〜秋山家〜

澪「ただいまー」

梓「お、おじゃまします」

澪ママ「おかえり澪ちゃん。それに……」

梓「お久しぶりです、お母さん。今夜はお世話になります」

澪ママ「お久しぶり、梓ちゃん。しばらく見ないうちにまた可愛いくてたくましくなったわね〜」

梓「いえっ、そんな」

澪ママ「やっぱり、大学の寮で澪ちゃんと一緒の部屋で暮らしているからかしら?」

梓「……///」

澪「もうママ、梓が困ってるじゃないか」

澪ママ「あっ、ごめんなさいね」

澪パパ「おかえり、澪」

澪「ただいま、パパ」

梓「お父さん、こんばんは。今夜はお世話になります」

澪パパ「あ、ああ梓さん、ゆっくりとくつろいでいって下さい」カチコチ

澪ママ「もう、貴方ったら相変わらずシャイなんだから」

澪「ふふっ」


……

澪ママ「どうだった? 今年の唯ちゃんのお家でのクリスマスパーティー」

澪「うん、やっぱりと言うべきか中々に騒々しくて……」

梓「けど何だかんだで盛り上がって楽しかったです」

澪ママ「ふふっ、そっか」

梓「まあ、パーティーの後半で唯先輩と律先輩が酔っぱらって色々と絡んできたのはちょっと勘弁でしたけど」

澪「ああ……こっちはまだ未成年なんだから、お酒すすめられても飲めないのに」

澪パパ「澪は来月1月が誕生日だからね」

澪ママ「なら今は澪ちゃんと梓ちゃん、二人とも19歳ね」

澪「うん、今は梓と同い年だ」

梓「澪先輩と一時的とはいえ同い歳なんて、何だか恐れ多いです」

澪ママ「でも体格は決定的な差が……」ポツリ

梓「お母さんっ、それは禁句です! 世が世なら謝らずして仲直りはありえないほどです!」

澪ママ「ご、ごめんなさい口が滑ってつい」

澪「ふふっ……じゃあそろそろ私達、部屋に行くから」

澪ママ「分かったわ、お風呂沸いたら呼びに行くわね」

澪パパ「それまで二人でのんびりしといで」

澪「うん、ありがとう。梓行こっか」

梓「あ、はいっ」


……

澪「さ、入って」ガチャ

梓「はい、失礼します」

澪「お風呂沸くまでの間のんびりしよっか」パタン

梓「はい、けどやっぱり部屋が随分すっきりしてますね」

澪「大学へ入学する際に必要なものは大体持ってったからな」

梓「でも部屋にはホコリとか溜まってなくてすごく綺麗です」

澪「ママが定期的に部屋を掃除してくれてるみたいでさ、何だか申し訳ないな」

梓「私なんて今日いったん実家に帰って荷物置いた際、久しぶりに部屋見たら結構あちこちホコリ被ってましたよ」

澪「梓のお父さんとお母さんは相変わらず忙しいからな、仕方ないよ」

梓「それはそうなんですけど……」

澪「それにさ」ギュ

梓「ふあっ」

澪「今日は地方のクリスマスライブに梓のお父さんとお母さん、泊まりで出かけてるからこうして梓が私の家に泊まれることになったんだし」

梓「そ、それは確かに嬉しい誤算です///」

澪「こうして里帰りしてきた夜も一緒にいられるということについては、感謝しないとさ」

梓「ん……そうですね」ギュ


……

澪ママ「澪ちゃーん、梓ちゃーんお風呂沸いたわよー」

澪「はーい、じゃあお風呂入りに行こっか梓」

梓「はいっ」


……

澪ママ「あらっ、二人一緒に入るの?」

澪パパ「え?」

梓「はい、一緒にです」

澪「そうだけど……ダメかな?」

澪ママ「ううん、ダメなんかじゃなくてちょっと意外だと思って」

澪パパ「恥ずかしくはないのか、澪?」

澪「もう、大学の寮では私ずっとみんなと一緒にお風呂入ってるんだよ?」

梓「私もです」

澪ママ「あっ、寮では浴場でみんなと一緒にお風呂入ってるのよね」

澪パパ「ああ、そうだったね」

澪「それに、梓とだし……」ポツリ

澪ママ「澪ちゃん?」

澪「いや、なんでもないよ。じゃあ入ってくるね」

梓「お先に入ってきますね」

澪ママ「分かったわ、ごゆっくり」

澪パパ「…………」


……

〜お風呂〜

澪「かゆいところはありませんか、梓?」ワシャワシャ

梓「は、はい、だいじょうぶです」

澪「ん、じゃあ洗い流すからちょっと目開けちゃダメだぞ」

梓「はいっ、お願いします」

ザァ-・・・

澪「よし、洗い終わったからもう目開けて大丈夫だ」

梓「澪先輩に髪洗ってもらえるなんて、何だか夢みたいです」

澪「寮の浴場だとみんなもいるから流石にちょっとね……さ、湯舟につかろっか」

梓「でもこの浴槽、そんなに大きくないので二人一緒には」

澪「ああ、それなら私が梓を後ろから抱けば大丈夫だ」

梓「ふえっ!?」

澪「梓はイヤか?」

梓「いえっ、イヤということは……ないです///」
澪「ふふっ、なら決まりだな」チャプン

梓「あっ」

澪「ほら、おいで梓」

梓「で、では……失礼しますっ」チャプン

フニュッ

梓(ふわあっ……背中に殺人的な柔らかさが)

