澪「………」スンスンスン

澪「………」スー…

澪「………」ズズズッ

澪「………」ズズズッ

澪「……うん」

澪「………」パキッ

澪「………」フー、フー

澪「………」ズルッ!

澪「………」ズルズルズル

澪「………」ハフッ!ズルズルズル

澪「………」ズルズル!ズルジュルチュルッ!

澪「………」ズルズ…ゴフッ!?ボゴォ!ゲホッ!ゲホッ!

澪「………」ゲホッ!ゲホッ!ンン…ゴクゴク…

澪「………」フー…

澪「………///」

・・・

店員「ありがとうございましたー!」

澪「………」

澪(恥ずかしぃー///!!!)

澪(朝のラーメン屋で麺をつまらせてむせるなんて…)

澪(しかも私がむせた瞬間、店にいたお客さんみんな静まり返ってたし…///)

澪(あうぅ…これは学園祭ライブの時くらい恥ずかしい……)ゴホッ!ゴホッ!

澪(………)

澪(あぁ~今日も寒いなぁ~)テクテク

通学路・・・

律「おっーす、澪!おはよ~」

澪「あ、おはよう。りづ…」ゴホッ…

律「ん?どうしたんだ、風邪か?」

澪「ちょっと喉が痛くて、ひき始めかもな(ラーメンでむせて喉が変なだけだけど…)」

律「そっか。あんまり無理すんなよ~?」

こんにちは、秋山澪です。高校二年生、趣味は散歩とラーメン。
学校が休みの日は専ら一人、街でラーメンを食べ歩きながらブラブラしています、
今日も放課後になればいつもの仲間とお茶したり、お喋りしたり…あ、もちろん軽音部の練習もしています。
本当に毎日が楽しくて、もうずっと高校生のままでいたいです。私は今とても幸せです。

・・・

澪「でも何か足りないんだよな…」

澪(なんだろうなぁ…なんか最近、妙にむなしい。胸にポッカリ大きな穴が開いているみたいな…)

和「澪?」

澪「へっ!?」

澪「あ、和…なに?」

和「なにって、もう放課後よ?軽音部、行かなくていいの?」

澪「え、あっ…今行こうと思ってたんだ」

和「どうしたの?なんだか上の空みたいだったわよ?」

澪「あ、いや…別になんでもないよ。ちょっと新曲の歌詞を考えてたんだ」

和「そうなんだ、じゃあ私生徒会行くね」

澪「あ、うん。私も部活に行こう…」

部室・・・

律「………」パチンッ

紬「………」パチンッ

梓「zzz」

律「………」パチンッ

紬「………」パチンッ

唯「あずにゃん~」モフモフ

律「………」パチンッ

紬「………」パチンッ

梓「うぅ~…」

律「………」パチンッ

紬「………」パチンッ!

律(へぁ!?)

紬「………」ニコニコ

律「……ッ!」パチンッ

紬「♪」パチンッ!

