ゾットの塔――全身機械仕掛けのその場所が長き沈黙を
破り、随分と久しい喧噪をあげる。
内部にいるガードロボットは定例化した円滑な動きを止め急速に動きを早め、
一つの場所へと集う。
飛空挺カタパルト。長らく使われていなかった――正確にはついこの間までは
使われたこともなかったのかもしれないその場所が急速に動きを帯び始めた。
「待ちなカイン」
その慌ただしい場所の中でも一際目立つ存在。全身黒衣の様な鎧を纏う者に
対して、これまた異彩を放つと言ってもいい女性が呼び止める。
「何用だ? バルバリシア」
自分の名を呼ばれたカインは、さほど気に留めぬ様子で聞き返す。
「何所へ行くつもりだい?」
「それだけか」
バルバリシアと呼ばれた女性の問いに、振り借りもせずに答える。
「見ての通りだ。どうやら奴らが用件を満たしたらしいのでな……こちらに招待して
やらねば――」
「本当にそれでいいかい?」
「? どういう事だ?」
少し変わった問い返し、カインが振り返り聞き返す。
「だから本当にいいのかい?」
「?」
相も変わらずと言ったバルバリシアの言葉に、カインは理解しかねたのかそっと疑問符
を打ち出す。
「あいつらをおびき寄せる。クリスタルをこちらの物にして奴らを始末する。それだけだ…」
「ほう……」
ようやくと詳しく説明する気になった彼女の言葉に続けろといった合図を出す。
「でも本当にそれだけさ。奴らをおびき出す。こちらが有利なのは間違いない。私達は何にも
しなくていいんだよ。私<達>はね」
「…………」
そこまで言われてカインは黙り込んだ。
「あんた、奴らに対して――それだけでいいのか」
「…………」
「どちらにしろクリスタルはこちらの手に渡る。奴らも始末しなければならない」
「俺に、何の用だ?」
そこまで言われてようやく、カインが口を開く。
「別に何という事はないさ……どうせ結末が同じなら、過程なんて如何でもいい。そうは
思わないか…?」
「――――」
最終更新:2008年11月23日 07:55