クラウドはその視線を受け止め、俯いた。頭の中には、いつも通りの言い訳が浮かんでいる。
『だって…見殺しにしたんだぞ?』
だが、クラウドは、その言い訳を振り払い、ヴィンセントの目を正面から受け止め、口を開いた。
「…すまない」
ただ謝るだけという、無責任な答え方だった。答えになっていなかった。
それでも、ヴィンセントの視線を和らげてくれた。
「別に謝ることではない。ただお前の場合、、独りで背負い込むのは愚かだというだけのことだ」
今度は、クラウドにも余裕が出来ていた。
「…それ、あんたが言えたことなのか?」
こういってやると、ヴィンセントは「フン」と鼻を鳴らして顔をマントの大きい襟にうずめた…笑ったのだろうか?
そんなヴィンセントに、クラウドはなおも訊いた。
「ヴィンセント…罪って、許されるのか?」
「…試したことはない」
その言葉が頭の中で反芻する。試す…試す、か…
それから、クラウドはマリンに声をかけた。
「帰るぞ」と。
少女は朗らかな表情を浮かべ、ヴィンセントのマントから出てくる。
「やってみるよ」
クラウドはヴィンセントの目を見たまま、決然と言い放ち。そして、「結果は連絡する」といい、マリンとともにその場を後にした。
「…それは電話を買えということか?」
独り残されたヴィンセントに、クラウドは答えなかった。
最終更新:2007年12月13日 07:27