九月下旬、澪の家

律「秋だな~」

澪「…なんだよ、急に」

律「いやさ、窓の外眺めてたら葉が赤くなってたから、秋だな~って」

澪「…まあ、もう十月だからな」


律「…なんかしたくない?」

澪「…は?」

律「だからさ、なんかしたくない?」

澪「なんかしたくない?って言われても…」

律「えー、秋ってなんかしたくなるだろー?」

澪「いや、そうでもないと思うけど」


律「えー、だって秋って色々したくなるじゃんかよ。よく言うだろ?芸術の秋とか、食欲の秋とかさ」

澪「…律は何かしたいことでもあるのか?」

律「ない!」

澪「はぁ…そんなことだろうと思ったよ」

律「ないけどさぁ、なんかこう、な?」

澪「…じゃあ、どこか行くか?」


律「いや、どっか行くとかでもいいんだけどさぁ…なんか物を完成させる!…みたいなのが…」

澪「それはまた難しい事言うな…お前は」

律「てへっ☆」

澪「褒めてないぞー」

律「ちぇー」


澪「じゃあ…もうすぐ十月だし…ハロウィンとか?」

律「ハロウィン?」

澪「ハロウィン関係で何かやってみればいいんじゃないか?幸いハロウィンまで後一ヶ月あるから、準備とかは出来るだろうし」

律「…そ」

澪「そ?」


律「それだぁぁああ!!」バンッ!!

澪「きゃっ!な、なんだよ!律!」

律「ハロウィン対決だ!」

澪「た、対決?」

律「それぞれでハロウィンに関する物をつくってくるんだ。それをハロウィンパーティーの中で披露して、つくりが一番良かった奴の勝ち!これでどうだ!?」エッヘン!

澪「い、いや、私が突っ込みたいのはそこじゃないんだけど」

律「じゃあどこだよ?」

澪「…対決って、誰と?」


律「誰って…澪、唯、ムギ、梓、それに私だよ。決まってるだろ?」

澪「一人で何かやってみるんじゃないのか?」

律「だーって、一人でなんかやったってつまんないじゃーん!」

澪「…まあ、私はいいけどさ。みんなに確認取ったり、対決の概要決めたりとかしなきゃいけないだろ?」


律「確認なら今取ってるぞ?メール送った。概要ならさっき大まかなのは話したし、審査員なら憂ちゃんや和、それとえぇっと…あ、純ちゃんだっけ、にやってもらえばいいじゃん」

澪「り、律にしては準備が早い…」

律「なんだそれー!失礼だぞー!」

ピロリロリン♪

律「あ、メール」



From ゆい

りっちゃん!!
それいいね!!

やろうやろう!

うおー!燃えてきたー!


律「…だとさ」

澪「…なんと言うか、唯らしい返信だな」

ピロリロリン♪

律「あ、またメール」



From ムギ

りっちゃん、すっごく良い考えだと思う!!

私、こういう事一回してみたかったの~♪

詳しい事はまた明日聞くね♪


律「これもまあ、」

澪「ムギらしいな」

ピロリロリン♪

律「お、唯もムギもきたってことは梓からだな~」



From さとし

姉ちゃん、今日の夕飯何が良い?
今日俺が当番だから、姉ちゃんが決めて


律「聡かよ!?っていうか自分で決めろ!」

澪「ま、まあまあ、せっかく聞いてきたんだから、好きなもの言っといたら?」

律「…はぁ…聡、帰ったら覚えとけよ」

澪(別に邪魔した訳じゃないのに責められる聡って…)

――――――
聡「へーっくしっ!」



律「それにしても…梓、遅くないか?」

澪「そうか?そうでもないと思うけど…」

ピロリロリン♪

律「あ、きた」



From あずさ

律先輩、遅くなってすみません!

是非参加させていただきたいです!


