唯「そして一ヶ月が経った」


梓「それにしても、なんとか生き残れるものですね」

唯「まぁそら"私が"放射能除去剤やらシェルターの中の保存食や缶詰やらを必死こいて探して来てるからね。その間あずにゃんは何してた?」

梓「私はこうして簡易テントの中でなんとか脱出作戦を練りながら愛しい唯先輩の帰りを今か今かと待ってました」/////

唯「しんで」


唯「それにしても、本当にどうにかならないもんかね」

梓「まぁまず星間戦争中に敵戦艦に単機で乗り込む唯先輩がバカなんですよね」

唯「しね」




梓「さっそうと乗り込んだら弾き飛ばされて荒廃した地球にワープ(笑)」

唯「あずにゃんが考えなしに核兵器ぶっぱなしたのがそもそも地球が荒廃する原因だからね!?」

唯「っていうか、あずにゃんが宇宙人に喧嘩売ったせいで星間戦争が始まったんだよね!?次はあの星をヤッテヤルデス!?知らないよそんなの!名作ほのめかせば許されると思うな!!」

唯「っていうか、私が敵戦艦に乗り込んだのもあずにゃんを救出するためだという事を金輪際忘れるな!!」

梓「許してにゃん☆」





梓「…でも私、嬉しかったんですよ。大好きな唯先輩がたった1人で、私を助けに来てくれたから…」フニ…

唯「胸揉まないで」


梓「まぁとりあえずこんな所でイチャイチャしててもしょうがないです。周辺調査して脱出の手掛かりでも見つけましょう」

唯「しんでくれないかなぁ」

梓「手始めに目の前のでっかい遺跡はどうですか。観た事ないけどラ○ュタみたいに浮いてますよ知らんけど」

唯「あからさまだね。あそこに行ったらりっちゃん達と連絡も取れるし星間戦争終結の鍵すら見つかりそうだよ」

梓「調査するです!報告するです!ヤッテヤルデス!」

唯「それまじでやめろ」





──── 遺跡






唯「全体的に湿ってるね」

梓「こうしてジメジメした場所を歩いてると澪先輩を思い出しますね」

唯「性格的な意味合いで?」

梓「露出狂ビッチでおっぱいたゆんたゆんしながら羞恥プレイでオマ○コぐちょぐちょにしてる的な意味合いで」

唯「絶対にチクるから」




梓「あ、なんかありますよ。絶対紀元前50万年前の人類の祖先が遺した古代遺跡の管理コンピューターですよ。」


『Exactly(ソノトオリデゴザイマス)』


唯「あっ、コンピューターが喋った!コンピューターさん、りっちゃんに電話かけられますか?」


『カシコマリマシタ ……prrrr…prrrrr ピッ はいもしもし』



唯「あっ、りっちゃん!私だよ!唯だよ!あずにゃんも居るよ!!」


『ゆ、唯!?今どこに居るんだ!?私たちみんな、唯の事心配してたんだぞ!!』


梓「」


唯「私は無事だよりっちゃん!えっとね、今地球に居るよ!座標軸送るから迎えにきてほし

梓「キェエエエエエ!!」バキバキボキッ

『え!?なっ…もし…ジジジ……ジ…z』


唯「ええええ!!ちょっ、りっちゃん!?もしもし!?もしもし!?」

梓「ざまぁみやがれです」フンッ

唯「あずにゃん何してるの!?なんでコンピューター叩き壊したの!?」

梓「律先輩が悪いです!私の事は心配してくれてないですよ!?それに、唯先輩と律先輩が話してるのを聞いてると頭に来たです!!この1ヶ月……ずっと……私だけの唯先輩でしたから……」

