………♪
……♪
…♪
夕方……店外
ムギと別れた唯梓は、電灯で照らされた薄暗い帰路を辿っていた。
唯「そんでね、憂が机の上でゴーゴー踊ってさ」
梓「あはは……ん?」
何気ない会話を交わしながら歩く二人の前に、学生が立ちはだかる。
唯「ホエィ?」
梓「うちの学生……。な、何?」
学生「軽音部だよね? ちょっといい?」
唯「いいよー、どしたのー?」
梓「ちょっと唯先輩……!」
唯「怖がらなくても平気だよあずにゃん。うちの生徒だよ」
梓「いや、それはそうですけど」
唯梓は、その学生に連れられるまま、人通りのまるでない裏路地までやってきた。
梓(こ、こんなところに連れてきてなんのつもり!?)
唯「おー、こりゃあ隠れ家的ですな。 ところで何の用?」
学生「……あんた達、澪さんに近付きすぎよ」
唯「…………」
梓「……!」(こいつら! ファンクラブ!)
唯「?」
学生「分かってる? 澪さんに馴れ馴れしくしすぎっていってるの」
唯「何?」
梓「……」(まさか直接来るなんて! き、きっと唯先輩は澪先輩とキスしかけたから……)
学生「……言っても無駄みたいね? 今度澪さんに舐めたことしたらどうなるか……」
他学年「……」ゾロゾロ
学生「分からせてあげようか?」
梓「あわわ……」ガクガク
唯「うーん、意味分かんないなあ。友達だから仲良くして何が悪いの?」
学生「チッ……」
ついに学生が手を出した。唯の頬目掛けて平手が飛ぶ。
唯「ホェッチ」
その平手を、唯は上体を少しだけ逸らして躱した。
学生「……っ!?」
梓「わわわっ……!」
唯「…………もう帰っていい?」
学生「……生意気ぃっ!!」
唯に拳が振るわれる。だが当たる寸前に、唯は前蹴りで学生を吹っ飛ばしていた。
………♪
………♪
………♪律澪サイド
律「…………」
澪「コォォォォォォ……!」ブルブル
学生「…………」
律「あー……ひょっとして、澪ファンクラブの人?」
学生「…………」ぎろり
律「ウッ……も、もしそうならさ、普段から澪につきまとうよーなのはやめてくれないかな……」
澪「……」コクコクコク
学生「…………」
律「悪い! 澪もケッコー繊細なやつでさ! そーゆーのはちょっとツラいとこあるんだ!」
澪「……」ウンウン
学生「…………」
律「だから、さ、できればそのことファンクラブのみんなに伝えて、やめてもらえるようにしてほしい! お願いっ」
学生「……分かりました。伝えておきます」
律「……」
澪「……」
律「……あ、そーお!? 悪いなーわざわざ。お願いな。それじゃっ!」ダッシュ
澪「……」ソソクサー
学生「MIO様につきまとう
田井中律、あなたのことを……」
………♪
………♪
………♪
翌日の放課後、軽音楽部
唯「今も私達のこと見てるかもしれないねー」
律「よーし、今に見てろ……」
澪「な、なんだ律」
律「おらっ」
澪「ふおぉ!?」
りっちゃんは突然立ち上がって澪のおっぱいを揉みまくった。
紬「まあ!!!!!!!!!!!!!!!!」
澪「や〜め〜ろ〜!」ドギャッ
律「げァッ!!!」ブシュウ
澪「……まったく!」
紬「もうおしまい?」
梓「もうちょっとやってくれても良かったです」
澪「えっ? わ、分かったよ」ボゴゴゴ
律「ぐげあァァァァッ」
紬「あ、そっちじゃなくて」
カチャン
和「待たせたわね。情報が入ったわ」
唯「のどかチャーン」
律「よう。どうだった?」
和「ビックリよ。桜高の半分が澪のファンだと思う」
澪「」
律「嘘だろ? そんな馬鹿デカく……」
