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時刻は午前四時。

私はこの季節の時間帯の暗いとも明るいとも言えない空の色が好きだ。


詩を書いていたペンを机の上に置き、徐に立ち上がる。


その足で部屋の窓を半分だけ開けると、
私はゆっくりと冬の空気を吸い込み、「はぁ」と溜め息と共に吐き出した。


「……そういえば一睡もしてないや」


ちょっと何かに夢中になると、時間を忘れちゃうんだよな。

今は学校は冬休みだからそこら辺を気にする必要が無いのは幸いだけど、
生活リズムが狂うのは好ましくない。


でもここまで起きてたんだからそのまま起きてようかなとも思ったり。

こういう時律が隣にいたら、「寝ないとお肌に悪いぞ澪ー」とでも言うんだろうな。

なんてことを考えながらぼーっと外を眺めていたら、
この静かな時間には似合わないけたたましい音がどこかから聞こえてきた。


「うるさいな……」


ボソッと呟いては音の発生源を探してみる……なんだ新聞配達のバイクか。

途端に興味が失せた私はごろんとベッドに転がった。


何とはなしに枕元に置いてあった携帯の画面を覗く。

こんな時間にメールは来ないと分かっててもとりあえずチェックしちゃうのが
今時の女子高生のサガなのかもしれない。


「まぁ、無いよな」


またちょっとだけ溜め息。

やっぱり寝ようかな……予定も特に無いし。

冬季講習は来週からだったはずだ。


目をほんの少しだけ閉じる。


「……」


けど、さっきからいやに冷たい風が体に当たって眠れそうにない。

ああ……窓開けっ放しだった。思考力が落ちてるな。


だるい体を起こして窓を閉めようとする。

その時、何かひんやりしたものが頬にぶつかったのを感じた。


「……雪?」


空を見上げると、粉雪がちらほらと降っていた。


十二月に入ってからは見飽きているはずの雪だが、
この時は雪が薄色に滲んだ空と相まってとても綺麗に見える。


「宝石みたいだ」


……こういうのってなんか良いよなぁ。


なんだか嬉しくて携帯を手に取り、メールのテキスト画面を開く。


『律、外を見てみて。雪降ってるぞ……って、お前は寝てるか』


そして、送信ボタンをポチッとな。


きっと律は後からこのメールを見て、
「なんでこの時間に送ってくるんだよ」って言うだろう。

そしたら「とっても良いものが見れたから嬉しくて」って自慢してやるんだ。


「さむっ」



携帯が鳴る。メールだ……こんな時間に誰から?


『澪起きてる? 外、雪が降っててすげー綺麗だぞ……って、寝てるよね』


差出人は律からだった。

いや、そんなことはどうでもいい。これって……


ちょっと考えてから、またメールのテキスト画面を開く。

少し文字を打ち、そして送信。


すると五分も経たずに律から返信が来る。

私はそのメールの内容に、顔が綻ぶのを自分でも感じた。


『ナニコレ以心伝心? でもちゃんと寝てないとお肌に悪いぞ澪』


「お前もな……ふふっ」


私は窓を閉めて、カーテンも閉めると今度こそ眠りに着いた。


カーテンの隙間からは優しい光が差し込んでいた。


おわり



最終更新:2012年12月15日 23:35