唯「あずにゃん、今年の初の日の出はね。よかったね」
梓「………………ぅん?」
唯「去年見たときよりずっとよかったのはあれだよね。わたしとあずにゃんが去年よりずっとよくなってるからだよねっ」
梓「………………ぅん……ねむ……ひぃぃあああ」
唯「『うわああああきれいですよぉおおゆいせんぱいぃぃい。
あ、唯先輩ががじゃなくて、太陽がです。もちろん唯先輩も綺麗ですけどねっ!!!
あでも唯先輩はきれいというよりもかわいい系ですよねっ!!!!!!』とか言っちゃってさ」
梓「………………はぁ……いってて恥ずかしくないんですか」
唯「わたしマフラー忘れて寒がってたところに、あずにゃんから手なんか握っちゃて。
わたしが向くと『あったかいですね。ほ、ほら太陽出てきたし』なんて言ってさ」
梓「………………わたしは恥ずかしいです」
唯「もう、今年はすごくいい一年を迎えられそうだよっ!」
梓「こっちはさいてーですよっ!さいてー、おーけ?」
唯「……わっ、きれたっ。初……むぐっ」
梓「うるさい。うるさいです」
唯「むーむー」
梓「今何時だと思ってるんですか。2時ですよ。1月1日午前21分52秒の2時ですよっ」
唯「ぅ、うん」
梓「で、さっき寝たのが1時」
唯「わ、わたしはまだねむれないよ……」
梓「わたしはもう1時間も寝ましたけど?」
唯「よかったね!!……ぁ……ひた、ひたぃよぉ……ほへったひっはらないへよぉお」
梓「……おやすみなさいです」
唯「おやす……って待ってよ!!」
梓「はあ、なんですか?」
唯「もう、ちょっとおきてよーよーよーよー」
梓「嫌ですよ。初日の出見に行くんですよね? だから少しは寝とかないと」
唯「じゃ、じゃあそれはいいやー……」
梓「は?」
唯「だって、さっき妄想で行ったから」
梓「で、でも妄想と現実は違うじゃないですか」
唯「でもー、現実のあずにゃんあんなこと言ってくれないしー」
梓「む」
唯「それにさっきはね、後ちょっとでえっちまでできそうだったんだよ!
新年最初が1人じゃあれだなああ、あずにゃん怒るなああと思って、
必死に、だめだよーあずにゃんだめだよーって言ったけど……」
梓「知りませんよそんなの」
唯「えー、あずにゃんえっちしてくれるのっ?」
梓「しませんよっ」
唯「んー。じゃ、ああいうこと言ってくれる?」
梓「それもやです」
唯「じゃあいいやー、おやすみ、永遠に。少なくとも日が昇るまでおやすみだよあずにゃん」
梓「えー、ちょっと待ってくださいよー」
唯「え、なにー? わたしはもう寝るんだよー。夢の中であずにゃんとえっちするんだよー」
梓「……それはひどいじゃないですか」
唯「え?」
梓「だって、ほら、その、初日の出行こうって約束してたのに……それはひどいですよ」
唯「あーっ!! あずにゃん……」
梓「別に、その、初日の出唯先輩と見に行きたいとかそういうんじゃなくてですね
そのなんていうか予定が狂うのはむかつくというかだから別に隣の犬って行ってもいいんですけど
でも唯先輩が1人で家でぬくってるのはずるいからいやですけど……
とにかく行きましょうよ!」
唯「えへへー。そんなに行きたいなら最初から言えばいいのに。ほら、言ってみよー言ってみよー」
梓「えー」
唯「じゃじゃーん。今年最初のあずにゃん言ってみよーのコーナーですっ。
今日のお題はこれ、『唯先輩と初日の出見に行きたいですにゃんっ』。
いつもよりはずっとべりーべりいーじーだねっ」
梓「ゆ、ゆ、ゆいせ…………なんでそんなこと言わなきゃいけないんですかっ」
唯「えー、じゃあ行かない」
梓「む……ゆゆゆ、唯先輩と初日の出、行きたいです……な、なんっ」
