「あなたは……あなたは、ここに埋葬された人を見て何も思わないんですか!」
「そんな事はないさ!」
高圧的な彼女の言葉に思わずセシル自身も言葉を荒げる。
「じゃあ、彼らに対する謝罪として一輪の花を添えるくらいしてみたらどうですか!」
「それは……」
「それみなさい! やっぱりあなたは心まで闇に染まった暗黒騎士よ!」
口ごもるセシルに対しての彼女の言葉に容赦は無かった。
「じゃあ……一つ約束しよう」
「へ?」
予期せぬセシルの一言に彼女は少し間の抜けた声を上げる。
「約束するよ」
セシルは続ける。
「僕は必ずパラディンの試練をやり遂げる。それが僕にできる彼らに対する精一杯の
罪の償いだ。僕はそう思っている」
「…………」
しばらく黙っていたジェシーだが口を開きこういった。
「分かりました。あなたにそこまでの覚悟があるのなら。だけど……」
頷いた後、ジェシーは喋るのを止め懐に手を入れる。
「もしパラディンにもなれずみすみす帰ってきてみなさい。
その時は……」
懐から銀色に光る刃物を取り出し、それをセシルの喉元にあてがう。
「私があなたを殺しますっ!」
彼女は静かにだが、力強く言い放った。
「分かったよ。だからもうそんなものは納めてくれ」
微かに震える彼女の両手にそっと手を添える。
「はい……」
うつむき全身を震えさせた彼女は刃物を納めるとそのまま走り去ってしまった。
セシルはその方向をいつまでも見続けていた。
「僕は……」
最終更新:2007年12月13日 04:47