澪「おとっ……お前、アホかお前は」

梓「律先輩が男の娘って本当なんですか?」

澪「改めて聞くな!連呼するな!」

梓「律先輩とは小学校の頃からの付き合いだって聞いたんですけど」

梓「あっ、付き合いっていうのはそういう意味じゃなくて」

梓「さすがに小学校のころから付き合ってるとは思ってませんよ」

澪「何の話だ」

梓「まあその話はおいおい聞くとして」

澪「付き合ってないからな」

梓「生えてるんですよね?」

澪「生えてないっ!」

梓「下の毛の話じゃないですよ?」

澪「そっちが生えてないのも問題あるだろ」

梓「生えてないんですか?」

澪「知るか」

梓「どっちなんですかもう、はっきりして下さいよ」

梓「私が聞いてるのは律先輩にチn

澪「お前がもうちょっと言葉を濁せ!!」



梓「律先輩ってボーイッシュじゃないですか」

澪「見た目はな」

梓「純が初対面の時も、格好いい先輩というのが第一印象だったらしくて」

澪「澄ましてるとそう見えるかもな」

梓「学園祭のライブ、よその高校の子にも好評だったみたいですし」

澪「ドラムが?」

梓「なんで澪先輩が照れるんですか」

澪「照れてない」

梓「律先輩も後輩に人気あるんですよ、あれでも」

澪「先輩をあれとか言うな」

梓「本当はアレがついてるんですよね?」

澪「ついてないって言ってるだろ!」

梓「昔から?」

澪「最初から!」

梓「ムキになるところが怪しいなぁ」

澪「何がお前をそこまでさせるんだ」



澪「お前も見ただろ、合宿の時とか」

梓「そこまでガン見してないですし」

澪「私だってそこをガン見はしてないけど」

梓「見てないならわからないじゃないですか」

澪「ちょっとは見たけど」

梓「しっかり見てるじゃないですか」

澪「見えたんだよ」

梓「どうでした?」

澪「どうって言われても」

梓「生えてたかどうかくらいはわかるじゃないですか」

澪「生えてるわけないだろ!」

梓「毛も?」

澪「私が律のそこらへんに詳しいのもおかしいだろ」

梓「下半身に精通しているのはおかしいと」

澪「せ

梓「あの、精通っていうのはそういう意味じゃなくて……」

澪「わかってるんだよ! なにさっきからニヤニヤしてんだよ!?」

梓「精通してないんですか?」

澪「してない!」

梓「どっちの意味で?」

澪「どっちもだよ!!」



梓「だってちゃんと確認してないんですよね?」

澪「いやお前、ついてたらおかしいだろ」

澪「いろいろおかしくなってくるだろ」

梓「股に上手く挟んでたりしたらわからないじゃないですか」

澪「そうだけど……」

梓「微妙に悩まないで下さいよ、怖いじゃないですか」

澪「お前の発想のほうが怖いんだよ」

梓「真面目な話、律先輩の局部を間近で見た可能性があるのは澪先輩だけなんですよ」

澪「どのへんが真面目な話なんだ」

梓「だって律先輩といえば粗野で乱暴で、短気で無鉄砲で、
  手癖が悪いし頭も悪いし、デリカシーもなければ胸もないし」

澪「後半はお前も一緒だろ」

梓「でもほら、私は愛らしくて先輩たちにも可愛がられてますし」

澪「律だって可愛いとこあるし」

梓「胸もなければ股間にもついてないとなると、もう身体の仕組みがどうなっているのか……」

澪「お前の頭の構造がどうなってるんだよ」



澪「つまりお前はあれか」

澪「律が実は女装癖のある変態ではないかと疑っているわけか」

梓「いや、可能性の話ですよ」

澪「中性的な風貌を生かして女漁りに女子校に紛れ込んで、
  合宿にもついてきて一緒に風呂入ったりしてる最低野郎だと、そう言いたいわけか」

梓「そこまでミソクソには思ってませんけど……」

澪「目を逸らすな」

梓「昔、美少女が男装して男子校に紛れ込むみたいな少女漫画があったじゃないですか」

澪「あったけども」

