悪夢の崩壊4

竜騎士の脚力を生かした空中からの強襲
さきほどからそれが幾度となく繰り返されている
「やはり強い」
正気ではないのかもしれないが、その強さはカインのものだ。
まったく鈍ってはいない。
(素早さと空中戦はあちらに分がある)
「ゆくぞ」
空中から神速の一撃が放たれる。
防御態勢を取りながらセシルは剣と盾を駆使して受け止める。
(下手に回避はできない)
カインはすぐさま離脱、またもや上空からの攻撃を仕掛けようとする
「誓いの槍よ!」
上空から加速し、槍を投擲。
「くっ!」
その攻撃にセシルは怯み、大きく突き飛ばされた。
「今の一撃、もう一度くらうと立ち直れないな」
防戦一方だ。
「終わりか?」
その言葉にはまだやれるだろうの意味。
「何度でも立ち上がってみせる!」
「そうでなくてはな」
当然だとばかりにカインは再び跳躍、空中からの攻撃に移行しようとする。
「竜騎士の誇りに懸けて!」
今までで最大の高度から出される一撃
「決める!」
それが決着をつけるというカインの意思なのだろう。
セシルも覚悟を決めた。
「光と共に!」
防御はこちらが上だ。
真向から相手の技を受け止めてカウンターをする。
それがセシルの戦法だ。
「僕の全てを!」
「ぐっ!」
カインのジャンプ攻撃を聖剣は受け止めて反撃に生じる。
「ここまでだと……」
カインが大勢を崩し床に肘をつく
「この力と共に……」
それはセシルも同じで大きく体制を崩していた。
「僕は進むんだ!」
わずかな体力差であったがセシルは立ち上がった。

それからどれだけの時間が流れたのか……
「セシル」
「ああ、いこうか」
言葉はそれだけであった。
「行くがいい」
カインもそれだけしか言わなかった。
カインを後目にセシルはローザと歩き出す。
(今回は僕が勝った?)
勝利の確信はいまだにない。
(いや戦うことに意味があった)
セシルはそう思った。
(カイン。決着はいずれ)
次は本当に勝負をしよう。セシルは心にその気持ちをしまい込んだ。

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最終更新:2021年09月18日 21:26
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