~N女子大・寮

唯「おっけーです!」

純「こちらもオッケーです!」

晶「ああ、こっちもオッケーだ」

律「では開幕は私が…あーあー、マイクテスト、マイクテスト」

唯「りっちゃん、マイクなんてないよ~」

律「ばれたか……こほん、ではでは」

律「今回のライブの成功そして、梓の19回目の誕生日を記念して…」

律「皆さん、かんぱーい!」

唯澪紬憂純晶菖幸「かんぱーい!」

梓「あ、ありがとうございます、かんぱいっ!」

__

律「くーっ、こうしてライブ終わって帰ってきて一杯呑み干した瞬間に人生の幸せを感じるぜ!」プハー

唯「りっちゃん、親父くさーい」

律「なんだとー!」ガキッ

唯「ひゃー!たっぷたっぷですたいひょー!」バタバタ

梓「もう、お二人とも一応は人の誕生日会も兼ねてるんですからもう少しおごそかにしてくださいよ」

唯律「えへへー」

憂「何だか私達も混じっていいのかな?」

純「いいのいいの、梓の誕生日会も兼ねてるんだしお祝いも兼ねて混じらないとね」

梓「まあ純はともかく、憂は気にしないで」

純「どういう意味だい?」

澪「ま、まあとにかくさ、今回のライブも無事に成功で何よりだよ」

晶「しかしお前達、梓が加わってからほんと演奏に厚みが出るようになったな」

澪「そう?」

菖「うんうん、一本芯が通ったっていうかすごく良くなったよね」
幸「話には聞いてたけど、梓ちゃんがこんなにギター上手い子とは思ってなかったから」

梓「そんな、私なんて」

澪「ううん、やっぱり梓がいないと私達ダメだなって思わされたからな」

梓「そ、そんなこと言ったら私もその…」

澪「?」

梓「澪先輩がいないとやっぱり私、ダメだなってつくづく思いましたから…///」

澪「梓…///」

梓「澪先輩…///」

紬「~♪」ホクホク

律「はいはいストップストーップ!」

澪梓「!///」

紬「えー!」

律「ムギはがっかりしない!」

唯「お二人とも油断も隙もないですなあ、むむむ」

純「まったく、梓ったらすーぐ澪先輩とイチャつきだすんだから!」

憂「まあまあ純ちゃん」


晶「まあそれと、唯と澪の二人にも歌いかたに力強さが出たよな」

唯「おおっ、晶ちゃんよく見てくれてるね!」フンス

澪「そ、そう?」

菖「そうそう、特に澪ちゃんの歌いかたが力強くなってかっこよくなったよ」

幸「うん、一年生にも澪ちゃんのファンが増えてるみたいだし」

唯「ちょっとー、私はー?」ブーブー

晶「あー分かった分かった、唯もボーカル良くなってる、良くなってるから」

唯「やったー!」ダキッ

晶「だー!くっつくなっての!」グイグイ

唯「むー」

澪「そうだな…梓が傍にいるから少しはかっこよく歌えるようにって」

澪「力を込めて歌うようには心掛けてるけど…」

梓「少しなんかじゃないです」

澪「え?」

梓「私は澪先輩の歌う姿…すごくかっこいいって思っていつも見ていますよ?」

澪「梓…///」

梓「澪先輩…///」

紬「んふふ~♪」ホクホク

律「やめーい!やめんかー!」

澪梓「!!///」

紬「ええー!」

律「だからムギもがっかりするんじゃないの!」

唯「ぐむむ~、またしてもラブラブな空気をかもしだしてきましたよ二人とも」

純「もー、澪先輩はともかく梓はお母さん許しませんよ!」

憂「まあまあ純ちゃん、落ち着いて」

梓「いつから純は私のお母さんになったのよ…」

澪「はは…」


晶「あとは…梓のボーカルも最近ずいぶんと良くなったしな」

梓「そ、そうですか?」

菖「うん、最初に聞いた時はまあ…色々と…」

幸「その…あれだったけれど」

梓「な、なんですかその妙にこもった言い方…」

律「まああれだよな、ギターの上手さと歌の上手さはまた別だったってことで」

純「ですよねー」

唯「でも人には欠点が一つはないとダメだって言うしさ」

憂「うんうん、お姉ちゃんいいこと言いました!」

唯「えへへー」

澪「私に比べたら歌はちょっと、なんていうのは可愛い長所だよ?」

梓「もー!歌が下手だったなら下手ってはっきり言ってもらったほうがまだすっきりしますよ!」

純「しかも胸は10代最後を迎えながらも、相変わらずぺったんこだしねえ」

梓「それは関係ないでしょ!」

晶「まあでも、唯と澪に教えてもらって最近はちゃんと聞けるようになったから良かったな」

