「なんだい・・・?わりいけど下で飲んでくんねえか、俺は一人になりてぇんだ」
男は大きな体をうな垂れたまま、四人のほうを見ずに言った。
どうやら町中の人に言ったはいいが町中の人に信じてもらえず、相当落ち込んでいるようだった。
バッツが一歩前へ出る。
「なあ、あんた北の山へ竜が飛んでいったのを見たらしいな。その事を聞きたいんだ」
途端に目を輝かせて男はがたっと立ち上がった。
「あんたら俺の話を聞いてくれんのか!おお、ここへ来てやっと信じてくれる人間が来てくれるとは!」
こんな調子のいい人間の話が本当なのか、分からなかったがとりあえず話を聞くことにした。
「うっはっは、まあ座ってくれや。どこから喋ったもんかな・・・」
話を聞いてくれるのが嬉しいらしく、バッツ達四人のことを何者なのかも聞かなかった。
バッツ達が席につくと、男は待ちかねたように喋りだした。
「今日の早朝のことなんだが、俺は港の荷物の整理をしてたんだ。そしたらよ、西から
何かが飛んできたんだ。最初は気にも止めなかった、鳥かなんかだと思ってたからな」
男は髭をもさもさといじりながら、思い出しながら話している。
「だが近づいてくるにつれ、鳥なんかじゃねえ、ありゃ竜じゃねえかって思って追いかけ
たんだ。あいつは町の北を通って北の山へ消えていった。俺は目がいいんだ!確かだぜ!」
間髪入れずにレナが質問した。
「その竜、えっと・・・そう、鎧を纏っていませんでしたか?」
「おお!嬢ちゃんあの竜を知ってんのか?確かにそうだったよ」
「間違いない、お父様の飛竜だわ」
バッツがレナに尋ねる。
「その飛竜は、俺達四人を乗せて飛べるんじゃないか?」
「ウォルスまでだって楽に飛べるはずよ」
ガラフが頷きながら歓喜した。
「うむ、上出来じゃ!では明日、北の山を目指すとしよう」
誰も異論は唱えなかった。次の目的地が決まったところで、バッツ達は宿に戻る事にした。
「そうだ、おっさん、あんたの奥さんが家で待ってるそうだ」
この伝言に、男はぎょっとなった。と思うと初めて見たときのようにがくっとうな垂れた。
「あぁ~、明日からトイレ掃除一週間かなぁ。それならまだいいか・・・」
バッツ達は思わず苦笑した。
最終更新:2007年12月13日 04:00