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梓「……あっ」ジャッ

澪「梓どうしたんだ? 今日は音外してばかりでらしくないじゃないか」

梓「す、すいません、でも澪先輩もさっきからミス多い気がしますけど…」

澪「う……やっぱり当の本人を前にすると意識しちゃうのかな」

梓「え?」

澪「あ、いやなんでもないよ」

梓「なんでもなくありませんっ、何か私に問題があるなら言ってほしいです」

梓「その、私は澪先輩になら何言われても大丈夫……ですから」

澪「……あのな、そんな悲しそうな顔で何言われても大丈夫なんて言われたら何も言えないよ」

梓「う……すいません」

澪「でも別に梓に問題があるわけじゃないことを証明するためにもちゃんと話すべきか……聞いてくれる?」

梓「はっ、はい」

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澪「……とそんなわけで、昨日の皆の話を聞いてから梓を抱きしめたらそんなに心地いいのかなって気になってて」

澪「今朝、梓とぶつかった際にほんの少しだったけど梓の感触は確かに心地よくて…」

澪「それでもう一度きちんと梓を抱きしめてみたいって思っちゃっててさ」

澪「それを払拭しようとして昼休みにちょっと一人で練習しに部室に来てたって所」

梓「…………」

澪「だから別に梓が何か悪いって訳じゃ……」

梓「……払拭なんてされたら、嫌です」トコトコ

澪「え?」

ポスッ

澪「あ、梓!?」

梓「私だって、昨日から澪先輩に抱きしめられたらいいなってずっと気になっていて」

梓「今朝、澪先輩にぶつかって少しだけ澪先輩のあったかさや柔らかさを感じることが出来て……」

梓「それで私も澪先輩に抱きしめられたいって思いが強くなってたんですから」

澪「梓……」

梓「澪先輩も同じように私を抱きしめたくなっていたっていうのにそれを払拭されたら私、困ります」

梓「その、同じ気持ちなんですから……だから、えっと……」

澪「……そっか、ごめんな」ギュッ

梓「んっ……」

__


澪「梓、落ち着いた?」

梓「はい……すいません」

澪「梓が謝ることなんてないよ、私が梓の気持ちを分かってなかったんだから」

梓「いえ、澪先輩も私と同じ気持ちだったのなら私から後輩らしくもっと甘えに行くべきだったんです」

澪「いや、でも私の方が」

梓「いいえ、私の方が」

澪「…………」

梓「…………」

澪「……ぷっ、ふふふ」

梓「ふふふっ」

澪「何か私達ってほんと不器用だな、お互いにやりたい事とか我慢してばっかりだ」

梓「相手と触れあいたかったり甘えたかったりしたいのに、きちんと出来なかったり伝えられなかったり……そんな所でしょうか?」

澪「そうだな……色々考えてばかりだったけど今はこうして触れあったり、甘えたり出来てる」

梓「はい、いい形ではないかもですけど今こうしてちゃんと出来てるのは……よかったって思います」

澪「うん、本当に梓をこうして抱きしめてると心地いいな……梓の鼓動が直に伝わってくる」

梓「私も澪先輩に抱きしめられているとあったくて心地よくて……澪先輩の鼓動が直に伝わってきます」


澪「もうしばらくこうしてたいけど……」

梓「?」

キーンコーン・・・

澪「……休み時間終わりだしもう戻らないといけないな」

梓「そう、ですね……あっ」

澪「どうした?」

梓「その、ちょっと相談というか、提案なんですけど……」

__


~数日後!

