「では、お前はあの子達を見捨てるというのか!」
テラの怒りは当然だと思う。自分の意見が絶対的に正しいとも思えない。
「だけど、どうする。今長老は、祈りの塔にいる。今は待つことしかで
きないじゃないか……」
「…………」
テラは黙り込んでいた。何も言い返さないのは、言い返せないのか、はたまた
何かを考えているのか。
「ひょっとすると、長老にとっても今はとっても大事な時なのかもしれない。
あの二人の命以上に……」
「なんじゃと!」
テラは少し怒ったような声を出した。
「他にもいいやり方をあやつなら知っておるかもしれんぞ」
テラがそう返した。
何にせよ、セシルの決断は一つであった。
「悪いけど、もうこれ以上は待てない。後少ししたら、シドに発進の準備を
してもらうよ」
それだけ言い残してセシルは足を速めた。
ミシディアからバロンに向かってから、まだ数える程の日数しか経っていない。
未だに自分を受け入れない人間も多くいるだろう。
ジェシー。それに長老すらもまだ迷いがあるのだろう。そんな場所に長居をしたく
ないという考えもある。
そして、テラの前で言ったとおりの事。今、二人を救う事が本当に今の最優先事項なのか。
「人一人には出来る範囲、つまりは限界というものがある。それ以上の事をしようと
すれば何も出来なくなってしまうのではないか……」
救いきれないもの。やり切れないもの。捨て置かなければならないもの。
誰にでもそのようなものはあるのではなかろうか。
数多くの目的や願望から、僅かな一つを選ばなければならない時が
あるのかもしれない。
そして自分は何をすればいいのか。簡単に答えなんかは出ないはずだ。
最終更新:2007年12月18日 05:48