唯「りっちゃんがあずにゃんを心配しない気持ちが私にはよくわかるよ」



梓「でも律先輩、私達が地球に居るってわかってくれましたかね。途中で回線、切れちゃったから……」

唯「すべてお前のせいだよ」

梓「気を取り直して遺跡の調査をしましょう」


唯「あずにゃん、足元なんか落ちてる」

梓「あ、はい」ヒョイ

唯「なんだった?ガラクタ?」

梓「これは…!古代文字が書かれたプレートです!! えっと……瓶…?ギコ…並行…?カル…ミニマ……選手…?…デス…」

唯「あずにゃん読めるの!?」

梓「少しなら。でも……だいぶ複雑で……よくわからないです」



唯「そっかぁ……じゃあ、他の所も回ってみようよ」

梓「私はここに残ってていいですか?」

唯「え、なんで」

梓「ふふ、なんとなくですよ」

唯「あずにゃんまた自分だけサボる気だ…いいよ。じゃあ、私は他のところ回ってくるから」

梓「はい、いってらっしゃいです」


梓「…」


梓「…変わらないんだなぁ。ここは、50万年前から、ずっと……」







唯「あずにゃーん!やっぱりここは誰もいないよ。機械も全部壊れてて、手掛かりなんて何も……あっ…」


梓「おかえりなさい、唯先輩」

唯「……た、ただいま…」

梓「ご飯にします?お風呂にします?それとも……」

唯「ご飯にします!!でもあずにゃん、ここには何も……」

梓「ご飯ですか……なら、はやく座って下さい。冷めちゃいますよ」

唯「え?は、はい……」




梓「いただきます。ホラ、唯先輩」

唯「いただきます……」

梓「ふふ、お口に合いますか?今日は卵焼きにしたんですよ」

唯「あむ…もぐもぐ…う、うん、おいしいね…エア卵焼き…一体あずにゃんには何が見えてるの?」

梓「ほら、この卵スープと目玉焼きも食べてみて下さい!けっこう自信作なんです」

唯「卵焼きに卵スープに目玉焼きとはさすがだねあずにゃん。そんなもの何処にも無いけど」


梓「このバロットも食べてみて下さい…丹精込めて…作ったんです……」グスッ

唯「ど、どしたのあずにゃん!?」

梓「帰りたい…みんなのとこ……うぅっ、こんな…う、うぅ……何もない……」グスッ

唯「……全部あずにゃんのせいだけどね……」

梓「唯先輩……」グスッ



ゴオオオオオオオオオ!!!!


唯「わ!?何!?地震!?」


梓「チッ…いい所で……違います!この音は空からです!!」



唯「あ!あれ!」


梓「あっ!宇宙船桜が丘!!」

唯「通信が届いてたんだね!!」




────





唯「平沢唯中野梓、ただいま帰艦いたしました!」


律「よくぞ無事に戻った!みんな心配してたんたぞ!!……それで、地球の様子は?」

梓「はい。この1ヶ月、地上1万5千キロおよび遺跡を調査した結果、いずれも生存者はありません」

律「主にお前のせいだけどな。」


律「まぁなんだ。詳しい報告は後にして、今はゆっくり休め。ムギも和も憂ちゃんも……きっと澪だって、みんな心配してたんだから。」

唯・梓『はい』







梓「あ、見てください唯先輩!あれ!外の巨大モニター!!」


『ふわふわ時間 ふわふわ時間』♪


唯「あ、澪ちゃん」

梓「……不思議なものですね。地球に取り残される前と何も変わらず、まるで……生きてるみたい」

唯「澪ちゃん死んでないけどね」


『いつか目にした 君のマジ顔』♪


唯「でもなんだか、なつしい」

梓「なつかしい?」


『夢でいいから 2人だけの』♪♪


唯「うん。あれから一ヶ月しか経ってないはずなのに、澪ちゃんの隣でボーカル張ってた事が、ずっと昔のように感じて……」

梓「まぁモニターの映像は一昨年のやつですし、そらなつかしくもなりますね」

唯「そういう事じゃないんだよ」



『Sweet Time欲しいの~~♪♪

あぁカミサマどうして 好きに



ウー!ウー!ウー!ウー!


