「ff6 - 14 figaro」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「ff6 - 14 figaro」(2007/12/12 (水) 00:14:52) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
緊張を走らせたティナを、注視するような目で見ていたエドガーはふっと表情を和ませる。
「心配はいらない。フィガロはガストラ帝国とは同盟を結んでいる。しばらくここでゆっくりしていくと良い」
ガストラ帝国。
耳に残るその言葉を反芻する。
不吉。
ティナはわけも分からず、そう直感する。
「ティナ?」
何も思い出せないと言いながら、ティナはひとつだけ、覚えている事があった。
魔導の力。
記憶喪失だと言ったからなのか、ロックは敢えて、魔導の事について、ティナに訊きはしなかった。
だが、ティナの頭の中には、魔導という言葉が太陽を隠す雲のように漂っている。薄暗く、陰湿で、それはいかずちさえも喚びだせそうな禍々しさ。
「まだ、緊張している?」
気分を害してしまったかな。言いながら、エドガーが、推し量るようにティナの顔を覗き込んだ。その仕草の一つ一つが穏やかで、ティナは首を横に振ってみせる。
まだ、首を振れば消せるほどの、綿雲だ。そう言い聞かせる。
「悪かった。女性を脅かすつもりはなかったんだが」
若い王はまるで王女に対するみたいに、丁寧な物腰で話す。
エドガーの、およそ「王様」とは思えない柔和な雰囲気に、ティナは、全身の緊張を解いて、それをエドガーにも分かるように、静かに深呼吸をしてみせた。
「落ち着いたね?」
「ええ…。」
エドガーを見上げる。
「エドガーって呼んでもいいの?」
「もちろん」
嬉しげにエドガーが言った。
「エドガー。どうして、私によくしてくれるの?」