和「ただし、規模が大きくなりすぎてファンクラブとしてまとめきれてないから、正確には分からない。もっとかもしれないわ」
律「ドハハハハwww」
澪「」
和「あと分かったことは、ファンクラブには、過激派がいるってこと」
唯「昨日の子達みたいなのかな」
梓「ッぱ やぱッ そッ きっとそうですよッ! ファンクラブは、一匹残らずこの世から消し去るべきです!!!」
律「ここにも過激派がいるぞー……」
和「でも、以前みたいにささやかな活動を願ってる穏便派だってちゃんといるの」
律「それが救いだな」
梓「く! そ、それでもこのままじゃいけないと思います!」
紬「そうよね……。昨日みたいなことがまた起こるかも……」
和「ええ、唯に聞いたけど、やって良いことと悪いことがあるってもんよ」
律「ヤツら完璧、この軽音部&生徒会長コンビを敵に回した……!」
澪「」
唯「澪ちゃん……」
律「澪、お前はどうしたい?」
澪「……う」
律「……アタシは、昨日のこととかを今すぐ先生に報告して、早いとこ対応してもらった方が良いと思う」
和「私もそれに賛成ね。ちょっと、見過ごせない」
澪「…………」
唯「決断の時だよ澪ちゃん」
梓「容姿端麗頭脳明晰な澪先輩なら、賢明な判断を下してくれるに決まっています」
澪「…………私は」
…………♪
………♪
……♪
…♪
梓「失望しました澪先輩」
澪「そんなあ!?」
律「ああ、澪のお人好しにも困ったもんだな」
梓「全くです! 澪先輩は甘いです! 甘々ですよ!」
紬「でも、澪ちゃんらしい」
唯「ファンクラブもきっと喜んでくれるよ」
澪「うん、そうだといいな……」
和「みんな、そろそろ時間よ。成功すると良いわね」
軽音楽部は、講堂のステージ舞台袖に立っていた。
和「良い悪いは別として、先生がいないからね……。思い切りやんなさい」
澪の決断。それは、ファンクラブに向けてライブを行うことだった。
澪(それで最後に、私の気持ちをしっかりみんなに伝えよう。分かってもらおう)
澪(思いは 話さなきゃ どこにも響かない……!)
紬「澪ちゃん、真面目な顔してる」
唯「やっぱり澪ちゃんだね」
和「……にしても、生徒会総動員でもこのファンクラブ、抑えられるかどうか」
講堂には溢れんばかりのファンクラブが押し寄せていた。どう詰めてもあと二人しか入らない核シェルター並みに詰まっていた。
ステージに乗り上がる勢いのファンクラブを、和率いる生徒会役員が必死に抑えている。
律「頑張ってくれよ……! あとでお茶奢るぜ……」
澪「い、淹れるのはムギだろ」コラッ
紬「興奮してきたわ」
梓「こうなったら、HHTの底力を魅せてやりましょう」
律「ああ、みんなでやるんだ。ファンクラブ達の度肝抜いてやろーぜ」
唯「お〜!」
紬「ウオオオオオオオオッ!!!」
和『……それでは大変お待たせしました。HHT特別ライブ。 押さないで、落ち着いてお楽しみください』
和「さあ、出番よ」サッ
澪「よ、よひ」
梓「やってやるです!」
律「やってやるぜ!」
唯「や〜るぞー」
紬「やりましょ〜!」
舞台袖から、HHTがステージに現れる。
途端に爆発のような歓声が上がった。
「「ギャァアアアアアアアアーーーーーッ!!!!」」
「「MIO様ァーーーッ!!!」」
「HHTーっ!」
「「「MIOーー!!MIOooooooo!!!」」」
「「「キィィーーッ!! ギィいいいい!」」」
律「ウオオッ!?」
紬「みんな澪ちゃんを観てるわ」
梓「ちょっとは私達のことを見てくれても良いじゃないですか!」
