彼らの進軍を阻むものは、降りしきる粉雪だけだった。
こうしてナルシェに辿り着いて都市の様子を目の当たりにした彼らは、予想していた
以上に細い道路を前にはじめて北上をやめ立ち止まった。メインストリートでさえ、
魔導アーマー一体がようやく通れる程の幅しかない。そこへ降り続ける雪に加え、
蒸気機関の吐き出す煙に視界を遮られ、侵入者である自分たちにとって戦いに不利な
状況が揃っている事を思い知った。
さすがナルシェだ。これまで帝国が侵攻作戦を展開しようとしても、容易に落とせる
都市ではないのが頷ける。
しかし裏を返せば、そんな都市へ派兵された我々はいわば精鋭なのだ。そう思えば
自然と士気もあがる。
「この娘を先頭にして突っ込む。ザコには構うな。行くぞ!」
兵器でありながらそれを「娘」と呼んだ自分に苦笑しながら、彼は前方に視線を向けた。
頭部の高い位置で結われた少し珍しい色の髪の毛が揺れ、露出した肩は少女のそれらしく
華奢だった。その後ろ姿だけを見れば、彼女は紛れもなく人間であるはずなのに。
彼らは“少女”を先頭にして隊列を組みナルシェの中心部へと足を進めた。
最終更新:2007年12月12日 00:57