FF6オープニング:ナルシェ懸軍4

(……思ってたより歯ごたえがあるな)
 数分、数秒でも早く敵にダメージを与えるためにと選んだファイアビーム。
後に続いたウェッジはねらい通り敵の弱点をつくであろうブリザービームを
選択してくれた。だが、期待していたほどのダメージは与えていないらしい。
ビックスは次の手を決めあぐねていた。
 隣に並んだ“少女”にちらりと視線を送った。無表情のまま、彼女は手元の
パネルを操作している。魔導アーマーの先端にエネルギーが集まり始めた時、
地が唸るような音が耳に届いた。
 音と共に搭乗していた魔導アーマーごと大地が揺れ始めた。ユミールが殻に
身を隠そうとしている、その前兆だと気づいたビックスは声をあげた。
「……待て! 撃つな!!」
 その叫びが無駄になることは分かっている、けれども叫ばずにはいられなかった。
このまま撃てばヤツの殻に直撃してしまう。だが、ひとたび実行した操作の取り消し
機能は搭載されていない。いったん選んだ攻撃を、止めることはできなかった。
 魔導アーマーの強大な力は恐らく設計者自身の予測した以上のものだったはずで、
攻撃を止める場面を想定する必要などなかった。そう言うことだろう。
「……くそっ!」
 俺が設計する時は、コマンドの取り消し機能を搭載してやるのに。と、今さらになって
無駄な反論を呟いてはみたが、事態を変えることはできなかった。
 地鳴りがやんだ直後、“少女”の放った攻撃は見事にユミールの殻に命中する。
程なくして、殻から大量の放電が始まった。
 魔導アーマーに搭乗しているとはいえ、実体は生身の人間である。ユミールの殻から
放たれた電流が、文字通り彼らの身体に落とされる。言葉にならない喘ぎを漏らしながら、
彼らは必死でユミールの反撃に耐え続けた。
 幸か不幸か、体力の半分ほどを削られても彼らはまだ生きている。攻撃がやむと
すぐさま顔を上げた二人は、この魔導アーマーに搭乗して以来、恐らく初めて使うで
あろう機能を実行するべくほぼ同時にパネルを操作し始めた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年12月12日 01:14
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。