唯「まあまああずにゃん。主役は澪ちゃんなんだから」
うい「おねえちゃーん!」
じゅん「澪センパーイ!」
講堂入り口近く、人に埋もれていてステージからでもよく見えないが、憂と純がいた。
唯「あ! 憂ー!」ブンブン
梓「純! やっぱりあんたも!」
律「おーい、MC始まるぞー」
澪『あー、み、みなさん! えと……今日は、HHTの特別ライブに来て板垣退助っ!』きぃーーん
ファンクラブ「「「板垣退助ーー!!!!」」」ドドォォォォォォォ
律「!?」唯「ほえ?」梓「」紬「……」
和「アレ、澪の持ちネタになったんだ」
澪(よ、よしっ、つかみはオーケー)
澪『ええと、今日は集まってくれた皆さんのために、歌います!』
唯梓紬律「……」スチャッ
律「」シャンシャンドコドンドコドンッ
律の小気味好いドラムコンボの合図で、ライブは始まった。
澪『Please don't say"You are lazy"!!!』
澪『だって本当は?』
唯律『crazy!!!』
澪『白鳥たちはそう 見えないとこでバタ足するんです♪』
唯(……あっ、生徒会の人が倒れてる)
澪『本能に従順 忠実 翻弄も重々承知!?
前途洋々だし… だからたまに休憩しちゃうんです♩』
梓(ちょっ、ファンクラブが……)
ファッン「MIO様ァァッ!!」グアッ
澪『ッ、この目でしっかり見定めて 行き先地図上マークしてッ♪ ヒッ…』
唯『近道あればそれが王道? はしょれる翼もあれば上等〜♪』ドギャッ
ファン「ッ!!??」ダァン
ステージに乗り上がろうとしてきたファンを、唯が蹴り落とした。同時に、怯んで歌詞が飛んだ澪へのフォローも入る。
唯(澪ちゃんしっかり!)ウインク
澪(唯っ!)
紬(唯ちゃんナイス!)
律(クソ、今のは助かったけど、まだ来るぞ!!)
澪『♩ヤバ!? 爪割れた グルーで補修した それだけでなんか達成感?』
梓「とぅえりゃあっ!!!」ドゴォッ
ファン「ゲッ!!」
澪『大事なのは自分っ かわいがること♫』
紬「シャランラァッ!!!」めきょっ
ファン「」
澪『自分を愛さなきゃ 他人(ひと)も愛せない!!』
澪『Please don't say"You are lazy"!?』
澪『だって本当は?』
紬梓『crazyッッ!!!』グアアッ
澪『能ある鷹はそう 見えないとこにピック隠すんです♪』
澪『想像に一生懸命!? 現実は絶体絶命
発展途中だし… だから不意にピッチ外れるんです♪——』
「「「ワアアアアアアアアアアア
!!!!」」」キャーキャー
ショートヴァージョンの一曲目が終了した。
ファンクラブの中には、感激のあまり気を失って倒れる者もいる。
そして、ステージに乗り上がって澪に近づこうとする者も後をたたなかった。
ファン「MIO様〜〜〜〜っ!!!」
澪「ぐえー!?」
一人のファンが、HHTの隙をついて澪に乗り出し、彼女の足首を掴んだ。
澪「ヒ、ひいいいいいっ!?」ガタンッ
紬「キャオラッ!!!!!!」ゴンッッッ
ファン「カペッ!!!??」
紬「澪ちゃん! しっかり!」
澪「ひいいいいいい……」ガタガタ
律「ッ! ゆ、唯! パートチェンジだ!」
唯「合点!」さっ
澪が怯えてしまったときのため、もう一人のボーカル唯が時間を稼ぐという作戦があった。
——じゃかじゃかじゃかじゃかジャンジャンジャンジャン♫
唯『♪キミがいないとなんにもできないよ キミのご飯が食べたいよ〜♪』
HTTファン「キャー! YUIー!」
紬「さあ澪ちゃん、少し下がって休んでて」
澪「う、うん。ありがとう……」
