だから言った。しばらくの間沈黙が続いた後に。
「シド」
「なんじゃ……?」
今だ落胆した様子であったが、セシルの淀みない問いかけに、耳を傾ける価値があると
判断したのか問い返す。
「飛空挺は何処にある?」
ヤンが、バロンに利用されていた時、彼にはある命令が下されていた。
最新式の飛空挺。シドが開発したそれは、創造主自信であるシドによって誰にも判らぬ所に
隠された。おそらくはシドの性格上、どうやっても口を割らなかったのであろう。
だから、わざわざ兵士を動員してまで捜しあてる事になったのだろうが、結果は出なかったのだ。
「そうか!」
その問いにシドの口調も明るさを取り戻す。
「よくぞ言ったぞ。セシル」
どうやらセシルの決意がシドにも判ったようだ。
「ゴルベーザを追い、ローザを取り返すんだな!」
黙ってセシルは頷いた。
「こうなってしまった責任は僕にもある。でも、今更後悔しても遅い。だから行く。それに……」
改めて、彼女ともう一度出会えば、以前は分からなかった彼女を、今なら垣間見えそうな気がした。
「ですが、どうやって」
二人のやりとりを見守っていたヤンが訪ねる。
「簡単じゃ! 儂の最新式の飛空挺さえあれば世界中何処へでも一っ飛びじゃ!」
「やはり隠されていたんですね……」
一時期、その捜索を任を受けていたヤンは存在しないものだと思いこんでいたのかもしれない。
「ですが、城を探しても見つからず、町中何処を探しても……」
「ふん! 当然だ。儂にしか判らない所に儂にしか見つけられぬようにしてあったからな」
自信を持ってシドが言う。
「こうしちゃおれんぞ、早く飛空挺を出すぞ!」
勢い良くシドは出口へと向かった。
最終更新:2008年08月22日 13:38