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決戦5

月世界の洞窟や山岳、クレーターを超えてたどり着いた、月の民の館は以前となんら変わらぬ静けさを保っていた。
「誰もいない」
以前フースーヤと出会った台座もがらんどうであった。
「フースーヤ達もここへきたのかな?」
「間違いないと思う」
静かすぎるこの場所にいささか拍子抜けしたのかリディアが疑問を振る。
月の中心にそびえたつ水晶造りの巨大な塔、ここには遥か昔に帰る星を失った月の民が眠っている。
そして蒼き星の混乱を招いたゼムス自身も彼ら月の民によって封印されている。
フースーヤ達がここからゼムスのもとにいったのだ。セシルは確信していた。
「奥は行ったのか?」
台座の奥を見ると水晶状でつくられた幅の広い階段が伸びている。
「行ってみよう」
敵の気配は感じなかったのだろう、戦闘時の隊列を考えず先頭を切って階段を上っていく。
これは!
階段を上った上の階には、下の階と同じクリスタルを並べる台座がいくつも鎮座していた。
「月のクリスタルか」
台座の数は丁度八つ。青き星の地上と地底、それぞれのクリスタルを合わせた数と同じ数存在している。
(我々は月のクリスタル)
部屋に入った途端、セシルの頭に何者かの声が語り掛けてくる。
「!」
「なんだぁこの声は」
エッジが耳に手を当て叫ぶ。どうやら仲間達も同じ声が聞こえているらしく各々が不思議な表情をしている。
(青き星に置かれた八つのクリスタルとのバランスで、この月は維持されている)
(月の民たちは、この大地の中で深い眠りについている)
(我ら八つのクリスタルがゼムスを封じ込めている)
性別も年齢もわからないといった感じの不思議な声が各々のクリスタルから聞こえてくる。
敵意はない。むしろセシル達を歓迎しているといった様子だ。
「フースーヤはどこに?」
その様子を見て、今度はこちらから質問をする。
(バブイルの巨人が破壊されフースーヤとクルーヤの息子が中に入っていきました)
「やはり」
バブイルの次元エレベータはこの月の民の館に直結していたのだろう。
既にフースーヤは大分、先に向かったようだ。
(ゼムスの封印が弱くなっています。じきに完全に力を取り戻すでしょう。そうなれば我々クリスタルも、この館で眠る月の民
達もただではすまないでしょう)
フースーヤ達の安否としても月や青き星のためにも急ぐ必要がありそうであった。クリスタルの声は続く――
(こうなった以上、我々はこの場所……内側からゼムスの力の干渉、思念波を中和するのが精一杯です)
(そしてセシルよ……もう一人のクルーヤの息子よ)
月のクリスタルの言葉は眠っている月の民の代弁とでもいえるだろう。
どうやら先ほどのゴルベーザの時と同じくセシルが月の民であることもお見通しのようだ。
(フースーヤ達がゼムスの元へ向かって、もう、ずいぶん経っています)
その言葉はまだゼムスが健在ということを示している
(セシルよ、恥ずかしい話ですが青き星で育ったあなた達にも頼ることになりそうです。あなたたちを中心核にゼムスの場所へ導きましょう)
(中央へ――月の中心核を目指すのです)
この部屋の台座は時計周りに配置されていた。見ると台座が取り囲むように中心部には他とは違う色の水晶で構成された
床が一面に広がっている。
促されるままにセシルも仲間達もそこへ歩き出す。
「……」
中央部に到達したセシルには覚悟が生まれていた
「みんな」
聖剣――エクスカリバーを鞘から抜き天に掲げた。
「仲間を――みんなを傷つけさせはしない。このパラディンの力にかけて」
だから……
「みんなの命を僕にあずけてくれ!」
一呼吸おいて、あらためて自分の決意を皆に伝える。
「ふっ」
一瞬の沈黙。カインが持っている槍―グングニルを掲げる
「カイン、お前だけずるいぞ」エッジも忍刀を掲げる
「私も、セシルあてにしてるよ!」リディアも鞭を掲げる。
「セシル」
最後にセシルの一番近くにやってきたローザが杖を掲げる。
「かならず全員で青き星のみんなの元へ帰ってこよう」
月のクリスタルからの導きの光がセシル達を包むこみ、ゼムスの――フースーヤの――兄であるゴルベーザの待つ
中心核へと誘う。

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最終更新:2021年09月24日 23:45
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