律「よっしゃあ!全員参加けってーい!」

澪「案外みんなあっさりだったな」

律「へっへーん、これが我がけいおん部部長、田井中律の実力さ!はっはっはー!」

澪「いや、そうでもない気が…まあいいか」

律「よーし!こうと決まったからにはぜってー負けねー!頑張るぞー!」

澪(成り行きで決まっちゃったけど、なんだか楽しそうだ。私もがんばろうっと)


律「…あ、そうだ。澪、ちょっと相談なんだけど」

澪「何?律」

律「ゴニョゴニョゴニョ」

澪「い、いいけどさ、それって有りなのか?」

律「だいじょーぶ!」

澪「はぁ…本当にこんなので大丈夫なのだろうか…」

律「頑張るぞー!な、澪!」

澪「…ああ。頑張ろう、律」



――――――

時は流れて、一ヶ月後
ハロウィンパーティー当日
唯の家


律「…みんな、今日は待ちに待ったハロウィンパーティー…当日だー!!」

唯「いえーい!!」

紬「いえ~い♪」

律「みんな、例の物は持ってきているな?」

唯「うん、持ってきたよ!」フンス!

紬「勿論!」

梓「はい!持ってきました!」

澪「ああ、大丈夫だよ」


律「司会進行はわたくし田井中律でお送りいたしまーす!」

唯「いえーい!」

律「そいじゃ早速、審査の方に移りたいと思う。…がしかーし!まずは審査員の紹介だ」

律「今回の審査は…憂ちゃんと和、それと純ちゃんにしてもらう!」

憂「よろしくお願いします♪」

和「よろしくね」キラーン

純「よ、よろしくお願いします」

律「三人には厳しく付けてもらいたいと思ってるぞ。よろしく頼むぞ、審査員三人衆!」

憂「はいっ!」

和「わかったわ」

純「は、はいっ!頑張ります!」


律「じゃあ今からは本当に審査に移っていくからな。まずはエントリーNo.1!平沢ーゆーい!」

紬「唯ちゃん頑張ってー!」

唯「ムギちゃんありがとー!」

唯「私のつくった作品は…これです!」ジャジャーン!


澪「かぼちゃの…」

梓「器…ですかね?」

唯「あずにゃん大正解!いやー、これはつくるのに苦労したんだよー」

律「じゃあ平沢選手、説明をどうぞ!」

唯「ラジャー!これは、かぼちゃの器です!えっと…やっぱりハロウィンと言えばかぼちゃかなーと思って。かぼちゃの中身を出して、中を器として使えるようにちょーっと加工しました!」

憂「お姉ちゃん凄い!」

唯「えへへー♪」


梓「これ…全部唯先輩一人で?」

唯「…ち、ちょーっとだけ憂に手伝ってもらいました」テヘッ

律澪梓和(絶対ちょっとじゃないな…)

和「唯…」

純(なんか、やっぱり憂と唯先輩って姉妹なんだなー…こういうのつくれちゃうところとか)


律「じゃあ次に移るぞー!次はエントリーNo.2、琴吹ーつーむーぎー!」

紬「いえ~い♪」

唯「ムギちゃん頑張れー!」

紬「唯ちゃんありがと~♪」

紬「私のつくった作品は…これですっ!」

澪「す、凄い…」

梓「ム、ムギ先輩、これなんですか?」


紬「アロマキャンドルよ~♪」

律「ではでは琴吹選手、説明をどうぞっ!」

紬「は~い!このアロマキャンドルは、唯ちゃんと同じようにかぼちゃの中身を出した後に、かぼちゃに顔をつけて、蝋燭のろうに少し香りと色をつけたものを詰め込みました~」

唯「ムギちゃん凄いね!」

紬「そうかな?そうでもないと思うんだけど…」

梓(…いや、普通はこんなに丁寧につくれませんよ…ムギ先輩…)


和「これは出来もとてもいいわね…」

純(すごっ!とにかくすごっ!)

