「大丈夫。頭のかざりの力で思考は止まっているはずだ。俺達の命令で思い通り
に動く」
自分たちにとって目の前に存在する“少女”は、ヒトの形をした兵器に過ぎない。
男はそんな風に言い切って、不安の色を浮かべる相棒に笑いかけたのだった。
そうして、彼は外していた装備を装着し直すと、腕を振り上げた。
「東からまわりこむ。行くぞ!」
静寂に沈む雪原に、魔導アーマーの稼働音が響き渡った。
三体の魔導アーマーが目指すのは、炭鉱都市ナルシェ。
二度と還れなくなるとも知らず、男達は軍部の命に従い任務へと赴く。
一世一代の戦いの場へと、死の行軍を続ける。彼らの歩みを止められる者は、
誰もいない。
最終更新:2007年12月12日 00:53