律「!?」

律「ぅ………」プルプル

律「ま、参りましたぁ!」ペコリ

紬「ありがとうございました♪」ペコリ

律「いやぁ~将棋も面白いなぁ!テーブルゲームなんかトランプと麻雀くらいしか知らなかったけど」

紬「りっちゃん初めてにしては悪くない手筋だわ」

律「へへへ、そうかな///よし、もっかいやろうぜ!次もまたちょっと試してみたい事があるんだ!」

紬「ふふふ♪」

唯「あーずにゃん!」ダキィ

梓「うぐ」

唯「あずにゃんあったか~い♪」

梓「そう…ですか」

唯「ほーれほれほれ」ノドコチョコチョ

梓「ごろごろ」

澪「おーす」ガチャ

律「お、遅かったな澪」

紬「あら澪ちゃん♪」

唯「あ、澪ちゃん」グイグイ

梓「こんにちは澪先輩」ウグ…ウグ…

澪「お前らは今日も仲がいいな」

唯「でしょ~!あずにゃん、よしよしー」

梓「にあ~…」

澪「………」

コンコン

和「お邪魔するわよ」ガチャ

唯「あ、和ちゃーん!」

和「唯、また梓ちゃんで遊んでるの?放してあげなさい」

梓「うぐ…うぐ…」

澪「どうしたんだ?和」

和「律?」

律「…?…あっ!」

和「思い出した?」

律「すすす、すみませんでござる!」

和「明日まで待つから、ちゃんと提出してよね」

律「へへぇー!」

澪「まったく。律ぅ~?」

律「いやぁ…あはは」

・・・

唯「ムギちゃんこの黒ゴマ生八つ橋おいしいね!」

紬「ありがとう唯ちゃん♪」

澪(……)

澪「はぁ~また練習時間ほとんど無いじゃないか…最後に一度合わせるだけでもしないか?」

律「そうだな。かる~くな」

唯「ちょ、ちょっと待ってね!」モグモグ

紬「唯ちゃん、お茶よ」コポコポ

澪(はぁ~…)

澪「おーい梓?」

梓「zzz」

澪「またねてるよ」

澪「あーずーさー?」

梓「ぬ…ふわぁ…はい」ダラーン

澪「居眠りしてたら風邪ひくぞっていつもいってるだろ~」

梓「うぅ…zzz…あ、いや、はい。すみません」

澪「今日は一曲合わせるだけだけど、ほら」

梓「了解です…ふわぁ…」

澪(梓は普通にギター上手だし、勉強もできるみたいなのに…なんなんだろなぁこの抜けてる感じは)

澪(あんまり自分から話す事もないし、人と話すの慣れてない感じ)

・・・

ジャン!

唯「あ~私たちはもうずっと練習しなくていいね!ばっちりじゃん!」

律「さすが私の放課後ティータイムだな!これからもうずっとお菓子食べながら駄弁ってるか!」

澪「いやいやいや…」

澪(はぁなんか違うなぁ…)

澪(いや、演奏して少しは胸の“穴”が埋まった気がするんだけどなぁ)

澪(まだダメだ。なんだろう…これ)

日曜日・・・

澪「こんな時はラーメンに限る」

澪「私の心を癒してくれる、数少ない物の一つだ」

澪「今日も食べまくるぞぉ。ふふふ」

駅ビル・・・

澪「実は駅ビルのラーメン専門店街にはあんまり行った事がないんだよな」

澪「あんまりチェーン店って好きじゃないし、やっぱり食べるなら本場、本店でってイメージがある」

澪「まぁあくまでイメージの問題だから、チェーン店は味がどうこうとかそういうのを言いたいわけではないんだけどね」

澪「そこまでこだわりがあるわけでも無いし。美味しいラーメンが食べられればそれでいい」

澪「やっとついた…駅は広くて入り組んでるし、このラーメン街自体10階にあるし、たどり着くまでに軽く散歩できちゃうぞ」

澪「狭い通路、文字通り“小路”だな。いろんな店の匂いが混ざり合ってる」

澪「もう少しでお昼だけど、開店直後だからまだお客さんはそんなに来てないな。よしよし」

澪「どこにするかな~?今は割と重い感じの物を食べたい気分だ」

澪「あ、博多とんこつラーメンか。たまには豚骨もいいな。よ~し」

店員「いらっしゃいませ!食券機で食券をご購入ください」

澪「さてと…ここの看板メニュー、主力戦車はどれだ?」

澪「やっぱり初めて来たラーメン店では看板メニューを頼まないとね」

澪「ネギチャーシューメンかな?よし」ピッ

店員「食券お預かりいたしま~す!」

店員「ネギチャーシューメンですね~お席の方へご案内いたします」

澪(むっふぅー!なんて臭いだ!臭すぎる!!!ゲロはいちゃいそう)

澪(開店した直後だというのに床はヌルヌルだし。さすがはとんこつラーメン)

澪(こういうのもあるから、とんこつ系の店にはあんまり行きたくないんだよね。今日は休みだからいいんだけど)

