『 スケールナイト 』


唯「ここのフレーズが難しいんだよねー」 ジャガラン

梓「ここですか?」 ジャラン

唯「さすが、うまいね」

梓「高校の部活レベルですよこんなの」 ジャガジャガ

唯「高校の部活だからね」 ジャガジャン

梓「最初はスローテンポで弾いてみればいいんですよ」

唯「こ、こうかな……」 ジャン

梓「指の動きを確かめながらゆっくり弾くといいですよ」

唯「こう…できた!?」 ジャンッ

梓「できてます、できてます」 パチパチ

唯「さすが、ギターはうまいね!」

梓「ふふっ、ギター は って何ですか、もう……」



  桜 が 丘 高 校 軽 音 部 ・ 中 野 梓 は

  現 在  全 裸 で あ る !!



梓(スケールナイト……!)

梓(登録された衣服データを各部に装着したリングから投影!
  物理演算により随時更新され、実物の衣服と遜色ない挙動を再現する!)

梓(これを装備することで着衣状態を偽装できる、魅惑のアイテム!!)


唯「じゃあさ、ここのフレーズは?」 ピト

梓「ほぉおぉ!?」 ビクン

唯「!?」

梓「ほ、フォルティッシモですよそれは」

唯「そんなに強く弾くとこだったかな……」

梓(近くに立ってると、唯先輩のヒジが当たりそうになる)

梓(今の私にとっては、股間に直接……!)

梓(ほら唯先輩、その腕をほんの少し下げるだけで、2人の新しい扉が……)


唯「あっ、またまちがえた」 グォンッ

梓「おぁあぁぁい!!」 ビクンッッッ

唯「!?」

梓「危ない! 気を付けてください!」

梓「下手したら一線を越えるところですよ!?」

唯「本番でもないのにそんな責めなくても」

梓「本番っ!?」

唯「あずにゃん」

梓「へぃっ!?」 ビク

唯「足がスカート貫通してるけど」

梓「………」 ジジジ

梓(まさか、汗で装置回路に異常が……)

唯「えっ、どうなってんのそれ」

梓「何がですか?」

唯「なんか凄い汗かいてるけど」

梓「かいてませんけど」

唯「服が消えかかってるけど」

梓「よくSF映画とかであるじゃないですか、実は私自身が立体映像でですね、
  いま遠隔通信してるんですけど接続の調子がどうも  完全に全裸ですねこれは」 シュゥゥゥ