唯「緊急警報!?」

梓「敵襲!?こんな時に!……唯先輩、どうやら今こそ遺跡で拾ったプレートが役に立つかもしれません」

唯「でもあずにゃん読めないじゃん!?」

梓「だから……澪先輩ですよ。噂によると、澪先輩も敵戦艦から遺跡のプレートによく似たものを持ち帰ったそうです」

唯「!!」

梓「私が言っても相手にして貰えません!唯先輩、これを。澪先輩にこのプレートを解読してもらう事が出来るのは、あなたしかいません」

唯「それはあずにゃんがセクハラ紛いの事ばかりしたからだよね……でも、わかった。私、ちょっと行ってくる!!」ダッ


梓「唯梓からの唯澪…NTR良い…」ゾクッ








────




唯(ハァハァ…澪ちゃん……どこに…こんなに走り回っても全く見つからない……)

唯(澪ちゃん……制止を振り切ってあずにゃん救出に飛び出した私の事……ハァハァ……怒ってるかな……)

唯(ここに居なかったら…もう……ハァハァ)


バンッ!!


澪「!?」

唯「ッ…ハァハァ……澪ちゃん、……やっぱり部室に居たんだね」

澪「唯……一体どうして……ってお前、息も乱れて、汗だくで、まさかまた梓に襲われたのか!?」

唯「違うよ。ここまで、走ってきたんだ。どうせ部室だろうとは思ったけど、色々探し回った方がドラマチックだから……」ハァハァ

澪「お前心底バカなんじゃないの!? でも、私のために来てくれたんだ……」

唯「あのね、これ。澪ちゃんに読んでもらおうと思ったから……」ハイ


澪「プレート……?はぁ?なんだよそれ……なんで私が梓の見つけたプレートなんか解読しなくちゃいけないんだよ!?」


澪「そんなもの解読したって、勝つ見込みなんかないだろ!?私の持ってるプレートだって、サラなんとかとかパラなんとかだとか書いてあって全く訳が分からないんだよ!!大体こうなったのも全部梓のせいじゃないか!」

澪「そんな事より、一緒にいてくれ……どうせ死ぬなら……このまま一緒に……」


唯「澪ちゃん、私達だけの問題じゃないんだよ。宇宙船桜が丘に乗ってるみんなのためなんだよ……」

澪「そんなの関係ない!どうして!どうしてこんな事に……見たくないし聞きたくない……!こわいんだ!こんな思いするなら……いっそ一思いに殺ってくれ……みんな死んじゃえばいい……」


唯「澪ちゃんのばかぁっ!!」


ㅤㅤㅤㅤㅤㅤパシンッ

澪「」




唯「思い出して、澪ちゃんが…澪ちゃんが居たから私は飛べたの!!……地球のみんなだって、やりたい事いっぱいあったハズなのに、みんな、みんな死んじゃったんだよ!?でも、澪ちゃんはこうして生きてるのに!!」

澪「それ全部梓のせいじゃ…」


唯「あと遺跡であずにゃんが澪ちゃんの事メンヘラビッチだって言ってた」

澪「」

澪「……わかった。私、どうかしてたよ。ここで何もしなかったら、死んじゃったみんなが浮かばれない」

唯「澪ちゃん……!」


澪「私、やってみるよ!思いっきり!!」


ドオオオオオオオオオン!!!!


唯「うわ!?」

澪「な、なんだ!?」




『地球人ニツゲル タダチニ降伏セヨ サモナクバ宇宙ノモクズトナレ』



唯「や、やばいよ!!私行ってくる!澪ちゃん、後はお願いね!」タッ


澪「……うん。いってらっしゃい」




澪「とは言ったものの、こんな2つのプレートに何が……ハッ……これ……もしかして……!!」








────




唯「はぁはぁ、た、ただいま」


梓「唯先輩!どうでした!?澪先輩はやってくれそうですか!?」

唯「うん……きっと大丈夫。私達は時間を稼ぐよ!!憂!私にも一機戦闘機を……!」

憂「お姉ちゃんはまだ体が……!」

和「……行かせてやりなさい」

憂「でも……!」

唯「和ちゃん、ありがとう。憂、いいこで待っててね。……あずにゃんは早く後部座席に!!」

憂「お姉ちゃん……」


梓「私のふわふわ時間で強大な敵に立ち向かうパターンですか!?」

唯「そういうのいいから」






────







ㅤㅤヒューンヒューン ㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤドーン!!!!