律「いやー今日は疲れたぜー」ノビー

唯「今日は二時間も練習したから流石にふらふらだよ~」フラー

紬「うふふ、二人ともお疲れさま」

澪「今日は一段と梓のギターが冴えてたからな、私も頑張らないとって熱が入っちゃったよ」

梓「いえ、澪先輩のベースが今日はよく走っていたので私も頑張らないとと思ってやってただけですよ」

澪「いや、私なんてまだまだ梓には……」

梓「いいえ、私は澪先輩のこと……」

紬「まあまあ♪」

澪梓「!///」

律「ううむ、なんか最近の澪と梓、随分と仲良くなりましたなあ?」

澪「い、いや別にそんな……なあ梓?」

梓「そ、そうですよ、私は前から澪先輩のこと慕っていますし」

澪「私だって前から梓のことは大事に思ってるしさ」

梓「澪先輩……///」

紬「うふ、うふふふふふ♪」ホワーン

唯「おーいムギちゃん、ムギちゃーん?」ツンツン

律「全くお二人とも、おあつい仲を人に見せつけるのは感心しませんな?」

澪梓「な///」

律「近頃の黒髪女子はやんちゃで困るぜー」ニシシ

澪梓「……///」

__


唯「じゃあ、土日は休みだしまた来週ね!」

紬「ええ、また来週ね」

律「おう、またなー」

澪「ああ、また来週学校で」

梓「はい、また来週よろしくです」

唯「あれ? あずにゃんは帰りこっちじゃないの?」

紬「そっちは澪ちゃんとりっちゃんのお家の方向だけど…」

梓「えっと、今夜はその、両親が泊まり掛けの仕事で家を空けているので…」

澪「明日は休みだし、それで有り体に言うと私の家に泊まることになってるというか…///」

紬「まあまあまあまあ!」

唯「二人でお泊まり会か~、楽しそうでいいなあ」

律「おい待て澪、そんなこと事前に聞いてなかったぞ?」

澪「別に律に事前に言う必要はないと思うけど……」

律「いやしかしだな」

澪「梓の事情もあってだし、それに私も一度、梓と二人で過ごしたいって思ってたし…///」

梓「私もその、澪先輩とならいいなって思ってたので…///」

律「な、なんとおまいさんら…」

唯「は、はれんちなー!?」

紬「唯ちゃん、それは別の唯ちゃんの台詞よ」

唯「ありゃ?」

澪「梓、誤解を招く発言はよそう///」

梓「す、すいません、とにかくそういうわけなので唯先輩とムギ先輩とは今日はここで…」

唯「むー分かった、じゃああずにゃんもまた来週」

澪「じゃあ律もこっちだし行こっか」

律「いや~わたしゃ今日はちょっと駅前の方うろついてから帰りますのでどうぞ梓と二人で帰ってくださいまし、おほほほ」

澪「え?」

律「じゃあ唯さんとムギ様、私らは駅前でエイティーンアイスでもかじるとでもいたしましょうか、ほっほっほ」

唯「(りっちゃんのキャラが変だけど)やったー! アイスアイス~♪」

紬「じゃあよかったら一緒に過ごした感想、来週聞かせてね?」キラキラ

澪「か、考えとくよ……じゃあ行こうか梓?」

梓「は、はい」

__


澪「梓、適当な所に座ってくつろいでくれていいよ」

梓「は、はい、失礼しますっ!」

梓(ここが澪先輩のお部屋なんだ……綺麗で、それになんだかいい香りがする)クンクン

澪「梓、部屋の匂い嗅がれると何だか恥ずかしい…///」

梓「す、すいません///」

澪「ほら、座布団もあるから適当に座って」

梓「そ、その……私は」

澪「ん?」

梓「澪先輩の隣にいっても…いいですか?」

澪「あ……うん、いいよ」

梓「ありがとうございます…失礼します」ピタッ

澪「ちょっと恥ずかしいけど梓となら嬉しさの方が大きい、かな」

梓「私はこうして澪先輩と一緒にいられると嬉しいというか、気恥ずかしいというか、ドキドキするというか……」

梓「何だかいろんな感情がない交ぜになってて、自分でもよく分からない感じです」

澪「それは…他の人と接している時はそういった事にはならない?」

梓「そうですね…こういった感じになるのは澪先輩といる時だけです」

澪「そっか……」

澪(そう言われると私は……どうなんだろう?)

梓「澪先輩?」

ギュッ

梓「み、澪先輩?///」

澪(こうして梓を抱きしめてると私も梓の言った事と同じように嬉しいというか、気恥ずかしいというか)

澪(こないだと違って、胸がドキドキするというか……)

梓「澪先輩……?」

澪(心地よさも勿論あるけど、梓をちゃんと意識し始めたからなのかな……)

澪(私は……)








澪「……私、梓が好きだ」ボソッ








梓「えっ……ほ、本当ですか?」

澪「え?」

梓「ですからその今、私のこと好きって///」

澪「な……え?///」

澪(今、無意識に口に出ちゃってたのかな……ぼんやりと心に思っただけなはずなのに)

澪(でも梓が好きってことは嘘じゃ……ないと思うし)

澪(何より上手に嘘付いたり、ごまかす事が出来る程私は器用じゃないし……)

澪(そっか……なら)

梓「澪先輩、それで今の……」

澪「……うん、私は梓が好きだよ。ただの後輩としてじゃなくて」

梓「あ……///」

澪「梓はその、私のことどう思ってる?」

梓「……恥ずかしがりやの澪先輩の方から告白していただけるなんて、予想外でした」

澪「私もその……告白しちゃってたのは予想外だったというか///」

梓「でも嬉しいです、その、私も……」

澪「う、うん」

梓「わ、私も澪先輩のこと……すっ、すす、すっ……」

梓「す……好きですっ!」

澪「梓……///」

梓「ぷはっ、はあ、よかった……何とか、私も言えました、はあっ」

澪「ん……ありがとう梓、落ち着くまでこうしてるからゆっくり息整えて」ギュッ

梓「はあ……ありがとう、ございます……」クタッ

__


澪「……えーと梓、流石にもう落ち着いたんじゃないかな?」

梓「はい、澪先輩のおかげで落ち着きましたし……そういう仲になれましたし」ギュー

澪「そ、それでさ、もう一時間近く私に抱きつきっぱなしだからそろそろ……」

梓「嫌です、今まで甘えられなかった分を今取り返してる最中ですから」ギュー

澪「はあ、ならこれからは定期的に梓を甘えさせて上げないと後が大変だな……覚えとかないと」ナデナデ

梓「えへへ……」ゴロゴロ

澪「とはいえ、そろそろ……」

澪ママ『澪ちゃーん、梓ちゃーん、ごはんよー』

澪「……な、晩ごはんの時間だからいい加減離れなさい」グイッ

梓「あっ、もう少しだけ……」シュン

澪「もう、なら晩ごはん食べ終わった後でその……」

梓「?」

澪「一緒にお風呂入ったり一緒の布団で寝たりとか、梓とならいいかなって思ってるから」

澪「甘えるのはその時でいいんじゃない…かな///」

梓「……わ、分かりました、なら今は一旦離れますね///」パッ

澪「ん、じゃあ行こう。改めてママに梓のこと紹介しないといけないしさ」

梓「よ、よろしくお願いしますっ!」

おしまい!



最終更新:2016年09月25日 23:47