唯「………」

梓「………」

唯「………」

梓「……で?」

唯「はい?」

梓「たしかに、私は今朝から全裸でしたよ」

梓「ご覧の通り、汗とか色んな水分のせいでこの装置もぶっ壊れましたよ」

梓「それがどうしたって言うんですか?」

梓「唯先輩は!! 人を見た目で判断するんですか!?」

唯「いや、見た目っていうかさ」

唯「今朝から!?」

梓「全裸の人間からはギターを教われないって! そう言うんですか!?」

唯「ちょっ、近い」

梓「ほら! そんな事より早くここ弾けるようになってください!」

唯「近いって」

梓「もう学祭まで時間ないんですよ!」

唯「服を着ろ!!」



『 ブレストバンパー 』


梓「ブラジャーとかいうわけのわからない拘束具があるじゃないですか」

唯「……うん」

梓「これまでも様々な改良が行われてきましたが、横軸方向はともかく
  縦軸方向への機能発展研究は大きく遅れを取っています」

梓「原因は重力!!」 ダァン

梓「母なる地球からの贈り物が皮肉にも我々の胸を下へ下へと導き、
  最終的にはストラップでの保持が不可欠となってしまうわけです」

梓「本日仕入れてきたのは、ブラジャーの強度と機能性を維持しつつ
  小型簡略化に見事成功したこちらのアイテム!!」

唯「これヌーブr

梓「装着者の上半身重心点を基準座標として空間に固定され、
  貼り付けた部位の全方位動作幅を最小限に留める胸囲の下着!!」

梓「その名をブレストバンパー!!」 バァン

唯「つまり胸が揺れるのを防ぐやつってこと?」

梓「ぜひ着けてみてください」

唯「結構です」

梓「そんな事もあろうかと、すでに私が着用しております」

梓「よく見ててくださいよ?」 ピョン

唯「………」

梓「ほら! どうですか! ぜんぜん揺れてないですよね?」 ピョン ピョンッ

唯「………」

梓「あっ、ぜんぜん納得してない顔ですね」

梓「服の上からじゃよくわからないって事ですね!?」

唯「そうじゃなくて、あの……」

梓「服を脱げだなんてそんな」

梓「今日だけ、特別ですよ……?」 バサッ

唯「………」

梓「ぴょん!」 スッ

梓「ぴょん!」 スッ

梓「ぴょんっと!」 スッ

唯「………」

梓「どうでした!?」

梓「ちっとも揺れてませんでしたよね!?」

梓「これがブレストバンパーの凄さなんですよ!」 フンス

梓「これさえあれば女の子みんなの悩みが」

唯「……あずにゃん」

梓「わかってますよ!!」

梓「こんなもん着けなくても!! 元から微動だにしてませんよ!!」 ベチンッ

唯「なんで外すの」

梓「……どこに行ったんですか」

梓「私の胸は!! 一体どこに行ってしまったんですか!!」

唯「………」


ガラッ


律「梓 ぁ !!」

梓「部長……!」

澪「なんでいつも裸なんだお前は」

律「私の分のブレストバンパー、あるんだろうな?」 バサッ

澪「お前まで脱ぐな」

唯「それはむしろ澪ちゃんに必要なやつじゃ」

律「黙れ!お前らに渡すブレストバンパーは無い!!」

梓「あっち行け!」

梓「巨乳どもは去れ!!」

律「二度と人里に現れるな!!」

紬「唯ちゃん、行きましょう」

唯「えっ、でも」

紬「彼女たちと私たちの間には大きな壁があるの」

澪「むしろあいつらが壁だけどな」 ボソッ

律「聞こえてんだよ!!」



『 眼キュー 』


梓「……つまり、この8機の眼球型ドローンから送信される映像が
  専用眼鏡モニタに同時並列投影され、単身単独での広域捜索が可能なのです」

梓「これで多方向から監視することで、
  唯先輩を常に私の目が届く範囲で捕捉できるわけですね」

唯「ほぇー」

唯「これウチの周りで見かけたら叩き落すからね」

梓「唯先輩の身に危険が迫った時とか、即座に対応できるんですよ」

唯「この盗撮ドローンがすでに危険だよ」

梓「監視機器です」

唯「どっから仕入れてくるの、こういうやつ」

梓「ネットとかで知って」

唯「22世紀の未来デパートみたいなのがあるの?」

梓「こういうのを作ってる科学者がいるんですよ」

唯「それ大丈夫な人なの?」

梓「大丈夫な人ではなかったです」

唯「だろうね」

梓「でも、わりと話しやすい人でしたよ」

唯「えっ、会ったの?」

梓「いろいろ助言してもらいました」

唯「2人で会ったの?」

梓「少しだけですけど」

唯「あのさ、ネットで知り合った人と会うのってあんまり……」

梓「科学者といっても普通の人でしたよ」

唯「いや、でもさ」

梓「……その科学者って、女の人ですよ?」

唯「えっ、女の人?」

梓「まあ、私が譲ってもらった物はほとんど中学生の時に作った物らしいですけど」

唯「中学生!?」

梓「その人も片思いでいろいろあったみたいです」

唯「ふーん」

梓「だから別に大丈夫ですよ」

唯「そっか」

唯「……それなら、ちょっと安心した」

梓「はあ」

唯「じゃあ私、先に帰るね」


バタン



梓「………」

律「いま何を安心したのか聞けよ!!」

紬「ヘタレ!」

澪「コミュ障!!」

梓「なっ ぐっ!?」

梓「いつから見てたんですか!!」

律「ずっとだよ!!」

澪「なんでストレートに言えないんだよお前は」

梓「私は別に告白したいわけじゃなくて、告らせたいんです!」

梓「あずにゃ様は告らせたい!!」

律「なんか別なのが混じってる」

澪「ほんと不器用な奴だなあ」



  不器用だっていいの
  いつかきっと伝わる時がくるから

  キョトンとしてる君を見つめてる

  そういうとこが好きだって
  なんで気づいてくれないの

  作戦は続く 想いがつながる日まで…



エンディング曲



おわれ


元ネタを読んだことない人に伝わるかわからないけど
不器用なりに頑張りました (梓が)



最終更新:2022年08月11日 12:00