかな」

姫「でもルーズソックスならチカも履いてるよ」

唯「あ、ホントだ」

唯「でもルーズソックス履いてる人ってこの学校に2人しかいないよね」

姫「かもね」

姫「憂ちゃんかぁ、仲良くなりたいなぁ……」

唯「それよりルーズソックスの話!」

唯「モコモコの!」

唯「ルーズな!」

唯「ソックス!」

和「時間にルーズな唯みたいね」

唯「時間にルーズなのは朝だけだよ」

唯「最近はちゃんと起きるし」

和「憂が全然起きないって言ってたわよ」

唯「憂め……!」

姫「私も妹欲しかったな」

唯「妹はいいものだよ」

和「私も弟と妹いるのよ」

姫「あっ聞いた。小学生のでしょ?」

和「そう」

姫「和は長女っぽいもんね」

唯「ちなみにギー太は中学生の弟かな」

和「姫子も長女っぽいよ」

姫「そう?……えへへ」

姫「たしかにバイト先ではお姉ちゃんキャラかも」

唯「私は?ねぇ、私は?」

姫「唯は主人公っぽい」

唯「 えっ、どゆこと?」

和「褒められてるのよ」

姫「愛されキャラだからね」

唯「そっかぁ〜主人公かぁ」

唯「せっかく主人公になるなら冒険活劇がいいな」

和「唯はすぐさらわれて終わりよ」

和「悪の組織に」

唯「じゃあ悪の組織のボスは和ちゃんね」

和「なんでよ」

唯「姫子ちゃんは悪の組織の参謀」

姫「私は唯を助ける側がいいな」

唯「じゃあ、姫子ちゃんが勇者ね」

唯「お供は憂とあずにゃん」

姫「いいね」

和「勝てる気がしないわ」

唯「じゃあ悪の組織側にはりっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんで人員を増強しよう」

和「心強いわね」

唯「勇者側はそれ以外の3年2組全員あげるよ」

和「一気に劣勢になったわ」

唯「じゃあ出血大サービスでさわちゃんとオカルト研の二人を差し上げましょう」

和「いらない」

姫「いらないならこちらが貰うね」

和「だいたい悪の組織が少数精鋭で勇者側が大群なんて立場が逆じゃない?」

唯「群雄割拠だね!」

姫「一騎当千」

和「はぁ……私そろそろ生徒会行くね」

姫「あ、私も部活行かなきゃ」

唯「ちょっと!ルーズソックスは!?」

姫「……覚えてたんだ」

唯「お願いだよ〜ちょっとだけ履かせて」

唯「あ、和ちゃん行ってらっしゃい」

和「今日は先帰ってて」

唯「ほいほ〜い」

唯「姫子ちゃ〜ん、お願〜い」

姫「うーん、しょうがないなぁ」

唯「履かせてくれるの!?」

姫「明日唯の分まで持ってきてあげるよ」

唯「やったー!」

唯「姫子ちゃんルーズソックス何足もってるの?」

姫「えーと、5足」

唯「じゃあ洗って返すからね!」

和「姫子、私の分もいいかしら?」

唯「和ちゃん、生徒会へ行った筈では?」

和「忘れ物よ」

姫「和も履きたかったんだ……」

唯「和ちゃんがルーズソックス……」

和「なによ」

唯「それはダメだよ」

和「なんでよ」

唯「う〜ん、なんかダメ」

唯「言葉にできないけど」

和「唯のルーズソックスもなかなかのダメ具合よ」

姫「意外と二人ともイケるんじゃない?」

唯「和ちゃんは止めといた方がいいと思うけどな〜」

和「ルーズソックスの代名詞たる立花姫子さんが仰るんだから、私も意外とイケるのよ」

唯「まぁ、明日、拝見させてもらいましょうか」

和「なぜ評論家気取りなのよ」

姫「じゃあ明日ね」

和「またね」

唯「バイバ〜イ」

明日が楽しみです。
和ちゃんにルーズソックスは似合うのかな?
ここからはみなさんのご想像にお任せします。

おわり



最終更新:2016年03月08日 22:43