唯「くっ……!ミサイルがきかない……!!」


姫子「唯どうしたの?急に臆病風吹かせちゃって。もしかして、女ができたせいかな?アッハハハハ………ぐあああああ!!!!!!」



唯「姫子ちゃん!?………クソッ!よくも姫子ちゃんを!!」


ヒューンㅤㅤㅤバキュンバキュン

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤドオオオン


『降伏セヨ 我々ニ勝テルトデモ思ッテイルノカ!!!!』


唯「くっ……!」ヒューン


梓「唯先輩!!こうなったらワンチャンふわふわ時間か核兵器しか……!」


《ちょっと待った!!!!》



唯「その声は……!」

梓「澪先輩……!?」


《私のプレートと梓のプレート両方を解読して、やっとわかったんだ!これは、 けいおんSS だ…!!!》


《私のプレートには文化を築いた書き手が、梓のプレートには一世を風靡したSSが記されていたんだ!!!!》



紬「菫!澪ちゃんの音声を最大ボリュームに!"けいおんSS"を全敵戦艦に届けるのよ!!」

菫「任せて!お姉ちゃん!!」





『ケイオン…エスエス…?』


《お前たちに!この美しい文化を壊させるわけにはいかないんだ!!》



律「うおおお!!!!もってくれ 戦艦(サーバー)!!!!澪、今だー!!!!」



《《《《私達の、SSを読めー!!!!》》》》



『グアアアアアア!!プロトカルチャアアアア!!!!』













────ㅤ20XX年、1つの文化が銀河系最大の危機を救った。

ㅤㅤけいおんSSは1度滅びかけたが、文化を紡ぐ者の手によって語り継がれ、その力は強大な敵をも打ち砕いた。

ㅤㅤそして敵異星人の心にも、50万年周期の時を越え 再び文化が蘇り、共存の道を歩み出したのである……






ㅤㅤㅤㅤ




ㅤㅤㅤㅤ・

ㅤㅤㅤㅤㅤ・

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤ・




『コレカラ タイヘンナ事ニナリソウデスナ 近隣ノ銀河系ダケデモ 、ラ!SS等ノ強大ナ敵ニ溢レテイル……』


律「なぁに、大丈夫さ。例え多くの書き手達が去っていってしまっても、私達がけいおんSSを忘れなければきっと……文化はいつまでも、続いていく。」






唯「……ねぇ、あずにゃん」


梓「はい?」

唯「結局さ、澪ちゃんが見せた"星間戦争を終わらせる程の力を持ったSS"って、なんだったのかな」



梓「ただの流行SSですよ」

唯「流行SS?」


梓「はい。何万年も昔に掲示板で話題になった……ㅤㅤ当たり前の、けいおんSS……」



唯「でも、もうオワコンなんじゃ……」


梓「そんな事ないです!日に何百人がけいおんSS読んでると思ってるんですか!」

唯「ご、ごめん…」




梓「私には文化を生み出す事は出来ないけれど、それを読み続ける事で、文化を守っていく事は出来るかもしれない」



梓「何万年も未来の人達に、文化を伝えて行くために……殺し合うだけじゃなく、宇宙を文化で満たすために……」


唯「星間戦争で殺しあったのはあずにゃんのせいだけどね……」


梓「でも、いいんですか?唯先輩」

唯「何が?」

梓「澪先輩の事…」

唯「いいんだよ。澪ちゃんみたいな素敵な子、私なんかに繋ぎとめておけないよ」



梓「私は素敵じゃないですか!?」



唯「逆に素敵だと思うの?」




「なんでそんな事言うんですか!唯先輩のばかぁー!!」




「うわー!あずにゃんごめーん!!触覚振り回さないでーー!!」





「ヤ ッ テ ヤ ル DEATH !!!!」






「きゃーあずにゃんこわーい」










A.D.20XX So long...




ㅤㅤㅤㅤㅤ


おしまい。くぅ疲

(元ネタはマクロス愛おぼです)



最終更新:2016年09月04日 15:46