唯『もしキミが帰ってきたらとびきりの笑顔で 抱きつくよ〜♫』
梓「うおりゃあ! 喰らえ! 澪センパイにたかるちくしょうめ! この! この!」ゲシッゲシッ
………♪
………♪
唯と律が演奏。紬が澪の保護と介抱。梓がファンクラブの進行阻止。それぞれが適所に位置し、かろうじてライブとしての体裁を保っていた。
唯『キミが そばに いるだけで いつも 勇気もらってた♫』
梓「あいたあああ!? か、髪を引っ張らないで! ふおぉお!?」
ついに、梓がステージ下へ引きずり降ろされた。
梓「アンギャアアアアアーーーーーッ!!!」
澪「あっ、梓ぁっ!」
紬「梓ちゃんっ」
唯『いつまででも…ッ! 一緒にいたい この気持ちを伝えたいよ♩』
憂「純ちゃん純ちゃん! お姉ちゃん歌ってるの、私のやつだよ! お姉ちゃんの私のやつ!」キャッハー
純「う、うん。でも、なんかスゴイことになってるみたいだよ……? 人がすごくてよく見えないけど……」
憂「お姉ちゃあ〜ん!!」ドバアアアアーーーーー
唯『晴れの 日にも 雨の日も いつもそばに…痛えっ!?』ガンッ
歌っていた唯のおでこに、空き缶が投げられた。
「「澪先輩を前面に出せー!」」
「「澪先輩に歌わせろー!」」
「「「ひっこめー!」」」
MIOファンからの攻撃だった。憧れの澪と親しくしている他メンバーは、ファンクラブのヘイトを存分に集めていたのだ。
唯「……」
憂「」ビキビキ
唯『……目を閉じれば♪ キミの笑顔♩ 輝いて ルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!!』バギョオッ
ファン「フゲエッ!?」ズデーン
唯が、歌い終わりと同時に攻撃してきたファンの顔面を蹴り上げた。
そしてそのままステージを駆け下り、ファンの海に飛び込んでいった。
澪「唯いいいい!?」
律「くそっ もう限界だ! やっぱり無理なんだよ! 完全に逆効果じゃんか!」
澪「な、なんだよおぉ……律だって賛成してくれたじゃないかぁぁ……ううう、梓ぁ……唯ぃ……」めそめそ
律「チクショ〜〜〜……どう収集つけりゃいいんだ……」
梓「ゲボあっ!」ズザアアア
澪紬律「!?」
突如、梓が水揚げされたマグロのようにステージに乗り上がってきた。
唯「りっちゃああああん! あずにゃんおねがァァい!」
どうやら唯が、梓をファンの猛攻からすくい上げたようだった。
紬「梓ちゃんっ! 大丈夫!?」
梓「か、かろうじて。ギターは死守しました……」ギギギ
紬「大丈夫そうねっ……!」
和「みんなっ!」
軽音部に、生徒会長の一声がかけられた。
律「和っ……」
和「もう無理よ! 一旦下がりなさい! まだ裏口には誰もいないから、今のうち!」
律「クソッ!! 立て梓! ムギ! 澪を頼む!」
梓「は、はいっ!」ギギギ
紬「澪ちゃん、立てる?」
澪「こ、腰が抜けちゃって……」へなへな
紬「それじゃあおんぶする! さあ澪ちゃん!」
澪「え、あ、うんっ!」
ムギは澪をおんぶして、和の待つ舞台袖に向かう。ただムギが力持ちとはいえ、急におんぶをしてバランスが取りきれておらず、足取りはかなりおぼつかない。さらにステージに投げ込まれるゴミや、アンプ等の配線が、それに拍車をかけていた。
梓「せ、先輩! 唯先輩は!? 唯先輩は!?」
律「……まずは、お前らを安全なところまで連れて行く!」
梓「そんなっ」
律「大丈夫! あたしが残る! 梓はムギについてけ!!」
梓(でもっ、唯先輩が……! 今のままじゃ……!)