憂「これを夜に薫いたら素敵ですよね~、きっと」

律「おーっと、審査員の反応が良いぞー!琴吹選手、早くも優勝候補かー?」

紬「ありがとう♪」


律「じゃあ次に移るぞー!続いては、エントリーNo.3、中野ーあーずーさー!」

梓「えっと、よろしくお願いします」

唯「あずにゃん頑張れー!」

紬「頑張れー!」

梓「あ、ありがとうございます」

律「では中野選手、作品の紹介と説明を!」

梓「あ、はい。私がつくってきたのはこれです」


唯「何それ?…はっ!も、もしかしてそれはクッキーってやつですかいあずにゃん!!」ズイッ

梓「…そ、そうです。かぼちゃのクッキーです。やっぱりハロウィンって言えばかぼちゃですよね?あとそれにトリック・ア・トリートの要素を加えてみようかな、と思いまして…まあちょっと本来のものとは違うんですけどね」

唯「トリック・ア・トリートって何?」

澪「仮装をした子供たちがお菓子を貰うために近所の家を『トリック・ア・トリート!』って言いながら回るっていう外国のハロウィンの一つだよ、唯」

唯「へぇーそうなんだ…それよりあずにゃん!それ一つ食べても…?」

梓「ダメです」

唯「あぁーん…けちぃ…」


梓「…と言いたいところですが、まあいいでしょう。おひとつどうぞ」

唯「わぁーい!あずにゃんありがとう!いっただきまぁーす」モグモグ

梓「ど、どうですか?唯先輩」

唯「ごっくん…あずにゃん、すっごく美味しいよ~♪」

梓「ほ、本当ですか!?はあ…良かったぁ…」


和「…うん、形も丁寧だし、良いと思うわ。ただ、もう少し砂糖を減らしても良かったかもね」

梓「は、はい!ありがとうございます!」

純「うん、美味しいよ梓。…でも梓、やっぱりけいおん部だね。まさかお菓子つくってくるなんて」ニヤニヤ

梓「なっ…じ、純ー!」

憂「あはは。梓ちゃん、まあまあ」

梓「まったく…」

律「これも結構高得点になりました!中野選手、これからに期待大です!」

梓「…ありがとうございます」


律「さて対決もいよいよ終盤戦になってきたな!次はエントリーNo.4!秋山ーみーおー!」

唯「みーおちゃーん!」

紬「頑張ってー!」

澪「あ、ああ。ありがとう」


律「…といきたいところですが」

唯「えっ?」

紬「何々?」

律「澪は…今回私と共同でつくったから、私と一緒に紹介をしていきたいと思いまーす!」

唯「えーっ、そんなのアリ!?」

梓「ず、ずるいですよ!」

紬「ぶ、ぶーぶー!」

律「へっへーん!共同制作禁止なんて一言も言ってないもんねー!」

澪「…なんか、ごめんな?」


和「…まあいいわ。その代わり点数は半分ずつになるからね」

律「がってんしょうちのすけ!」

澪「ああ。それでいいよ」

唯「ずいぶんな自信だね、りっちゃん、澪ちゃん!早速その自信の品を見せてもらおうか!」

律「おう!よし澪!」

澪「え、えぇー…本当に私が…?」

律「だって澪の方が引き立つじゃん!な、お願い!」コノトーリ!

唯「な、なんか揉めてるよ?」

紬「そ、そうね…」

澪「わ、わかったよ…ただし!ちゃんと駅前のケーキ奢れよ!絶対だからな!」

律「わーってるって」

律「ではでは皆さん!準備をしますんで少々お待ちを!」


紬「準備?」

律「うん、私たちのはちょっと準備がいるんだよ。だからちょーっとだけ待っててくれ!唯、憂ちゃん、ちょっとだけあっちの部屋借りてもいいか?」

唯「うん、いいよ~♪ね、憂」

憂「はい!大丈夫ですよ!」

律「じゃあちょっと行って来る!澪、行くぞ!」

澪「う、うん…」

唯「なんだろうね。ねぇあずにゃん」

梓「さ、さあ…」



――――――


約五分~十分後

律「おっまたせー!」

唯「あ、来た来た!」

梓「何してたんですか?」

律「まあまあ、見てもらえば分かるって!澪ー!」


唯「わあぁぁ…」

紬「すごーい…」

梓「こ、これ、お二人だけでつくったんですか!?」

和「これは…」

憂「す、凄い…」

純(けいおん部の先輩ってこんなのつくっちゃうの!?凄すぎ!)