澪「こうして一度湯舟につかりながら梓を後ろから抱いてあげたかったんだ」

梓「こ、光栄です///」

澪「ふふっ、のぼせないよう優しく抱きしめないとな」キュッ

梓「ふにゃ〜ん……///」

……

澪「お風呂から出たよー」

梓「出ましたー」

澪パパ「おかえり、二人とも」

澪ママ「二人ともあったまった?」

澪「うん、やっぱり家のお風呂のほうがゆっくり出来ていいよ」

澪ママ「ふふっ、ならまだまだうちのお風呂も捨てたものじゃないわね」

澪パパ「しかし梓さん、髪を下ろすと澪に本当に似ていますね」

梓「えへへ、よく言われます」

澪「寮のみんなにもお風呂上がりによく言われてるよな」

梓「けどたいていその後律先輩から『しかし体格には決定的な違いがある、それは……』とか突っ込まれるのが悔しい限りで……」

澪「もう体格って言ってるし、何より律だって梓のことはあまり言えないと思うんだけどな」

梓「まったくですっ!」

澪パパ「はは……あの子らしいな」

澪ママ(私、りっちゃんと同レベルの突っ込みしてるのかしら)アセアセ

澪「ママ、どうかした?」

澪ママ「な、なんでもないわ」

澪「じゃあ私達、湯冷めしないうちに寝るね」

澪パパ「ああ、疲れただろうし今日は二人ともゆっくり休みなさい」

澪「うん、おやすみパパ、ママ」

梓「おやすみなさい、お父さんお母さん」

澪ママ「ええ、おやすみなさい」


……

澪ママ「さてとっ、私もそろそろお風呂入ってこようかしら」

澪パパ「……なあ、ママ?」

澪ママ「ん、どうかしたパパ?」

澪パパ「ああ、大したことじゃ……いやそれなりに大したことなんだが///」

澪ママ「もう、なに?」

澪パパ「ゴホン、あー……久しぶりにその私達も、一緒にお風呂入らないか?」

澪ママ「んもう、なんだそんなこと……って、ええーっ!?」

澪パパ(分かりやすいリアクションだなあ)

澪ママ「貴方からそんな誘いが来るなんて……もしかして澪ちゃんと梓ちゃんの仲の良さに触発された?」

澪パパ「ん、まあ……否定はしないよ///」

澪ママ「……ふふっ、じゃあ久しぶりに一緒にお風呂入りましょうか?」

澪パパ「い、いいのかい?」

澪ママ「ええ、まだまだ肌はピチピチで胸も垂れずにボインだという所を証明しておかないとね」

澪パパ「あ、ああ、期待して、るよ///」


……

澪「よいしょっ、と……布団はこれでいいな」

梓「わーい、澪先輩の布団ですっ!」ボフッ

澪「こーらっ、人の布団に先に潜り込むのは感心しないぞ?」

梓「す、すいません、何だか待ちきれなくって」

澪「もう、可愛いから許すけどさ」

梓「み、澪先輩///」

澪「じゃあ私も布団に潜り込むかな」モゾモゾ

梓「んーっ……すごくあったかいです」

澪「ああ、羽毛布団の上にもう一枚毛布を掛けてるからな」

梓「もう、違いますよ」

澪「え?」

梓「澪先輩と一緒の布団に入っているからすごくあったかいんです」ギュッ

澪「ふふっ、そうだったな」ナデナデ

梓「えへへ……ねえ、澪先輩?」

澪「ん?」

梓「私、澪先輩が傍にいてくれるとなんだかすごく安心して……心が穏やかになるんです」

澪「ふむ」

梓「だからえっと……これからもずっとその、傍にいてくれると……嬉しいんですけど……」ゴニョゴニョ

澪「そっか……なら私とおんなじだな」

梓「えっ?」

澪「私もさ、梓が傍にいてくれると心が穏やかになって……何より安らぐんだ」ギュッ

梓「んっ、澪先輩……」

澪「だから私からもお願いだ、これからも私の傍にいてくれるか梓?」ジッ

梓「も、もちろんですっ! 澪先輩の傍を離れる気なんてさらさらないです!」

澪「ん、よかった。私も梓の傍から離れる気はさらさらないから……」スッ

梓「澪せんぱ……んむっ」

チュッ

澪「ん……あまくてプルプルだ、梓の唇」

梓「澪先輩の唇だって、あまくてプルプルでしたよ?」

澪「ふふっ、いつまでも一緒にいような」ギュッ

梓「はい!」ギュッ

おしまい!










(おまけ)

〜翌日〜

澪「おはよう、ママ」

梓「おはようございますっ」

澪ママ「おはよう、澪ちゃん梓ちゃん。よく眠れた?」

澪「うん、梓が傍にいたからぐっすり」

梓「はい、澪先輩が傍にいてくれたのでぐっすりです」

澪ママ「あらあら、朝からごちそうさま」

澪「? 朝ごはんならまだだけど……」

澪ママ「あ、いやそうじゃなくて」

澪パパ「お、おはよう……」ゲッソリ

澪ママ「!」

澪「パパ、おはよう……ってどうしたの!? やつれちゃって」

梓「お父さんっ、寝不足とかならまだ寝ていても構いませんからっ」

澪パパ「いやその……年甲斐もなく頑張ったというか、何というか……ははは」

澪梓「??」

澪ママ(貴方……ごめんなさい///)

ほんとにおしまい!



最終更新:2012年12月26日 00:17