梓「その逆パターンということですよね」

澪「逆パターンは無理があるだろ」

梓「美少女設定に?」

澪「女装に」

梓「まあ本気で女装する気ならもうちょっと女の子らしくしますよね」

梓「胸だってもうちょっと盛りますよね」

澪「そうだよ、あんな粗末なものを偽装してどうするんだ」

澪「お前じゃあるまいし」

梓「誰が粗末なんですか」

澪「誰が粗末なんだよ!」

梓「えぇ……」



梓「私はサラシ的なやつで押しつぶしてるだけですから」

澪「なんの為に」

梓「貧乳キャラを演じる為ですよ」

澪「律だってそうかも知れないだろ」

梓「誰が貧乳キャラなんですか」

澪「お前だよ」

梓「まあその話は置いといて」

澪「自分で言い出しておいて……」

梓「律先輩は男らしいというか、女の子の扱いに慣れてそうじゃないですか」

澪「女の子だからな」

梓「ムギ先輩もうまくエスコートされちゃった☆ って興奮してましたし」

澪「エスコート?」

梓「あのほら、夏期講習をサボって2人で」

澪「………」

梓「あれっ、聞いてないんですか?」

澪「詳しくは聞いてないけど」

梓「目が怖いんですけど」

澪「ムギがなんて言ってたって?」

梓「あっやばい、嫉妬してる」



梓「いやほら、あの人いつも興奮してるみたいな感じですし……」

澪「2人でどこに行ってたって?」 ガシッ

梓「なんで顔面つかむんですか」

澪「どこで何をしてたって?」 グググ

梓「どうせしょうもないゲーセンとか駄菓子屋あたりですよ」

澪「だと思うけど……」

梓「まあ夜はどこ行ったか知らないですけど」

澪「………」

梓「りっちゃん、男の子だったらモテモテよね~とか言われてまし痛い痛い痛い」 ミシミシミシ

澪「男の子だったらモテモテ……?」

梓「あれじゃないですか、澪先輩がクソ真面目に勉強してる間に大人の勉強を」

梓「ちょっと、私に八つ当たりしないでくだ ぎゃあぁあぁあぁぁ」 メキメキ



梓「顔面が変形したらどうしてくれるんですか」

澪「小顔になっていいだろ」

梓「澪先輩に暴行されたって言いふらしますよ」

澪「スキンシップだよ」

梓「律先輩とはそういう愛情表現が成り立ってたかも知れないですけど、
  私はごく普通の女の子なんですからね」

澪「律だって普通の女の子なんだよ」

梓「もう金持ちに乗り替えたかもしれ 嘘、嘘、嘘ですっ」 ギリギリギリ

澪「何もなかったと言え」

梓「だって私も何も知らなぐえぇえええ」 ミシミシミシ

澪「吐け!!」

梓「あの2人は、何もなかったに違いありませんっ」 メキメキ

澪「だよな」

梓「それで満足なんですかあなたは」 ゼェゼェ



梓「ツインテールで首を絞め上げるのはとても危険ですから」

澪「私の心も苦しめられたし、お互い様だろ?」

梓「病んでるなぁ」

澪「お前に言われたくないんだよ」

梓「私はジョークで済むレベルですけど、澪先輩は本気でやばいやつですよ」

澪「人の友達をオカマ扱いしといてお前……」

梓「何か悩んでるんですか?律先輩とうまくいってないんですか?」

澪「うるさい」

梓「澪先輩の悩みはみんなの悩みですよ?」

澪「誰の物真似してるんだ」

梓「一人で悩んじゃやだ!」

澪「お前に悩まされてるんだよ!!」



梓「じゃあ仮に律先輩が純正の女の子だったとしますよね」

澪「仮にって言うな」

梓「仮性だったとして」

澪「そろそろひっぱたくぞ」

梓「という事は澪先輩は真性のガチレズってことですか」

澪「ガっ……何でだよ!!」

梓「付き合ってるんですよね?」

澪「そんなわけないだろ」

梓「貧乳なら誰でもいいんですよね?」

澪「そういう問題じゃない」

梓「もしかしてあれですか、
  本物の男は怖いから、女の子に見えなくもない律先輩で済ませようとして」

澪「女の子なんだよ!!」