律「はっはっはー!驚いただろー!」

澪「り、律…恥ずかしいんだけど…//」

律「これこそ、我らの作品!バンパイアになりきっちゃおーグッズだぁ!」


律「じゃ早速説明に移るぞー!これはさっき言った通り、バンパイアになりきっちゃおーグッズだ。服の作成は澪、小物や飾りつけは全て私が行った!」

澪「普段ちまちました作業は嫌いな律がすっごい集中してたんだぞ?なんだか意外だよな」フフッ

唯「りっちゃん、衣装が澪ちゃんにピッタリだよ!」

律「だろー?だからどうしても澪に着てほしかったんだ!」

梓「小物の出来も凄いですね…牙とか小さいものまでしっかり再現出来てますし…」チョンチョン

紬「りっちゃん澪ちゃん凄ーい!」

律「へへ、ありがと」


和「これは高得点かしら…」

憂「はい…そうですね」

純「…なんていうか、皆さんレベルが高い…」


律「ではでは全員発表が終わったところで!審査員から結果発表を行ってもらいたいと思いまーす!」

唯「いえーい!」

紬「いえ~い♪」

梓「わ、わああ…?」

澪「…」←(恥ずかしくて着替えてきた)


律「審査員長の真鍋和さん!結果発表を!」

和「…じゃあ結果発表を行わせてもらうわ。全部とても良く作られていて、正直あんまり順位は付けたくないのだけれど…」

律「じゃあ一番良かったのだけ発表って形にするか?」

和「ええ、その方が審査員側としても助かるわ」

律「じゃあ一番良かったのだけ発表で!」

和「…では改めて発表させてもらいます。優勝は…」

唯「…ごくり」

紬「…ごくり」


和「…ムギの作品『アロマキャンドル』です!」

紬「や、やったあ!」

唯「ムギちゃんおめでとー!」

梓「おめでとうございます!」

律「おめでと、ムギ!」

澪「おめでとう、ムギ」

憂「おめでとうございます、紬さん!」

純「おめでとうございます!」


紬「ありがとうみんな!…でも何で私のが?りっちゃんと澪ちゃんのじゃないの?」

和「さっき言ったでしょう?律と澪は共同制作だから点数が半分ずつになるって。半分ずつにしたとき、ムギの作品の方が得点が高かったのよ」

律「ちぇっ…やっぱり半分になったのが大きかったかー…でもまあ、楽しかったしいいや!」

澪「ふふ、そうだな」

梓「私も楽しかったです!」


唯「ねぇねぇりっちゃん」

律「んー?どうした、唯」

唯「ずっと気になってたんだけどさ、これって優勝したら何か景品とかあるの?」


律「…あ」

澪「…そこまで考えてなかったんだな…」

梓「…律先輩らしいというか、なんというか」

紬「ま、まあいいんじゃないかしら。私も楽しかったし♪」

律「ご、ごめんな、ムギ」

紬「全然♪」


律「…ムギには申し訳ないけど、ということで、放課後ティータイム対抗戦、ハロウィンパーティー対決はこれにて終了!」

澪「この対決って正式名称あったんだ…」

唯「いやー、楽しかったね!」

梓「はいっ!」

紬「だね~♪」


憂「ところで皆さんお腹空いてませんか?一応料理つくったんですけど…」

唯「流石憂!私の妹!食べる食べる~♪」

紬「私もいただこっかな♪」

律「いやー、流石だね憂ちゃん!んじゃ遠慮なく~」

澪「ちょっとは遠慮しろよ…ごめんな、憂ちゃん」

憂「いえいえ、全然そんなことないですよ~」

梓「憂、私ももらっていい?」

憂「勿論!」

和「…私はどうしようかな」

憂「和さん!是非食べてって下さい!」

和「そう?じゃあいただこうかしら」

純「じ、じゃあ私も」

わいわい


澪「…ん?何か忘れてる気が……まあいっか」



――――――

部室

バァーン!

さわ子「みんな!今日はハロウィンだから仮装衣装を…!」

シーン…

さわ子「…あれ?」


おしまい☆




最終更新:2012年11月20日 23:18