唯「むふふ~、あずにゃんは私が教えて鍛えましたっ」フンスッ

澪「一応私達は、と言ってくれよ」

梓「唯先輩からは何か教わりましたっけ?」

唯「そんな、ひどし!」ガーン

梓「はいはい、唯先輩からも色々と教わって感謝してますから」

唯「おおう、あずにゃーん!」ダキッ

梓「んもう…」

澪「唯からは度胸、私は技術的なことを少し教えただけだよ」

律「え、胸なら澪の方が教えられるんじゃね?」

澪「度胸だよ!胸じゃない!」

唯「ううっ、度胸は勝てても胸囲では澪ちゃんには勝てません…」
紬「私も僅差でちょっと…」

澪「唯もムギものっかるんじゃないの…」

純「とにかく、少し教えただけであれだけちゃんと聞けるものになるなんて澪先輩の教えがいいからですよ」

梓「それに関しては純と同じくです」

澪「いや…それに梓もボーカルがきちんと出来れば私と唯の負担も減るしさ」

梓「澪先輩の力になれるなら私、もっとボーカルも上手く出来るように頑張りますっ!」

澪「梓…///」

梓「澪先輩…///」

紬「んふふふ~♪」ホクホクホク

律純「いい加減にせーい!!」

澪梓「!!!///」

紬「なんでー!」

純「ムギ先輩もなんでじゃないですっ!」

律「もうそういうのは二人きりの時にだけにせい!」

純「せいです!」

唯「せい!」

憂「お、お姉ちゃんも純ちゃんも律さんも落ち着いて…」

晶「……まあ何とも騒がしい打ち上げと誕生日会になったもんだな」

菖「でもいいじゃない、楽しいしさ」

幸「ちょっと、二人には妬けちゃうかもだけどね」

__

ガチャ

梓「ふー、流石に疲れました…」

澪「ああ、今日はお疲れさま梓」ナデナデ

梓「んっ…」

澪「今回のライブも終わったし、すぐまとめないといけないレポートとかも今日はないし…久しぶりにゆっくりできるな」

梓「そうですね…ふわあぁ」

澪「あ、大きなあくび」

梓「す、すいません///」

澪「疲れてるなら今日は早めにお風呂入って、早めに寝た方がいいかな?」

梓「そうですね…ええっとそれなら」

澪「?」

梓「……その、えっと///」

澪「一緒にお風呂入って、一緒の布団で寝る?」

梓「!……は、はい///」

澪「もう随分な付き合いなんだし、遠慮しなくていいんだからな」

梓「はい……でも」

澪「でも、なに?」


梓「その、迷惑なんじゃないかなって」

澪「迷惑ってどうして?」

梓「私としてはあの……N女子大に入って、澪先輩に告白して」

梓「恋人同士になれて、こうして同じルームメイトにもなっていただけて」

梓「本当にすごく幸せですけど……澪先輩には色々と迷惑になってるんじゃないかって」

梓「もう付き合って半年以上経つからでしょうか…澪先輩には私が重荷になってないかって、最近そう思う時があって…」

澪「……なら証明しよっか?」

梓「え?」

澪「よっ」

ヒョイ

梓「ひゃっ、澪先輩!?」

澪「ムギほどじゃないけど、腕力はそれなりにあるからこうしてお姫様抱っこも楽にこなせるぞ?」

梓「お、重荷ってそのままの意味じゃないですっ!」バタバタ

澪「はいはい暴れない、それより……梓」

梓「は、はい」

澪「梓が私のこと慕ってくれてたり憧れてくれただけじゃなく、好きになってくれたから…」

澪「私は自分をもっといい方向に変えていこうって思えるようになったんだよ」

梓「自分をいい方向に……ですか?」

澪「うん、放課後ティータイムのベーシスト兼ボーカルとしても、一人の人間としてもね」

澪「それがきっと夢を実現させるためだったり、私達の未来のためにもなるってそう思うから」

澪「だから自分が迷惑だとか重荷になってるとかそんなこと言わないでくれ、な?」

梓「は、はい……」

澪「まあ、それに……」スッ

梓「え、澪せん……んっ」

チュッ

澪「ん……」

梓「……はぅ、澪先輩///」

澪「……私だって梓のこと、愛してるんだし今更離すつもりはないんだから///」

梓「……そうですね、そうでした」

澪「うん、分かったならその、よろしい///」

梓「澪先輩、顔真っ赤です」

澪「……梓こそ///」

__

ガチャ

澪「さてと、お風呂行こっか」

梓「は、はい」

梓(今の私は澪先輩にとって重荷なんかになってないというのは嬉しいけど…)

梓(なら私自身は、澪先輩の助けにはなれてるのかな?)