澪「そこまで疑うなら本人に聞いてくればいいだろ」

梓「付き合ってるのかどうかを?」

澪「何でだよ」

梓「澪先輩のことをどう思っているのかを?」

澪「聞いてどうするんだ」

梓「言いふらします」

澪「やめろよ!?」

梓「トンちゃんの話を聞いてくればいいんですか?」

澪「トンちゃんて」

梓「遠回しな表現にしろって言うから……」

澪「そんなに近場を選ばなくてもいいだろ」

梓「トンちゃんを股間に飼っているのかどうかを聞いてこいと」

澪「もうそれでいいよ」

梓「そんなこと聞けるわけないじゃないですか!」

梓「どれだけデリカシーがないんですか?」

梓「律先輩の気持ちをなんだと思ってるんですか?」

澪「お前、今日の第一声なんだったか覚えてる?」

梓「ボケたつもりが大正解だったらどうするつもりなんですか」

澪「そんなはずあるか」

梓「口封じに私が手籠めにされちゃったらどう責任を取ってくれるんですか」

澪「いい経験になるだろ」

梓「私の初めては唯先輩って決めてるんですから」

澪「それは知らないけど」

梓「そうやってその場しのぎで適当な対応ばかりしてるから
  いつまでたっても友達以上、恋人未満どまりなんですよ」

澪「ほっとけよ!!」



律「おっきい声で何の話をしてんだよ……」

澪「!!」

梓「!!」

澪「いっ……いつからいたんだ」

律「梓の初体験がどうのこうのって叫んでたあたりから」

澪「ほら梓、聞きたいことがあるんだろ」

梓「律先輩、澪先輩のなんなんですか?」

澪「おおおお!! お前ふざけんなよ何言ってんだよ」

律「なにって?」

梓「澪先輩がちょっと熱くなってますけど気にしないで下さいね?」

澪「お前が吹っ掛けてきたんだろ!」

律「?」

梓「澪先輩は律先輩のことを女として見てるらしいですよ」

律「はあ!?」

澪「おいっ!!」



梓「律先輩にあれが生えてたらおかしくなっちゃいそうだって」

澪「なに言ってんだお前!?」

律「なに言ってんだお前!?」

梓「言ってたじゃないですか」

澪「言ったけども!」

律「えっ」

梓「そのあと私、澪先輩に口を塞がれて襲われかけたんですよ」

澪「あれはお前が!!」

梓「お前も律と同じくらいの貧乳だなって言われて」

澪「違う!言ったけど違う!!」

梓「いやらしい目つきと手つきで……」

澪「それはお前だろ!!」

律「2人で何してたんだよ……」

梓「そこから先は言えません!!」 ダッ

律「ちょっ、待て!!」

澪「この空気で2人にしていくな!!」

律「中野っ!!」




紬「さっきの、梓ちゃんだったわよね?」

唯「ニヤニヤしながら走り去って行ったけど、何だったんだろ?」

紬「まあ、いつもの事だから……」

唯「そうだけど」


澪「………」

律「………」


唯「あっ、りっちゃんと澪ちゃんが見つめ合っ……ていうか固まってる?」

紬「きっと何か刺激的なことがあったんだわ」

唯「部室で刺激的なことって……」

紬「唯ちゃん、例えばの話なんだけど」

唯「ほい」

紬「ずっと同じ楽器を弾いてると、飽きてきたわけじゃないけど他の楽器も使ってみたくならない?」

唯「えっ、何の話?」

紬「他の楽器にも接してみて、やっぱり自分にはこれが合ってるんだなって再確認できるの」

唯「りっちゃんも前にそんなこと言ってたね」

紬「少しだけ離れてみたり、視点を変えてみたり、他のことをしてみたり、
  自分が好きな気持ちを確かめるには刺激も必要なの、たぶんね」

唯「楽器の話だよね?」

紬「……私たちも、たまには楽器を入れ替えてみるのもいいかもね」

唯「澪ちゃんはまた嫌がりそうだけどね」

紬「私もときどき、りっちゃんみたいにドラム叩いてみたいな」

梓「軽音シャッフルですね?」

唯「何しに戻ってきたの」

梓「何しにって……」





おわれ