澪「備え付けの調味料は…コショウ、ゴマ、ショウガ、ニンニク…辛子高菜。へぇ~、なるほどねー」

澪「にんにくは粒のままだけどこのまま使うのか?そんなバカな…」

澪「あ、もしかしてこれ?へぇ、この消火器の持ち手みたいなので自分で潰して入れるんだな、了解」

店員「おまたせしました!ネギチャーシューメンです!」ゴトッ

澪「いただきます」

澪「薄切りチャーシューが四方にはみ出してる。これを一か所にまとめてスープに浸しておく…」

澪「そしてまずはスープを…」ズズズ

澪「うん。この濃厚クリーミーな味わいは豚骨じゃないと味わえないよね」

澪「麺はよくあるストレートの丸細麺。いかにもトンコツラーメンって感じだ」

澪「………」ズルズル

澪「………」ハフッ、フーフー

澪「………」ズズズ、ズルズル

澪「………」ハムッ!モグモグ

澪「チャーシューは薄切りだけど、スープがよくからんで美味しいね」

澪「………」ズズズズ…

澪「ふぅ!濃厚なのにその割にはあっさりいただける。とんこつラーメンのいい所だよな」

澪「あ、何か薬味を入れて食べればよかった…つい食べるのに夢中になってしまった」

店員「ありがとうございました~!」

澪「突出した特徴は無いけど、とんこつラーメンのお手本って感じだな」

澪「とりあえず溢れ出る食欲を抑えることはできたし、満足満足」

澪「だけどまだまだ私の口、喉、胃、お腹は麺を欲している…」

澪「せっかく駅ビルのラーメン街に来たんだ。次の店に行くために、少し口直しがてら休憩だな」

・・・

ポチッ…ガシャン

澪「とりあえずソフトドリンクでも飲んで落ち着こう」カシュ

澪「このオレンジジュース久しぶりにのんだなぁ…」

澪「炭酸のオレンジジュースが珍しくて、発売したての頃はこればっかり飲んでたよな」

澪「最近は極力、飲み物はミネラルウォーターで済ませてるけど」

澪「………」ゴクゴク

澪「ふぅ……」

澪(しかしここの吹き抜けの大階段、すごいよなぁ)

澪(この前、ここで中学生のウィンドアンサンブル演奏会とかやってたし、“大階段駈け上がり大会”なんかもあったなぁ)

澪(ここから転げ落ちたら一発で死んじゃうな…)

