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悪夢の崩壊6

フースーヤ達に追いつき制御室へとやってきたセシルとローザに
真っ先に眼に入ってきたのは煙を上げ機能停止した制御システムであった。
「みんながやってくれたのか」
うれしみの気持ちを抱きながらも、ぎゅっと身が引き締まる想いが駆け抜ける。
「システムは破壊した。だとすればおそらくはゴルベーザが」
制御システムの奥、そこから人影が一つ。
鎧の音とともに、そのシルエットが浮かびあがる
「やはり……」
その姿はまぎれもなくこの戦いの中心にいる人物ゴルベーザだ。
「おのれええーーーーーよくも巨人を!!」
しかし現れたゴルベーザはセシルが今まで抱いていた印象とは違った。
(動揺している)
これまでもゴルベーザと戦ってきた中でここまで動揺した姿を見たことはない
巨人が破壊されたからかだとしてもあまりにもいつもとは違う。
(これではまるで別人……)
「おぬしは!」
セシルが疑問を抱いていると隣にいるフースーヤが声を荒げた。
これまで冷静な判断を下してきた、月の民である彼がここまで声色を強くするも珍しい
「なんだ貴様は!」
フースーヤはゴルベーザの元へと駆け寄る
当然それを黒衣の男は振り払おうとするのだが……
「お主! 自分が誰かわかっておるのか!?」
「お前など知らん! 離すのだ!」
必死なゴルベーザを見てフースーヤの考えは確信に変わったようだ。
「やはりお前かゼムス! 思念が強くなっている。いい加減、その体を返してもらおう!」
「やめろおお!」
「目を覚ますのだ」
フースーヤは手のひらをゴルベーザに向けて念を放つ。
瞬間、激しい暗転と衝撃がセシル達を襲う。
一瞬の出来事が終わり、目を開ける。
そこにはゴルベーザが立ち尽くし、フースーヤは後ろに倒れこんでいた。
「おいっ、じーさん!」
その光景はゴルベーザがフースーヤを倒したものだと最初はだれもが思った。
エッジとリディアは月の民の老人へとかけよる
「私は何故、あんな憎しみに駆られていたのだろう……?」
ゴルベーザの言葉。それは今まで戦ってきた人物とは思えないものだった。
「自分を取り戻したか。」
エッジ達の心配とはよそにフースーヤは立ち上がりはせずとも、ゴルベーザを見ていた。
「お主、父の名を覚えているか?」
「父……クルーヤか……」
「なんだって!!」
セシルと同じ父の名を呼ぶゴルベーザ。その言葉は嘘偽りを感じる事などは到底できない声であった。
「それじゃ、セシルの……」
「兄貴かよお!?」
「ゴルベーザが!?」
仲間たちの各々の反応も驚きだけであった。セシルとゴルベーザを交互に視線を移し、未だに信じられないといった感じだ。
「ゴルベーザよ。お主はゼムスのテレパシーで利用されていたのだ」
この状況を詳しく話すのは月の民であるフースーヤ
「クルーヤの月の民に血が、よりそれを増幅していたのだ……兄弟で戦うなど……」
フースーヤにとってもクルーヤは弟であったのだ。その子供達が争っていたという事実に対して衝撃はあるのだろう。
「僕は兄を憎み、戦って……」
セシルの目線は自然に、先ほどまでの宿敵、兄である存在へと向かっている。
「お前が私の……」
「でも……もしかしたら、逆の立場かもしれなかったんだ……僕がゼムスのテレパシーを受けていれば……」
どちらが悪い訳でもない。それは間違いないはずだ。しかしもし自分が操られていれば一方的な謝罪で終わる。
そちらの方が楽かもしれなかった。
「しかし、それが私に届いたということは……少なからず、私が悪しき心を持っていたから……」
ゴルベーザが自分の拳を強く握る。
「ゼムス!!」
この戦いの元凶たる人物の名を口にした彼はそのままセシルとは逆方向を向いた。
「どこへ!?」
兄さん……そう呼ぶべきか? 心ではそう思っていてもなかなか声にはでなかった。
「この戦い、私自身が決着をつける!!」
「待て」
フースーヤが立ち上がる。
「ゼムスも月の民! 私も共に行こう……!」
「さらばだセシル!?」
フースーヤとゴルベーザは去っていく。一度もセシルを振り返ることなく。
セシルはただ黙ってその姿を見送る事しかできなかった。

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最終更新:2021年09月18日 21:28
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