そこに、律の蛮行(乳揉み)を知って頭に血が上ったファンが、律に襲いかかってきた。
律「く、クソッ!!」
ファン「こいつっ! よくもMIO様のおっぱいを!」ドドドドド
律「しゃらくせー! アタシの特権じゃ
ああああい!」ボガアッ
ファン「〜〜っ!?」
律は負けじとフルスイングラリアットで返り討ちにしたが、投擲攻撃は続く。
梓「ギギギ……」
律「いててててっ……!」
ムギ「ああっ……!」
澪「わああ!?」
その勢いを受けて、ついにムギが転倒してしまった。
律「チック症! 大丈夫か!」
澪「律う! ムギが! ムギがぁ!」
律「ばかやろ泣くな! お前だけでも行け!」
澪「だあって……!!!」
梓「ゆっ、唯先輩は……!」
………
………
………
唯「えい!」ドム
ファン1「っっ……!」ズルズル
唯「むりゃー!」ボッグァ
ファン2「ギエエ!」ドダ
唯は、掴みかかってきたファンをボディブローで沈め、すかさず後ろ蹴りで牽制と、うまく戦っていた。
唯「ちえいっ!」ブゥン
さらに沈んだファンを突き飛ばしてそばにいた生徒に拳を振り上げるが——
HHTファン「わああ!? 私悪いファンクラブじゃないよぉ!? 助けてぇぇ!」ピューっ
唯「あっ! ごめんねー!?」
ファン3「うおりゃっ!」ガシッ
唯「ああっ!?」
隙を突かれた唯は、羽交い締めにされる。だがすぐに、軽い衝撃とともに拘束は解けた。
唯「んんん!?」
憂「お姉ちゃん大丈夫っ!?」さっ
唯「憂ぃ!」パァァ
憂「お、お姉ちゃんを傷付ける人は許さないもん!」ビシッ
純「憂のそばにいれば大丈夫だよね……」オロオロ
梓(…………憂だ! 憂が助けに入ってくれてる! でも、いくらなんでもこの数じゃ……!)
梓(ゆ、唯先輩は私を助けてくれたのに、私は唯先輩を助けることができないなんて……!)
梓(そんなの…………!)
梓は、マイクを拾った。
律「梓っ? 早く…
梓「おいみんなァーッ!!!!」キーーン
「「「「「…………」」」」」
それまでの狂声とは一線を画す、とてつもない金切り声が、講堂に響いた。
流石のファンクラブ一同も、静まり返る。
梓「もう余興はおしまいよ! さあ~楽しいあずにゃんダンスの始まり始まりーーーッ!!!!」
律「…………」
紬「…………」
澪「うう……ん?」
梓は上着を脱ぎ捨て、マイクスタンドを抱えた。そして、思い切り息を吸い込む——
梓「yeah!!! 私は梓! あだ名はあずにゃん! みんな、楽しくやっていこぅニャン!!! アズアズアズアズアズアズニャンッ! そりゃアズアズアズアズアズアズアズアアァッ!!!」ドドドドト
——
梓「…………」
梓「AZ・SAの・RHYTH・Mを・知ッ・てる・かい!?」クネクネ
梓「ホイ! ホホホイホホホイホホホイホーイ! ホホホイホホホイホホホイホ」
梓「デケデンッ!!!」ビシッ
憂「ギャハハハハハハハハハーーーッ!!!」
憂「あwwwずwwさwwwwちゃwwwひぃwwひぃwwwww」
純「う、憂……笑い過ぎ……」
梓(り、律先輩! 唯先輩! 私が時間を稼いでる間に!!!)
律(分かってるぜ……サンキュー梓!)