女A「この階段きつい~!エスカレーター使おうよぉ」

男A「まぁそういわずについて来いってwwwwww美味しいラーメンのための軽い運動だよwwwwww」

女A「そんなにおいしいのぉ~!?ここのラーメン」

男A「そりゃもうとんでもなくおいしいよ!wwwwww」

女A・男A「あはははははwwwwww」キャッキャッ

澪「………(チッ…)」ゴクゴク

・・・

澪「なんかイライラしてたらお腹が減ってきたぞ!」

澪「次はどの店がいいかなぁ~?」

澪「つけ麺か。つけ麺もいいね」

澪「でももうお昼だし人がいっぱいでいい位置には座れなさそうだなぁ。店が極端に狭いってのもあるけど」

澪「どこにしようかなぁ」テクテク

澪「あ、ここは一度来たことがあるな。ここは札幌発祥で、味噌ラーメンが名物なんだ」

澪「結構席空いてるな。他の店はラッシュが始まってどこも列ができちゃってる…」

澪「よし。前に一度味噌は食べたから、今日はここのしょうゆラーメンを食べてみよう」ピッ

店員「食券お預かりしまーす!お席の方へどうぞ~」

澪「うん。この店は小奇麗で明るくて、落ち着けるなぁ…」

澪「他の店に比べて広々とした空間だし、壁が鏡張りなのがより一層解放感を生んでる」

澪「インテリアも整っててキレイだから、女性客が多い印象だ」

店員「正油ラーメンおまたせしました~!大変お熱くなっていますのでお気を付けください!」

澪「さてさてぇ、いただきます!ってレンゲはどこだ?レンゲが付いてないぞ」

澪「あ、席に備え付けてあるのか。そういえばそうだったな。忘れてたよ」

澪「結構スープの色が濃いんだなぁ、どす黒い」ズズズ…

澪「熱っ!つつつ…」

澪「これは大変お熱くなってるなぁ、ラードが凄く熱い。油がスープの上に層を作るほどの量だから、保温性もバッチリ!」

澪(ま、よく知らないけどね…)ズズズ…

澪「うほぉ~、なんかこう…すごく…!!!醤油!!!って感じの醤油味だ」

澪「既に完成した醤油ラーメンにまた後から醤油を入れたみたいな…それくらい醤油の味がすごく強い」

澪「でもほのかに苦味があって渋い味わいだなぁ。なかなかイケる」ズズズ

澪「うわぁ、麺も醤油が染みて黒くなってる。すごいなぁ」ズルズル

澪「あつつつつ…」フーフー

澪「………」ズルッ…ズル…ハム

澪(こういう少し太めの弾力がある縮れ麺ってすすりにくくて、無理にすすろうとするとスープがそこらへんに飛び散って嫌なんだよなぁ…)

澪「………」フーフージュル…ハム

澪「………」モグモグ

澪「おっ、この厚切りのチャーシュー、凄く味付けが濃い。噛むと肉汁のうま味と一緒にジワッと醤油の辛さと苦味が滲み出てくる」モグモグ

澪「………」ゴックン

澪「………」フーフーフー!

澪「………」ズルズルズル

澪「喉が渇く…水…」ゴクゴク

澪「ふー」コン

店員「ありがとうございました~!」

澪「はぁ~美味しかったぁ」

澪「階段を使うのはちょっとしんどいな。外寒いし、エレベーターで降りよう」

澪「………」テクテク

澪「………」テクテク

澪「はぁ…」テクテク

澪(ラーメン食べて満足はするものの、それは食欲が満たされるだけ……心の穴は埋まらないなぁ…)

澪(ホントなにが足りないんだろう…)

澪「………」テクテク

澪「ん…?」

澪(あ…!!)

梓「あ…」

梓「澪先輩」

澪「あ、梓!よ、よう。偶然だな…こんなところで…」ドキドキ

梓「こんにちは」

澪(くそぉ!こんなタイミングで知り合いに遭遇するなんて!しかも後輩の梓)

澪「梓一人か?」

梓「はい」

澪「梓も、ラーメン食べに来てたのか?」

梓「はい」

澪「へ、へぇ~(女子高生が一人でラーメン専門店街に食べにくるなよ!)」

澪「今日はなんだ?買い物か何かか?」

梓「親が今日旅行先から帰ってくるので…駅まで迎えに。その前にここでお昼を済ませてました」

澪「そっか…(なるほどね…)」

澪「あ、この店、美味しかったか?(京都発祥の鶏がらベースの背脂醤油ラーメンの店か)」

梓「はい。ちょっとしょっぱかったですけど、背脂多めの割にはあっさりしてて美味しかったです」

澪(なんとなく聞いただけなのに、すごく具体的な感想だな)

澪「梓もラーメン結構好きだったりするのか?」

梓「はい」

澪「そうか(なんか意外だな)」

梓「あ、もうすぐ親が着くころなので…」

澪「お、おう。じゃあまた月曜日な」

梓「また明日です」

・・・

澪「びっくりしたなぁ…梓とあんな所で出会うなんて…」

澪「休日に好き好んで一人でラーメン屋に行く女子高生なんて私だけだと思ってたぞ…」

澪(それにしても…いつも無表情の梓が、今日は心なしか少し微笑んでいた(?)なんだかすごく機嫌よく見えた気がした)

澪(休日にボッチの先輩を目撃して嘲笑ってるって感じでもなかった。なんかこう…“満たされてる”って感じの…)

澪(食事の後だからか?でもいつものティータイムの時はそんな風には見えなかったし…)

澪(やっぱりラーメン好きなのかなぁ…)


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最終更新:2013年02月09日 22:53