唯「かんだけど、ごーかくっ。おめでとーこれであずにゃんは念願の唯先輩と初日の出いく権を手に入れましたっ!!!」
梓「じゃあそれまで寝ときましょうね」
唯「あ、うん」
梓「おやすみなさい、唯先輩」
唯「おやすみあずにゃん」
梓「……」
唯「……」ゴロゴロ
梓「……」
唯「……」ゴロゴロ
梓「……」
唯「……あずにゃんトイレー」
梓「……1人で行ってくださいよ」
唯「ん……がまんする」
梓「……」
唯「……」ゴロゴロ
梓「すぅすぅ……」
唯「……」ゴロゴロ
梓「すぅすぅ……」
唯「……あずにゃんトイレ」
梓「すぅすぅ……」
唯「あずにゃんはトイレ」
梓「すぅすぅ……」
唯「あずにゃんはトイレによく行く」
梓「すぅすぅ……」
唯「あずにゃんはトイレで何をしてるんだろうね」
梓「すぅすぅ……」
唯「あんなにトイレに行くのはちょっとおかしいとみんな思ってるって憂が言ってた」
梓「すぅすぅ……」
唯「あずにゃんはトイレで何をしてるんだろう……」
梓「すぅすぅ……」
唯「んーんー……あずにゃんにゃんあずにゃんにゃんあずにゃんにゃんあずにゃんにゃんあずにゃんにゃんあずにゃんにゃん」
梓「すぅすぅ……」
唯「ぷっ……あははっ」
梓「うるさいんですけどっ!!」
唯「やっぱ起きてるっ!」
梓「…おやすみなさい」
唯「おやすみ」
梓「すぅすぅ……」
唯「……」コロコロ
梓「すぅすぅ……」
唯「……」グルグル
梓「すぅすぅ……」
唯「あずにゃんの身体探検隊1号!人差し指」チョンッ
梓「すぅすぅ……」
唯「2号!親指!」グリグリ
梓「すぅすぅ……」
唯「3号!中指!」クニクニ
梓「すぅすぅ……」
唯「4号!足!」ゲシゲシ
梓「すぅすぅ……」
唯「5号!舌!」
梓「すぅすぅ……」
唯「5号!舌!」
梓「すぅすぅ……」
唯「5号!舌!」
梓「すぅすぅ……」
唯「ねぇーおきてよーあずにゃーん。つまんなーーい」ユサユサ
梓「…………ひぃぃあああ。なんですか?」
唯「あずにゃん、今年の初の日の出は、よかったねっ!」
以下ループ
「あずにゃぁああん、ほら初日の出上がってるよーっ!」
唯先輩は真っ赤だった。
指先。
ほっぺた。
つま先。
瞳の奥まで。
それだけは朝日の赤だったけど。
わ、きれいって呟く。
その後、今度はわたしに、きれいだよってわざわざ教えてくれる。
知ってますよってわたしは言う。
あずにゃんはなんにも知らないんだと、そんなことを独りごちる。
まあ、唯先輩がそう言うならそうなんだろうな。
手を握っちゃうともうすることがない、なんて唯先輩は言った。
なんていうか、それはふたりの間のひとつの限界を感じさせられるようで少しさみしくなった。
そのくせ、唯先輩はもっと強く手を握ったりしてみせるから、わたしはいつだってよくわからなくなってしまうのだ。
向こうの朝日を見つめながら、何の根拠もないのに唯先輩は言った。
今年は最高だよっ、絶対、賭けてもいいっ。
まあ、唯先輩が言うならそうなんだろうなあ、やっぱり。
もう一度朝日がアップになって――――。
唯「あーー、もう終わりー?」
梓「テレビなんだからしかたないじゃないですか」
唯「あずにゃーん、もちまだーもちー」
梓「はあ、少しは自分で何かやってくださいよ」
唯「えへへ、初、はね、とってあるんだよっ!」
梓「はぁ。何にですか?」
唯「ひーみーつだよっ」
梓「……えぃ」
唯「わっ、うそ……とられちゃった…」
梓「ぴーす」
唯「むー」
梓「今年もいい年になりそうですね」
唯「ずるいずるいずるいっ!」
梓「今年もよろしくお願いしまーす」
おわり!
最終更新:2013年01月03日 03:40