唯「はっ、行かなくちゃっ。憂ありがとねっ」ダダダッ
梓『……YEA!!! オレたちk-on! 永遠(とわ)まで帝王! この身尽きてもソウルがk-on!!!』ズンズン
憂「私も歌うよ! すっきすっきだっいっすっき! おっねえっちゃんだっいっすっきッ!!!」
梓『ウホウホウホホウ? ウホウホホウ!!! ウホホウホウホ ウホホッホウ!!!』ビグンビグンッ
純「もーめちゃくちゃだああああーーーっ!!!!!」
「「「…………」」」
律「今だ行け行け」
紬「メェー」澪「ヒヒヒィーン」ドドォ
唯「ブヒィィ」ブブブ
梓が皆の目を引いているうちに、軽音部は舞台袖、控え室に逃げ込んだ。
梓「ニャー!」ドドド
「あ、あああっ! 軽音部を逃すなあぁぁぁーーー!!! 澪先輩を救ええええええ!!!」
梓「お待たせしました!」ボァァ
律「よし! 全員揃ったな!」
紬「はあ、はあ、すぐ入られちゃう!」
律「……これを、動かそう! おりゃっ」ズズッ
紬「うんっ!」ズズズ
——ドンッ! ドンッ!!!
律紬は、ステージを繋ぐ口をロッカーで塞ぎ、一先ずの進行を抑えた。そこへ間髪入れずに和が話す。
和「無事っ? ……早いとこ ここを離れた方が良さそうよ」
律「ああ! とにかく行くぜー!」
紬「でも、どこに?」
澪「わ、私、部室に荷物置きっぱなし……」
律「アタシもだ。……どこか、奴らを巻きながら隠れられる場所を探すんだ」
唯「了解!」
和「私も行くわ」
律「頼むぜ」
………♪
………♪
………♪
律「ぜえぜえ……」
ファン「待てえええ! MIO様を解放しろー!」ドドド
結論から言うと、軽音部は逃げられなかった。
校門を塞がれ、阻まれ、追い込まれ、体育館に向かうほかなかった。
そこからは、まさに戦場だった。
律「うおおおおぉ!!」
唯「ぬりゃーーー!!」
紬「キエエエエエ!!」
梓「ガアアアァァ!!」
澪「ひいいいいい!!」
憂「うおーおおお!!」
純「ひゃああああ!!」
各々がファンクラブに囲まれ、抵抗を続けていた。
しかし……
梓「アンギャアアアアアア!!! セ、センパーイ! 助けてくださぁぁぁぁあああい!!!」
律「うげぇ……み、澪ォ! 逃げろ~~~っ!!!」
唯「もうダメだよ……くたくたで動けないや……」ガクッ
憂「お、お姉ちゃあん……」ドサ
モップ「」
紬「」ドーン
次々に、軽音部とその仲間達は倒れていく
その様子を澪は隅っこでずっと見ていた
澪「み、みんなああぁ……っ!!!」
澪「」プッツン
澪「…………っ完全に キレたぞ~~~~~~ッ!!!!!」
……………♪
…………♪
………♪
……♪
…♪軽音部、音楽室♪……
律「いや~一件落着だな」
紬「澪ちゃんすごかったわあ」
澪「いやあ……みんなが倒れたのを見たら、いてもたってもいられなくて……あとは無我夢中だったよ……」
梓「流石澪先輩です! 私、ファンになりたいです!」
澪「はは……冗談キツイな梓は……」
唯「今度あーゆーことがあったら澪ちゃんを怒らせればいいね~」
律「おいおい、冗談キツイぞー唯」
「貴方達? 何やってるの?」
「わああ!?」
ガチャンッ!!!
律澪紬唯梓「?」
和「ん。元気そうでよかった」
澪「の、和……その子達は……?」
和「さあ……? なんか、ドアの前にいたわ」
「別に怪しい者ではありません!!!」
「私達、あずにゃんファンクラブの者です!」
梓「」
律「おし、澪を怒らせるぞお前ら」
おわり
軽音部のみんなが困難に立ち向かうところが書きたくて書きました
なんか放課後ティータイムがHHTになってました、すいません
最終更新:2017年03月15日 08:11