「カイン、何故此処に……」
見間違う訳がない。目の前に立つ男は間違いなくセシルの友であった。
カインの行方をずっと気にしていたセシルにとって、今こうして彼の無事が分かった事に安心を覚えた。
しかしそれと共に一つ疑問が浮かび上がる。
今セシル達がいるのは戦場であった。相対する者はすべて剣を交え殺し合う……そんな場所である。
奇しくも、その場所で二人は対峙する形でお互いを見つめ合っていた。
「…………」
「カイン!」
沈黙を守り続けるカインに思わず駆け出そうとするセシル。
「よせ! セシル殿」
ヤンが引き留めるように肩を掴む。
「何故です! 向こうにカインが!」
「分かっているはずだ。何故彼が此処にいるのか」
今度はギルバートが諭すように言う。
「そう、おそらく君の友人は……」
「嘘だろ! カイン!」
そうであるあけがない。セシルは認める事ができなかった。
炎の舞うミストで交わした約束した。一緒にバロンを出ようと。
あの誓いは偽りであったのか?
「そう言う事だ。セシル……」
硬く閉ざされたカインの口がようやく開く。同時に手にした槍の矛先をセシルの方に向ける。
「そんな……カイン」
目の前が暗くなり倒れ込みそうな衝動を抑える。
「さあ、クリスタルを渡せ。此方としても無駄な血を流す事はしたくない」
「誰が!」
ゆっくりと歩を進めるカインの前にヤンが立ちはだかる。
「安心しろ。此方の兵は引き上げさした。この国の者に危害は加えん。
それにどのみちもう勝ち目はない。それはお前が一番分かっているだろう」
「う……」
最終更新:2007年12月12日 04:00