澪「梓、どうした?」

梓「な、何でもないです」

律「おーっす、ご両人」

唯「ど~も~、澪ちゃんあずにゃん」

澪「あ、律に唯はもうお風呂入ってきたの?」

律「ああ、ちょうど今出てきたところだ」

唯「ふふ~、あったまった体であずにゃんをあっためて上げよ~」ダキッ

梓「わわ、熱い!暖まりすぎです唯先輩!」グイグイ

律「…ちとこっちは湯船につかりすぎてのぼせ気味だけどな」

澪「ムギはまだ入ってないのかな?」

律「いや、私らより先に上がって部屋に戻ったはずだし、今日は他のみんなももう入って上がってるぜ」

澪「そうなのか?珍しいな」

律「まあそこは澪と梓を二人きりでゆっくりお風呂を満喫させて上げようってことですよ大将?」

唯「せっかくのあずにゃん誕生日だし、澪ちゃんを満喫するちゃんすを特別大ぷれぜんとだよ~」

梓「そ、それはその…とりあえずお礼は言っておきますね…///」

律「まあ、逆に澪しゃんが梓を満喫しても構わないけどな~」ニヤニヤ

澪「おい///」

律「……って、え、おい」ピタッ

澪「律?」

梓「そっ、そんな…!?」

唯「こ、こんな季節に…?」

澪「あ、梓も唯もどうしたんだ?」

律「み、澪の後ろ……」

澪「後ろって……」クルッ










「うっふっふ……のっぺらぼうがほの暗い大浴場の底から這い上がってきたわよ……しゃあ~」

澪「きゃああああああああ!!!」









純「どうしました、澪先輩!……ってひゃああ!?」

憂「何があったんですか……きゃああ!?」

晶「なんだよ、うるさいぞ……って、おおお!?」

律「か、顔が……」

唯「く、口から上が……」

梓「な、ないです……」

澪「うーん……」パタリ

「えへへ……ごめんなさい、ちょうど今、顔にパックしてたの」ペラッ

律「……ってムギ、お前かぁ!?」

紬「一度、顔パックでのっぺらぼうの真似やってみたかったの~」

唯「んも~、ムギちゃんたら流石にびっくりしたよ~」

晶「全く何やってんだよ……」

純「ムギ先輩は時々周りを驚かせてくれますね……」

憂(あの顔パック、私も使ってみたいなあ)

梓「もう、澪先輩卒倒しちゃったじゃないですか……一旦連れて部屋に戻りますね」

純「おっ、なら私が澪先輩の肩を片方担ぐから梓はもう片方ね」

梓「純ったらどさくさに澪先輩に触れたいだけでしょ?」

純「いいからいいから」

律「なら私は両足をかついでやるかな、ほれ運ぶぞ~」

梓「もう」

__

澪「……う、うーん」

梓「目が覚めましたか澪先輩?」

澪「あれ、さっき私達お風呂に入りに行こうとして部屋を出たのになんで戻ってきて……はっ」

梓「澪先輩、あれは」

澪「あ、梓ーっ!」ダキッ

梓「わぷっ」

澪「の、のっぺ、ぺら、ぺらぺら、ぺらぼっぼぼが」ギュー

梓「み、澪へんはい、くるひーでふ、胸にうまふて、いひしにふいでふからおひふいて」

澪「はあはあ……」

梓「……ぷは、あれはムギ先輩が顔にパックしててちょっとしたおふざけだったんですよ」

澪「ほ、ほんと……?」

梓「本当です、本物ののっぺらぼうなんているわけないですよ」

澪「はあ……よかったぁ」ペタン

梓「はい、もう大丈夫ですから改めてお風呂行きましょう」

澪「う、うん……そうしたいんだけど……」

梓「どうしました?」

澪「安心したら腰が抜けちゃったみたいで……手、貸してくれるかな///」

梓「は、はいっお安い御用です」

梓「んしょっ……と」グイッ

澪「んっ、ありがとう梓、助かったよ」

梓「あ……」

澪「どうかした梓?」

梓「いえ、何でもないです」

梓(こんなことでも私自身、澪先輩の助けになれてるって実感出来て少し安心しました)

澪「じゃ、改めてお風呂入りに…っていつまで手繋いでるんだ?」

梓「せっかくですし、もうちょっとこのままでお願い出来ませんか?」

澪「そうだな……じゃあせっかくだし、このまま行こっか?」

梓「はい!」


おしまい!



最終更新:2017年11月15日 18:40